平成22年1月24日
[流れ星]
第235回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:1月3日〜1月24日
[確率は面積比(2)]
皆さん、場合の数が無数にある確率の問題を考えたことがありますか。
ここで、問題です。
円周上に異なる3点A,B,Cを選び、三角形ABCを作る。このとき、
(1)直角三角形となる確率を求めよ。
(2)鋭角三角形となる確率を求めよ。
(3)鈍角三角形となる確率を求めよ。
ヒント:円の中心が三角形の周上または内部、外部にあるときを考えてください。
もちろん、他の解法を考えても構いません。
NO1「uchinyan」 01/03 14時37分受信
「uchinyan」 01/04 13時54分受信
更新1/24
第235回数学的な応募問題
[確率は面積比(2)]
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願い致します。
さて,問題ですが...
円の中心を O とします。
A,B,C はこの円周上にありますが,重複しないように,
A を固定し,A,B,C の順番に反時計回りにある,としても一般性を失いません。
そこで,A を固定した状態で,A,B,C は一致しないように,まず,B をとり,次に,C をとる,と考えます。
すると,∠AOB = x,∠AOC = y として,0 < x < y < 2π です。
このとき,図形的性質から,
0 < x < π の場合
x < y < π の場合 △ABC は ∠ABC が鈍角の鈍角三角形
y = π の場合 △ABC は ∠ABC が直角の直角三角形
π < y < π + x の場合 △ABC は鋭角三角形
y = π + x の場合 △ABC は ∠BAC が直角の直角三角形
π + x < y < 2π の場合 △ABC は ∠BAC が鈍角の鈍角三角形
x = π の場合 △ABC は ∠ACB が直角の直角三角形
π < x < 2π の場合 △ABC は
∠ACB が鈍角の鈍角三角形
となります。0 < x < y < 2π と,A,B,C は一致しない,にも注意して,まとめると,
(1) △ABC が直角三角形の場合
((0 < x < π) and ((y = π) or (y = π + x))) or ((x = π) and (π < y <
2π))
(2) △ABC が鋭角三角形の場合
(0 < x < π) and (π < y < π + x)
(3) △ABC が鈍角三角形の場合
((0 < x < π) and ((x < y < π) or (π + x < y < 2π))) or (π
< x < y < 2π)
これを (x,y) 座標平面で表します。
B,C の分布は円の円周上一様と考えられるので,x,y の分布も一様で,
それぞれの場合の確率は,それぞれの (x,y) の領域の面積に比例すると考えられます。
そこで,全体が 0 < x < y < 2π であること,点,線分の面積は 0 であること,に注意すると,
(1) △ABC が直角三角形の場合
(0 + 0 + 0)/(2π * 2π * 1/2) = 0
(2) △ABC が鋭角三角形の場合
(π * π * 1/2)/(2π * 2π * 1/2) = 1/4
(3) △ABC が鈍角三角形の場合
(π * π * 1/2 * 3)/(2π * 2π * 1/2) = 3/4
になります。
(別解1)
先ほどの解法で,A は固定するものの,B,C は円周上を自由に動く,と考えることもできます。
ただしこの場合は,∠AOB = x,∠AOC = y として,x <---> y となる場合も含めることになるので,
0 < x < 2π,0 < y < 2π,x not= y で,各々の三角形の可能な領域も,x <---> y の場合が含まれます。
しかし,確率では,分母になる全体の面積が2倍,分子になるそれぞれの領域の面積も2倍,
になるだけなので,打ち消しあって,同じ結果を与えます。
(別解2)
最初の解法を,ちょっと見直しました。こちらの方が若干考えやすい,と思います。
A,B,C の設定は同じにして,∠AOB = x,∠BOC = y とすると,∠COA = 2π - x - y で,
0 < x < 2π,0 < y < 2π,0 < x + y < 2π です。
この条件の下で,図形的性質から,明らかに,
(1) △ABC が直角三角形の場合
(x = π) or (y = π) or (x + y = π)
(2) △ABC が鋭角三角形の場合
(0 < x < π) and (0 < y < π) and (π < x + y < 2π)
(3) △ABC が鈍角三角形の場合
(π < x < 2π) or (π < y < 2π) or (0 < x + y < π)
