平成20年1月6日
[流れ星]
第201回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:12月16日〜1月6日
[算額in宮城]
皆さん、「日本の幾何 何題解けますか?」(森北出版)「深川英俊 ダン・ペドー共著」と言う本をご存知ですか。その中に
問題:∠Bを直角とする直角三角形ABCに図のような3個の正方形P1Q1R1S1,P2Q2R2S2,P3Q3R3S3 が内接している。3つの直角三角形B Q1P1,R1P2S2,R2Q3P3のそれぞれの内接円O1、O2、O3のうち両端の円の直径が25cmと16cmとするとき、真ん中の円O2 の直径を求めよ。
また、内接円O1、O2、O3の円の直径をr1、r2、r3とするとき、これらの文字に間に成り立つ関係式を見つけてください。
NO1「kashiwagi」12/16 12時16分受信 更新1/6
<コメント:最初はうーん、面倒な計算だけだなと思っておりましたが、待てよなるべく計算
しないで相似比を美味く使えばと思い愚考しました。やはりこの方針でOKでした。間違えない様慎重に計算し、20分で辿り着きました。前半の問題に正にぴったり 当てはまり、これなら良いだろうと・・・、それにしても美しい関係ですね。
最後になりましたが、本年一年間お世話になりました。来年も面白い問題のご提供方宜しくお願い申し上げます。それでは、少々早いですが、良いお年をお迎え下さい。>
<水の流れ:kashiwagi様には以前からお世話になっていまして本当に深く感謝しております。2008年になりましてもよろしくお願いします。>
201回問題
△ABCに内接する円の直径をとし、各々の辺BC,AC及びABの長さをa、b、cとする。
図から△ABC、△、△及び△は相似である。
又、相似の三角形に内接する円の直径もその相似比に比例する。因ってこれら四つの三角形の相似比を求めれば良い事になる。
今、正方形の辺の長さをKbとすると、△の斜辺の長さはKbなので、相似比より=Kc 又、△の斜辺はKとなる。
因って、正方形の辺の長さはKとなる。
又々相似比を使い、△の辺の長さはK 、
辺の長さはK 因って、辺の長さはK
これより辺の長さはK 因って△の斜辺の長さも
K である。
以上より四つの三角形の相似比は1:K : K : K となる。
即ち、相似の三角形に内接する円の直径の比でもある。
これより : : = : : 1 となる。
以上より求める関係は= となる。
これより25×16= 即ち=20p である。
<水の流れ:答えが平成20年の20にこだわってみました。>
NO2「uchinyan」12/16 12時43分受信 更新1/6
第201回数学的な応募問題
[算額in宮城]
同じことなので,一般的に考えてしまいましょう。
まず,角度の関係から明らかに,△BP1Q1,△R1P2S2,△R2P3Q3 は相似です。
したがって,それぞれの三角形に内接する 円O1,円O2,円O3 も相似で,
その半径の比は,P1Q1 = x1,P2S2 = x2,P3Q3 = x3 とすると,r1:r2:r3 = x1:x2:x3 です。
これは,直角三角形の直角をはさむ辺の長さを s,t,斜辺を u とすると,内接円の半径 r が,面積の関係から,
sr/2 + tr/2 + ur/2 = st/2,r = st/(s + t + u)
となることから,明らかでしょう。
そこで,x1,x2,x3 の関係を考えます。
まず,△ABC において,AB = a,BC = b とおいて,x1 を求めてみます。
角度の関係から,△ABC,△P1BQ1,△AS1P1,△Q1R1C は相似です。
AC = sqrt(a^2 + b^2) に注意して,
BP1 = a/sqrt(a^2 + b^2) * x1,BQ1 = b/sqrt(a^2 + b^2) *
x1
S1A = a/b * x1,S1P1 = x1
R1Q1 = x1,R1C = b/a * x1
そこで,△ABC の面積に関して,
△P1BQ1 + △AS1P1 + △Q1R1C + □P1Q1R1S1 = △ABC
1/2 * ab/(a^2 + b^2) * x1^2 + 1/2 * a/b * x1^2 + 1/2 * b/a * x1^2 + x1^2 = 1/2
* ab
x1 > 0 なので,
x1 = sqrt(ab/(1/(a/b + b/a) + a/b + b/a + 2))
です。
