平成23年2月20日

[流れ星]

     第253回数学的な応募問題解答

      <解答募集期間:130日〜220

[格子点の数]

nを正の整数とする。座標平面上の点(x,y)が不等式4|x|+3|y|≦12nを満たす領域について、次の問に答えよ。なお、x,yがともに整数である点(x,y)を格子点という。また、|x|は絶対値xを表す記号です。

(1)最初に、x,yがともに自然数であるときの格子点の数をnで表せ。

(2)領域にあって、両座標軸上の格子点の数をnで表せ。

(3)領域にあるすべて格子点の数をnで表せ。

さらに、別な解法として

(4)境界線上の格子点の数をnで表せ。

(5)領域の面積を求めよ。

(6)(4),(5)を利用して、領域にあるすべて格子点の数をnで表せ。

 

NO1uchinyan  01/30 1443分受信 更新2/20

 

4|x| + 3|y| <= 12nn は自然数

 

(1)

xy を自然数とします。すると,

0 < 4x + 3y <= 12n

0 < 1 <= y <= 4n - 4/3 * x

そこで,1 <= x <= 3n-1 で,k を自然数として,

x = 3k-2 のとき,y = 1, 2, ..., 4n-4k+2

x = 3k-1 のとき,y = 1, 2, ..., 4n-4k+1

x = 3k のとき,y = 1, 2, ..., 4n-4k

これより,k = n のとき 4n-4k = 0 なので,格子点の数は,

Σ[k=1,n]{(4n-4k+2) + (4n-4k+1) + (4n-4k)}

= Σ[k=1,n]{12(n-k) + 3}

= 12 * n(n-1)/2 + 3n

= 3n(2n-1)

になります。

 

(2)

x 軸上は y = 0 なので,4|x| <= 12n-3n <= x <= 3n で,6n+1 個。

y 軸上は x = 0 なので,3|y| <= 12n-4n <= y <= 4n で,8n+1 個。

ここで,原点(0,0) を重複して数えているので,座標軸上の格子点の数は,

(6n+1) + (8n+1) - 1 = 14n+1

になります。

 

(3)

(1) xy が自然数ということは,座標平面上では座標軸を除いた第1象限ということです。

一方で,4|x| + 3|y| = 12n のグラフは x 軸,y 軸に対称なので,

領域内のすべての格子点の数は,

3n(2n-1) * 4 + (14n+1) = 24n^2 + 2n + 1

になります。

 

(4)

境界線は 4|x| + 3|y| = 12n x 軸,y 軸に対称です。

そこで,両端を調整すれば,0 <= x <= 3n-1 を考え,4 倍すればいいです。

0 <= x <= 3n-1 では,4x + 3y = 12ny = 4n - 4/3 * x なので,

k を自然数として x = 3k の場合のみ格子点は存在し,

(0,4n), (3,4(n-1)), ..., (3(n-1),4) n 個。

そこで,すべての境界線上の格子点の数は,4n 個,になります。

 

(5)

4|x| + 3|y| = 12n のグラフは x 軸,y 軸に対称なので,

x 軸,y 軸,4x + 3y = 12n で囲まれる三角形の面積の 4 倍が領域の面積になります。

そこで,3n * 4n * 1/2 * 4 = 24n^2,になります。

 

(6)

面積から内部の格子点の数を求めるには,次のピックの定理を使うのがいいでしょう。

 多角形の内部にある格子点の個数を I,辺上にある格子点の個数を B とすると

 多角形の面積 S = I + B/2 - 1

証明はそれほど難しくはないですが面倒ですし,Webで探せば容易に見つかるので省略します。

例えば,Wikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%90%86

など。

そこで,これを使うと,S = 24^2B = 4n なので,

24n^2 = I + (4n)/2 - 1

I = 24n^2 - 2n + 1

ここで求める領域は,4|x| + 3|y| <= 12n で,境界を含むので,B を足して,

I + B = 24n^2 + 2n + 1

になります。

当然ですが,(3)の結果と一致します。

 

(感想)

ピックの定理は興味深い定理であるだけでなく,使い勝手もいい定理ですね。

こういう問題では力を発揮します。

 

 

 

NO2「スモークマン」    02/04 0541分受信

「スモークマン」    02/04 1820分受信

「スモークマン」    02/05 1839分受信 更新2/20

最初に、x,yがともに自然数であるときの格子点の数をnで表せ。

(1)  y=-4x/3=3n
だから...
長方形 4n x 3n で考えると…

対角線上には... [4n/3]-1 個の格子点

長方形内部には (4n-1)*(3n-1)=12n^2-7n+1 個の格子点

けっきょく…
{12n^2-7n+1-([4n/3]-1)}/2+([4n/3]-1)
=(12n^2-7n+[4n/3])/2

2)領域にあって、両座標軸上の格子点の数をnで表せ。

2*(4n+3n)+1=14n+1

3)領域にあるすべての格子点の数をnで表せ。&#8232;&#8232;

4*(12n^2-7n+[4n/3])/2+14n+1
=24n^2+2[4n/3]+1

さらに、別な解法として

4)境界線上の格子点の数をnで表せ。

自然数の場合の数に両先端の2個を加えて...[4n/3]-1+2=[4n/3]+1
4隅が重複してるから...-4

4*([4n/3]+1)-4=4*[4n/3]

5)領域の面積を求めよ。

8n*6n/2=24n^2

(6)(4),(5)を利用して、領域にあるすべて格子点の数をnで表せ。

 ピックの定理を使う…^^
「多角形の内部にある格子点の個数を i、辺上にある格子点の個数を b とするとこ
の種の多角形の面積 S は以下の式で求められる。
 
S=i +b/2-1
           」

24n^2=i+4*[4n/3]/2-1
i=24n^2-2[4n/3]+1

つまり…
領域内の格子点は…辺上の点を加えて...

i+b=24n^2-2[4n/3]+1+4*[4n/3]
   =24n^2+2[4n/3]+1

...一致する式が得られる...

NO3MVH       02/19 1544分受信 更新2/20

<水の流れ:27年前に勤めていたとき、同僚からピックの公式を教えてもらいました。

当時は「なぜなの?」と思いつつ大変な驚きでした。証明はここをクリックください。

http://www2.ocn.ne.jp/~mizuryu/kadai/kadai9kaitou.html >

皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。