令和元年12月22日
[流れ星]
第380回数学的な応募解答
<解答募集期間:11月24日〜12月22日>
[シンメトリー]
問題1 原点を中心とする半径1の円をSとする。放物線y=x2−2上に相異なる3点A,B,Cがあって、直線AB,直線ACがSに接しているとき、直線BCもまたSに接することを証明せよ。
問題2 正三角形ABCの内部の点Pについて、PA=8、PB=5,PC=7とする。このとき正三角形の一辺の長さを求めよ。
<出典:「数学的思考の構造」塚原成夫 著 (現代数学社)>
<水の流れ:問題文の中で、あてをあってと訂正しました。12月4日記>
さらに、「ジョーカー」さんから、問題1の類題を頂きましたので、解答をお待ちしています。
(第380回の問題1の類題)12月4日 発信
原点を中心とする円に外接する正方形DEFGについて,頂点Dは第2象限にあり,辺DEはy軸に平行である。y軸を軸とする放物線上の異なる3点をA,B,Cとし,直線AB,BC,CAがこの円に接するとき,放物線は正方形の2つの頂点を通ることを証明せよ。
NO1「浜田明巳」
11/28 17時04分 受信 更新 12/22
問題1
3点A,B,Cの座標を,
A(a,a2−2),B(b,b2−2),C(c,c2−2)(a≠b≠c≠a)
とする.
直線ABの方程式は,a≠bより,
y={(b2−2)−(a2−2)}/(b−a)・(x−a)+(a2−2)
=(a+b)(x−a)+a2−2
=(a+b)x−ab−2
∴(a+b)x−y−ab−2=0
原点Oと直線ABの距離は,
|(a+b)・0−0−ab−2|/{(a+b)2+(−1)2}1/2
=|ab+2|/{(a+b)2+1}1/2=1
∴(ab+2)2=(a+b)2+1・・・(1)
同様に,原点Oと直線ACの距離から,
(ac+2)2=(a+c)2+1・・・(2)
故に,
(bc+2)2=(b+c)2+1・・・(3)
を示せばよい.
(1)から,(a2−1)b2+2ab+(3−a2)=0・・・(1)'
(2)から,同様に,
(a2−1)c2+2ac+(3−a2)=0・・・(2)'
a=±1とすると,(1)',(2)'は,
±2b+2=0,±2c+2=0(複号同順)
となり,b=cとなるので,矛盾する.
∴a≠±1
故に(1)',(2)'は,b,cの2次方程式となる.
b≠cから,b,cは,tの2次方程式
(a2−1)t2+2at+(3−a2)=0
の2解である.
解と係数の関係から,
b+c=(2a)/(1−a2),bc=(a2−3)/(1−a2)
∴[(bc+2)2−{(b+c)2+1}](1−a2)2
={(a2−3)+2(1−a2)}2−(2a)2−(1−a2)2
=(−a2−1)2−4a2−(1−a2)2
=0
∴(bc+2)2=(b+c)2+1
故に(3)が示され,題意が示された.
問題2
この正三角形ABCを,Bを中心に−π/3だけ回転すると,AはCに重なり,Cが点C',Pが点P'に移るとする.
BP=BP',∠PBP'=π/3であるから,△BPP'は正三角形である.
∴∠BPP'=π/3
△CPP'において,CP=7,CP'=AP=8,PP'=BP=5
∴cos∠CPP'=(CP2+PP'2−CP'2)/(2・CP・PP')
=(72+52−82)/(2・7・5)
=1/7
0<∠CPP'<πより,sin∠CPP'>0
∴sin∠CPP'=(1−cos2∠CPP')1/2
={1−(1/7)2}1/2
=(4√3)/7
∴cos∠BPC=cos(∠BPP'+∠CPP')
=cos(π/3+∠CPP')
=cos(π/3)cos∠CPP'−sin(π/3)sin∠CPP'
=1/2・1/7−√3/2・(4√3)/7
=−11/14
∴BC2=BP2+CP2−2・BP・CP・cos∠BPC
=52+72−2・5・7・(−11/14)
=129
∴BC=√129
(別解)(計算でゴリゴリいきます.なるべく3桁以上の計算をしないようにします.工夫は嫌いなのです)
仮にA(1,√3),B(0,0),C(2,0)とする.
BP:CP=5:7であるから,Pは,BCを5:7に内分,外分する点を直径の両端とする円周上にある.
