平成21年11月22日
[流れ星]
第233回数学的な応募問題
<解答募集期間:11月22日〜12月13日
[6nー1の素数]
皆さん、今年の千葉大学入試問題の中で、素数の関する問題がありました。
(1)5以上の素数は、ある自然数nをも用いて6n+1または6n−1の形に表されることを示せ。
(2)Nを自然数とする。6N−1は、6n―1(nは自然数)の形で表される素数を約数にもつことを示せ。
(3)6n―1(nは自然数)の形で表される素数は無限に多く存在することを示せ。
NO1「uchinyan」 11/22 16時15分受信 更新12/13
第233回数学的な応募問題
[6nー1の素数]
(1)
4 以上の整数は,必ず,n を自然数として,6n-2,6n-1,6n,6n+1,6n+2,6n+3 と表せますが,
5 以上の素数は,2 の倍数でも,3 の倍数でもないので,必ず,6n-1 又は 6n+1 の形になります。
(2)
6N-1 が 6n-1 型の素数を約数もたないとします。
すると,(1)より,6n+1 型の素数だけを約数,素因数,にもつことになりますが,一般に,
(6k+1)(6m+1) = 6(6km+k+m)) + 1
となり, 6n+1 型の素数をいくら掛けても 6 で割って +1 余る数しかできず,6N-1 型の整数になりません。
そこで,少なくとも 1 個,一般には奇数個,の 6n-1 型の素因数,つまりは約数,を必ずもつことになります。
(3)
6n-1 型の素数が有限個しかないとします。そして,それらの積を N とします。N はもちろん自然数です。
ここで,6N-1 という整数を作ると,有限個のどの 6n-1 型の素数で割っても,N を割り切ってしまい,
6N-1 自体を割り切ることはありません。
ところが,(2)より,6N-1 は 6n-1 型の素数を必ず約数にもちます。
これは矛盾です。
したがって,6n-1 型の素数は無限個あることになります。
(考察)
6n+1 型の素数に関しては,少なくとも,上記の方法では有限個か無限個か分からないようです。
6n-1 型の素数を偶数個掛けると 6n+1 型の整数になってしまうので。
少し考えてみたのですが,こんな感じでどうでしょうか。
6n+1 型の素数が有限個しかないとします。そして,それらの積を N とします。N はもちろん自然数です。
ここで,(6N)^3 + 1 という整数を作ると,有限個のどの
6n+1 型の素数で割っても,N を割り切ってしまい,
(6N)^3 + 1 自体を割り切ることはありません。
ここで,もし,(6N)^3 + 1 自体が素数ならば,
(6N)^3 + 1 = 6 * (6^2 * N^3) + 1 > N > 既存の 6n+1 型の素数
で,新たな 6n+1 型の素数になり,6n+1 型の素数が有限個であったことに矛盾します。
(6N)^3 + 1 自体が素数でない場合は,(6N)^3 + 1 が p という素因数をもつとします。明らかに p は 5 以上です。
すると,mod p で考えて,
(6N)^3 + 1 ≡ 0
(6N)^3 ≡ -1
(6N)^6 ≡ +1
ここで,p が 6N を割り切ることはないので,p が素数であることから,p と 6N は互いに素となり,
フェルマーの小定理から,
(6N)^(p-1) ≡ +1
このことと先ほどの式から,q を 0 以上の整数,r を 0 <= r <= 5 の整数,として,
p-1 = 6q + r
(6N)^(p-1) ≡ +1
(6N)^(6q + r) ≡ +1
((6N)^6)^q * (6N)^r ≡ +1
1 * (6N)^r ≡ +1
(6N)^r ≡ +1
・r = 0 の場合
(6N)^0 ≡ +1
p-1 = 6q,p = 6q + 1
これは,OK。
・r = 1 の場合
(6N)^1 ≡ +1
(6N)^3 ≡ +1
これは,(6N)^3 ≡ -1 と矛盾するので,不可。
・r = 2 の場合
(6N)^2 ≡ +1
p-1 = 6q + 2,p = 6q + 3
p は 5 以上の素数でなければなりませんが,そのような p は存在しません。
・r = 3 の場合
(6N)^3 ≡ +1
これは,(6N)^3 ≡ -1 と矛盾するので,不可。
・r = 4 の場合
(6N)^4 ≡ +1
p-1 = 6q + 4,p = 6q + 5
その一方で,
(6N)^2 ≡ (6N)^2 * (6N)^4 ≡ (6N)^6 ≡ +1
つまり,r = 2 の場合にも帰着してしまい,p = 6q +
3 にもなります。
このような p は存在しません。
・r = 5 の場合
(6N)^5 ≡ +1
p-1 = 6q + 5,p = 6q + 6
p は 5 以上の素数でなければならないので,不可。
結局可能なのは,p = 6q + 1 の場合だけです。
つまり,(6N)^3 + 1 は 6n+1 型の素数で割り切れます。
これは,既存のどの 6n+1 型の素数も (6N)^3 + 1
