平成20年5月18日
[流れ星]
第207回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:4月20日〜5月18日
[ニュートン線]
皆さん、ニュートン線ってご存知ですか。この問題以外でもニュ−トン線という問題はありますけど。
では、問題です。
中心がOの円に外接する四角形ABCDの対角線ACの中点をN,対角線BDの中点をMとすると、
3点M、O,Nは図のように一直線上にあることを示してください。
なお、この3点M、O、Nを通る直線をニュートン線という。
お詫び:外接する四角形に訂正(午後9時)
ヒント:補助線を使って適当な三角形を作り、その面積を比べてみてください。
出展:パズルでひらめく補助線の幾何学 (講談社:中村義作著)
NO1「uchinyan」 4/20 14時30分受信 更新5/18
第207回数学的な応募問題
[ニュートン線]
1) AB//DC 及び AD//BC のとき
□ABCD は平行四辺形で,M = N になり(対称性より実は M = N = O),特殊な場合として題意を満たします。
2) 1) 以外の場合
平行でない対辺がありますが,今それを AD,BC をとします。
AD//BC で AB,CD が平行でない場合は同様にできるので,省略します。
まず,次の補助定理を証明します。
補助定理
□ABCD があり,AD,BC が平行でないとします。
□ABCD 内の一点 P に対して,△PAD + △PBC =
一定 のとき,P の軌跡は線分になります。
証明
AD,BC の延長の交点を X とし,XA,XB の上に点 E,F を
XE = AD,XF = BC
となるようにとります。すると,
△PAD + △PBC = △PXE + △PXF = △XEF + △PEF
なので,この式の左辺が 一定 のとき,△PEF も 一定 です。
そこで,P から EF(これは 一定) に下ろした垂線の長さは常に 一定 で,
P は EF に平行な線分上にあることになります。
補助定理証明終わり
さて,いよいよ本題の証明です。
AB と円の接点を P,BC と円の接点を Q,CD と円の接点を R,DA と円の接点を S とします。
まず,M ですが,M は BD の中点なので,
△MAD + △MBC = 1/2 * △ABD + 1/2 * △CBD = 1/2 * □ABCD ... (a)
次に,N ですが,N は AC の中点なので,
△NAD + △NBC = 1/2 * △DAC + 1/2 * △BAC = 1/2 * □ABCD ... (b)
最後に,O は,
△OAD + △OBC = 1/2 * AD * (円Oの半径)
+ 1/2 * BC * (円Oの半径) = 1/2 * (円Oの半径) * (AD + BC)
ここで,よく知られた性質により,
AP = AS,BP = BQ,CQ = CR,DR = DS
なので,
AD + BC = AS + DS + BQ + CQ = AP + BP + CR + DR = AB + CD
がいえます。また,
1/2 * (円Oの半径) * (AD + BC) + 1/2
* (円Oの半径) * (AB + CD) = □ABCD
そこで,
△OAD + △OBC = 1/2 * (円Oの半径) *
(AD + BC) = 1/2 * (円Oの半径) * (AB
+ CD) = 1/2 * □ABCD ... (c)
(a),(b),(c) より補助定理を使うと,M,N,O は一直線上にあることが分かります。
(感想)
これは以前に勉強して,ある程度証明も覚えていました。
それを思い出しながらやりました。
「uchinyan」 4/22 15時20分受信 更新5/18
問題文のヒント?を参考に別解を考えてみました。それを追加して送ります。
(別解)
与えられた図に頼った解法ですが,M,O,N の位置関係が異なった場合も同様にできます。
M と O を結び AC との交点を E とします。
E が AC の中点になることを証明すれば E = N で,M,O,N が一直線上にあることを証明できます。
これを示すために,まず,△AMO,△CMO の面積を考えます。
与えられた図より,
△AMO = △OAB - △ABM - △OBM = △OAB - 1/2 * △OAB - 1/2 * △OBD
= △OAB - 1/2 * □ABOD = △OAB - 1/2 * △OAB - 1/2 * △OAD
= 1/2 * (△OAB - △OAD) = 1/2 * (円Oの半径) * (AB - AD)
△CMO = □MBCO - △MBC = △MBO + △OBC - △MBC = 1/2 * △OBD + △OBC - 1/2 * △DBC
= 1/2 * △OBD + △OBC - 1/2 * (△OBD + △OBC + △OCD)
= 1/2 * (△OBC - △OCD) = 1/2 * (円Oの半径) * (BC - CD)
ここで,AB と円の接点を P,BC と円の接点を Q,CD と円の接点を R,DA と円の接点を S とします。
接線のよく知られた性質,要する円の対称性,により,