内分する点Dの座標は,
((7・0+5・2)/(5+7),(7・0+5・0)/(5+7))=(5/6,0)
外分する点Eの座標は,
((−7・0+5・2)/(5−7),(−7・0+5・0)/(5−7))=(−5,0)
この円の中心をFとすると,FはDEの中点であるので,座標は,
((5/6−5)/2,(0+0)/2)=(−25/12,0)
半径は,
DF=5/6−(−25/12)=(10+25)/12=35/12
この円の方程式は,(x+25/12)2+y2=(35/12)2・・・(1) AP:BP=8:5であるから,Pは,ABを8:5に内分,外分する点を直径の両端とする円周上にある.
内分する点Gの座標は,
((5・1+8・0)/(8+5),(5・√3+8・0)/(8+5))=(5/13,(5√3)/13)
外分する点Hの座標は,
((−5・1+8・0)/(8−5),(−5・√3+8・0)/(8−5))=(−5/3,−(5√3)/3)
この円の中心をIとすると,IはGHの中点であるので,座標は,
((5/13−5/3)/2,{(5√3)/13−(5√3)/3}/2)=5/2・(1/13−1/3)・(1,√3)
=−25/39・(1,√3)=(−25/39,−(25√3)/39)
半径は,
GH/2={({5/13−(−5/3)}2+[(5√3)/13−{−(5√3)/3}]2)1/2}/2
=5/2・{(1/13+1/3)2+3(1/13+1/3)2}1/2
=5/2・(3+13)/39・(1+3)1/2=80/39
この円の方程式は,(x+25/39)2+{y+(25√3)/39}2=(80/39)2・・・(2) (2)−(1)より,
2(25/39−25/12)x+(25/39)2−(25/12)2+2・(25√3)/39・y+{(25√3)/39}2
=(80/39)2−(35/12)2
両辺を25で割ると,
2(1/39−1/12)x+(5/39)2−(5/12)2+(2√3)/39・y+{(5√3)/39}2
=(16/39)2−(7/12)2
∴2・(4−13)/(39・4)・x+(2√3)/39・y
=(16/39)2−(7/12)2−(5/39)2+(5/12)2−3(5/39)2
∴−3/(13・2)・x+(2√3)/39・y
=(162−52−3・52)/392−(72−52)/122
=4・(82−52)/392−{(7+5)(7−5)}/122
=4/39−1/6
両辺に2・39をかけると,
−9x+4√3・y=8−13=−5
∴x=(4√3・y+5)/9・・・(3)
(1)に代入すると,
{(4√3・y+5)/9+25/12}2+y2=(35/12)2
両辺に362をかけると,
{4(4√3・y+5)+25・3}2+362y2=(35・3)2
∴(16√3・y+95)2+362y2=(35・3)2
∴(162・3+362)y2+2・16√3・95・y+952=1052
∴3・42・(42+3・9)y2+2・16√3・95・y+(95+105)(95−105)=0
∴3・42・43・y2+2・16√3・95・y−200・10=0
両辺を42で割ると,
3・43・y2+2√3・95・y−25・5=0
両辺を52で割ると,
3・43・(y/5)2+2√3・19・(y/5)−5=0
∴43{(√3・y)/5}2+38・{(√3・y)/5}−5=0
∴{(√3・y)/5+1}{43・(√3・y)/5−5}=0
Pのy座標は正なので,
y=25/(43√3)
(3)に代入すると,
x={4√3・25/(43√3)+5}/9
=5/9・(20/43+1)
=5/9・63/43
=35/43
∴P(35/43,25/(43√3))
∴BP=[(35/43)2+{25/(43√3)}2]1/2
=5/43・(72+52/3)1/2
=5/43・(172/3)1/2
=10/(3・43)1/2
=10/√129
故に相似比は,
5/BP=5/(10/√129)=√129/2
故に1辺の長さは,
BC・5/BP=2・√129/2=√129
NO2「スモークマン」 11/30
00時45分 受信 更新
「スモークマン」 11/30 20時59分 受信
更新
「スモークマン」 12/04 02時03分 受信
更新 12/22
問題2
正三角形ABCの辺の外側にAP//BP’,BP//AP’,BP”//CP,CP”//BP,CP’’’//AP,AP’’’//CP
という平行四辺形になるような図形を考えると元の正三角形の面積Sの2倍
次に、外側の△の向きを変えると、P’,P”,P’’’は、各辺に対しての対称点になっているので、△AP’P’’’,△BP’P”,△CP”P’’’は頂角120°の二等辺三角形で、内部にできる△P’P”P’’’は、各辺が8√3,5√3,7√3
NO3「ジョーカー」 11/30 14時30分 受信 更新 12/22
