平成16年5月16日
[流れ星]
第137回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:4月25日〜5月15日>
[格子点の数]
太郎さんは入試問題集をみています。次のような問題を見つけました。
x、y、zおよびnを0または正の整数とする。
問題1:不等式x+y≦3を満たす組(x、y)の個数を求めよ。
問題2:不等式x+y≦nを満たす組(x、y)の個数を求めよ。
問題3:不等式x+y+z≦nを満たす組(x、y、z)の個数を求めよ。
問題4:不等式x/3+y≦nを満たす組(x、y)の個数を求めよ
<出典:京都産業大学1996年>
NO1「toru」 4/27: 11時29分受信
更新5/16更新
問題1 (x,y)=(0,0),(0,1),(0,2),(0,3),(1,0),(1,1),(1,2),(2,0),(2,1),(3,0)の10個
問題2 x+y+ω=n を満たす(x,y,ω) (x,y,ω=0,1,2,------,n)と同じことで、これは3個からn個を選ぶ重複組み合わせで、
3Hn=3+n-1Cn=(n+1) (n+2) /2
問題3 x+y+z+ω=nを満たす(x,y,z,ω)
(x,y,z,ω=0,1,2,-----,n)と同じことで、
これは4個からn個を選ぶ重複組み合わせで、4Hn=4+n-1Cn=(n+1) (n+2)(n+3) /6
問題4 問題2でx=0のものはy=0,1,----,nのn+1個、他はn(n+1)/2個
問題2のx=k(k=1,2,----n) に対してx=3k-2,3k-1,3kを対応させれば、求める個数はn+1+3n(n+1)/2=(n+1)(3n+2)/2
問題137の解答を送ります。y=k の時x=0,----の何個あるのこれをΣでk=0〜nまでたし合わせてというのが普通でしょうが、
ちょっと変えてみましたがどんなもんでしょうか?
NO2「kasama」1回目 4/27: 13時17分受信 更新5/16更新
今回は格子点の数に関する入試問題ですね。最近、受験数学とほとんど縁がないので、どのような解法が一般的なのかはよくわかりません。効率良く得点できる方法が好まれるのでしょうね。
いろんなアプローチがあるかと思いますが、直感的にわかり易いので、幾何学的な解釈で格子点の数を求めることが多いのではないでしょうか。私も試験でこのような問題に出会ったら、たぶんそのようなやり方をするでしょう。でも、試験と違って時間的な余裕がありますから、いろんなやり方があった方が面白いので、漸化式で考えてみました。
「kasama」2回目 4/30: 12時58分受信
「kasama」3回目 5/11: 15時15分受信 更新5/16更新(一緒にして)
問題1
組(x,y)を単純に洗い出すと、以下の10個です。
(0,0),(0,1),(0,2),(0,3),
(1,0),(1,1),(1,2),
(2,0),(2,1),
(3,0)
問題2
漸化式で考えます。x+y≦nを満たす組(x,y)の個数をSn(x, y)と表します。
すると、Sn(x,y)は Sn-1(x, y)にx+y=nを満たす組(x,y)の個数を加算したものと考えられます。そして、x+y=nを満たす組(x,y)の組は、以下のn+1個です。
(0,n),(1,n-1),・・・,(n,0)
したがって、
Sn(x,y) = Sn-1(x,y) + n + 1 ⇒ Sn(x,y) -
Sn-1(x,y) = n + 1
となり、この差分方程式の一般解を求めればよいわけです。やり方はいろいろあると思いますが、例えば、
Sn(x,y) - Sn-1(x,y) = n + 1
Sn-1(x,y) - Sn-2(x,y)
= n
Sn-2(x,y) - Sn-3(x,y)
= n - 1
・・・
S1(x,y) - S0(x,y) = 2
とやって、すべてを加えると、
Sn(x,y) = S0(x,y) + 2 + ・・・ + n - 1 + n + n + 1
ここで、S0(x,y)=1 なので、
Sn(x,y) = 1 + 2 + ・・・ + n - 1 + n + n + 1 = (n+1)(n+2)/2
となりますから、求める個数は(n+1)(n+2)/2個です。
問題3
