平成18年4月23日

[流れ星]

     第170回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:4月2日〜4月23日

[n個の鍵]

皆さん、ここにn個の扉があって、1からnまでのどれかの鍵で扉を開くことができます。ただし、どの鍵もどれか1つの扉にだけを開くことができるものとする。ここで、太郎さんはそのことを知っているものとする。太郎さんは扉の前に来て鍵をどれか見つけて差し込み、開かなければ次々に別の鍵を試し、開ければ次の扉へと進む。
 さて、鍵を1つ差し込んで開けるかどうかを試みるのに1分かかるとすると、太郎さんがすべての扉を開けるまでに鍵を差し込む時間の合計の期待値は何分だろうか。次の問に答えてください。

問題1:n=1のときの期待値を求めよ。
問題2:n=2のときの期待値を求めよ。
問題3:n=3のときの期待値を求めよ。
問題4:n=4のときの期待値を求めよ。
問題5:n個の扉をすべて開けるまでに試みる時間の期待値を求めよ。

  <出典:大学への数学1996年6月号学力コンテストからの改題>

NO1「uchinyan4/03 14時36分受信 更新4/23
第170回数学的な応募問題への解答
[n個の鍵]

いきなり、問題5:から解くことも可能ですが、設問の意図に従って?、今回も段階的にやってみます。
その分、冗長になりますが、ご勘弁を (^^;

前提:
扉 a が鍵 b で開くことを a@b、扉 a に鍵 b を使ってみることを a?b と書き、
a?b で開いた場合を a?b = 1、開かなかった場合を a?b = 0 と書くことにします。
したがって、a@ba?b = 1 とは同値です。
また、扉及び鍵が n あるとして、
一連の試行の繰り返しですべての扉を開けるのにかかった時間を T(n)、その確率を P(n,T(n)) とします。
n を固定した場合、明らかに、納可能な T(n)] P(n,T(n)) = 1 になっています。
なお、求める期待値 E(n) は、E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)} です。

問題1:
扉も鍵も 1 個なので、明らかに、1 分。

問題2:
1@1 and 2@2 又は 1@2 and 2@1 の可能性があります。これらは、等確率 1/2 で発生可能です。
1@1 and 2@2 の場合
1?1 = 1 -> 2?2 = 1
1?2 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?2 = 1
が可能です。そこで、
確率 = 1/2 * (1/2 * 1) = 1/4, 時間 = 2
確率 = 1/2 * (1/2 * 1 * 1) = 1/4, 時間 = 3
1@2 and 2@1 の場合
1?1 = 0 -> 1?2 = 1 -> 2?1 = 1
1?2 = 1 -> 2?1 = 1
が可能です。そこで、
確率 = 1/2 * (1/2 * 1 * 1) = 1/4, 時間 = 3
確率 = 1/2 * (1/2 * 1) = 1/4, 時間 = 2
結局、
P(2,2) = 1/4 * 2 = 1/2, P(2,3) = 1/4 * 2 = 1/2
になり、
E(2) = P(2,2) * 2 + P(2,3) * 3 = 1/2 * 2 + 1/2 * 3 = 5/2 分
なお、1@1 and 2@21@2 and 2@1 とは、かかる時間の分布に関してみれば同じになっていますが、
これは、2 -> 1', 1 -> 2' と番号の付け替えをすれば同じになるので、当然のことです。

