令和元年7月7日
[流れ星]
第374回数学的な応募解答
<解答募集期間:6月9日〜7月7日>
[界斜・大斜の長さ]
寛政3年(1791)の大垣市の大垣八幡宮に14題の算額が奉納されています。そのうちの第六問題が第6図です。
また、嘉永3年(1850)には岐阜県郡上市の郡上八幡神社に4題の算額が奉納さえています。そのうちの第一問題が第1図です。
注:図では直角三角形に見えますが、実際はただの三角形になります。
そこで、上の2題を参考にして、改題して出題します。
問題1 下図において、∠Bが直角な直角三角形ABCの辺BCに二つの三角形ABDとACDの内接円の半径が等しいように点Dをとる。
このとき、線分AD=dの長さは であることを示せ。
注:大垣八幡宮の問題はBC=a=15、AC=b=17、AB=c=8のとき、AD=d=10を示す。
問題2、同じ下図において、三角形ABCの辺BCに二つの三角形ABDとACDの内接円の半径が等しいように点Dをとる。
このとき、線分BC=aの長さはであることを示せ。
注:郡上八幡神社の問題はAB=c=68,AD=d=40,AC=b=257のとき、BC=a=315を示す。
参考文献:岐阜県の算額の解説 木重之 著(自費出版)
NO1「早起きのおじさん」 06/21 17時49分 受信 更新 7/7
問題1
図の2つの内接円の半径をrとします。
、 です。
△ABDと△ACDの面積を2種類の方法で計算し、比を調べます。
底辺をBD、CDとすると、
rを用いると、
よって、
内項の積は、
外項の積は、
比較して、
下線部をcで整理すると、
ここで、b+d≠0、c+d≠0なので、
問題2
図でBD=a1、CD=a2、∠ADB=θとします。
です。
△ABDと△ACDの面積の比は、a1:a2です。
(*)を代入し、整理すると、
△ABDより、
△ACDより、
よって、
(*)を代入し、整理すると、
(**)を代入し、整理すると、
下線部分は、
よって、
ここで、a≠0、b+d≠0、c+d≠0なので、
NO2「浜田明巳」
06/22 09時13分 受信 更新 7/7
問題1
内接円の半径をrとすると,
△ABD=1/2・AB・BD=1/2・(AB+BD+AD)・r
∴r={c・(d2−c2)1/2}/{c+(d2−c2)1/2+d}・・・(1)
また,
△ADC=1/2・AB・BC−1/2・AB・BD=1/2・(AD+DC+AC)・r
∴r={ac−c・(d2−c2)1/2}/[d+{a−(d2−c2)1/2}+b]
=c{(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}/{b+d+(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}・・・(2)
(1),(2),c≠0から,
(d2−c2)1/2/{c+d+(d2−c2)1/2}
={(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}/{b+d+(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}
∴(d2−c2)1/2・{b+d+(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}
={(b2−c2)1/2−(d2−c2)1/2}・{c+d+(d2−c2)1/2}
∴(d2−c2)1/2・b+(d2−c2)1/2・d+(d2−c2)1/2・(b2−c2)1/2−(d2−c2)
=(b2−c2)1/2・c+(b2−c2)1/2・d+(b2−c2)1/2・(d2−c2)1/2−(d2−c2)1/2・c
−(d2−c2)1/2・d−(d2−c2)
∴(b+c+2d)(d2−c2)1/2=(c+d)(b2−c2)1/2
両辺とも非負なので,
∴(b+c+2d)2(d2−c2)=(c+d)2(b2−c2)
∴{(b+c)2+4(b+c)d+4d2)(d2−c2)=(c2+2cd+d2)(b2−c2)
∴(b+c)2d2+4(b+c)d3+4d4−(b+c)2c2−4(b+c)c2d−4c2d2
=c2(b2−c2)+2c(b2−c2)d+(b2−c2)d2
∴2d4+2(b+c)d3+(b−c)cd2−(b+c)2cd−bc2(b+c)=0
∴{2d2−(b+c)c}{d2−(b+c)d+bc}=0
∴{2d2−(b+c)c}(d−b)(d−c)=0
条件より,d>0,(b+c)c>0,c<d<b
∴d=[{(b+c)c}/2]1/2
問題2
BD=xとし,AからBCに垂線AHを下すと,
△ABD=1/2・BD・AH=1/2・(AB+BD+AD)・r
∴x・AH=(c+x+d)r
∴AH=(c+d+x)r/x・・・(1)
また,
△ADC=1/2・DC・AH=1/2・(AD+CD+AC)・r
∴(a−x)・AH={d+(a−x)+b}r
∴AH=(a+b+d−x)r/(a−x)・・・(2)
(1),(2)から,
(c+d+x)/x=(a+b+d−x)/(a−x)
∴(c+d+x)(a−x)=(a+b+d−x)x
∴a(c+d)+ax−(c+d)x−x2=(a+b+d)x−x2
∴(b+c+2d)x=a(c+d)
∴x=a(c+d)/(b+c+2d)・・・(3)
直角三角形ABH,ADH,ACHにおいて,
AH2=AB2−BH2=AD2−DH2=AC2−CH2
∴c2−(x−DH)2=d2−DH2=b2−(a−x+DH)2
c2−(x−DH)2=d2−DH2から,
c2−x2+2DH・x−DH2=d2−DH2
∴DH・2x=d2−c2+x2
∴DH=(d2−c2+x2)/(2x)・・・(4)
d2−DH2=b2−(a−x+DH)2から,
d2−DH2=b2−(a−x)2−2(a−x)・DH−DH2
∴DH・2(a−x)=b2−(a−x)2−d2
∴DH={b2−(a−x)2−d2}/{2(a−x)}・・・(5)
(4),(5)から,
(d2−c2+x2)/(2x)={b2−(a−x)2−d2}/{2(a−x)}
∴(d2−c2+x2)(a−x)=(b2−a2+2ax−x2−d2)x
∴a(d2−c2)+ax2−(d2−c2)x−x3=(b2−a2−d2)x+2ax2−x3
∴ax2+(b2−a2−c2)x+a(c2−d2)=0
(3)を代入すると,
a・a2(c+d)2/(b+c+2d)2+(b2−a2−c2)・a(c+d)/(b+c+2d)+a(c2−d2)=0
両辺に,(b+c+2d)2/{a(c+d)}をかけると,
a2(c+d)+(b2−a2−c2)(b+c+2d)+(c−d)(b+c+2d)2=0
∴a2(c+d)+(b2−c2)(b+c+2d)−a2(b+c+2d)+(c−d)(b+c+2d)2=0
∴a2(b+d)=(b2−c2)(b+c+2d)+(c−d)(b+c+2d)2
={(b2−c2)+(c−d)(b+c+2d)}(b+c+2d)
={(b2+(c−d)b+d(c−2d)}(b+c+2d)
=(b+d)(b+c−2d)(b+c+2d)
∴a2=(b+c−2d)(b+c+2d)=(b+c)2−4d2
故に題意は示された.
NO3「三角定規」
07/07 13時51分 受信 更新 7/7