平成16年10月31日
[流れ星]
第145回数学的な応募問題解答NO1
<解答募集期間:10月10日〜10月31日>
[三角関数と数列]
NO1「H7K」 10/09: 19時51分受信 更新10/31
1. cos(pi/3)=1/2であるから,f_2=2.
2. cos(pi/4)=1/sqrt 2であるから,f_3=3.
3. x^5-1=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)である.明らかに
x^4+x^3+x^2+x+1=0 <=> x^2+x+1+1/x+1/x^2=0.
ここで,x+1/x=:tとすると,
x^2+x+1+1/x+1/x^2=0 <=> t^2+t-1=0
<=> t={-1+-sqrt(5)}/2.
<=> ... <=> x={+-sqrt5-1 +- sqrt(10+-2sqrt5)i}/4.
ただし,復号については,1つめと3つめのものが同順,2つめは任意で,
xは4通りある.
さて,x^5-1=0の解は,cos(2pi/5)+isin(2pi/5), -cos(pi/5)+isin(pi/5),
-cos(pi/5)-isin(pi/5),
cos(2pi/5)-isin(2pi/5)となるから,
(4cos^2(pi/5), 4cos^2(2pi/5))=((3+sqrt(5))/2, (3-sqrt(5))/2).
すなわち,
f_4=(5+sqrt(5))(5-sqrt(5))/4=5.
4. cos(pi/6)=sqrt(3)/2, cos(2pi/6)=1/2であるから,
f_5=4*2=8.
5-- (予想).
f_6は,計算機によると,13になるため,{f_n}はおそらくフィボナッチ数列だと予想がつく.
f_n^2を展開すると,
1+4(cos^2(pi/(n+1))+cos^2(2pi/(n+1))+...)+16(cos^2(pi/(n+1))cos^2(2pi/(n+1))+...)+...
であるから,cos(k*pi/(n+1))=:a_kとすると,これは
1+4(a_1^2+a_2^2+...)+16(a_1^2a_2^2+a_1^2a_3^2+...+a_2^2a_3^2+...)+...+4^n(a_1a_2a_3...a_n)^2
である.第71回問題において,cosのn倍角の公式がある.これを当時にならいT_nとすると,
T_n=1の解は,a_1, a_2,...,a_n,1である.
よって,T_nの係数をなんとかして変換することで,(a_1^2a_2^2+a_1^2a_3^2+...+a_2^2a_3^2+...)なんかを求めることができるはずである.
NO2「kiyo」 10/10: 12時05分受信 更新10/31
いつもお世話になっています。清川(kiyo)です。
プログラムでn=20まで求めてみました。
問題1 2
問題2 3
問題3 5
問題4 8
問題5 13
フィボナッチ数列になりますね。不思議です。
NO3「H7K」 10/10: 16時41分受信 更新10/31
gifを作りました.送ります.
難点は,Chebychevの多項式の漸化式T_n(x)=2xT_{n-1}(x)-T_{n-2}(x)をまだ示していないことです.
NO4「kashiwagi」10/12: 7時55分受信 更新10/31
お世話になります。今回の問題はcosπ/7の値をどのようにだすかでしょうが、 いろいろやってみましたが挫折し、近似値0,90044で計算致しました。どのように だすのですか?
