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平成17年9月25日
[流れ星]
第160回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:9月4日〜9月25日
[2桁の自然数]
皆さん、今回は今年度行われた「皇學館大学」の入試問題です。
2桁の正の整数10a+bがある。この整数の十の位の数aと一の位の数bとの和a+bと、もとの2桁の整数との積はa3+b3に等しい。このとき、次の問に答えよ。
(1)aとbの間の関係式を求めよ。
(2)aとbの大小関係を調べよ。
(3)もとの2桁の整数を求めよ。
NO1「uchinyan」9/04 14時09分受信 更新9/25
第160回数学的な応募問題への解答
(1)
題意より、a, b は、9 >= a >= 1, 9 >= b >= 0、となる整数。
すると、
(10a + b)(a + b) = a^3 + b^3 = (a + b)(a^2 - ab +
b^2)
a + b > 0 なので、
10a + b = a^2 - ab + b^2
a^2 - (b + 10) * a + (b^2 - b) = 0
(2)
a^2 - (b + 10) * a + (b^2 - b) = 0
(a - 10)(a - b) - 10b + (b^2 - b) = 0
(a - 10)(a - b) + (b^2 - 11b) = 0
(10 - a)(a - b) = - b(11 - b)
10 - a > 0, b >= 0, 11 - b > 0 なので、
a - b <= 0
a <= b
これでもいいと思いますが...
b = 0 とすると、a = 0 or 10 となって題意を満たさないので、
9 >= b >= 1 > 0 です。これを使うと、
a < b
(3)
a^2 - (b + 10) * a + (b^2 - b) = 0 より、
a の二次方程式と思うと、その解の判別式を D として、
D = (b + 10)^2 - 4 * (b^2 - b) = - 3 * b^2 + 24 * b + 100
= - 3 * (b - 4)^2 + 148
a = 1/2 * {(b + 10) - sqrt(D)}, or 1/2 * {(b + 10) + sqrt(D)}
a, b ともに整数なので、D >= 0 で、sqrt は開平できる必要があります。
まず、D の最後の式より、1 <= b <= 9 では、常に、D > 0 になります。
次に、1 <= a < b の条件より、2 <= b <= 9 の各 b について調べていくと、
b = 7, D = 121 = 11^2, a = 3
b = 8, D = 100 = 10^2, a = 4
となり、答えは、37 と 48 です。
(感想)
うーむ、何かあっさり、といった感じですが、勘違いしてるのかな?まぁ、標準的な入試問題、といったところでしょうか。
NO2「中川幸一」9/04: 18時13分受信 更新9/25
「解答」です。
NO3「cbc」 9/07 09時10分受信 更新9/25
NO4「浜田明巳」9/08
13時51分受信 更新9/25
(1) 条件から,
(a+b)(10a+b)=a^3+b^3=(a+b)(a^2−ab+b^2)
a+b>0なので,両辺をa+bで割ると,
10a+b=a^2−ab+b^2………(答)
(2) (1)から,
10a−a^2=b^2−ab−b
∴a(10−a)=b(b−a−1)
1≦a≦9から,a(10−a)>0
∴b(b−a−1)>0
b≧0であるから,
b>0 かつ b−a−1>0
∴b>a+1>a
∴a<b………(答)
(3) エクセルのマクロで,2通りに解いた.
まず,条件10a+b=a^2−ab+b^2,1≦a≦9,0≦b≦9の元,シラミつぶしにa,bを求めるやり方.
Option Explicit
Sub Macro1()
Sheets("Sheet1").Select
Cells(1, 1).Value = 0
Range("A1").Select
Dim a As Integer
Dim b As Integer
For a = 1 To 9
For b = 0 To 9
'(a+b)*(10*a+b)=a^3+b^3=(a+b)*(a^2-a*b+b^2)
If 10 * a + b = a * a - a * b + b *
b Then
Cells(1, 1).Value =
Cells(1, 1).Value + 1
Cells(Cells(1, 1).Value,
2).Value = 10 * a + b
End If
Next b
Next a
End Sub
そして,1≦a≦9の元,b^2−(a+1)b+(a^2−10a)=0と変形し,これをbの2次方程式と考えてbをaで表し,bが0≦b≦9の整数となる場合を求めるやり方.
Sub Macro2()
Sheets("Sheet1").Select
Cells(1, 1).Value = 0
Range("A1").Select
Dim a As Integer
Dim b As Integer
Dim D As Integer
Dim sqrD As Integer
Dim j As Integer
For a = 1 To 9
'(a+b)*(10*a+b)=a^3+b^3=(a+b)*(a^2-a*b+b^2)
-> 10*a+b=a^2-a*b+b^2 ->
b^2-(a+1)*b+(a^2-10*a)=0
D = (a + 1) * (a + 1) - 4 * 1 * (a * a - 10 * a)
If D >= 0 Then
sqrD = Int(Sqr(D))
If sqrD * sqrD = D Then
For j = (D > 0) - (D
= 0) To 1 Step 2
b = Int(((a + 1) + j * sqrD) / 2)
If 0 <= b
And b < 10 And 10 * a + b = a * a - a * b + b * b Then
Cells(1, 1).Value = Cells(1, 1).Value + 1
Cells(Cells(1, 1).Value, 2).Value = 10 * a + b
End If
Next j
End If
End If
Next a
End Sub
いずれの場合も,答は37,48となる.