問題3:
1@1 and 2@2 and 3@3 と @ の後の 1, 2, 3 の順列の分だけ 3! = 6 通りの可能性があります。
これらは、等確率 1/6 で発生可能です。
しかし、問題2:で注意したように、1@1 and 2@2 and 3@3 以外は、かかる時間の分布に関しては、
番号の付け替えをすれば同じになるので、1@1 and 2@2 and 3@3 を考えて 6 倍すればOKです。
これは、等確率 1/6 と相殺するので、最初から、1@1 and 2@2 and 3@3 だけを考えればOKです。
すると、
1?1 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?1 = 1 -> 2?3 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?2 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?2 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?3 = 0 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?2 = 0 -> 1?3 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?2 = 0 -> 1?3 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?3 = 0 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?3 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?3 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?3 = 0 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?3 = 0 -> 1?2 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
1?3 = 0 -> 1?2 = 0 -> 1?1 = 1 -> 2?3 = 0 -> 2?2 = 1 -> 3?3 = 1
が可能です。そこで、
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 = 1/6, 時間 = 3
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 * 1 = 1/6, 時間 = 4
確率 = 1/3 * 1/2 * 1/2 * 1 = 1/12, 時間 = 4
確率 = 1/3 * 1/2 * 1/2 * 1 * 1 = 1/12, 時間 = 5
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 * 1/2 * 1 = 1/12, 時間 = 5
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 * 1/2 * 1 * 1 = 1/12, 時間 = 6
確率 = 1/3 * 1/2 * 1/2 * 1 = 1/12, 時間 = 4
確率 = 1/3 * 1/2 * 1/2 * 1 * 1 = 1/12, 時間 = 5
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 * 1/2 * 1 = 1/12, 時間 = 5
確率 = 1/3 * 1/2 * 1 * 1/2 * 1 * 1 = 1/12, 時間 = 6
結局、
P(3,3) = 1/6, P(3,4) = 1/6 + 1/12 * 2 = 1/3, P(3,5) = 1/12 * 4 = 1/3, P(3,6) = 1/12 * 2 = 1/6
になり、
E(3) = P(3,3) * 3 + P(3,4) * 4 + P(3,5) * 5 + P(3,6) * 6
= 1/6 * 3 + 1/3 * 4 + 1/3 * 5 + 1/6 * 6 = (3 + 8 + 10 + 6)/6 = 27/6 = 9/2 分

