平成20年11月16日
[流れ星]
第215回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:10月26日〜11月16日
[アイゼンスタイン三角形]
皆さん、高校数学で習う余弦定理をご存知ですか。三角形の3辺の長さをa、b、cとしたときに成り立つ定理です。c2=a2+b2−2abcosθのことです。
辺cに対する角Cが120°のとき、 c2=a2+b2+abとなる。
例えば、a=3、b=5、c=7がそうです。別名七五三の三角形と私は呼んでいます。
最近、「整数とあそぼう」(日本評論社、一松信著)を読んでいたら、このような3辺の長さが整数で、角が120°である三角形を「アイゼンスタインの三角形」と知りました。
ここで、x=a+b,y=a(またはb),z=cである三角形はz2=x2+y2―xy
を満たし、角が60°になります。これがx=8、y=5、z=7となり、別名ナゴヤ(名古屋)の三角形と私は呼んでいます。
さて、c2=a2+b2+ab整数解ですが、
a=m2−n2,b=2mn+n2,c=m2+mn+n2となります。
ただし、mとnは互いに素で、m−nは3の倍数ない。
ここから、問題です。
問題1:m、nに自然数を小さい順に代入して、(a、b、c、a+b)組を幾つか求めてください。
問題2:a=m2−n2,b=2mn+n2,c=m2+mn+n2のとき、c2=a2+b2+abを満たしていることを確かめてください。
問題3:積abc(a+b)は必ず840の倍数になることを確かめてください。
問題4:可能なら、c2=a2+b2+ab整数解が、a=m2−n2,b=2mn+n2,
c=m2+mn+n2となることを求めてください。
注:アイゼンスタイン(1823〜1852)はドイツの天才数学者です。
NO1「uchinyan」 10/27 16時49分受信
「uchinyan」 10/28 17時40分受信 更新11/16
第215回数学的な応募問題
[アイゼンスタイン三角形]
以下において,c^2 = a^2 + b^2 + ab の整数解,とありますが,
三角形の話から入っているので,a,b,c は自然数に限る,0 や負は考えない,ことにします。
問題1:
m, n は互いに素,m - n は 3 の倍数でない,に注意して,m = 1 〜 5, n = 1 〜 5
でやってみます。
m = 2, n = 1, a = 3, b = 5, c = 7, a + b = 8
m = 3, n = 1, a = 8, b = 7, c = 13, a + b = 15
m = 5, n = 1, a = 24, b = 11, c = 31, a + b = 35
m = 3, n = 2, a = 5, b = 16, c = 19, a + b = 21
m = 4, n = 3, a = 7, b = 33, c = 37, a + b = 40
m = 5, n = 3, a = 16, b = 39, c = 49, a + b = 55
m = 5, n = 4, a = 9, b = 56, c = 61, a + b = 65
問題2:
a = m^2 - n^2, b = 2mn + n^2 を a^2 + b^2 + ab に代入します。
a^2 + b^2 + ab
= (m^2 - n^2)^2 + (2mn + n^2)^2 + (m^2 - n^2)(2mn + n^2)
= m^4 - 2 * m^2 * n^2 + n^4 + 4 * m^2 * n^2 + 4 * m * n^3 + n^4
+ 2 * m^3 * n - 2 * m * n^3 + m^2 * n^2 - n^4
= m^4 + m^2 * n^2 + n^4 + 2 * m^3 * n + 2 * m^2 * n^2 + 2 * m * n^3
= (m^2 + mn + n^2)^2
c = m^2 + mn + n^2 なので,確かに,
c^2 = a^2 + b^2 + ab
になります。
問題3:
題意がいま一つよくわからないのですが,一般の a, b, c に対してはいえないので,
a = m^2 - n^2,b = 2mn + n^2,c =
m^2 + mn + n^2 の場合と考えました。
abc(a + b)
= (m^2 - n^2)(2mn + n^2)(m^2 + mn + n^2)(m^2 + 2mn)
= mn(m + n)(m - n)(2m + n)(m + 2n)(m^2 + mn + n^2)
840 = 2^3 * 3 * 5 * 7 なので,8,3,5,7 でそれぞれ割りきれることを確認すればいいです。
計算を簡単にするために,合同式を使います。
・8 で割れること mod 4 で考えます。
m ≡ 0 -> m ≡ 0, m + 2n ≡ 2n ≡ 0 or 2 なので,OK。
n ≡ 0 -> n ≡ 0, 2m + n ≡ 2m ≡ 0 or 2 なので,OK。
m ≡ n -> m + n ≡ 2m ≡ 0 or 2, m - n ≡ 0 なので,OK.