NO5「Toru」 9/09 11時11分受信 更新9/25
第160回解答をおくります。2元2次不定方程式の問題で、2次体の整数論などにつながっていく、興味深いところです
(とえらそうに言ってみましたが、まだしっかり理解していません)入試問題も背景まである程度さぐると、違った興味がわいてくると思われますが、
現場ではそこまではとても無理でしょうか。
(1) (a+b)(10a+b)=a^3+b^3=(a+b)(a^2-ab+b^2)
,a=1,2,3,-----,9 b=0,1,2,------,9
よりa+b>0 で両辺をa+bで割れば 10a+b=a^2-ab+b^2
(2) (10-a)a=b(b-a-1)と変型すると左辺は正、だからb>0かつb-a-1>0
すなわちb>a
(3) (2)よりさらに0<a<b-1≦8より a=1,2,---,7 b^2-(a+1)b+a(a-10)=0
としてbに
ついての2次方程式と考えて判別式D=(a+1)^2-4a(a-10) =-3a^2+42a+1に
a=1,2,-----,7を代入すると40,73,100,121,136,145,148 これが平方数であることが
必要で、a=3,4、a=3の時b(b-4)=21よりb=7,a=4の時b(b-5)=24よりb=8
でこれらは題意を満たす。
答え 37,48
もともとa、 bを取りうる数字は限られていますから、いろいろ考えずに、しらみつ
ぶしに走ってしまいました。
(おまけ) a+b=0 の場合は除いて、
a^2-ab+b^2-10a-b=0 (a,b:整数) と条件を弱めて考えてみました。
a=x+7,b=y+4 とすると
x^2-xy+y^2=37 (x,y:整数)両辺4倍して変型すると
(2x-y)^2+3y^2=148 2x-y=Xとおいて
X^2+3y^2=148 (X,y:整数)これは楕円上の格子点で有限の範囲を数えればすみま
す。
|y|≦sqrt(148/3) よりy=0,±1,±2,------,±7 を代入してみると、
y=±3,X=±11 ; y=±4, X=±10; y=±7,X=±1が題意を満たす。
これから
(x,y)=(7,3) (-7,-3) (-4,3) (4,-3) (7,4) (-7,-4)
(-3,4) (3,-4) (4,7) (-4,-7)
(3,7) (-3,-7)
(a,b)=(14,7) (0,1) (3,7) (11,1) (14,8) (0,0) (4,8)
(10,0) (11,11) (3,-3)
(10,11) (4,-3)
NO6「kashiwagi」9/09 21時40分受信 更新9/25
160回解答
(1)題意より
(10a+b)(a+b)=a3+b3不が成立するので
(a+b)(a2-ab +b2- 10a-b)=0
ここで題意より 1≦a≦9 ・・・・@
0≦b≦9 ・・・・A であるからa+b≠0、因って求める関係は
a2-ab +b2- 10a-b=0 ・・・Bとなる。
(2) @よりa≠0であるから a/b =tとおきBに代入し、その式をF(t)とすると、
F(t)=t2−(1+1/a)t+1−10/a ・・・・Cとなる。
この関数の軸は(1+1/a)/2であり、@より5/9と1の間の値となる。
又、F(0)=1−10/a であり、同様に-9と-1/9の間の値となる。
更にF(1)=1−11/aであり、同様に-10と-2/9の間の値となる。
以上のことからこの関数は正負ひとつづつの解をもち、正の解は1より大きい事が分かる。
これよりt=b/a >1(a=bの時は0と11になり題意に合わない)であるからb>a である。
(3) Cを解いてtを求めるにあたり、a、bが整数であるからtは無理数にはならないため根号の中の値は平方数でなければならないので、
(1+1/a)2-4(1−10/a) =(21+1/a)2 –444 が平方数である。
因ってaに1〜9の値を代入し計算すると、
a=3で100/9
a=4で121/16 の平方数となる。これよりBに二つのaの値を代入し、計算すると
各々のbは7と8になる。
以上より求めるものは37と48である。
NO7「ice」 9/12 21時00分受信 更新9/25
NO8「三角定規」 9/24 13時24分受信 更新9/25
<コメント>第160回問題の解答を送ります。
入試問題ならそう難しくなかろうと高をくくっていたのですが…。
難しくはないのですが,場合分けを減らすうまい方法が見つかりません。
おそらく(2)はそのために用意されているのでしょうが,うまく利用できません。
始めは,(1)の答の式をaについて解いて根号内が平方数になるようにとかいろいろやってみたのですが,
場合分けが少なくなったり見通しがよくなるわけでもないようなので止めました。
ご常連の方々のエレガントな解に期待したいと思います。
前回も,コーシー・シュワルツがあのように利用できるとは思いもよりませんでしたし…。
● 第160回 解答(三角定規)
(1) 題意より (a+b)(10a+b)=a3+b3
∴ 10a+b=a2−ab+b2
∴ a2−(b+10)a+b2−b=0 …[答]
(3) a,bは整数で 1≦a≦9,0≦b≦9 だから
(@) b=0 のとき a2−10a=0 ∴ a=0,10 ← 不適
(A) b=1 のとき a2−11a=0 ∴ a=0,11 ← 不適
(B) b=2 のとき a2−12a+2=0 ← a が整数にならないから不適
(C) b=3 のとき a2−13a+6=0 ← a が整数にならないから不適
(D) b=4 のとき a2−14a+12=0 ← a が整数にならないから不適
(E) b=5 のとき a2−15a+20=0 ← a が整数にならないから不適
(F) b=6 のとき a2−16a+30=0 ← a が整数にならないから不適
(G) b=7 のとき a2−17a+42=(a−3)(a−14)=0 ∴ a=3
(H) b=8 のとき a2−18a+56=(a−4)(a−14)=0 ∴ a=4
(I) b=9 のとき a2−19a+72=0 ← a が整数にならないから不適
以上より,求める2桁の整数は,37,48 …[答]
<水の流れ:問題作成の意図 実は、高校生にも解いてもらいたかったから 今回のような難易度になりました。
皆さんの答えを拝見しました。こちらは順に絞り込んでいく方法を考えていました。ありがとうございます。>