問題4:
問題3:と同様に、1@1 and 2@2 and 3@3 and 4@4 だけを考えればOKです。
さて、1@1 and 2@2 and 3@3 and 4@4 の場合ですが、今までは素直に扉 1 から順番に考えていきました。
しかし、問題3:を見直すと、一つ扉を開ける度に一つ鍵を使ってしまうことが分かるので、
扉 4 の場合から逆に考えていった方が易しいことが分かります。つまり、
・扉 4 を開けるとき
鍵 4 が残っているので、
(1) 正しい 4 を使う。
しかありません。
・扉 3 を開けるとき
鍵 4, 3 が残っているので、
(1) 一度で正しい 3 を使う。
(2) 間違った 4 を使い、次に正しい 3 を使う。
のいずれかです。
・扉 2 を開けるとき
鍵 4, 3, 2 が残っているので、
(1) 一度で正しい 2 を使う。
(2) 間違った 4, 3 のどちらか a を使い、次に正しい 2 を使う。
(3) 間違った 4, 3 のどちらか a を使い、次に a 以外の間違った b を使い、次に正しい 2 を使う。
のいずれかです。
・扉 1 を開けるとき
鍵 4, 3, 2, 1 が残っているので、
(1) 一度で正しい 1 を使う。
(2) 間違った 4, 3, 2 のどれか a を使い、次に正しい 1 を使う。
(3) 間違った 4, 3, 2 のどれか a を使い、次に a 以外の間違った b を使い、次に正しい 1 を使う。
(4) 間違った 4, 3, 2 のどれか a を使い、次に a 以外の間違った b を使い、
  次に a, b 以外の間違った c を使い、次に正しい 1 を使う。
のいずれかです。
それぞれの確率、かかる時間は
・扉 4 を開けるとき
(1) 確率 = 1, 時間 = 1
・扉 3 を開けるとき
(1) 確率 = 1/2, 時間 = 1
(2) 確率 = 1/2 * 1 = 1/2, 時間 = 2
・扉 2 を開けるとき
(1) 確率 = 1/3, 時間 = 1
(2) 確率 = 2/3 * 1/2 = 1/3, 時間 = 2
(3) 確率 = 2/3 * 1/2 * 1 = 1/3, 時間 = 3
・扉 1 を開けるとき
(1) 確率 = 1/4, 時間 = 1
(2) 確率 = 3/4 * 1/3 = 1/4, 時間 = 2
(3) 確率 = 3/4 * 2/3 * 1 = 1/4, 時間 = 3
(4) 確率 = 3/4 * 2/3 * 1/2 * 1 = 1/4, 時間 = 4
となります。各扉を開ける確率が、それぞれの扉では等確率になっていることに注意します。
そこで、P(4,T(4)) は、四つの扉が開けるので、1 * 1/2 * 1/3 * 1/4 = 1/4! = 1/24 の整数倍になります。、
この整数を決めるのは、全体の時間が T(4) になるような各扉を開ける時間の組合せです。
まず、4 = 1 + 1 + 1 + 1 <= T(4) <= 1 + 2 + 3 + 4 = 10 です。
さらに、扉 4 〜 扉 1 にかかる時間を x, y, z, u とすると、
x + y + z + u = T(4), x = 1, 2 >= y >= 1, 3 >= z >= 1, 4 >= u >= 1
となるような解の組 (x,y,z,u) が、各扉を開ける時間の組合せに対応します。
そこで、先ほどの整数は、この解の組の個数に等しくなります。
x + y + z + u = 14 - T(4) に対しては、x = 2 - x', y = 3 - y', z = 4 - z', u = 5 - u' とおくと、
x' + y' + z' + u' = T(4) となるので、P(4,T(4)) は、T(4) <-> 14 - T(4) に関して対称になります。
そこで、具体的に解の組の個数を調べてみると、
P(4,4) = 1/24 * 1 = 1/24
P(4,5) = 1/24 * 3 = 3/24
P(4,6) = 1/24 * 5 = 5/24
P(4,7) = 1/24 * 6 = 6/24
P(4,8) = 1/24 * 5 = 5/24
P(4,9) = 1/24 * 3 = 3/24
P(4,10) = 1/24 * 1 = 1/24
となり、
E(4) = P(4,4) * 4 + P(4,5) * 5 + P(4,6) * 6 + P(4,7) * 7 + P(4,8) * 8 + P(4,9) * 9 + P(4,10) * 10
= 1/24 * (1 * 4 + 3 * 5 + 5 * 6 + 6 * 7 + 5 * 8 + 3 * 9 + 1 * 10)
= 1/24 * (4 + 15 + 30 + 42 + 40 + 27 + 10)
= 168/24
= 7 分
になります。

しかし、先ほどの不定方程式の解の組の個数を求めるのは、一般には、大変です。
そこで、ちょっと見方を変えてみます。
すべての扉を開ける時間の期待値とは、要するにすべての扉を開けるのにかかる平均時間なので、
その意味からすると、それぞれの扉を開ける平均時間、つまり期待値、の和になっているはずです。
つまり、扉 i を開けるのにかかった時間を t(n,i)、その確率を p(n,i,t(n,i)) とし、
その期待値を e(n,i) とすると、
納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] p(n,i,t(n,i)) = 1
e(n,i) = 納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] {p(n,i,t(n,i)) * t(n,i)}
E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)} = 納i=1,n] {e(n,i)}
になっているはずです。これを使うと、ずっと簡単に、
e(4,4) = 1 * 1 = 1
e(4,3) = 1/2 * 1 + 1/2 * 2 = 3/2
e(4,2) = 1/3 * 1 + 1/3 * 2 + 1/3 * 3 = 2
e(4,1) = 1/4 * 1 + 1/4 * 2 + 1/4 * 3 + 1/4 * 4 = 10/4 = 5/2
E(4) = e(4,1) + e(4,2) + e(4,3) + e(4,4) = 5/2 + 2 + 3/2 + 1 = 7 分
と求まります。