m ≡ 1, n ≡ 2 -> n ≡ 2, 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 3 -> m + n ≡ 0, m - n ≡ 2 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 1 -> m ≡ 2, m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 3 -> m ≡ 2, m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 1 -> m + n ≡ 0, m - n ≡ 2 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 2 -> n ≡ 2, 2m + n ≡ 0 なので,OK。
以上より,8 で割りきれます。
・3 で割れること mod 3 で考えます。
m ≡ 0 又は n ≡ 0 -> 明らか。
m ≡ n -> m - n ≡ 0 なので,OK.
m ≡ 1, n ≡ 2 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 1 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
以上より,3 で割りきれます。
・5 で割れること mod 5 で考えます。
m ≡ 0 又は n ≡ 0 -> 明らか。
m ≡ n -> m - n ≡ 0 なので,OK.
m ≡ 1, n ≡ 2 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 3 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 4 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 1 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 3 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 4 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 1 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 2 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 4 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 1 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 2 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 3 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
以上より,5 で割りきれます。
・7 で割れること mod 7 で考えます。
m ≡ 0 又は n ≡ 0 -> 明らか。
m ≡ n -> m - n ≡ 0 なので,OK.
m ≡ 1, n ≡ 2 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 3 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 4 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 5 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 1, n ≡ 6 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 1 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 3 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 4 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 5 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 2, n ≡ 6 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 1 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 2 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 4 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 5 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 3, n ≡ 6 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 1 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 2 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 3 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 5 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 4, n ≡ 6 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 5, n ≡ 1 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 5, n ≡ 2 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 5, n ≡ 3 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 5, n ≡ 4 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 5, n ≡ 6 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 6, n ≡ 1 -> m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 6, n ≡ 2 -> 2m + n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 6, n ≡ 3 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 6, n ≡ 4 -> m + 2n ≡ 0 なので,OK。
m ≡ 6, n ≡ 5 -> m^2 + mn + n^2 ≡ 0 なので,OK。
以上より,7 で割りきれます。
これらのことより,
a = m^2 - n^2,b = 2mn + n^2,c =
m^2 + mn + n^2 のとき,
abc(a + b) は 8 * 3 * 5 * 7 =
840 で割りきれます。
問題4:
c^2 = a^2 + b^2 + ab, a, b, c は自然数
を解くことを考えます。まず明らかに,
a, b, c のうちそれぞれ二つが 1 でない共通因数をもてば,もう一つも同じ因数をもちます。
そこで,a, b, c はそれぞれ二つずつが互いに素の場合を考えれば十分です。
このとき,a の二次方程式だと思うと,a は自然数なので,
a^2 + ba + b^2 - c^2 = 0
a = (- b + sqrt(b^2 - 4(b^2 - c^2)))/2 = (- b + sqrt(4c^2 - 3b^2))/2
ですが,ルートが開けることが必要です。
ただし,ルートの中身が 0 では a, b が自然数であることに反するので,d を自然数として,
4c^2 - 3b^2 = d^2
4c^2 = 3b^2 + d^2
3b^2 = 4c^2 - d^2 = (2c + d)(2c - d)
ここで,c, d が 1 以外の共通因数をもつと b もその因数をもってしまうので,c, d は互いに素です。
このとき,e, f を自然数として(0 の場合は,b が自然数に矛盾)
2c + d = e, 2c - d = f
とおくと,
c = (e + f)/4, e + f は 4 で割り切れることが必要
d = (e - f)/2, e - f は 2 で割り切れることが必要
になります。このとき,e, f の最大公約数は,c, d が互いに素であることから,
gcd(e,f) = 1, 2, 4
が可能です。
(1) gcd(e,f) = 1,e, f は互いに素,の場合
3b^2 = ef
と書けます。
ここで,e の素因数を p とすると,p = 3 又は p は b を割り切る
かのいずれかです。
p が b を割り切る場合,左辺は b^2 を含むので p^2 で割り切れます。
したがって,右辺の ef も p^2 で割り切れますが,
e, f は互いに素なので,f は p を因数にもてず,e が p^2 で割り切れなければなりません。
f についても同様です。
そこで,g, h を自然数として,
e = 3g^2, f = h^2 又は e = g^2, f = 3h^2
と書けることになります。このとき,g, h は互いに素です。
そこで...
