平成31年3月17日
[流れ星]
第370回数学的な応募解答
<解答募集期間:2月17日〜3月17日>
[三角形の五心]
高校の総合学習で扱った問題です。
NO1「早起きのおじさん」 02/21 20時44分 受信 更新 3/17
問題1
図のように、
APの延長とBCの交点をD、
BPの延長とCAの交点をE、
CPの延長とABの交点をFとします。
△PBC:△PAB=p:rなのでCE:EA=p:r、
△PCA:△PBC=q:pなのでAF:FB=q:pです。
とします。
を確認しておきます。
先ず、
次に、
(1) と(2)をくらべて、
上の式から、
下の式に入れて、
これを(2)に入れると、
問題2
辺BCの中点をL、辺CAの中点をM、辺ABの中点をNとします。
その1
重心は、中線を頂点の方から2:1に内分する点なので、
その2
重心は、3中線の交点なので、
△GBC:△GCA:△GAB=1:1:1です。
問題1のp=q=r=1とすると、
問題3
内心から各辺までの距離rが等しいので、
なので、
△IBC:△ICA:△IAB=a:b:cです。
問題1のp=a、q=b、r=cとすると、
問題4
外心は外接円の中心です。
円周角と中心角との関係から、
∠BKC=2A、∠CKA=2B、∠AKB=2C
外心から各頂点までの距離Sが等しいので、
なので、
△KBC:△KCA:△KAB=sin2A:sin2B:sin2C です。
問題1のp=sin2A、q=sin2B、r=sin2Cとすると、
問題5
各頂点から対辺に平行な線を引くことでできる三角形を
A’B’C’とします。
□ABA’C、□BCB’A、□CAC’Bは平行四辺形です。
平行四辺形の対辺の長さは等しいです。
よって、△A’B’C’の外心と△ABCの垂心とは同じ点です。
同様に、
ここで、 の係数を調べます。
、 の係数も同様に、
よって、
問題6
内心をI、傍心をRAとします。
∠Aの二等分線と底辺BCとの交点をXとします。
ACの延長上にCX=CYとなる点Yをとります。
すると、△CXYは二等辺三角形です。
この二等辺三角形の底角の和は、∠ACXと等しいので、
ICとXYは平行になります。
△ACI∽△AYXです。
AI:IX=AC:CY=AC:CX ・・・・・・ (3)
AC上にCX=CZとなる点Zをとります。
すると、△CZXは二等辺三角形です。
この二等辺三角形の底角の和は、∠XCYと等しいので、ZXとCRAは平行になります。
△AZX∽△ACRAです。
ARA:RAX=AC:CZ=AC:CX ・・・・・・ (4)
(2) と(4)から
Iは線分AXをAC:CXに内分する点、
RAは線分AXをAC:CXに外分する点となります。
よって、点Cは線分IRAを直径とするアポロニウスの円上にあります。
(∠ICRA=∠R です)
∠Aの二等分線上にXがあるので、BX:XC=c:b です。
すると、
よって、
NO2「三角定規」
02/24 22時57分 受信 更新 3/17
NO3「浜田明巳」 03/08 11時38分 受信 更新 3/17
原点をOとする.
文字の誤用を避ける為に,
BC=s,CA=t,AB=u,
ベクトルa=a,ベクトルb=b,ベクトルc=c,ベクトルg=g,ベクトルi=i,ベクトルk=k,
ベクトルh=h,ベクトルrA=rA,ベクトルp=n
と表記する(本当はベクトル記号がうまく書けないだけ).
問題1
APとBCの交点をDとすると,
BD:DC=△ABD:△ACD=△PAB:△PCA=r:q
∴ベクトルOD=(qb+rc)/(r+q)=(qb+rc)/(q+r)
また,
AP:PD=(△PAB+△PCA):△PBC=(r+q):p
∴n={pa+(q+r)・ベクトルOD}/{(q+r)+p}
={pa+(q+r)・(qb+rc)/(q+r)}/(p+q+r)
=(pa+qb+rc)/(p+q+r)
問題2
BCの中点をMとすると,ベクトルOM=(b+c)/2
また,Gは△ABCの重心なので,AG:GM=2:1
g=(1・a+2・ベクトルOM)/(2+1)={a+2・(b+c)/2}/3
=(a+b+c)/3
問題3
AIとBCの交点をDとする.
