平成17年3月6日
[流れ星]
第151回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:2月13日〜3月6日>
[規則性の発見]
皆さんは、「コラッツ・角谷予想」をご存じでしょうか。現在のところ未解決のようです。これは次のことです。
「ある2以上の整数についての操作で、
(1)その整数が偶数なら2で割る。
(2)その整数が奇数なら3倍して1を加えて2で割る
を繰り返して行うと、必ず4→2→1に達する」 という問題です。
では、次のように操作を変えて考えます。
「ある与えられた2以上の整数から始めて、次の操作を行う。
(1)その整数が偶数なら2で割る。
(2)その整数が奇数なら1を加える。
(3)その整数が1になるまで、(1)、(2)を繰り返す。
例:13→14→7→8→4→2→1
ここで、問題です。一般に2以上の整数anが上の操作で
an→an−1→・・・→a2→a1→1
となったとき、整数anは「操作数」nを持つという。
例1:「操作数」3の整数 8→4→2→1 、 3→4→2→1
例2:「操作数」6の整数 13→14→7→8→4→2→1
このとき、次の問を考えてください。
問1:「操作数」1の整数、「操作数」2の整数を見つけてください。
問2:「操作数」nを持つ整数の個数をf(n)としたとき、f(3),f(4),f(5),f(6)を求めてください。
問3:f(n+2)をf(n+1)とf(n)との間に成り立つ漸化式を予想してください。
問4:問3の予想を証明してください。
NO1「H7K」 2/13: 20時13分受信 更新3/6
NO2「浜田明巳」2/14: 12時32分受信 更新3/6
エクセルのマクロで,2以上10000000以下の整数について計算したところ,
f(n+2)=f(n+1)+f(n)(n=1,2,3,………,21)
が成立する事が分かりました.桁数をもっと増やせば,もっと大きなnについても成立するでしょう.
つまりFibonacci数列になります.
問1:f(n)=1←→n=2, f(n)=2←→n=4
問2:f(3)=2,f(4)=3,f(5)=5,f(6)=8
問3:f(n+2)=f(n+1)+f(n)
Option Explicit
Const MAX As Long = 10000000
Sub Macro1()
Sheets("Sheet1").Select
Dim f(MAX) As Long
Dim a(MAX) As Long
Dim n As Long
Dim k As Long
For n = 1 To MAX
f(n) = 0
Next
Cells(1, 10).Value = 0
Cells(2, 10).Value = 0
Range("A1").Select
For n = 2 To MAX
a(n) = 0
k = n
While k <> 1
If k Mod 2 = 0 Then
k = k / 2
Else
k = k + 1
End If
a(n) = a(n) + 1
Wend
For k = 1 To 2
If a(n) = k Then
Cells(k, 10).Value =
Cells(k, 10).Value + 1
Cells(k, Cells(k,
10).Value + 10).Value = n
End If
Next k
If a(n) <= MAX Then
f(a(n)) = f(a(n)) + 1
End If
Next n
'
n = 1
While f(n) > 0 And n <= MAX
Cells(n, 1).Value = n
Cells(n, 2).Value = f(n)
If n >= 3 Then
Cells(n, 3).Value =
"=R[-2]C[-1]+R[-1]C[-1]"
Cells(n, 4).Value =
"=IF(RC[-2]=RC[-1]," + Chr(34) + "成立"
+ Chr(34) + "," + Chr(34)
+ "不成立" + Chr(34) + ")"
End If
Range("A" & n).Select
n = n + 1
Wend
Range("A1").Select
End Sub
NO3「Toru」 2/15: 01時36分受信 更新3/6