(1-1) g = 2i - 1, h = 2j - 1, i, j は自然数,の場合
(1-1-1) e = 3g^2, f = h^2 の場合
b = gh = (2i - 1)(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (3g^2 + h^2)/4 = (3(2i - 1)^2 + (2j - 1)^2)/4 = 3i^2 - 3i + j^2
- j + 1
d = (e - f)/2 = (3g^2 - h^2)/2 = (3(2i - 1)^2 - (2j - 1)^2)/2 = 6i^2 - 6i -
2j^2 + 2j + 1
a = (- b + d)/2 = (3g^2 - h^2 - 2gh)/4 = (3g + h)(g - h)/4
= (6i + 2j - 4)(2i - 2j)/4 = (3i + j - 2)(i - j)
= 3i^2 + ij - 2i - 3ij - j^2 + 2j
= 3i^2 - 2ij - 2i - j^2 + 2j
= 4i^2 - 4i + 1 - i^2 - j^2 - 1 - 2ij + 2i + 2j
= (2i - 1)^2 - (i + j - 1)^2
そこで,
m = 2i - 1, n = i + j - 1
とおくと,
2i - 1 = m, 2j - 1 = 2n - m
a = m^2 - n^2
b = m(2n - m) = 2mn - m^2
c = (3m^2 + (2n - m)^2)/4 = m^2 - mn + n^2
となります。ただし,m は奇数です。
(1-1-2) e = g^2, f = 3h^2 の場合
b = gh = (2i - 1)(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (g^2 + 3h^2)/4 = ((2i - 1)^2 + 3(2j - 1)^2)/4 = i^2 - i + 3j^2 - 3j + 1
d = (e - f)/2 = (g^2 - 3h^2)/2 = ((2i - 1)^2 - 3(2j - 1)^2)/2 = 2i^2 - 2i -
6j^2 + 6j - 1
a = (- b + d)/2 = (g^2 - 3h^2 - 2gh)/4 = (g - 3h)(g + h)/4
= (2i - 6j + 2)(2i + 2j - 2)/4 = (i - 3j + 1)(i + j - 1)
= i^2 - 3ij + i + ij - 3j^2
+ j - i + 3j - 1
= i^2 - 2ij - 3j^2 + 4j - 1
= i^2 - 2ij + j^2 - 4j^2 + 4j - 1
= (i - j)^2 - (2j - 1)^2
そこで,
m = i - j, n = 2j - 1
とおくと,
2i - 1 = 2m + n, 2j - 1 = n
a = m^2 - n^2
b = (2m + n)n = 2mn + n^2
c = ((2m + n)^2 + 3n^2)/4 = m^2 + mn + n^2
になります。ただし,n は奇数です。
(1-2) g = 2i, h = 2j - 1, i, j は自然数,の場合
(1-2-1) e = 3g^2, f = h^2 の場合
b = gh = 2i(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (3g^2 + h^2)/4 = (3(2i)^2 + (2j - 1)^2)/4 = 3i^2 + j^2 - j +
1/4
これは,c が自然数にならないので不適です。
(1-2-2) e = g^2, f = 3h^2 の場合
b = gh = 2i(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (g^2 + 3h^2)/4 = ((2i)^2 + 3(2j - 1)^2)/4 = i^2 + 3j^2 - 3j +
3/4
これは,c が自然数にならないので不適です。
(1-3) g = 2i - 1, h = 2j, i, j は自然数,の場合
(1-3-1) e = 3g^2, f = h^2 の場合
b = gh = (2i - 1)(2j)
c = (e + f)/4 = (3g^2 + h^2)/4 = (3(2i - 1)^2 + (2j)^2)/4 = 3i^2 - 3i + j^2 +
3/4