AIは∠BACの二等分線なので,
BD:DC=AB:AC=u:t
∴ベクトルOD=(tb+uc)/(u+t)=(tb+uc)/(t+u)
また,△ABDにおいて,BIは∠ABDの二等分線なので,
AI:ID=AB:BD=u:{u/(u+t)・s}=(t+u):s
∴i={sa+(t+u)・ベクトルOD}/{(t+u)+s}
={sa+(t+u)・(tb+uc)/(t+u)}/(s+t+u)
=(sa+tb+uc)/(s+t+u)
問題4
外接円の半径を,AK=BK=CK=Rとする.
i). △ABCが鋭角三角形のとき,外心Kは△ABCの内部にあり,
△KBC=1/2・KB・KC・sin2A=R2/2・sin2A
△KCA=R2/2・sin2B
△KAB=R2/2・sin2C
∴△KBC:△KCA:△KAB=sin2A:sin2B:sin2C
問題1と同様に,
k=(sin2A・a+sin2B・b+sin2C・c)/(sin2A+sin2B+sin2C)
ii). ∠A=π/2のとき,外心Kは斜辺BCの中点であるので,
k=(b+c)/2
また,
sin2A=sin(2・π/2)=0
sin2C=sin2(π/2−∠B)=sin(π−2∠B)=sin2B≠0
∴k=(sin2A・a+sin2B・b+sin2C・c)/(sin2A+sin2B+sin2C)
他の頂角が直角でも同様に成立する.
iii). ∠A>π/2のとき,外心Kは△ABCの外部にあり,線分AKは辺BCと交わり,交点をDとする.
△KBC:△KCA:△KAB=p:q:rとする.
BD:DC=△KAB:△KCA=r:q
から,
ベクトルOD=(qb+rc)/(r+q)
KはADを,
AK:KD=(△KAB+△KCA):△KBC=(r+q):p
に外分しているので,
k={−pa+(q+r)・ベクトルOD}/{(q+r)−p}=(−pa+qb+rc)/(−p+q+r)
ここで,
△KBC=R2/2・sin(2π−2∠A)=R2/2・(−sin2A),
△KCA=R2/2・sin2B,△KAB=R2/2・sin2C
∴p:q:r=(−sin2A):sin2B:sin2C
∴k=(sin2A・a+sin2B・b+sin2C・c)/(sin2A+sin2B+sin2C)
他の頂角が鈍角でも同様に成立する.
問題5
i). △ABCが鋭角三角形のとき,垂心Hは△ABCの内部にある.
AHとBCの交点をDとすると,
△HAB:△HCA=BD:DC=(AD/tanB):(AD/tanC)=tanC:tanB
同様に,
△HAB:△HBC=tanC:tanA
∴△HBC:△HCA:△HAB=tanA:tanB:tanC
問題1と同様に,
h=(tanA・a+tanB・b+tanC・c)/(tanA+tanB+tanC)
ii). ∠A=π/2のとき,垂心HはAとなる.
∠A→π/2±0で考える.
(tanA・a+tanB・b+tanC・c)/(tanA+tanB+tanC)
=(a+tanB/tanA・b+tanC/tanA・c)/(1+tanB/tanA+tanC/tanA)
→a(∠A→π/2±0)
=h
故に成立する.他の頂角がπ/2でも同様に成立する.
(総合学習で扱う問題であるから,ここまでやった方がよいでしょう)
iii). ∠A>π/2のとき,AHとBCの交点をDとする.
△HBC:△HCA:△HAB=p:q:rとする.
BD:DC=△HAB:△HCA=r:q
から,
ベクトルOD=(qb+rc)/(r+q)
HはADを,
AH:HD=(△HAB+△HCA):△HBC=(r+q):p
に外分しているので,
h={−pa+(r+q)・ベクトルOD}/{(r+q)−p}=(−pa+qb+rc)/(−p+q+r)
ここで,
△HAB:△HCA=BD:DC=(AD/DC):(AD/BD)=tanC:tanB
ABとCHの交点をEとすると,
△HBC:△HCA=BE:AE=(CE/AE):(CE/BE)=tan∠CAE:tanB
=tan(π−∠A):tanB=(−tanA):tanB
∴△HBC:△HCA:△HAB=(−tanA):tanB:tanC
∴h=(tanA・a+tanB・b+tanC・c)/(tanA+tanB+tanC)
他の頂角が鈍角でも同様に成立する.
問題6
ARAとBCの交点をDとすると,
BD:DC=AB:AC=u:t
∴ベクトルOD=(tb+uc)/(u+t)
Dを通り,BRAと平行な直線とABの交点をE,直線ABと傍心円RAの接点をFとする.
ED//BRAより,錯角,同位角が等しいので,
∠BDE=∠DBRA
∠BED=∠FBRA=∠DBRA
∴∠BDE=∠BED
∴BD=BE
∴ARA:RAD=AB:BE=AB:BD=u:{u/(u+t)・s}=(u+t):s
∴rA={−sa+(u+t)・ベクトルOD}/{(u+t)−s}=(−sa+tb+uc)/(−s+t+u)
(この場合分けの多さは,集中力がない私にはきつかったです)
<水の流れから>
当時、実教出版から出ていた数学資料NO63(2011年10月発行)の中にあった証明を載せておきます。追加の「フェルマー点」のベクトル表示は興味深いです。皆さん、是非参考にしてください。