前問と同様に考えて、x+y+z=nを満たす組(x,y,z)の組は、以下の(n+1)(n+2)/2個です。
(0,n,0),(1,n-1,0),・・・,(n,0,0)
(0,n-1,1),(1,n-2,1),・・・,(n-1,0,1)
・・・
(0,0,n)
したがって、
Sn(x,y,z) = Sn-1(x,y,z) +
(n+1)(n+2)/2 ⇒ Sn(x,y) - Sn-1(x,y) = (n+1)(n+2)/2
ですから、
Sn(x,y,z) - Sn-1(x,y,z) =
(n+1)(n+2)/2
Sn-1(x,y,z) - Sn-2(x,y,z)
= n(n+1)/2
・・・
S1(x,y,z) - S0(x,y,z) = 3
すべてを加えると、S0(x, y,z)=1なので、
Sn(x,y,z) = S0(x,y,z) + 3 + ・・・
+ n(n+1)/2 + (n+1)(n+2)/2
= 1 + n(n2 + 6n + 11)/6 = (n+1)(n+2)(n+3)/6
よって、求める個数は(n+1)(n+2)(n+3)/6個です。
問題4
同様にして、n-1<x/3+y≦nを満たす組 (x,y)の組は3n+1個なので、
Sn(x/3,y)
= Sn-1(x/3,y) + 3n + 1 ⇒ Sn(x/3,y) - Sn-1(x/3,y) = 3n + 1
とやって、
Sn(x/3,y)
- Sn-1(x/3,y) = 3n + 1
Sn-1(x/3,y) - Sn-2(x/3,y) = 3n - 2
・・・
S1(x/3,y) - S0(x/3,y) = 4
すべてを加えると、S0(x/3, y)=1なので、
Sn(x/3,y)
= S0(x/3,y) + 4 + ・・・ + 3n - 2 + 3n + 1
= (n+1)(3n+2)/2
よって、求める個数は(n+1)(3n+2)/2個です。
【一般化(その1) 2004.4.30追記】
関係式をa1+a2+・・・ +ak≦n
と一般化します。よく考えてみると、a1+a2+・・・ +ak=iの組(a1,a2,・・・, ak)は重複組合せですね。例えば、i個のみかんをk人に配る場合数kHi(=k+i-1Ci) と同じですね。
なので、a1+a2+・・・ +ak≦nの場合数は、kHiの総和となり、
n
n
n
ΣkHi = Σk+i-1Ci = Σ(k-1) + iCi = k+nCn = k+nCk
i=0
i=0
i=0
です(補足参照)。よって、
a1+a2+・・・ +ak≦nの場合数はk+nCnまたはk+nCk個
です。
ちなみに、問題1、2、3について個数を計算してみると、
問題1・・・3+2C2 = 10
問題2・・・n+2C2 = (n+2)(n+1)/2
問題3・・・n+3C3 = (n+3)(n+2)(n+1)/6
となります。
【一般化(その2)2004.4.30追記】
関係式をa1/m1+a2/m2+・・・ +ak/mk≦n (ただし、mi(i=1,2,・・・,k)は自然数)と一般化します。この先はできていません。すみません。もう少しお時間を下さい。⇒私の力では、一般化はできませんでした(2004.5.11追記)。
【補足】
n+1Cr = nCr + n-1Cr-1 + n-2Cr-2 + ・・・ + n-rC0 (r≦n)
[証明]
漸化式nCr = n-1Cr + n-1Cr-1を以下のように繰り返し適用することによって、上式を導くことができます。
n+1Cr = nCr + nCr-1
= nCr + (n-1Cr-1 + n-1Cr-2)
= nCr + n-1Cr-1 + (n-2Cr-2 + n-2Cr-3)
・・・
= nCr + n-1Cr-1 + ・・・ + n-r+1C1 + n-r+1C0
= nCr + n-1Cr-1 + ・・・ + n-r+1C1 + 1
= nCr + n-1Cr-1 + ・・・ + n-r+1C1 + n-rC0
NO3「BossF」 4/29: 03時12分受信 更新5/16更新
問題1
与式 ⇔ x≦3-y だから、ある y に対し 3-y+1=4-y 個づつ x はきまる
よって、0≦y≦3に注意すれば 1+2+3+4=10個…答
問題2
問題1と同様にして 1+2+…+(n+1)=(n+1)(n+2)/2個…答
問題3