問題5:
問題1:〜問題4:までに得られたことを使って考えます。

まず、一般に、n 個の扉と n 個の鍵があった場合、1@1 and 2@2 and ... and n@n 及び @ の後の
1 〜n の順列の個数だけの、扉と鍵の合致の可能性があります。これは、等確率で 1/n! です。
しかし、1@a and 2@b and ... and n@c、ただし、a, b, ..., c:1 〜n、は、
一時的に鍵の番号を a -> 1, b -> 2, ..., c -> n と付け替えて考えてもよく、
これは、1@1 and 2@2 and ... and n@n と同じになります。
したがって、全体で n! 倍され、結局、1/n! と相殺して、最初から、1@1 and 2@2 and ... and n@n
仮定しても一般性を失わないことになります。

さて、1@1 and 2@2 and ... and n@n の場合です。
一つ扉を開ける度に一つ鍵を使ってしまうことに注意すると、扉 n から考えるのがいいようです。
・扉 n を開けるとき
鍵 n だけが残っているので、
(1) 一度で正しい n を使う。
しかありません。
・扉 n-1 を開けるとき
鍵 n, n-1 が残っているので、
(1) 一度で正しい n-1 を使う。
(2) 間違った n を使い、次に正しい n-1 を使う。
のいずれかです。
・扉 n-2 を開けるとき
鍵 n, n-1, n-2 が残っているので、
(1) 一度で正しい n-2 を使う。
(2) 間違った n, n-1 のどちらか a1 を使い、次に正しい n-2 を使う。
(3) 間違った n, n-1 のどちらか a1 を使い、次に a1 以外の間違った a2 を使い、次に正しい n-2 を使う。
のいずれかです。
...
・扉 1 を開けるとき
鍵 n, n-1, ..., 1 が残っているので、
(1) 一度で正しい 1 を使う。
(2) 間違った n, n-1, ..., 2 のどれか a1 を使い、次に正しい 1 を使う。
(3) 間違った n, n-1, ..., 2 のどれか a1 を使い、次に a1 以外の間違った a2 を使い、
  次に正しい 1 を使う。
...
(n) 間違った n, n-1, ..., 2 のどれか a1 を使い、次に a1 以外の間違った a2 を使い、
  次に a1, a2 以外の間違った a3 を使い、...
  次に a1, a2, ..., a_(n-2) 以外の間違った a_(n-1) を使い、次に正しい 1 を使う。
のいずれかです。
それぞれの確率、かかる時間は
・扉 n を開けるとき
(1) 確率 = 1, 時間 = 1
・扉 n-1 を開けるとき
(1) 確率 = 1/2, 時間 = 1
(2) 確率 = 1/2 * 1 = 1/2, 時間 = 2
・扉 n-2 を開けるとき
(1) 確率 = 1/3, 時間 = 1
(2) 確率 = 2/3 * 1/2 = 1/3, 時間 = 2
(3) 確率 = 2/3 * 1/2 * 1 = 1/3, 時間 = 3
...
・扉 1 を開けるとき
(1) 確率 = 1/n, 時間 = 1
(2) 確率 = (n-1)/n * 1/(n-1) = 1/n, 時間 = 2
(3) 確率 = (n-1)/n * (n-2)/(n-1) * 1/(n-2) = 1/n, 時間 = 3
...
(n) 確率 = (n-1)/n * (n-2)/(n-1) * ... * 1/2 * 1 = 1/n, 時間 = n
ここで、各扉における確率が、等確率になっている点に注意します。

さて、すべての扉を開けるのにかかる時間 T(n) は、各扉を開けるのにかかる時間の和として構成されます。
そして、P(n,T(n)) は、この時間の和の構成に従って、各扉における確率をかけたものです。
そこで、扉 i を開けるのにかかった時間を t(n,i)、その確率を p(n,i,t(n,i)) とすると、
t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n),
n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1
納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] p(n,i,t(n,i)) = 1
P(n,T(n))
= 納t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n),
n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n))}
です。