これは,c が自然数にならないので不適です。
(1-3-2) e = g^2, f = 3h^2 の場合
b = gh = (2i - 1)(2j)
c = (e + f)/4 = (g^2 + 3h^2)/4 = ((2i - 1)^2 + 3(2j)^2)/4 = i^2 - i + 3j^2 + 3j + 1/4
これは,c が自然数にならないので不適です。
g, h は互いに素なので,この場合は,これですべてです。
(2) gcd(e,f) = 2 の場合
e = 2e', f = 2f', e', f' は互いに素
b = 2b'
として,3b^2 = ef から,
3(b')^2 = e'f'
と書けます。これから,(1) と同様にして,g, h を自然数として,
e = 6g^2, f = 2h^2 又は e = 2g^2, f = 6h^2
と書けることになります。このとき,g, h は互いに素です。
(2-1) g = 2i - 1, h = 2j - 1, i, j は自然数,の場合
(2-1-1) e = 6g^2, f = 2h^2 の場合
b = 2gh = 2(2i - 1)(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (6g^2 + 2h^2)/4 = 2(3(2i - 1)^2 + (2j - 1)^2)/4 = 2(3i^2 - 3i +
j^2 - j + 1)
ここで,b, c は 2 を共通因数にもちますが,互いに素の場合を考えていたので,
この場合は考える必要はありません。
(2-1-2) e = 2g^2, f = 6h^2 の場合
b = 2gh = 2(2i - 1)(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (2g^2 + 6h^2)/4 = 2((2i - 1)^2 + 3(2j - 1)^2)/4 = 2(i^2 - i + 3j^2 - 3j + 1)
ここで,b, c は 2 を共通因数にもちますが,互いに素の場合を考えていたので,
この場合は考える必要はありません。
(2-2) g = 2i, h = 2j - 1, i, j は自然数,の場合
(2-2-1) e = 6g^2, f = 2h^2 の場合
b = 2gh = 4i(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (6g^2 + 2h^2)/4 = 2(3(2i)^2 + (2j - 1)^2)/4 = 6i^2 + 2j^2 - 2j
+ 1/2
これは,c が自然数にならないので不適です。
(2-2-2) e = 2g^2, f = 6h^2 の場合
b = 2gh = 4i(2j - 1)
c = (e + f)/4 = (4g^2 + 6h^2)/4 = 2((2i)^2 + 3(2j - 1)^2)/4 = 2i^2 + 6j^2 - 6j
+ 3/2
これは,c が自然数にならないので不適です。
(2-3) g = 2i - 1, h = 2j, i, j は自然数,の場合
(1-3-1) e = 6g^2, f = 2h^2 の場合
b = 2gh = 2(2i - 1)(2j)
c = (e + f)/4 = (6g^2 + 2h^2)/4 = 2(3(2i - 1)^2 + (2j)^2)/4 = 6i^2 - 6i + 2j^2
+ 3/2
これは,c が自然数にならないので不適です。
(2-3-2) e = 2g^2, f = 6h^2 の場合
b = 2gh = 2(2i - 1)(2j)
c = (e + f)/4 = (2g^2 + 6h^2)/4 = 2((2i - 1)^2 + 3(2j)^2)/4 = 2i^2 - 2i + 6j^2
+ 6j + 1/2
これは,c が自然数にならないので不適です。
g, h は互いに素なので,この場合は,これですべてです。
(3) gcd(e,f) = 4 の場合
e = 4e', f = 4f', e', f' は互いに素
b = 4b'
として,3b^2 = ef から,
3(b')^2 = e'f'
と書けます。これから,(1) と同様にして,g, h を自然数として,
e = 12g^2 = 3(2g)^2, f = 4h^2 = (2h)^2 又は e = 4g^2 =
(2g)^2, f = 12h^2 = 3(2h)^2
と書けることになります。このとき,g, h は互いに素です。