145回
解答
問1. cosπ/3=1/2を代入してf2=2
問2. cosπ/4=1/√2を代入してf3=3
問3. cosπ/5はZ5=1の複素数解の実数部分であるからZ5=1の方程式を解いて
cos2π/5=(√5−1)/4を得る。これを代入してf4=5
問4.cosπ/6=√3/2を代入してf5=8
問5.cosπ/7を問3と同じように求めようとしましたが・・・、そこで0.90044という値を代入してf6=13
以上のことからfkはフィボナッチ数列となることが分かる。
NO5「Toru」 10/12: 11時22分受信 更新10/31
問題1 f2=1+4(cos(π/3))^2=2
問題2 f3=1+4(cos(π/4))^2=3
問題3 2(cosθ)^2=cos2θ+1を使って変型すると
f4=(3+2cos(2π/5))(3+2cos(4π/5))
p=cos(2π/5)+i sin(2π/5) とするとp^5=1,
p+p^2+p^3+p^4=-1
f4=(3+p+p^4)(3+p^2+p^3) =9+4(p+p^2+p^3+p^4)=9-4=5
問題4 f5=(1+4(cos(π/6))^2)(1+4(cos(2π/6))^2)=(1+3)(1+1)=8
問題5 問題3と同じように変型して、
f6=(3+2cos(2π/7))(3+2cos(4π/7))(3+2cos(6π/7))
q= cos(2π/7)+i sin(2π/7) とするとq^7=1,q+q^2+q^3+q^4+q^5+q^6=-1で
f6=(3+q+q^6)(3+q^2+q^5)(3+q^3+q^4)=27+9(q+q^2+q^3+q^4+q^5+q^6)+3((q+q^6)(q^2
+q^5)+(q+q^6)(q^3+q^4)+(q^2+q^5)(q^3+q^4))+(q+q^6)(q^2+q^5)(q^3+q^4)=27-9-6+
1=13
ということでf0=1,f1=1とすればこれはフィボナッチの数列らしいですね、
g(0)=1, g(1)=1, g(n+1)=g(n)+g(n-1) (n=1,2----)の一般項はx^2-x-1=0の二解をα<
βとして
g(n)=(β^(n+1)-α^(n+1))/(β-α)
ここでt=cos(2π/(n+1))+i sin(2π/(n+1)) とすると
β^(n+1)-α^(n+1)=(β-α) (β-tα) (β-(t^2)α) (β-(t^3)α)----(β-(t^n)α)
と因数分解できるので
g(n)=(β-tα) (β-(t^2)α) (β-(t^3)α)------(β-(t^n)α)
これを端から二つずつ組みにして展開すると
t^k+t^(n+1-k)=2cos(2kπ/(n+1))とαβ=-1,α^2+β^2=(α+β)^2-2αβ=3を用いて
(β-(t^k)α) (β-(t^(n+1-k))α) =α^2+β^2-(t^k +t^(n+1-k))αβ=
3+2cos(2kπ/(n+1))=3+2(2(cos(kπ/(n+1)))^2-1)=1+4(cos(kπ/(n+1)))^2
nが偶数の時は、ちょうど二つずつ組みにできて
g(n)=Π(k=1〜n/2)(1+ 4(cos(kπ/(n+1)))^2)
nが奇数の時はまん中の項 (β-(t^((n+1)/2))α)が一つ余るが
β-(t^((n+1)/2))α=β+α=1だから、結局
g(n)=Π(k=1〜(n-1)/2)(1+ 4(cos(kπ/(n+1)))^2)
両方の場合を合わせてg(n)=Π(k=1〜[n/2])(1+ 4(cos(kπ/(n+1)))^2)=fn
最初計算してみて2,3,5,8,13となった時は三角関数とフィボナッチ数列なんて、ちょっとびっくりしましたが、一般項の形から考えれば、三角関数が出てきてもそれほど不思議ではないのかなと後から思いました。毎回面白い問題をありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
NO6「kasama」 10/18: 20時02分受信 更新10/31
いつも楽しい問題を出題して頂きありがとうございます。前回は難しくてパスしました。お忙しいにも関わらず、問題を出題して頂いてい
るのに大変申し訳なく思います。今後このようなことのないよう精進致します。
で、今回も難しいですね。問題1〜5は腕力でねじ伏せましたが、もう少しスマートなやり方があるように思います。ここ数日間の間、最後の一般式について考えております。おそらくフィボナッチ数列になるのでは?との予想しながら取り組んでいますが、...まだ解決には至っておりません。もうしばらく時間がかりそうです。
<水の流れ:このときの解答は割愛し。NO9に掲載します>
No9「kasama」 10/29: 19時40分受信 更新10/31
<水の流れ:オイラーはフィボナッチ数列を研究していましてたどり着いたよう です。
もちろん、確証はありませんが。
解法への工夫と労力の後が十分に伺えます。 解けた喜びはひとしおのものがあったでしょう。>
そうですね。解くために作られた問題であれば、フィボナッチ数列が予想できるように、問題にそれなりの工夫がされています(とは言ってもそれなりに難しいですが)。でも、何もないところから、フィボナッチ数列に結び付けるなんて本当に雲をつかむような話ですね。そう考えると、オイラーの喜びは相当なものであったろうと思います。