これらを (x,y) 座標平面で表します。
すると,同様に,それぞれの確率は,それぞれの領域の面積に比例すると考えられ,
(1) △ABC が直角三角形の場合
(0 + 0 + 0)/(2π * 2π * 1/2) = 0
(2) △ABC が鋭角三角形の場合
(π * π * 1/2)/(2π * 2π * 1/2) = 1/4
(3) △ABC が鈍角三角形の場合
(π * π * 1/2 * 3)/(2π * 2π * 1/2) = 3/4
になります。
(別解3)
(別解1)と同じ設定において,つまり,A は固定するものの,B,C は円周上を自由に動く,とすると,
∠AOB が x 〜 x + dx の間にある確率は dx/2π,∠AOC が y 〜 y + dy の間にある確率は dy/2π,
と考えられます。
そして,それぞれの三角形の満たす範囲は,(別解1)と同じになることより,
dx -> 0,dy -> 0 の極限を考えることで,
次のように,積分などを使って,直接に,確率を求めることもできます。
(1) △ABC が直角三角形の場合
x,y のいずれかの積分範囲が 0 なので 0
(2) △ABC が鋭角三角形の場合
∫[x=0,π]{∫[y=π,π+x]{dy/2π}dx/2π} + (x <---> y としたもの)
= ∫[x=0,π]{∫[y=π,π+x]{dy/2π}dx/2π} * 2 <----- y - π -> y と置換
= ∫[x=0,π]{∫[y=0,x]{dy/2π}dx/2π} * 2
= ∫[x=0,π]{2x/(2π)^2}dx
= [x^2/(2π)^2][x=0,π]
= 1/4
(3) △ABC が鈍角三角形の場合
((0 < x < π) and ((x < y < π) or (π + x < y < 2π))) or (π
< x < y < 2π)
∫[x=0,π]{∫[y=x,π]{dy/2π}dx/2π} + (x <---> y としたもの)
+ ∫[x=0,π]{∫[y=π+x,2π]{dy/2π}dx/2π} + (x <---> y としたもの)
+ ∫[x=π,2π]{∫[y=x,2π]{dy/2π}dx/2π} + (x <---> y としたもの)
= ∫[x=0,π]{∫[y=x,π]{dy/2π}dx/2π} * 2
+ ∫[x=0,π]{∫[y=π+x,2π]{dy/2π}dx/2π} * 2
+ ∫[x=π,2π]{∫[y=x,2π]{dy/2π}dx/2π} * 2 <----- x - π -> x と置換
= ∫[x=0,π]{∫[y=x,π]{dy/2π}dx/2π} * 2
+ ∫[x=0,π]{∫[y=π+x,2π]{dy/2π}dx/2π} * 4 <----- y - π -> y と置換
= ∫[x=0,π]{∫[y=x,π]{dy/2π}dx/2π} * 6 <----- π - y -> y と置換
= ∫[x=0,π]{∫[y=0,π-x]{dy/2π}dx/2π} * 6 <----- π - x -> x と置換
= ∫[x=0,π]{∫[y=0,x]{dy/2π}dx/2π} * 2 * 3 <----- (2)の計算を利用
= 3/4
と,求めることもできます。
なお,(3)は,(1)と(2)より,1 - 0 - 1/4 = 3/4 としてもいいですね。
(考察)
この問題は,「第204回数学的な応募問題[正n角形の3頂点]」の問題4:の結果と一致しています。
第204回では,正n角形を基に考えていますが,
n -> ∞ では,正n角形の頂点はその外接円の円周上に一様に分布するので,
結果が一致するのは,自然でもっともなこと,と思われます。
第204回の(感想)でも少し述べましたが,
・直角三角形が存在するにも関わらず,確率は 0。
・鈍角三角形の確率が意外と多く,鋭角三角形の確率の3倍もある。
のには,ちょっと驚きです。
(感想)
問題を見たときに,正n角形の極限で計算したことあるよな,と思い,第204回を思い出しました。
最初は,設定を間違えて重複しており,全体が 1 を超える変な値になってしまったのですが,
第204回のおかげで,軌道修正できました。
今年も宜しくお願い致します。
NO2「スモークマン」 01/04 22時41分受信 更新1/24
回答
3点のうちの1点を固定して考えてもよい。
次にもう一点を取るとき、最初の点から時計回りに180°まで移動させる。
それらの点と円の中心を通る直線を引くとき、それらの点と反対側のそれらの直線と
の間に区切られた円周上に3番目の点があるときのみ鋭角三角形になる。
つまり、0〜半円周の領域に範囲は広がってゆく。
このとき、それ以外の領域、つまり、全円周〜半円周の領域に3番目の点が存在する
場合が、鈍角三角形になっている。円周の長さ(中心角 x)とその円周でできる扇方の
面積(y)は1:1対応しているので...