(3-1) 改めて g -> i, h ->
j とおいて
(3-1-1) e = 12g^2, f = 4h^2 の場合
b = 4gh = (2i)(2j) = 4ij
c = (e + f)/4 = (12g^2 + 4h^2)/4 = (3(2i)^2 + (2j)^2)/4 = 3i^2 + j^2
d = (e - f)/2 = (12g^2 - 4h^2)/2 = (3(2i)^2 - (2j)^2)/2 = 6i^2 - 2j^2
a = (- b + d)/2 = (12g^2 - 4h^2 - 8gh)/4 = (3g + h)(g - h) = (3i + j)(i - j)
= 3i^2 + ij - 3ij - j^2
= 3i^2 - 2ij - j^2
= 4i^2 - i^2 - 2ij - j^2
= (2i)^2 - (i + j)^2
そこで,
m = 2i, n = i + j
とおくと,
2i = m, 2j = 2n - m
a = m^2 - n^2
b = m(2n - m) = 2mn - m^2
c = (3m^2 + (2n - m)^2)/4 = m^2 - mn + n^2
になります。ただし,m は偶数です。
(3-1-2) e = 4g^2, f = 12h^2 の場合
b = 4gh = (2i)(2j) = 4ij
c = (e + f)/4 = (4g^2 + 12h^2)/4 = ((2i)^2 + 3(2j)^2)/4 = i^2 + 3j^2
d = (e - f)/2 = (4g^2 - 12h^2)/2 = ((2i)^2 - 3(2j)^2)/2 = 2i^2 - 6j^2
a = (- b + d)/2 = (4g^2 - 12h^2 - 8gh)/4 = (g - 3h)(g + h) = (i - 3j)(i + j)
= i^2 - 3ij + ij - 3j^2
= i^2 - 2ij - 3j^2
= i^2 - 2ij + j^2 - 4j^2
= (i - j)^2 - (2j)^2
そこで,
m = i - j, n = 2j
とおくと,
2i = 2m + n, 2j = n
a = m^2 - n^2
b = (2m + n)n = 2mn + n^2
c = ((2m + n)^2 + 3n^2)/4 = m^2 + mn + n^2
になります。ただし,n は偶数です。
以上ですべてです。
そこでまとめると,解は,m, n を自然数として,
a = m^2 - n^2
b = 2mn - m^2
c = m^2 - mn + n^2
又は
a = m^2 - n^2
b = 2mn + n^2
c = m^2 + mn + n^2
となります。
ここで,二つの異なる解が得られたように見えますが,実は,
1番目の解で
n -> M, m - n -> N と置き換えると m -> M + N, m + n
-> 2M + N で,
1番目の a = m^2 - n^2 = (m + n)(m - n) -> (2M + N)N =
2MN + N^2 = 2番目の b
1番目の b = 2mn - m^2 = n^2 - (m - n)^2 -> M^2 - N^2 = 2番目の a
2番目の解で
m + n -> M, m -> N と置き換えると n -> M - N, m - n
-> 2N - M で,
2番目の a = m^2 - n^2 = (m + n)(m - n) -> M(2N - M) =
2MN - M^2 = 1番目の b
2番目の b = 2mn + n^2 = (m + n)^2 - m^2 -> M^2 - N^2 = 1番目の a
となっており,結局,同じ解を与える異なる表現であることが分かります。
(c は a, b によって一意に決まります。)
そこで,結局,解としては,m, n を自然数として,
a = m^2 - n^2
b = 2mn + n^2
c = m^2 + mn + n^2
で十分で,これは問題に与えられているものと一致します。
ただし,a, b, c は互いに素としたので,m, n は互いに素,m - n は 3 の倍数ではない,
という付帯条件をつけておきます。
(m - n が 3 の倍数のときには,a, b が 3 の共通因数をもちます。)
(考察)
解の異なる表現について,次のように考えてもよさそうです。
c^2 = a^2 + b^2 + ab
の解において,a, b は互いに素,としているので,偶数は a