あれからいろいろとやってみたのですが、どうも自分の力では一般式をフィボナッチ数列に結び付けることができませんでした。
で、ネットで調査した結果、『高校数学の窓』に鮮やかな解法が載っていました。大変わかり易く明快です(まぁ、明快な解法ほど至ってシンプルなものですが)。到底自分では思いつきそうにもありませんが、これくらいの解法ができるといいなぁという気持ちでやり方を借用させて頂きました(添付リストに文章を追加)。
いつもながら、皆様の解答をみて勉強させて頂きます。かりそうです。とりあえず、出来たところまで、経過報告させて頂きます
【問題1】
単純に計算すると、
f2=1+4cos2(π/3) =1+4・(1/2)2=2 ・・・(答)
です。
【問題2】
同じようにして、
f3=1+4cos2(π/4) =1+4・{√(2)/2}2=3 ・・・(答)
です。
【問題3】
cos(θ)2=(cos(2θ)+1)/2なので、三角関数の次数を下げて整理すると、
f4=(1+4cos2(π/5))(1+4cos2(2π/5))=(3+2cos(2π/5))(3-2cos(π/5))
=9-8・(cos(π/5)-cos(2π/5)) ・・・(1)
となります。
u=cos(π/5)、v=cos(2π/5)とすると、5倍角の公式cos(5θ)=5cos(θ)-20cos3(θ)+16cos5(θ) (【補足】参照)より、
cos(π)=5u-20u3+16u5⇒16u5-20u3+5u+1=0⇒(u+1)(4u2-2u-1)2=0
⇒4u2-2u-1=0(∵u≠1)⇒4u2-2u =1 ・・・(2)
です。また、2倍角の公式cos(2θ)=2cos2(θ)-1より
v=2u2-1
です。S=u-vとして、(2)式を適用すると、
S=u-(2u2-1)=-2u2+u+1⇒2S=-4u2+2u+2⇒2S=-1+2=1⇒S=1/2
⇒cos(π/5)-cos(2π/5)=1/2
となるので、これを(1)式に適用して、
f4=9-8/2=5 ・・・(答)
です。
【問題4】
問題1、2のように、単純に計算して
f5=(1+4cos2(π/6))(1+4cos2(2π/6)) =(1+4・{√(3)/2}2)(1+4・(1/2)2)=8 ・・・(答)
です。
【問題5】
問題3と同様に、次数を下げてると、
f6=(1+4cos2(π/7))(1+4cos2(2π/7))(1+4cos2(3π/7))
=27-18cos(1/7π)+18cos(2π/7)-18cos(3π/7)-12cos(π/7)cos(2π/7)
+12cos(π/7)cos(3/7π)-12cos(2π/7)cos(3π/7)+8cos(π/7)cos(2π/7)cos (3π/7)
ここで、和⇔積の変換公式cos(α)+cos(β)=2cos((α+β)/2)cos((α-β)/2)より、
cos(π/7)cos(2π/7)={cos(π/7)+cos(3π/7)}/2
cos(π/7)cos(3π/7)={cos(2π/7)-cos(3π/7)}/2
cos(2π/7)cos(3π/7)={cos(π/7)-cos(2π/7)}/2
cos(π/7)cos(2π/7)cos(3π/7)={cos(π/7)+cos(3π/7)}/2・cos(3π/7)
={cos(π/7)cos(3π/7)+cos(3π/7)cos(3π/7)}/2=({cos(2π/7)-cos(3π/7)}/2+{1- cos(π/7)}/2)/2
={1-cos(π/7)+cos(2π/7)-cos(3π/7)}/4
なので、
f6=29-32・{cos(π/7)-cos(2π/7)+
cos (3π/7)} ・・・(3)
となります。
u=cos(π/7)、v=cos(2π/7)、w=cos(3π/7)とすると、7倍角の公式cos(7θ)=-7cos(θ)+56cos3 (θ)-112cos5(θ)+64cos7(θ) (【補足】参照)より、
cos(π)=-7u+56u3-112u5+64u7⇒64u7-112u5+56u3-7u+1=0
⇒(u+1)(8u3-4u2-4u+1)2=0⇒8u3-4u2-4u+1=0(∵u≠1)⇒8u3-4u2-4u =-1 ・・・ (4)
です。また、2倍角の公式cos(2θ)=2cos2(θ)-1より
v=2u2-1
です。さらに、3倍角の公式cos(3θ)=-3cos(θ)+4cos3(θ) より
w=-3u+4u3
です。S=u-v+wとして、(4)式を適用すると、
S=u-(2u2-1)-3u+4u3=4u3-2u2-2u+1⇒2S=8u3-4u2-4u+2⇒2S=-1+2=1⇒S=1/2
⇒cos(π/7)-cos(2π/7)+ cos (3π/7)=1/2
となるので、これを(3)式に適用して、
f6=29-32/2=13 ・・・(答)
です。
【一般化(2004/10/29追記)】
f1、f2、 f3、・・・と計算していけば、フィボナッチ数列であることは予想できるのですが、広く知られたフィボナッチ数列の一般項が三角関数の乗積で表現できるなんて本当に神秘的ですね。証明をいろいろ考えてみたのですが、『高校数学の窓』に載っている内容が鮮やかだと思います。