k≧2の整数のときk>k/2,k>(k+1)/2であるから、この操作で得られる数は(1たす
時は次に2で割るのとセットで考えれば)減少する自然数の列を作る。よって必ず、
有限回の操作で1に達する。
ことを確認しておいて、
問1
操作数1の整数 2→1より2
操作数2の整数 4→2→1より4
問2
操作数3の整数 1回の操作で4になることから3,8
よってf(3)=2
操作数4の整数 1回の操作で3 or 8になることから6,7,16
よってf(4)=3
操作数5の整数 1回の操作で6,7,16になることから5,12,14,15,32
よってf(5)=5
問3 f(1)=1,f(2)=1,f(3)=2,f(4)=3,f(5)=5 フィボナッチになりそうです。
f(n+2)=f(n+1)+f(n) と予想します。
問4 n=1,2,----として、操作数(n+2)の整数のうち偶数のものは操作数(n+1)の任意
の数を2倍したものだからその数はf(n+1)に等しい、奇数のものは、操作(n+1)回の
整数のうち偶数のものから1を引いた数、つまり、操作数n回の任意の数の2倍から1
を引いた数で、その数はf(n)に等しい。よってf(n+2)=f(n+1)+f(n)
NO4「cbc」 2/15: 07時14分受信
更新3/6
NO5「KINO」 2/15: 15時50分受信 更新3/6
はじめまして。KINOと申します。 初めて投稿いたします。
楽しい時間を過ごせる,とても面白い問題でした。
No. 151 の解答
問1. 操作数 1 の整数は 2 のみ。
(求める整数 m に施した操作が(1)ならば m/2=1 より m=2,
(2) ならば m+1=1 とならなければならないが,これは不適。)
操作数 2 の整数は 4 のみ。
(一回操作を施したら操作数 1 の整数,すなわち 2 にならなければ ならない。求める整数 m に施した操作が(1)ならば
m/2=2
より m=4,
(2) ならば m+1=2 とならなければならないが,これは不適。)
問2. f(3)=2, f(4)=3, f(5)=5, f(6)=8.
操作数 3 の整数:3, 8.
操作数 4 の整数:6; 7, 16.
操作数 5 の整数:5, 12; 14; 15, 32.
操作数 6 の整数:10; 11, 24; 13, 24; 30; 31, 64.
問3. f(n+2)=f(n+1)+f(n) と予想される。
問1 と問2 の結果を合わせて考えると,f(1)=f(2)=1 であるから
この予想は n=1, 2, 3 のとき成立していることがわかる。
問4. 上の予想を証明する。
以下では,簡単のため 2 以上の整数のことを単に整数と呼ぶことにする。
まず E(n), O(n) でそれぞれ操作数が n である整数のうち
偶数のものの集合と奇数のものの集合を表し, それぞれの集合の要素の個数を e(n), o(n) とおく。
E(n) と O(n) は互いに素であり,それらを合わせたものが操作数 n の整数全体になることから,f(n)=e(n)+o(n)
が成り立つ。
操作数 (n+1) の整数に一度操作を施すと操作数が k の整数になったとすると,もとの整数の操作数は
(k+1) となるから,
n+1=k+1, すなわち n=k でなければならない。
したがって,操作数 (n+1) の整数に一度操作を施すと操作数 n の整数になる。
よって,操作数 n の整数から操作数 (n+1) の整数を全て生成することができる。
次のことに注意する。
整数 x に一回操作を施して整数 y になったとすると,
施す操作は (1) と (2) しかないため,x/2=y または
x+1=y のいずれか のみが成り立つ。
すなわち,一回操作を施して整数 y になる整数は
2y または y-1 の二通りの可能性しかない。
a を E(n) の要素のひとつとすると,2a は偶数,a-1 は奇数である。
操作(1)を 2a に施すと a になり,操作(2)を a-1 に施すと a になる。
すなわち,2a は E(n+1) の要素であり,a-1 は O(n+1) に属する。
一方,b を O(n) の要素のひとつとすると,2b,b-1 は共に偶数である。
これらには操作(1)のみしか施すことができない。その結果は
b と (b-1)/2 になるが,b=(b-1)/2 の解は b=-1 のみであり,