求めたいのは、すべての扉を開ける時間の期待値
E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)} = 納i=1,n] {e(n,i)}
です。これは、要するにすべての扉を開けるのにかかる平均時間なので、その意味からすると、
それぞれの扉を開ける平均時間、つまり期待値、これを e(n,i) とします、の和になっているはずです。
e(n,i) = 納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] {p(n,i,t(n,i)) * t(n,i)}
E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)} = 納i=1,n] {e(n,i)}
直感的には明らかですが、一応、これを証明しておきましょう。
E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)}
= 納可能な T(n)]
{納t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n),
n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n))}
* T(n)} 
= 納可能な T(n)]
{納t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n),
n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{p(n,1,t(n,1)) * .. * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n))}
* (t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n))} 
= 納可能な T(n)]
{納t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n),
n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.1)
+ ...
+ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.i)
+ ...
+ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.n)
} }
ここまでは、条件 [可能な T(n)] のもとに、t(n,i) による和を考えていました。
つまり、条件 [可能な T(n)] によって、t(n,i) の取り得る範囲をその不等式に加えて制限していました。
しかし、そもそも T(n) は t(n,i) の和で制約されているだけなので、条件の与え方を反対にして、
t(n.i) の不等式によって与えられる範囲すべてを t(n,i) が自由に動けるようにし、
その和で T(n) を制約する、と考える方が自然です。つまり、条件 [可能な T(n)] は、不要です。
さらにその場合、t(n,i) を不等式の範囲で自由に動かす必要があるので、
t(n,1) + ... + t(n,i) + ... + t(n,n) = T(n)
も不要になります。そこで、
= 納n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.1)
+ ...
+ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.i)
+ ...
+ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.n)
}
= 納n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]
{ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.1) }
+ ...
+ 納n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]]
{ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.i) }
+ ...
+ 納n >= t(n,1) >= 1, ..., n-i+1 >= t(n,i) >= 1, ..., t(n,n) = 1]]
{ p(n,1,t(n,1)) * ... * p(n,i,t(n,i)) * ... * p(n,n,t(n,n)) * t(n.n) }
= 納n >= t(n,1) >= 1] {p(n,1,t(n,1)) * t(n,1)} * ...
* 納n-i+1 >= t(n,i) >= 1] {p(n,i,t(n,i))} * ...
* 納t(n,n) = 1] {p(n,n,t(n,n))}
+ ...
+ 納n >= t(n,1) >= 1] {p(n,1,t(n,1))} * ...
* 納n-i+1 >= t(n,i) >= 1] {p(n,i,t(n,i)) * t(n,i)} * ...
* 納t(n,n) = 1] {p(n,n,t(n,n))}
+ ...
+ 納n >= t(n,1) >= 1] {p(n,1,t(n,1))} * ...
* 納n-i+1 >= t(n,i) >= 1] {p(n,i,t(n,i))} * ...
* 納t(n,n) = 1] {p(n,n,t(n,n)) * t(n,n)}
ここで、
納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] p(n,i,t(n,i)) = 1
e(n,i) = 納扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] {p(n,i,t(n,i)) * t(n,i)}
ですが、今の場合、
[扉 i を固定した場合の可能な t(n,i)] ≡ [n-i+1 >= t(n,i) >= 1]
なので、
= e(n,1) * ... * 1 * ... * 1 + ... + 1 * ... * e(n,i) * ... * 1 + ... + 1 * ... * 1 * ... * e(n,n)
= e(n,1) + ... + e(n,i) + ... + e(n,n)
= 納i=1,n] {e(n,i)}
大変でしたが、結局、
E(n) = 納可能な T(n)] {P(n,T(n)) * T(n)} = 納i=1,n] {e(n,i)}
が、計算でも証明できました。