さて,解答を考えた後、問題のタイトル:「シンメトリー」について考えてみました。
(1)では,直線ABと原点の距離が1となる場合の式から,
直線ACの場合の式はシンメトリーを用いて,すぐ書くことができます。
(2)では,正三角形の1辺はPA,PB,PCの対称式で表される。
ということでしょうか。
(PA,PB,PCを3辺にもつ三角形の面積S´を考えると,計算が楽になります。)
(1)と(2)の関連性については気が付きませんでした。
<水の流れ:上記のような意図で出題しました。応募解答は「ジョーカー」 12/11 08時35分 受信 更新 12/22 で掲載します。
「ジョーカー」
12/02 10時42分 受信 更新 12/22
はじめ問題1を見たとき,きれいな問題だと思いました。
与えられた放物線上の異なる3点A,B,Cについて,AB、ACが
原点中心の半径1の円に接すると,BCも円に接する。
この証明を考えた後,次に,半径1の円に接する放物線は,
他にないだろうかと疑問に思い,
y=px^2+qのとき,p+q=1またはp+q=-1なら良いことが
分かりました。
さらに円の半径をrとすると,y軸を軸にもつ放物線が,
円に外接する正方形DEFGのどれかの頂点を通ることが
分かりました。
「ジョーカー」 12/02
16時07分 受信 更新 12/22
先ほどまでの補足を踏まえて、次のような問題を考えました。
(第380回の問題1の類題)
原点を中心とする円に外接する正方形
DEFGについて,頂点Dは第2象限にあり,
辺DEはy軸に平行である。
y軸を軸とする放物線上の異なる3点を
A,B,Cとし,直線AB,BC,CAがこの
円に接するとき,放物線は正方形の2つ
の頂点を通ることを証明せよ。
「ジョーカー」
12/10 16時15分 受信 更新 12/22
正三角形ABC内に点Pをとり,あらたに△LMNを,
MN=PA,NL=PB,LM=PCとなるようにつくる。
ABを1辺とする正三角形の面積をS(AB)で表す。
このとき,
2S(AB)=3△LMN+S(PA)+S(PB)+S(PC)
を証明せよ。
「ジョーカー」
12/11 08時35分 受信 更新 12/22
問題1の類題と問題2の別解を合わせたPDFファイルを添付します。(5ページ)
多分、最終版です。
NO4「早起きのおじさん」 12/05 09時34分 受信 更新 12/22
380解答 早起きのおじさん
問題1
点Aの座標を とします。
点Aを通る直線の傾きをmとすると、
この直線と放物線との交点を調べます。
は点Aなので、交点の座標は、 。
点B、Cの座標を調べます。
この直線は、原点からの距離dが1なので、
分母を払って2乗すると、
点BとCの位置関係が図のようであるとすると、点Bはmの複合が「−」のときです。
とおくと、
点Bは、
X座標は、
Y座標は、
よって、
点Cは、
X座標は、
Y座標は、
よって、
以上から、直線BCは、
原点と直線BCとの距離dを調べます。
よって、直線BCも円Sに接します。
問題2
左の三角形を、頂点Cを中心として60度ずつ5回まわします。
そして、点A、Pの止まった位置を右の図のように記録します。
三角形の1辺の長さをxとします。
すると、ヘロンの公式を用いて各三角形の面積は、
これらを用いて、正6角形AA1A2A3A4A5の面積Sを考えると、
∴
三角形の1辺の長さは、です。
「早起きのおじさん」 12/11 08時50分 受信 更新 12/22
380の問題1の類題解答 早起きのおじさん
●原点中心の円の半径を1とします。
放物線はy軸対称として、 とします。(b>0)
放物線が満たす条件を見つけるため、
・直線PQがx軸に並行で円に接する
・Rは放物線の頂点で直線PRが円に接する
とします。
点Pの座標を とします。
点Rの座標を とします。
直線PRの式を調べます。
原点と直線PRの距離を1とすると、
∴
●つまり、 の形であることが必要です。
この形であれば円に外接する正方形の2つの頂点が放物線上にあることは簡単にわかります。
を解くと、 となるからです。
●放物線 が前提を満たすことを確かめます。
放物線上の点Pの座標を とします。
点Pを通る直線の傾きをmとすると、
この直線と放物線との交点を調べます。
は点Pなので、交点の座標は、
直線PQの傾きをm−、直線PRの傾きをm+とします。
すると、
直線QRは、
直線QRと原点との距離dは、
さて、ここでm+、m−について調べます。
点Pを通る直線
と原点との距離が1なので、
分母を払って2乗すると、
これを と表すことにします。
とすると、
この値をdの式に代入します。
となります。
NO5「二度漬け白菜」 12/07
10時23分 受信 更新 12/22
問題1:
(証明)
相異なる三点A,B,Cの座標を,
A(a,a^2-2),B(b,b^2-2),C(c,c^2-2)
とする.
