平成21年6月14日
[流れ星]
第225回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:5月24日〜6月14日
[円錐台に内接する球]
先日、とあるバーへ飲みに行く機会があった。同僚と同じ飲み物オン・ザ・ロックを注文したときのことである。ロックグラスと丸氷の絶妙なセッテイングを目にした。それは円錐台の形をしたグラスの高さが氷の直径に等しく、しかもグラスの側面に氷が寄り添うようにぴったし収まっている光景だ。どんなグラスと氷のときにこのような巧妙にマッチしたウイスキーを飲むことができるか暫し考えこんだ。ここで、問題です。
問1. 具体的な数値を知りたくて測ってみたところ、飲み口の面、つまり上底面の直径が8cm、底にあたる面、下底面の直径が6cmのグラスだと分かった。グラスの高さすなわち氷の直径を計算してください。
問2. 次に、上底面の半径がa cm、下底面の半径がb cmの円錐台に内接する球の半径 rをa、bで表せ。参考に円錐台の底面の中心を通り、底面に垂直な平面によって切断した図を書いておく。
問3 問2の結果を用いて、正の数 a、bについての相加平均、相乗平均の大小関係を図から考察せよ。
NO1「uchinyan」 5/24 13時19分受信 更新6/14
<コメント:第225回数学的な応募問題への解答 を送ります。
ちょっとしたところに意外な関係が隠れているものだなぁ,と改めて感心しました。
それを見逃さないのは,さすがお見事です!><水の流れ:恐縮します>
第225回数学的な応募問題
[円錐台に内接する球]
問1&問2
問1は問2の特殊な場合なので,一緒に解いてしまいましょう。
図における,円の中心を O,台形の上右端の頂点から反時計回りに頂点を A, B, C, D とします。
また,AB, BC, CD, DA と 円O との接点を P, Q, R, S とします。
明らかに,∠PAS + ∠POS = 180°= ∠POQ + ∠POS なので,∠PAS = ∠POQ です。同様に,∠POS = ∠PBQ です。
そこで,□APOS と □OPBQ は相似になります。
これより,AS:OQ = OS:BQ で,a:r = r:b で,r^2 = ab, r =
√(ab) になります。
これが,問2 の答えです。半径は,a, b の相乗平均ですね。
問1 は,a = 8/2 = 4 cm, b = 6/2 =
3 cm として,
氷の直径 = 2r = 2√(4 * 3) = 4√3 = 6.9282...
ほぼ 7 cm になります。
問3
r が a, b の相乗平均になっているので,相加平均,又はその元の a + b,を探します。
まず,円とその接線の性質により,AP = AS = a, BP = BQ = b です。
そこで,AB = AP + BP = a + b です。
・a > b の場合(与えられた図の場合)
Q より AB に平行な線を引くと AS と交わります。この交点を E とします。
□ABQE は平行四辺形なので,EQ = AB = a + b です。
すると,△QES において,∠QSE = 90°>
∠QES (鋭角) なので,EQ > SQ です。
SQ = 2r = 2√(ab) だったので,a + b
> 2√(ab),(a + b)/2 > √(ab) になります。
・a < b の場合
S より AB に平行な線を引くと BQ と交わり,この交点を F とすれば,
△SFQ において SF > SQ となり,同様に,(a
+ b)/2 > √(ab) がいえます。
・a = b の場合
グラスは円柱になり,□ABCD は長方形になるので,
AB = SQ,a + b = 2r = 2√(ab) で,(a + b)/2 = √(ab) になります。
以上より,
(a + b)/2 >= √(ab),等号は a = b
がいえます。これは,相加平均と相乗平均の関係を表しています。
(感想)
これは,虚を突かれた感じの面白い問題でした。
暮らしのちょっとしたところにも意外な関係が隠れているものですね。
それを見逃さない 水の流れさん の目は,さすがお見事ですね!
NO2「kashiwagi」 5/25 21時49分受信 更新6/14
<コメント:お世話になります。今回の問題はウイスキーグラスからの思いつきだそうですが、
非常に興味深く拝読致しました。しかも、キチンと相加・相乗平均の証明に反映させるとは流石ですね。十分に楽しませて頂きました。>
225回解答
問1.
題意より等脚台形の上底および下底各々の距離差の半分と等脚台形の高さ(内接円の直径と等しい)を2辺とし、斜辺の長さは図よりは上底および下底の各々半分の長さを加えた直角三角形であるから、三平方の定理を使い
72=12+4r2 より r=2√3 となる。因って求めるものは2rであるから4√3となる。
問2.
問1をaとbを使用して書き表すと、
(a+b)2=(a-b)2 +4r2 となり、この式より r=√abとなる。
問3.
図から明らかであるが (a+b)/2 は接する円の半径より大きい。因って、
が成り立つ。
又、aとbが等しい場合は長方形となり、その長さが円の半径であるから、上記式に等号が
つくことになり、正に相加平均と相乗平均が等しいことになる。
NO3「スモークマン」 6/03 20時52分受信 更新6/14
<コメント:今回はわかりました
^^・・・似た問題を他のサイトで解いた覚えがあります♪>
問2.上底面の半径がacm、下底面の半径がbcmの円錐台に内接する球の半径r
をa、bで表せ。
図から、、、
(a+b)^2=(a-b)^2+(2r)^2
4ab=4r^2
√(ab)=r
問1.具体的な数値を知りたくて測ってみたところ、飲み口の面、つまり上底面の直
径が8cm、 底にあたる面、下底面の直径が6cmのグラスだと分かった。グラス
の高さすなわち氷の直径を計算してください。
a=4,b=3
直径=2r=2√(4*3)=4√3 cm
問3 問2の結果を用いて、正の数 a、bについての相加平均、相乗平均の大小関
係を図から考察せよ。
図より、明らかに(平行線間の距離が最短なので)、、、
a+b >= 2r = 2√(ab)
つまり、
(a+b)/2 >= √(ab)・・・相加平均>=相乗平均
であるといえる♪
ちなみに、、、
上底が8cmで母線が28cmの三角錐のグラスにこのアイスボールを入れたら、、、
上底に接するようにできるんですね ^^母線=a(a+b)/(a-b) になると思うので...
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。