か b のどちらか片方だけです。
解くべき式は a, b に関して対称なので,解としては偶数は
a にだけ可能で b は奇数に限る,
としても一般性を失いません。また,a, b が入れ替わった解は考えないことにします。
この条件の下では,問題4:の解法において,3b^2 = ef
の e, f はどちらも奇数しかとれません。
そこで,g, h も奇数だけで,(1-1)だけが可能です。したがって,解としては,
a = m^2 - n^2
b = 2mn - m^2
c = m^2 - mn + n^2
m は奇数
及び
a = m^2 - n^2
b = 2mn + n^2
c = m^2 + mn + n^2
n は奇数
で尽くされていることになります。
ここで,1番目の解で,n -> M, m - n -> N と置き換えると m -> M + N, m + n -> 2M + N で,
1番目の a = m^2 - n^2 = (m + n)(m - n) -> (2M + N)N =
2MN + N^2 = 2番目の b
1番目の b = 2mn - m^2 = n^2 - (m - n)^2 -> M^2 - N^2 = 2番目の a
となって,2番目の解が導かれるのですが,m - n -> N なので,N は奇数,偶数の両方が可能です。
N が偶数の場合は,2番目の解の n を偶数に拡張した場合に対応します。
実際,2番目の解で,m + n -> M, m -> N と置き換えると n -> M - N, m - n -> 2N - M で,
2番目の a = m^2 - n^2 = (m + n)(m - n) -> M(2N - M) =
2MN - M^2 = 1番目の b
2番目の b = 2mn + n^2 = (m + n)^2 - m^2 -> M^2 - N^2 = 1番目の a
となり,1番目の解になりますが,ここで,2番目の解の n を偶数に拡張すると,
a, b は互いに素なので m は奇数でなければならず,m +
n -> M の M は奇数です。
したがって,2番目の解で n を偶数に拡張したものは1番目の解に完全に含まれます。
つまり,2番目の解に含まれていない n が偶数の場合は1番目の解から導かれます。
N が奇数の場合は,1番目の解は2番目の解に含まれ重複するのですが,a, b が入れ替わっています。
最初の仮定で,a, b の入れ替わったものは考えないことにしたので,
1番目の解から導出される N が奇数となる部分は捨てて構わないでしょう。
そこで,結局,2番目の解で n が奇数,偶数の両方を取ると拡張したものを
解としていいことになります。
(別解)
c^2 = a^2 + b^2 + ab, a, b, c は自然数
を解くことを考えます。
a, b, c のうちそれぞれ二つが 1 でない共通因数をもてば,もう一つも同じ因数をもちます。
そこで,a, b, c はそれぞれ二つずつが互いに素の場合を考えれば十分です。
さて,両辺を c で割ると,
(a/c)^2 + (b/c)^2 + (a/c)(b/c) = 1
x = a/c, y = b/c とおくと,x, y は有理数で,
x^2 + y^2 + xy = 1
になります。そこで,逆に,この x, y の方程式の有理数解を求めれば,
それから a, b, c を求めることができます。
そして,これは,x, y の方程式で表現されるグラフの有理点を求めることと同値です。
少し調べてみると,x^2 + y^2 + xy = 1 は,点 (-1,0) を通る軸が 45°傾いた楕円です。
そこで,点 (-1,0) を通り傾きが有理数 t の直線のグラフ y = t(x + 1) との交点を考えてみます。
これは,この二式から y を消去すれば x の有理数係数の二次方程式となり,
点 (-1,0) を通り x = - 1 を解にもつので,有理係数の範囲で因数分解でき,
もう一つの解も有理数となり,その解から有理点が求まるからです。実際,
y = t(x + 1)
x^2 + y^2 + xy = 1
y を消去すると,
x^2 + (t(x + 1))^2 + x(t(x + 1)) = 1
(t^2 + t + 1) * x^2 + (2t^2 + t) * x + (t^2 - 1) = 0
(x + 1)((t^2 + t + 1)x + (t^2 - 1)) = 0
x = - 1, (1 - t^2)/(1 + t + t^2)
そこで,
x = (1 - t^2)/(1 + t + t^2)