直線ABの方程式は,
y-(a^2-2)=((b^2-a^2)/(b-a))*(x-a)
すなわち,
(a+b)*x-y-a*b-2=0.
直線ABはSに接しているので,原点と直線ABとの距離は 1 である.
よって,
|-a*b-2|/√((a+b)^2+1) = 1.
よって,
|-a*b-2|=√((a+b)^2+1)
⇒(-a*b-2)^2=(a+b)^2+1
⇒(a^2-1)*b^2+2*a*b-a^2+3=0 ---(1)
直線ACもSに接していることから同様にして,
(a^2-1)*c^2+2*a*c-a^2+3=0 ---(2)
a=1 だとすると (1),(2)より b=c となるから, B=C.
これは条件に反する.
a=-1 だとしても,やはり B=C となって条件に反する.
ゆえに a^2-1≠0 である.
(1),(2)より b,c は t の二次方程式
(a^2-1)*t^2+2*a*t-a^2+3=0
の2つの解であることがわかる.
よって,
b+c = (-2*a)/(a^2-1),
b*c = (-a^2+3)/(a^2-1)
である.
直線BCの方程式は,(b+c)*x-y-b*c-2=0
であるから,
直線BCと原点との距離 L は,
L = |-b*c-2|/√((b+c)^2+1)
= |-(-a^2+3)/(a^2-1)-2|/√(((-2*a)/(a^2-1))^2+1)
= |(-a^2-1)/(a^2-1)|/√(((a^2+1)/(a^2-1))^2)
= |(a^2+1)/(a^2-1)|/|(a^2+1)/(a^2-1)|
= 1.
よって,直線BCはSに接する.(証明終)
問題2:
正三角形の一辺の長さは √129 (答)
第333回数学的な応募問題に一般解があります.
「一辺の長さが L であるような正三角形ABCとその内部の点Pについて,
PA=x,PB=y,PC=z であるとき,
L^2 = (1/2)*(x^2+y^2+z^2+√(3*(x+y+z)*(-x+y+z)*(x-y+z)*(x+y-z))).」
問題1の類題:
(証明)
円の方程式を x^2+y^2=1 として考えれば十分.
また,放物線の方程式を x^2=s*y+t (s>0,t>0) として考えればよい.
円と放物線には共有点は無いから,4*t-4-s^2>0 ---(0)
放物線上の3点 A,B,Cの座標を
A(a,(a^2-t)/s),B(b,(b^2-t)/s)),C(c,(c^2-t)/s))
とおく.
直線ABの方程式は,
(a+b)*x-s*y-a*b-t=0.
これが円に接するので,
(a*b+t)^2=(a+b)^2+s^2 ---(1)
同様に考えて,
(a*c+t)^2=(a+c)^2+s^2 ---(2)
(b*c+t)^2=(b+c)^2+s^2 ---(3)
(1),(2)より,
b+c=-2*a(t-1)/(a^2-1),
b*c=(t^2-s^2-a^2)/(a^2-1).
これらを (3) に代入して,
((t^2-s^2-a^2)/(a^2-1)+t)^2=(-2*a(t-1)/(a^2-1))^2+s^2.
分母を払って整理すると,
((a^2+t-2)^2+4*t-4-s^2)*((t-1)^2-s^2)=0.
(a^2+t-2)^2+4*t-4-s^2>0 であるから,(t-1)^2-s^2=0.
t-1=-sだとすると,4*t-4-s^2=-4*s-s^2<0 となって (0) に反する.
よって,t-1=s.
よって 放物線 x^2=s*y+t は正方形DEFGの2頂点 (-1,-1),(1,-1) を通る.
(証明終)
--------------------------------------------
問題1 は1988年の名古屋大学の入試問題のようです.
「ポンスレの定理」という定理が背景にあるようです.
http://aozoragakuen.sakura.ne.jp/taiwa/taiwaNch03/poncelet/node2.html
以上.
<水の流れ:問題2については、過去に第333回に類似問題がありました。
知らせて頂いた「ジョーカー」さんに感謝します>
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。