令和元年8月4日
[流れ星]
第375回数学的な応募解答
<解答募集期間:7月7日〜8月4日>
[大小2円の直径の和]
天保12年(1841)〜弘化2年(1845)に岐阜県不破郡垂井町の南宮大社に9題の算額が奉納されています。そのうちの第7問題が下図です。
題意
正方形ABCD内に直角三角形CEFを書き、大小2円O,O1を内接させる。正方形の1辺の長さをaとするとき、大小2円の直径の和を最大にしたい。このとき、直角三角形の二辺の長さを求めよ。ここで、図のようにAE=b,EB=c,AF=d,EF=x,CE=yとし,2円O,O1の半径をR,rとする。
<水の流れ:微分して解いたのですが。>
<参考:関流九伝とは和算の流派の一つ。数学の流派はその研究の対象が数学なので,流派の間の違いはほとんどない。流派によってはほんの少し数式の表し方に違いのあることもある。関流というのは,関孝和の弟子,あるいは孫弟子に教わったという意味である。>
参考文献:岐阜県の算額の解説 木重之 著(自費出版)
「二度漬け白菜」 07/07 22時23分 受信
更新 8/4
第375回数学的な応募問題の解答
ペンネーム:二度漬け白菜
(解答)
a=1として考えればよい.
CE=((CB)^2+(BE)^2)^(1/2)=(1+c^2)^(1/2).
R=(CB)*(BE)/(CB+BE+CE)=c/(1+c+(1+c^2)^(1/2)).
△CBEと△EAFは相似であり、相似比は,
CB:EA=1:(1-c).
よって,r=(1-c)*R.
二つの円の直径の和は,
2*(R+r)
=2*(2-c)*R
=2*(2-c)*c/(1+c+(1+c^2)^(1/2))
=(2-c)*(1+c-(1+c^2)^(1/2)).
ここで, (1+c^2)^(1/2)-c=t
とおく.
c=(1-t^2)/(2*t) であり,0<c<1 とから,
2^(1/2)-1<t<1.
2*(R+r)
=(2-c)*(1+c-(1+c^2)^(1/2))
=(4*t-1+t^2)*(1-t)/(2*t)
=5/2-(1/2)*(1/t+3*t+t^2).
今からw)ヲ憎丑・蟹・・焔u桙フ最小値を,相加平均と相乗平均に
関する不等式を使って求める.
1/t+3*t+t^2
=(1/8)*(1/t+1/t+1/t+1/t+1/t+1/t+1/t+1/t
+4*t+4*t+4*t+4*t+4*t+4*t+8*t^2)
≧(1/8)*15*((1/t)^8*(4*t)^6*(8*t^2))^(1/15)
=15/4
(等号は,t=1/2 のときに成立する)
よって,2*(R+r)は t=1/2 のとき(c=3/4のとき),最大となる.
このとき,直角三角形CEFの二つの辺EC,EFはそれぞれ,
EC=(1+c^2)^(1/2)=5/4,
EF=(1-c)*EC=5/16.
元の問題の答えは次のようになる.
大小二つの円の直径の和が最大になるとき,
直角三角形の,直角をはさむ二辺EC,EFの長さは,
EC=(5/4)*a
EF=(5/16)*a
である.
「早起きのおじさん」 07/08 16時26分 受信 更新 8/4
●右の図は、2辺の長さがa、cである直角三角形です。
半径Rの円が内接しています。
半径Rをa、cで表すことを考えます。
直線OQの方程式は、 です。
半径Rの中心Sの座標は、(a−R,R)です。
点Sから直線OQまでの距離がRなので、
複合で、正(+)のものは、三角形の3辺の和になるので、内接円の半径Rにはなりません。
直角三角形に内接する円の直径の長さは、2辺の和から斜辺を引いた値です。
このことを用いて考えを進めます。
●直角三角形BCEとAEFに内接する2つの円の直径の和Wは、
ただし、cは、0<c<aの範囲です。
ここで、
なので、
よってWは、
ここで、下線部は正です。
よって、Wの導関数が0のときは、
増減表は次のようになります。
以上から、
直角三角形BCEの2辺は、 と
直角三角形AEFの2辺は、 と
「浜田明巳」
08/05 14時55分 受信 更新 8/5
<浜田さんのコメント:締め切り後ですが、投稿者が少ないようですし、違ったアプローチで。>
△AEF,△BCEにおいて,
EF2=AE2+AD2,CE2=BC2+BE2
∴x=(b2+d2)1/2,y=(a2+c2)1/2
また,△BCEにおいて,
CE=(BE−R)+(BC−R)=a+c−2R
∴(a+c−2R)2=a2+c2
∴2ac−4(a+c)R+4R2=0
∴2R2−2(a+c)R+ac=0
R<a+cより,
R={(a+c)−(a2+c2)1/2}/2
同様に,r={(b+d)−(b2+d2)1/2}/2
∴2(R+r)=(a+b+c+d)−(a2+c2)1/2−(b2+d2)1/2
=(2a+d)−(a2+c2)1/2−(b2+d2)1/2
△CDFにおいて,CD2+DF2=CF2
∴a2+(a−d)2=EF2+CE2=(b2+d2)+(a2+c2)
∴a2−2ad=b2+(a−b)2
∴b2−ab+ad=0
a>bより,
b=(a−(a2−4ad)1/2}/2
∴b2+d2={a2−2a(a2−4ad)1/2+(a2−4ad)}/4+d2
=1/2・a2−1/2・a(a2−4ad)1/2−ad+d2,
a2+c2=a2+(a−b)2
=a2+[{a+(a2−4ad)1/2}/2]2
=a2+{a2+2a(a2−4ad)1/2+(a2−4ad)}/4
=3/2・a2+1/2・a(a2−4ad)1/2−ad
∴2(R+r)=2a+d−{3/2・a2+1/2・a(a2−4ad)1/2−ad}1/2
−{1/2・a2−1/2・a(a2−4ad)1/2−ad+d2}1/2
ここで,d/a=x,f(x)=2(R+r)/aとすると,
f(x)=2+x−{3/2+1/2・(1−4x)1/2−x}1/2
−{1/2−1/2・(1−4x)1/2−x+x2}1/2
また,0<x<1/4となる.
グラフ表示ソフトGRAPESを使い,最終的には10−15きざみで調べた結果,
x=0.1875=3/16
のとき,f(x)は最大となる.
このとき,d=3/16・a
∴b={a−(a2−4ad)1/2}/2={a−(a2−3/4・a2)1/2}/2=a/4,
c=a−b=3/4・a
∴x=(b2+d2)1/2=(a2/16+9/16
y=(a2+c2)1/2=(a2+9/16・a2)1/2=5/4・a
故に,b=a/4,c=3/4・a,d=3/16・aのとき,x=5/16・a,y=5/4・aとなる.
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。