AP = AS,BP = BQ,CQ = CR,DR = DS
なので,
AD + BC = AS + DS + BQ + CQ = AP + BP + CR + DR = AB + CD
AB - AD = BC - CD
がいえます。これより,
△AMO = △CMO
になります。ここで,A,C から BD に垂線を下ろしその足を H,I とすると,
AH = CI
です。そこで,△AEH,△CEI について,
AH = CI,∠AHE = 90°= ∠CIE,∠AEH =
∠CEI
なので,
△AEH ≡ △CEI
AE = CE
になり,E は AC の中点 N に等しくなります。
そこで,M,O,N が一直線上にあることを証明できました。
(感想)別解は,問題文のヒントを基に与えられた図を見ながら考えました。
M,O,N の位置関係が変化したら,証明は若干の修正が必要ですが,
同様にできるようです。
NO2「kashiwagi」 4/24 20時31分受信 更新5/18
207回解答
今点Oと点D及び点Bを結ぶ直線を引くと、点Mは直線BCの中点であるから、
DM =MB ・・・・・@
△BMO=△DMO ・・・・・・A が成り立つ。
ところで直線MOを両三角形の底辺と見ると各々の三角形の高さが等しい。
ここで∠DMO=α、 ∠MBC=βとすると高さが等しいので
DM・sinα =MB・sinβ ・・・・・B が成り立つ。
B式に@を代入すると、
sinα =sinβ が成り立つ。 因って、
α =β ないし、 α+β =π となる。問題の図からα+β =πとはならないので
α =βとなる。即ち、線分MOは線分BCと平行である。
全く同様にして、点Oと点A及び点Cを結び同様の議論から
線分NOは線分BCと平行であることが証明される。
これより線分MONは線分BCと平行であることが分かり、
3点M,O及びNは一直線上にあることが証明された。
<水の流れ:解答を拝見していますが、
α =βとなる。即ち、線分MOは線分BCと平行である。
ここが分かりません。いろいろな場合の図を書いていくと、平行とはいかない図があります・・・
もう一度考えてみる必要があります。自分自身、まだ、はっきりしていませんが。>
NO3「kasama」 5/17 00時22分受信 更新5/18
補助線を引いて三角形の面積を利用して解く方法は「ニュートンの定理」によりますが、ここでは、座標を使ってやってみました。円と線分AB、BC、CD、DAの接点をそれぞれ、P、Q、R、Sとします。円の半径をr、中心Oを原点とすると、適当な角度α、β、γ、δを用いて、 |
P=(rcosα,rsinα)、Q=(rcosβ,rsinβ)、R=(rcosγ,rsinγ)、S=(rcosδ,rsinδ) |
と表すことができます。すると、接線AB、BC、CD、DAの方程式は、 |
xcosα+ysinα=r…(1) |
xcosβ+ysinβ=r…(2) |
xcosγ+ysinγ=r…(3) |
xcosδ+ysinδ=r…(4) |
ですが、接線AB、BCの交点Aは(1)、(2)式を解いて、 |
A={r(sinα-sinδ)/sin(α-δ),r(cosδ-cosα)/sin(α-δ)}…(5) |
です。同様に交点B、C、Dを求めると、 |
B={r(sinβ-sinα)/sin(β-α),r(cosα-cosβ)/sin(β-α)}…(6) |
C={r(sinγ-sinδ)/sin(γ-δ),r(cosδ-cosγ)/sin(γ-δ)}…(7) |
D={r(sinδ-sinα)/sin(δ-α),r(cosα-cosδ)/sin(δ-α)}…(8) |
です。すると、点M、Nは |
M=(A+C)/2 |
={r(sinαsin(γ-δ)+sin(α-δ)sinγ-sin(α-δ)sinδ-sin(γ-δ)sinδ)/(2sin(α-δ)sin(γ-δ)), |
r(-cosαsin(γ-δ)-cosγsin(α-δ)+cosδsin(α-δ)+cosδsin(γ-δ))/(2sin(α-δ)sin(γ-δ))}…(9) |
N=(B+D)/2= |
={r(-sinαsin(β-α)-sinαsin(δ-α)+sinβsin(δ-α)+sin(β-α)sinδ)/(2sin(β-α)sin(δ-α)), |
r(cosαsin(β-α)+cosαsin(δ-α)-cosβsin(δ-α)-cosδsin(β-α))/(2sin(β-α)sin(δ-α))}…(10) |
となり、線分OMの傾きは、 |
(sinαsin(γ-δ)+sin(α-δ)sinγ-sin(α-δ)sinδ-sin(γ-δ)sinδ)/(-cosαsin(γ-δ)-cosγsin(α-δ)+cosδsin(α-δ)+cosδsin(γ-δ))…(11) |
また、線分ONの傾きは、 |
(-sinαsin(β-α)-sinαsin(δ-α)+sinβsin(δ-α)+sin(β-α)sinδ)/(cosαsin(β-α)+cosαsin(δ-α)-cosβsin(δ-α)-cosδsin(β-α))…(12) |
です。(11)式と(12)式は等しいので、3点M、O、Nは一直線上にあります。 |