を割り切らなかったことに矛盾します。
以上より,6n+1 型の素数は無限個あることがいえました。
(感想)
これは,有名な,ユークリッドによる素数は無限個あることの証明の類似版ですね。
誘導形式になっているので,考えやすかったです。
NO2「kashiwagi」 11/25 07時33分受信 更新12/13
233回解答
(1)
nの値に応じた表を作成すると確かに素数はこの2タイプで表される。但し、黄色で塗りつ
ぶした数値は素数ではない。
(2)上表より、各々の素数は自らを約数にもつので条件を満たしている。問題は素数で無いものだが、35=5×7、65=5×13、77=7×11、95=5×19、119=7×17、161=7×23・・・・というように6n-1タイプの素数5、11、17、23・・・を約数に持つことが分かる。
(3)このタイプの素数が有限だとすると、一番大きな素数が存在する。その素数をAとし、このタイプの素数全ての積をBとすると、
B=5×11×17×23×・・・・・・・×Aと表せる。ここで、Bに1を加えた数をCとすると、
C=5×11×17×23×・・・・・・・×A+1となる。
このCは5,11,17・・・・Aのどの数でも割り切れず、1余る。即ち、Cはこれら素数の約数ではない。即ち、Cは素数であり、Bより大きな数となる。これは最大の素数はAであるという前提と矛盾する。因って、6n-1タイプの素数は無限に存在する。
NO3「スモークマン」 12/02 22時59分受信 更新12/13
お久しぶりです ^^;
今回は手が出そうだったので...トライします Orz〜
(1)5以上の素数は、ある自然数nをも用いて6n+1または6n−1の形に表さ
れることを示せ。
素数を含めたあらゆる5以上の数は、
6n
6n±1
6n±2
6n±3
のいずれかで表わされる...
が...
素数とすると...
明らかに...6n±1 の形でしかありえない。
(2)Nを自然数とする。6N−1は、6n―1(nは自然数)の形で表される素数
を約数にもつことを示せ。
5以上の自然数 6N-1 は、(1)から...合成数なら...あらゆる5以上の素数が 6n±1 で
表わされるのだから...
それらの素数の積で表わされる。6n+1 だけの積では...6N+1
になるので...奇数個の
6n-1
型の素数を因子に持つことが言える。
(3)6n―1(nは自然数)の形で表される素数は無限に多く存在することを示せ
。
有限のm個しかないとすると...
(6n_1-1)(6n_2-1)・・・(6n_m-1)-1 という数は...
(2)から...6n-1 という素因数を少なくとも1個 or 奇数個持っているはずだが...
それは、6n_1-1〜6n_m-1 の m個の素数ではないので...
新しい素数ということになり...これは有限のm個しかないことに矛盾する。
つまり...6n-1 型の素数は無限であるといえる。
ユークリッドさんの素数の無限の証明法の踏襲ですね...^^;v
今年もカウントダウンとなりましたが 少し早いけど...よいお年をお迎えください
ませ〜^^
来年もできるだけチャレンジしたいと思います m(_ _)mγ
また、よろしくお願いいたします〜〜〜♪
<水の流れ:「素数が無限に存在する」という命題を歴史的に有名な3人の証明を紹介します。>
命題:素数は無限に存在する
@ ユークリッドによる証明
背理法による。素数の個数が有限個であったとして、それらを、p1,p2,p3,・・・,pn とする。
これら以外の整数は合成数である。
ここで、
N=p1×p2×p3×・・・×pn+1 を作る。
これはもちろん合成数だから、ある素数で割り切れるはずである。
ところがすべての素数であるp1,p2,
p3,・・・,pnのどれで割っても1が余って、割り切れない。これは不合理である。
A クンマーによる証明
素数が有限個しかないとして、これらを、
p1,p2,p3,・・・,pn
(1<p1<p2<p3<・・・<pn )とする。これ以外は合成数である。
N=p1×p2×p3×・・・×pn とおく。N−1はどのpとも異なり合成数だから、どれかの素数、例えばp1で割り切れる。Nもp1で割り切れるから、差の1がp1で割り切れることになり、不合理である。
B オイラーによる証明
pを任意の素数とする。
だから、無限等比級数の和の公式によって、
次の等式が成り立つ。
素数が有限個p1,p2,p3,・・・,pn であったとして、各pi ついて@を作り、これらを辺々掛けた式の右辺をAとする。
右辺の各級数は絶対収束だから、括弧をはずして並べ替えもよい。そのときの一般項の分母は、
の形で、指数a,b,・・・,cは、正整数のあらゆる組み合わせをとる。整数の素因数分解の一意性によって、Bにはすべての自然数がもれなく重複なく現れるので、Aは
となるが、@式を作り、これらを辺々掛けた式の左辺は有限個の積だから有限確定である。
これは矛盾。
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。