フィボナッチ数列の一般項fnは、
fn=(αn-βn)/√5 α=(1+√5)/2、β=(1-√5)/2
であることはよく知られていますが、問題の一般項がこれに合致することを証明します。
まず、αn-βnはクンマーの因数分解を使って、ζ=cos(2π/n)+jsin(2π/n)として、
αn-βn=(α-β)(α-ζβ)(α-ζ2β)・・・ (α-ζn-1β)
と分解できます。ここで、
α-ζβ=(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos(2π/n)-j(1-√5)/2・sin(2π/n))
α-ζn-1β=(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos ((n-1)・2π/n)-j(1-√5)/2・sin((n-1)・2π/n))
=(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos(2π/n)+j(1-√5)/2・sin(2π/n))
なので、α-ζβとα-ζn-1βは虚数部の符号が異なるだけなので互いに共役でして、
(α-ζβ)(α-ζn-1β)
={(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos(2π/n)}2 + {(1-√5)/2・sin(2π/n)}2
=3+2cos(2π/n)=1+4cos2(π/n)
です。同様に、(α-ζ2β)(α-ζn-2β) は、
(α-ζ2β)(α-ζn-2β)=1+4cos2(2π/n)
となりますから、以下同様に(α-ζ3β)(α-ζn-3β)、 (α-ζ4β)(α-ζn-4β)、・・・とやっていくと、nが偶数の場合に n/2番目が1個余ります。しかし、
α-ζn/2β=(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos (n/2・2π/n)-j(1-√5)/2・sin(n/2・2π/n))
=(1+√5)/2-(1-√5)/2・cos(π)-j(1-√5)/2・sin(π))=1
ですから、αn-βnは [(n-1)/2]個の1+4cos2(kπ/n)の乗積となります。つまり、
αn-βn=Π{1+4cos2(kπ/n)} (k=1,・・・,[(n-1)/2])
となり、問題の一般項と一致します。
【補足】
よく知られていることですが、n倍角の公式は
ド・モアブルの定理 : (cos(θ)+jsin(θ))n=cos(nθ)+jsin(nθ)
を展開して実数、虚数部を比較することで導けます。
○5倍角の公式
n=5として、ド・モアブルの定理を適用すると、
(cos(θ)+jsin(θ))5=cos(5θ)+jsin(5θ)
=cos5(θ)+jsin5(θ)+5cos(θ)sin(θ)4-10jcos2(θ)sin3(θ)
-10cos3(θ)sin2(θ)+5jcos(θ)4sin(θ)
=cos5(θ)+5cos(θ)sin(θ)4-10cos3(θ)sin2(θ)
+j{sin5(θ)-10cos2(θ)sin3(θ)+5cos(θ)4sin(θ)}
=5cos(θ)-20cos3(θ)+16cos5(θ)+j{5sin(θ)-20sin3(θ)+16sin5(θ)}
よって
cos(5θ)=5cos(θ)-20cos3(θ)+16cos5(θ)
sin(5θ)=5sin(θ)-20sin3(θ)+16sin5(θ)
です。
○7倍角の公式
n=7として、ド・モアブルの定理を適用すると、
(cos(θ)+jsin(θ))7=cos(7θ)+jsin(7θ)
=cos7(θ)-jsin7(θ)-7cos(θ)sin6(θ)+21jcos2(θ)sin5(θ)
+35cos3(θ)sin(θ)4-35jcos(θ)4sin3(θ)-21cos5(θ)sin2(θ)
+7jcos6(θ)sin(θ)
=cos7(θ)-7cos(θ)sin6(θ)+35cos3(θ)sin(θ)4-21cos5(θ)sin2(θ)
+j(-sin7(θ)+21cos2(θ)sin5(θ)-35cos(θ)4sin3(θ)+7cos6(θ)sin(θ))
=-7cos(θ)+56cos3(θ)-112cos5(θ)+64cos7(θ)
+j{7sin(θ)-56sin3(θ)+112sin5(θ)-64sin7(θ)}
よって
cos(7θ)=-7cos(θ)+56cos3(θ)-112cos5(θ)+64cos7(θ)
sin(7θ)=7sin(θ)-56sin3(θ)+112sin5(θ)-64sin7(θ)
です。
NO7「中川幸一」10/22: 18時24分受信 更新10/31
まず初めに, Fibonacci and
Lucas Numbers について証明しておきました。やり方を知らないと大変な証明問題ですね…。
NO8「BossF 」 10/29: 08時53分受信 更新10/31
BossFです.とりあえず、
f2=2,f3=3,f4=5,f5=8,f6=13
で fn はfibonatti
知識として解答は知っていたのですが…
これから証明を考えて見ます(^^; 間に合うかしら???