同様にして,x2 を △Q1R1C について考えると,R1Q1 = x1,R1C = b/a * x1 なので,
x1 の式で,a -> x1,b -> b/a *
x1 と置き換えればよく,
ab -> b/a * x1^2
a/b -> a/b
b/a -> b/a
なので,
x2 = sqrt(b/a * x1^2/(1/(a/b + b/a) + a/b + b/a + 2))
x2 = 1/a * sqrt(ab/(1/(a/b + b/a) + a/b + b/a + 2)) * x1
同様にして,x3 を △S2R2C について考えると,R2S2 = x2,R2C = b/a * x2 なので,
x1 の式で,a -> x2,b -> b/a *
x2 と置き換えればよく,
ab -> b/a * x2^2
a/b -> a/b
b/a -> b/a
なので,
x3 = sqrt(b/a * x2^2/(1/(a/b + b/a) + a/b + b/a + 2))
x3 = 1/a * sqrt(ab/(1/(a/b + b/a) + a/b + b/a + 2)) * x2
です。
結局,x1,x2,x3 かこの順に公比 1/a * sqrt(ab/(1/(a/b + b/a) +
a/b + b/a + 2)) の等比数列になります。
これから,r1:r2:r3 = x1:x2:x3 だったので,r1,r2,r3 もこの順に等比数列になります。
そこで,
r2^2 = r1 * r3
がいえます。
r1 = 25 cm,r2 = 16 cm の場合は,r2^2
= 25 * 16,r2 = 20 cm になります。
(考察)
x1,x2,x3 の関係は,一応式を使って調べましたが,
△ABC,△Q1R1C,△S2R2C とそれぞれに内接する正方形の関係なので,
一定の比の割合で変化することはほとんど明らかで,x1,x2,x3 は明らかにこの順に等比数列をなす,
といってしまってもいいかもしれませんね。
(感想)
この問題,過去に,数学オリンピックの国内予選にも出ていましたよね。
そんなこんなで,実は知っていました。
しかしきれいな関係ですよね。最初に作題した方をほめるべきかもしれません (^^;
<水の流れ:発見しました。2000年1月10日実施第10回日本数学オリンピック予選(2000)第1問です。
これは1853年に佐々木萬蔵氏が岩手県三陸綾里八幡神社に奉納された算額と書いてありました。
ここで、あることが推測できました。私が参考にしたのは
したがって、1913年を参考にしました。作成したのが201回の問題です。
で、1913年の人は1853年の算額をある程度知っていたのではないかと言う推測です。結局、元にもどったことになります。これ、驚きです。情報ありがとうございます。>
NO3「新俳人澄朝」12/17 18時52分受信
更新1/6
<コメント:解答記述の部分で少し省略したところがありますが、意を汲んでください。
和算の問題は、「一関博物館」のHPにも毎年問題がこの時期掲載され楽しんでいますが、中々奥が深いと思います。次回は、早くも来年ということです。少し早いですがよい年をお迎えください。>
<水の流れ: 「一関博物館」のHP は立ち寄ったことがありまして、問題にチャレンジしたことがあります。
さらに、中尊寺を観光したときに、一関という地名を覚えていました。>
NO4「Toru」 12/20 14時45分受信 更新1/6
<コメント: くり返しの模様でだんだん大きくなっていくので、そこのところをうまく言葉で説
明しようと思いましたが、今一つでしょうか >
△ ABC、正方形S1P1Q1R1、円O1を一体ととらえてこの図形をK1
△ Q1R1C、正方形Q2P2S2R2、円O2をK2
△ S2R2C、正方形S3P3Q3R3、円O3をK3
とすると、K1,K2,K3は相似で拡大率は
K1/K2=AB/Q1R1=AP1/P1S1+P1B/P1Q1=Q1P2/Q2P2+P2R1/P2S2=Q1R1/S2R2=K2/K3
よって、r1:r2=r2:r3よりr2^2=r1r3
r1=25,r2=16とすればr2=√(25x16)=20
NO5「kasama」 12/22 02時55分受信 更新1/6
<コメント:回も面白い問題を出題して下さりありがとうございました。さて、宮城県の日高見神社という所には、このような問題が掲額されているとは、大変興味深いですね。