これは不適。よって 2b のみ E(n+1) に属する。
以上により,
e(n+1)=e(n)+o(n), o(n+1)=e(n)
という関係式が成り立つことが示された。
最初の等式より特に e(n+1)=f(n) であることがわかる。
よって,
f(n+2)=e(n+2)+o(n+2)=f(n+1)+e(n+1)=f(n+1)+f(n)
となり,予想した等式が成り立つことが示された。
NO6「kashiwagi」2/17:07時47分受信 更新3/6
151回解答
問1.操作1回で1となるのは2以外に考えられないので求めるものは2である。又、操作2回
で2となるとは1回の操作で2となれば良いので、これも4しかないことが分かる。条件から2以上の整数とされているので1は不適であることが分かる。
問2.上記結果を逆に辿ればよいので、3回の操作で1となるには1回で4、2回で2となれば良いので3と8の2個である。
後は同様にして、4回の操作:6,7,17 の3個
5回の操作:5,12,14,15,32 の5個
6回の操作:10,11,13,24,28,30,31,64 の8個
即ち、f(3)=2、f(4)=3、f(5)=5、f(6)=8 となる。
問3.上記より明らかな様に f(n+2)
= f(n+1)+ f(n) の関係が成り立つ。
問4.f(n+2) =
f(n+1)+ f(n) 式のnに1を代入すると問1よりf(1)=1、f(2)=1であるのでf(2)+ f(1)=2である。又、問2の結果より f(3)=2であるので確かにf(2)+
f(1)= f(3)が成り立つ。
ここでn=Kの時上記式が成り立つとすると、f(k+2) = f(k+1)+ f(k)= f(k+1)+ f(k)である。
今、この式の右辺にf(k+1)を加えると、右辺はf(k+1)+
f(k)+f(k+1)となり、f(k+1)+ f(k)=f(k+2) であるので結局 f(k+2) + f(k+1)となる。 これはf(k+2)
= f(k+1)+ f(k)の関係からf(k+3) である。
因ってf(k+3) =
f(k+2)+ f(k+1)が成立する。この式は以下の様に書ける。
f((k+1)+2)
= f((k+1)+1)+ f(k+1)
即ち、n=K+1でも成立することが分かる。以上よりf(n+2) = f(n+1)+ f(n)であることが証明された。
No7「kasama」 2/17: 15時04分受信 更新3/6
いつも楽しい問題を作って頂きありがとうございます。
『コラッツ・角谷予想』ですか?本や雑誌でよく見かけます。
何ヶ月か前に、水野先生の『私の一日』でこの予想について書かれていたました。
フェルマの最終定理と同じく、予想の意味するところは、大した知識がなくとも、まぁ我々素人にでも理解できる訳ですが、・・・『私の一日』のリンクを辿って、
証明をチラリと見ましたが、そこに記載されている証明があっているものやら、間違っているものやら、???という状態です。
いつの日か解決するといいですね。
さて、今回の問題ですが、『記憶にある数列』になると書いていましたので、フィボナッチ数列かなぁと予想しながら問題に取り組みました。少々強引に証明した
ところがあります。
問1、2
ツリーで表現してみました。
問3
直感的に、ある操作数は1つ前と2つ前の操作数の和と考えられますから
f(n+2)=f(n+1)+f(n) (ただし、f(1)=1、f(2)=1)
と思われます。フィボナッチ数列でしょうか。
問4
問1、2の考察から、操作数の関係はノード@を頂点とした木構造と考えられ、操作の度にノードが分岐して広がります。ノードの分岐パターンは、ノードの数字によって、
奇数⇒偶数
偶数⇒奇数、偶数
の2通りと考えられます。
操作数n(≧1)の整数達は偶数または奇数の何れかであり、それぞれの個数をg(n)、h(n)とします。すると、
g(n+1)=g(n)+h(n)
h(n+1)=g(n)
です。つまり、
g(n+2)+h(n+2)=g(n+1)+h(n+1)+g(n+1)=g(n+1)+h(n+1)+g(n)+h(n)
⇒f(n+2)=f(n+1)+f(n) (ただし、f(1)=1、f(2)=1)
です。よって、f(n)はフィボナッチ数列となります。
No8「中川幸一」
03/06:18時30分受信 更新3/8