0〜半円周→ y=x
全円周〜半円周→ y=2-x
0≦x≦1(πでもいいけど...)
面積比は...
鋭角三角形:鈍角三角形=1 : 3
直角三角形は...1点を決めたとき、もう1点は or 3番目の点がどちらかの反対側の点
のときしかなく...これでは...扇方という面積にはならないので...0
けっきょく...全体の確率1は...鋭角&鈍角三角形だけで考えればいいので...
(1)直角三角形になる確率=0
(2)鋭角三角形になる確率=1/(1+3)=1/4
(3)鈍角三角形になる確率=3/(1+3)=3/4
になるのかな・・・♪?
NO3「kashiwagi」 01/07 19時20分受信 更新1/24
235回
今△ABCを考え、∠A=α、∠B=βとする。
この三角形が鋭角三角形であるためには、
@0°<α<90°、0°<β<90°
A残りの角度も90°より小さくなければならないので α+β>90°
B三角形の角度という条件から、α+β<180°
以上の3条件を座標系(α、β)に図示すると以下の様になる。
即ち、茶色に塗り潰した部分が鋭角三角形の存在する確率である。これは図から明らかに1/4である。又、残りの3/4が鈍角三角形の存在する確率である。尚、直角三角形の存在は上記三角形の三辺上であり、これは面積を持たないので確率は0となる。
以上を整理すると、
(1)直角三角形のできる確率は0
(2)鋭角三角形の出来る確率は1/4
(3)鈍角三角形の出来る確率は3/4
NO4「再出発」 01/15 22時57分受信
「再出発」 01/17 03時46分受信 更新1/24
(解)
半径1の円周上に1点Aをとります。
そこから時計回りに2点B、Cをとります。
弧ABの長さをθ(Bの縦座標)としたときの点Cの存在範囲の割合で、
△ABCがそれぞれの形状になる確率を考えます。
(@) 0<θ<πのとき、弧ACの長さL(Cの縦座標)が
θ<L<πのとき鈍角三角形
L=πのとき直角三角形
π<L<θ+πのとき鋭角三角形
L=θ+πのとき直角三角形
θ+π<L<2πのとき鈍角三角形
(A) θ=πのとき、π<L<2πで直角三角形
(B) π<θ<2πのとき、θ<L<2πで鈍角三角形
添付の図<prob2.png>は円周を点Aで切り、直線に伸ばした時の
点Bの位置を横軸に、点Cの位置を縦軸にとってできた正方形。
ただし正方形の境界線は含みません。
ピンク色の部分が鈍角三角形になる割合。
黄色の部分が鋭角三角形になる割合。
黄色とピンク色の境界線(紺色)の部分が直角三角形になる割合。
それぞれの確率を面積比で考えて、
直角三角形になる割合は面積としては0なので
(1)の答、0
(2)の答、0.25
(3)の答、0.75
--
これはいい線いっていると思います。
夜更かしの自信作なんですが・・・・・・
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。