そこで、これを使うと、p(n,i,(t(n,i)) = 1/(n-i+1), t(n,i) は自然数、に注意して、
E(n) = 納i=1,n] {e(n,i)}
= 納i=1,n] {納n-i+1 >= t(n,i) >= 1] {p(n,i,t(n,i) * t(n,i)}}
= 納i=1,n] {納n-i+1 >= t(n,i) >= 1] {t(n,i)/(n-i+1)}}
= 納i=1,n] {(n-i+1)(n-i+2)/2 * 1/(n-i+1)}
= 納i=1,n] {(n-i+2)/2}
= 納k=1,n] {(k+1)/2}
= 1/2 * (n(n+1)/2 + n)
= n/4 * (n+3)
= n(n+3)/4 分

実際、
E(1) = 1 * (1 + 3)/4 = 1 分
E(2) = 2 * (2 + 3)/4 = 5/2 分
E(3) = 3 * (3 + 3)/4 = 9/2 分
E(4) = 4 * (4 + 3)/4 = 7 分
となって、問題1:〜問題4:が再現されます。

[感想]
恐らく、期待値の計算の変換は、問題4:のような直感的な説明でも十分なんだろう、とも思いましたが、
問題5:では、敢えて証明に拘ってみました。計算は少しシンドイですが、大したことはしていません。
確か、似たような証明は、昔々?、統計学の方でやったような記憶があります。
また、扉 n から考えるのも、最初は敢えてせずに、問題の誘導に従って、試行錯誤的に記述しました。
期待値の計算の変換を後回しにしたのも同様の理由です。
その意味で、今回も冗長な解答になっていますが、試験ではないので、この方が分かりやすいかな、と思ってそのままにしてあります。

NO2「Toru」  4/06 14時31分受信 更新4/23
問題1:1分
問題2:2分あるいは3分でともに1/2の確率であるから
    2x1/2+3x1/2=2.5 (分)
問題3:1番目の扉でかかる時間は1分、2分、3分のいずれかで、それぞれの確率
は1/3、 2番目の扉でかかる時間は1分、2分のいずれかで、それぞれの確率は1/2
3番目の扉でかかる時間は1分
よって全体でかかる時間は 3分(1-1-1)、4分(2-1-1 or 1-2-1)、5分(3-1-1 or
2-2-1)、6分(3-2-1)のいずれかで、それぞれの確率は1/6,1/3,1/3,1/6
よって期待値は3x1/6+4x1/3+5x1/3+6x1/6=4.5 (分)
問題4:全体でかかる時間は4分(1-1-1-1)、5分(2-1-1-1,1-2-1-1,1-1-2-1)、
6分(2-2-1-1,2-1-2-1,1-2-2-1,3-1-1-1,1-3-1-1)、
7分(2-2-2-1,3-2-1-1,3-1-2-1,2-3-1-1,1-3-2-1,4-1-1-1)、
8分(3-2-2-1,2-3-2-1,3-3-1-1,4-2-1-1,4-1-2-1)、9分(3-3-2-1,4-3-1-1,4-2-2-1)、
10分(4-3-2-1)でそれぞれの確率は 1/24,1/8,5/24,1/4 ,5/24,1/8,1/24
よって求める期待値は4x1/24+5x1/8+6x5/24+7x1/4+8x5/24+9x1/8+10x1/24=7(分)
問題5:一番目の扉でかかる時間をT1(=1〜n)(分) 、2番目の扉でかかる時間
をT2(=1〜n-1)(分)----- n番目をTn(=1)(分)とする
(T1,T2,----,Tn)はn!通りあってこれらは全て同じ確率(1/n!)でおきる。
このうち全体でk分(k= n〜n(n+1)/2 )かかるものの1つを(T1k,T2k,----,Tnk)とし
てこれに (n+1-T1k,n-T2k,n-1+T3k,---,2-Tnk)を対応させる。これはn+n(n+1)/2-k
(分)かかり1対1の対応が得られる。よって全体でk分かかる確率Pkとすれば
 Pk=P (n+n(n+1)/2-k)
よって求める期待値は、両端から逆に並べて加えることにより
ΣkPk=((n+n(n+1)/2)ΣPk)/2 = n(n+3)/4 (分)