やり方はいろいろあると思いますが、主として三角形の相似を多用して解いてみました。中学数学の範囲内で意外とすんなりできたので、ちょっと不安です。CADで検証してみると答え自体は合っているようなので、>
△ABCの各辺をBC=a、AC=b、AB=cとします。また、△ABC∽△BQ1P1∽△R1P2S2∽△R2Q3P3なので、辺の比を1:t1:t2:t3とします。そして、△ABCを以下の3つの図形@、A、Bに分けて考えます。 |
|
図形@、A、Bは相似ですから、各図形に含まれる直角三角形と正方形の辺の比の関係はどれも同じです。よって、図形@だけを切り出して、その関係を調べます。AP1:BP1=t:1-tとすると、 |
|
△ABC∽△AP1S1∽△BQ1P1なので、 |
t:1-t=b・b/a:c⇒t=(a2+c2)/(a2+c2+ac)…(1) |
です。次に、図形@とAについて、辺の比の関係を考えると、 |
P2R1=(1-t)P1Q1 |
ですが、P1Q1=t1b、P2R1=t2cで、(1)式を代入して整理すると、 |
(a2+c2+ac)/ab==t1/t2…(2) |
となります。同様に、図形AとBについても、 |
(a2+c2+ac)/ab==t2/t3…(3) |
です。(2)(3)式から、a、b、cを消去すると、 |
t1t3=t22…(3) |
となります。ここで、△BQ1P1∽△R1P2S2∽△R2Q3P3だから、その辺の比の関係(3)式は、その三角形の内接円の直径の関係にも適用できて、 |
r1r3=r22…(4) |
です。例えば、r1=25、r3=16ならば、r2=√(25×16)=20です。 |
|
NO6「bear56」 12/24 18時39分受信 更新1/6
今回は直感に従ってみましたが,和算の三角比を知りません.
これで良いのでしょうか.しかも,本来は,もっと細かく計算するべきなのでしょうが,
直感に従っているので,かなり短絡しています.
PS
テキスト文字を工夫するより,LaTeXを使うほうが,段々楽になってきました.
寄せられた解答です。
「bear56」 12/27 14時07分受信 更新1/6
<コメント:三角比を使わずに,相似形の比例関係から求めてみました.
結果的に見れば,半角の三角比です.角度を使わなくても,内接円の半径と三角比を関連付けられそうです.
PS
いよいよ冬休みです.
本年中は,新参者ながら,大変お世話になりました.新年も,ご指導の程,よろしくお願い致します.>
寄せられた解答です。
NO7「ぐーてん」12/26 18時34分受信
更新1/6
<コメント:今年は、水流さんのHPに出会えたのが、最大の収穫だったかもです。
おかげさまで、長らく衰えていた数学への関心がよみがえってきました。最近は、数学基礎論を少しかじっています。
思い起こせばε-δ法が私が数学からドロップアウトすることになった元凶でした。最近少し理解をし始めて分かったことは、こんなの理解出来るほうが頭が変だということです。巧妙だけど人間の直観に基づいた正統な手法じゃないなと感じました。別途、超準解析とかが研究されていることも知り、まともな数学者も少しはいるのだなとほっとしたりしています。今年もお世話になりました。来年もまたよろしくお願いいたします。>
<水の流れ:とんでもないです。こちらこそ恐縮ばかりです。また、よろしくお願いします。>
、、、、とおく。
図中に表れる直角三角形はすべて相似で、直角をはさむ辺の比はなので、
同様に考えて、
相似な三角形の内接円の半径は相似比に比例するので、
従って、
コメント:△CR3Q3に正方形を足して垂線を書いて‥と同じ作図を繰り返すので、直感的にはは明らかですが、あえて数式で示すとこんな感じでしょうか。
NO8「三角定規」01/04 15時53分受信
更新1/6
[問題201解答]<三角定規>
題意より明らかに △ABC ∽ △Q1R1C ∽ △S2R2C
また,円O1 ∽ 円O2 ∽ 円O3
…[答]
r 1,r 2,r 3 は,等比数列の隣り合う3項だから, …[答] ■
図の∠ACB をαとすると,上の相似比 k は, ですが,
この方程式をスマートに解くことはできませんでした。エクセルで力ずくで解いたら,
α≒12.9°となりました。
<水の流れ:最後になりましたが、201回に至ったのも皆様のおかげでです。改めて深く感謝申しあげます。
これからも、健康に留意しながら張り切り過ぎないようにやって行っていきます。よろしくお願いします。2008年が皆様に、幸多き年でありますようにお祈りしています。>