与式 ⇔ x+y≦n-z で、問題2より ある
z に対して(n-z+1)(n-z+2)/2 個づつ( x,y) はきまる
0≦z≦nだから (z=0to n)[(n-z+1)(n-z+2)/2]
=(n+1)^2・(n+2)/2-(2n+3)n(n+1)/4+n(n+1)(2n+1)/12
=1/12・(n+1){6(n+1)(n+2)-3n(2n+3)+n(2n+1)}
=1/12・(n+1)(2n^2+10n+12)
=(n+1)(n+2)(n+3)/6 …答
問題4
与式 ⇔ x≦3(n-y) だから、ある y に対し 3(n-y)+1 個づつ x はきまる
0≦y≦nだから (y=0to
n)[3(n-y)+1]=(n+1)(3n+1)-3n(n+1)/2
=(n+1)(3n+2)/2…答
NO4「kashiwagi」4/29: 08時04分受信 更新5/16更新
137回解答
まず、一般式 を考える。これは と同値である。
後半の式はx、y 各々の軸とnで交わる勾配が−1のグラフである。図を描くのが面倒なので申し訳ございませんが理論的な説明のみでお許し下さい。
即ち、4点(0,0 )(0,n )(n,0 )(n,n )で囲まれた正方形の内部及び線上の格子点数の半分が求めるものである。
上記式上の格子点+(正方形上ないし内部の格子点−上記式上の格子点)/2=
(n+1)+〔(n+1)2−(n+1)〕/2=(n+1)(n+2)/2
以上が一般式の場合である。
問1.
nに3を代入して、求めるものは10となる。
問2.
上記で議論したものであるから、(n+1)(n+2)/2が求めるもの。
問3.
図形的にはx、y及びz 各々の軸とnで交わる三角錐の平面上と内部の格子点が求めるものである。z=0、1、・・・・nで三角錐を切断した平面上の格子点を総計したものであるから、問2の結果を利用し、
=(n+1)(n2+5n+6)/6
問4.
は問2のx 切片を3n に置き換えたものであるから、問2と全く同様にして、(n+1)(3n+2)/2 を得る。
NO5「たけクジラ」4/30: 2時03分受信 更新5/16更新
こんにちわ、お久しぶりです。たけくじらです。今回はいろいろなやり方で解いてみました。
これからも受験勉強の一環として気の向いた問題は解いていきたいです。
x、y、zおよびnを0または正の整数とする。
問題1:不等式x+y≦3を満たす組(x、y)の個数を求めよ。
(0,0)(0,1)(1,0)(0,2)(1,1)(2,0)(0,3)(1,2)(2,1)(3,0)
より、1+2+3+4=10
10個
問題2:不等式x+y≦nを満たす組(x、y)の個数を求めよ。
xy平面の第一象限において、この不等式を満たす格子点はx+y=k(0<=k<=n)
の整数解。また、これはkが増えるごとにひとつずつ増えていくので
(なぜならば、x+y=mのとき、解は(m,0)(m-1,1)(m-2,2)
…(1,m-1)(0,m)よって、m+1個。同じようにx+y=m+1のとき、解はm+2個。)
よって解の個数は(n+1)(n+2)/2
問題3:不等式x+y+z≦nを満たす組(x、y、z)の個数を求めよ。
ここで、xにkを入れたときを考えると、y+z<=n-kでなければならない。よって、(y,z)の個数は(n-k+1)(n-k+2)/2
このkが[0,n]を動くため
n
Σ(n-k+1)(n-k+2)/2=(n+1)(n^2+5n+6)/6
0
問題4:不等式x/3+y≦nを満たす組(x、y)の個数を求めよ
与式⇔x+3y<=3n
ここでyにkをいれたとする。すると、x<=3n-3k よって
n
Σ(3n-3k)=3n(n+1)/2
0
NO6「浜田明巳」 5/01: 11時21分受信 更新5/16更新
ここをクリック下さい。「報告」です。(一考察です)
NO7「三角定規」 5/04: 11時07分受信 更新5/16更新
いつも,考えて面白い問題の提供,有難うございます。
お送りするレポートには,「すべて知っていますよ」を装い,考察のエッセンス部分しか書いていません。しかしながら内実は,((3)などは)素朴な数え上げから始まり,頭の錆を音を立てて落としながら,「あ,階差数列になっているんだ!」などど感激しながら解いております。
NO8「中川幸一」 5/15: 5時03分受信 更新5/16更新