 
 最初、n個の扉があってk分かかる確率の分布を求めようとして、漸化式作ったりしても、一般式 うーん?という感じでしたが、問題1〜4のおかげで、期待値だけならば確率分布が対称型なのでまん中をとればよいということに気づきました。数学においても、(特に整数論などでは)頭の中で考えるだけではなくて、「実験が大切」と何かで読んだことがありますが、あらためて「その通り」と一人で納得しておりました。

NO3「スモークマン」  4/07 18時00分受信 更新4/23
面白そうだから取り組みましたが、、、順序よく考えれば一般式がでるんですね〜

解答
1)f(1)=1
2)f(2)は、1/2で1回目、1/2で2回目だから、
1個目の鍵を開ける時間は、(1+2)/2=3/2で、残りは必ず開くので、f(2)=3/2+1=5/2
3)f(3) は、1/3で1回目、2/3*1/2で2回目。3回目は2回目と
同じ。だから、1個目は、(1+2+3)/3=2で開き、残りの2個は、f(2)で開くので、f(3)=2+5/2=9/2
4)F(4) は、1/4で1回目。3/4*1/3で2回目。3/4*2/3*1/2で3回目。
だから、1個目は(1+2+3+4)/4=10/4=5/2で開き、残りは、f(3)で開くので、f(4)=5/2+9/2=7
5)同様に推測して、1番目の鍵は、Σk(1〜n)/n=(n(n+1)/2)/n=(n+1)/2で開き、残りは、f(n-1)で開くので、f(n)=(n+1)/2+f(n-1)
f(n)-f(n-1)=(n+1)/2なので、
f(n)-f(1)=Σk(3〜n+1)/2=(n-1)(n+4)/4
f(n)=(n^2+3n)/4=n(n+3)/4

鍵が5個でも、平均10分かかるのか。何となくそんな体感ですね。

NO4「kashiwagi4/09 07時47分受信 更新4/23
1分での開と駄目を○、×で表示すると、n=1,2,3及び4の時は以下の表の様になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2

 

 

 

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

 

 

3

 

 

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

 

×

×

 

 

 

 

 

×

×

 

 

 

 

 

×

×

×

 

 

 

 

4

 

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

×

 

 

 

 

 

×

×

 

 

 

 

×

×

 

 

 

 

×

×

×

 

 

 

×

 

 

 

 

 

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×

×

 

 

×

×

×

×

×

 

×

×

×

×

×

 

×

×

×

×

×

×

 即ち、最初のトライのみが問題で、一旦開いてしまえば後は一つ前の鍵の数が一つ少ない場合に帰着する。そこで各々の期待値を計算すると、以下の様になる。

例えば、n=2の場合は、

期待値

1

1

2

5/2

3

9/2

4

7

 

 今、n個の場合の期待値をAnとすると、

  A2-A1=3/2

  A3-A2=4/2

  A4-A3=5/2

  ・・・・・・・

  An-An-1=n+1/2  となる。因ってAn=n(n+3)/4となる。

以上が問1〜5に対する解答です。

 しかし、面白いですね、鍵の個数に関係なく最少トライ時間と最大トライ時間の平均値になってしまい、他のトライ時間は関係しないのですね。うーんー・・・・。

  
お世話になります。今回の問題は繰り返しの妙と最少と最大の値のみで決まるという
平均値の妙に感動致しました。この様な問題を誰が作成するのですかね、その頭脳には 正に脱帽です。
<水の流れ:そうですね。こんなうまい手がありましたか、センター試験にはもってこいって感じです。感謝します。>

 

NO5「ice」   4/13 21時04分受信 更新4/23