y = t(x + 1) = (2t + t^2)/(1 + t + t^2)
という有理点が,したがって,x^2 + y^2 + xy
= 1 の有理数解が求まりました。
ここで,t = n/m,m, n は互いに素,とすると,
x = (m^2 - n^2)/(m^2 + mn + n^2)
y = (2mn + n^2)/(m^2 + mn + n^2)
となります。x = a/c, y = b/c,a, b, c はそれぞれ互いに素,だったので,
a = m^2 - n^2
b = 2mn + n^2
c = m^2 + mn + n^2
がいえます。ただし,a, b, c はぞれぞれ互いに素としたので,
m, n は互いに素,m - n は 3 の倍数ではない,という付帯条件がつきます。
(m - n が 3 の倍数のときには,a, b が 3 の共通因数をもちます。)
(感想)
問題3:が力業になってしまいました。もっとうまい方法があるのかも。
問題4:は,最初,異なる解の表現が現れたり,少し複雑な解法を思いつきましたが,
グラフの有理点を求める方法で簡単に解けました (^^;
なお,異なる解の表現に関しては,若干の考察を加えました。
NO2「kashiwagi」 10/31 22時05分受信 更新11/16
215回解答
問題1&3. 以下の表に示す。
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
m |
n |
m2-n2 |
n2+2mn |
m2+n2+mn |
m2+2mn |
3*4*5*6 |
3*4*5*6/840 |
2 |
1 |
3 |
5 |
7 |
8 |
840 |
1 |
3 |
1 |
8 |
7 |
13 |
15 |
10920 |
13 |
4 |
1 |
15 |
9 |
21 |
24 |
68040 |
81 |
5 |
1 |
24 |
11 |
31 |
35 |
286440 |
341 |
3 |
2 |
5 |
16 |
19 |
21 |
31920 |
38 |
4 |
2 |
12 |
20 |
28 |
32 |
215040 |
256 |
5 |
2 |
21 |
24 |
39 |
45 |
884520 |
1053 |
6 |
2 |
32 |
28 |
52 |
60 |
2795520 |
3328 |
4 |
3 |
7 |
33 |
37 |
40 |
341880 |
407 |
5 |
3 |
16 |
39 |
49 |
55 |
1681680 |
2002 |
7 |
3 |
40 |
51 |
79 |
91 |
14665560 |
17459 |
8 |
3 |
55 |
57 |
97 |
112 |
34058640 |
40546 |
5 |
4 |
9 |
56 |
61 |
65 |
1998360 |
2379 |
7 |
4 |
33 |
72 |
93 |
105 |
23201640 |
27621 |
9 |
4 |
65 |
88 |
133 |
153 |
116396280 |
138567 |
11 |
4 |
105 |
104 |
181 |
209 |
413092680 |
491777 |
6 |
5 |
11 |
85 |
91 |
96 |
8168160 |
9724 |
7 |
5 |
24 |
95 |
109 |
119 |
29573880 |
35207 |
8 |
5 |
39 |
105 |
129 |
144 |
76068720 |
90558 |
9 |
5 |
56 |
115 |
151 |
171 |
166287240 |
197961 |
7 |
6 |
13 |
120 |
127 |
133 |
26349960 |
31369 |
11 |
6 |
85 |
168 |
223 |
253 |
805663320 |
959123 |
13 |
6 |
133 |
192 |
283 |
325 |
2348673600 |
2796040 |
17 |
6 |
253 |
240 |
427 |
493 |
12782227920 |
15216938 |
問題2.
これらを加えると、となる。
又、となる。
因ってを満たすことが証明された。
NO3「新俳人澄朝」11/01 14時29分受信 更新11/16
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。