平成23年4月3日
[流れ星]
第255回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:3月13日〜4月3日
[3つの平方数の和]
横浜国立大学の過去問から出題します。
(1)
x2+y2+z2=nを満たす整数の組(x,y,z)が存在しないような正の整数nを小さいものから順に6個求めよ。
(2)
整数の2乗を8で割ったとき、余りとなる数をすべて求めよ。
(3)
ここで、x2+y2+z2=nを満たす整数の組(x,y,z)が存在しないような正の整数nについて、何か気がついたことがあれば考察せよ。
<出典から(3)は改題しました。>
NO1「uchinyan」 03/13 15時35分受信 更新4/3
(1)
x^2
+ y^2 + z^2 = n,x,y,z は整数,n は正の整数
を満たす整数の組 (x,y,z) が存在しない n を小さい方から 6 個を求めるのですが,
まずは反対に,整数の組 (x,y,z) が存在する n を小さい方から順に網羅し,
それに現れない n を小さい方から 6 個見つける,という戦略が単純なように思います。
式は二乗の和なので x,y,z が正又は 0 を考えれば十分です。
そこで,以下では,x,y,z を小さい方から与えて解が存在する n を順次求め,
それらを除いていって,解が存在しない n を列挙します。
まず,x = 0,x^2 = 0 のとき,解が存在する n は,y,z <= 7
< 8 の範囲で,
00
01 04 09 16 25 36 49 ...
01
02 05 10 17 26 37 50 ...
04
05 08 13 20 29 40 53 ...
09
10 13 18 25 34 45 58 ...
16
17 20 25 32 41 52 65 ...
25
26 29 34 41 50 61 74 ...
36
37 40 45 52 65 74 85 ...
49
50 53 58 65 74 85 98 ...
...
そこで,0 〜 63 < 64 = 8^2 で解が存在する n を消して「--」とすると,
解が存在しない n は,
--
-- -- 03 -- -- 06 07 -- --
--
11 12 -- 14 15 -- -- -- 19
--
21 22 23 24 -- -- 27 28 --
30
31 -- 33 -- 35 -- -- 38 39
--
-- 42 43 44 -- 46 47 48 --
--
51 -- -- 54 55 56 57 -- 59
60
-- 62 63 ...
次に,x = 1,x^2 = 1 のとき,解が存在する n は「--」+ 1 なので「++」として消すと,
--
-- -- ++ -- -- ++ 07 -- --
--
++ 12 -- ++ 15 -- -- -- ++
--
++ 22 23 24 -- -- ++ 28 --
++
31 -- ++ -- ++ -- -- ++ 39
--
-- ++ 43 44 -- ++ 47 48 --
--
++ -- -- ++ 55 56 57 -- ++
60
-- ++ 63 ...
次に,x = 2,x^2 = 4 のとき,解が存在する n は「--」+ 4 なので「++」として消すと,
--
-- -- ++ -- -- ++ 07 -- --
--
++ ++ -- ++ 15 -- -- -- ++
--
++ ++ 23 ++ -- -- ++ 28 --
++
31 -- ++ -- ++ -- -- ++ 39
-- --
++ 43 ++ -- ++ 47 48 --
--
++ -- -- ++ 55 ++ ++ -- ++
60
-- ++ 63 ...
次に,x = 3,x^2 = 9 のとき,解が存在する n は「--」+ 9 なので「++」として消すと,
--
-- -- ++ -- -- ++ 07 -- --
--
++ ++ -- ++ 15 -- -- -- ++
--
++ ++ 23 ++ -- -- ++ 28 --
++
31 -- ++ -- ++ -- -- ++ 39
-- --
++ ++ ++ -- ++ 47 48 --
--
++ -- -- ++ 55 ++ ++ -- ++
60
-- ++ 63 ...
次に,x = 4,x^2 = 16 のとき,解が存在する n は「--」+ 16 なので「++」として消すと,
--
-- -- ++ -- -- ++ 07 -- --
--
++ ++ -- ++ 15 -- -- -- ++
--
++ ++ 23 ++ -- -- ++ 28 --
++
31 -- ++ -- ++ -- -- ++ 39
--
-- ++ ++ ++ -- ++ 47 ++ --
--
++ -- -- ++ 55 ++ ++ -- ++
60
-- ++ 63 ...
x
>= 5,x^2
>= 25 のときは,n = 0 〜 63 の範囲では,63/3 = 21 < 25 なので,
x,y,z を適当に入れ替えたものとして既に出現しており,上記で確定です。
そこで,解が存在しない n は,7,15,23,28,31,39,47,55,60,63 になります。
(2)
a =
8q + r,q は整数,r = 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7
とおくと,
a^2
= (8q + r)^2 = 64q^2 + 16qr + r^2
なので,a^2 を 8 で割った余りは r^2 を 8 で割った余りに等しく,
0,
1, 4 になります。
(3)
(2)より,x^2,y^2,z^2 を 8 で割った余りは,0,1,4 です。
そこで,n = x^2 + y^2 + z^2 を 8 で割った余りは,0,1,2,3,4,5,6 です。
したがって,n が 8 で割って 7 余る場合は解が存在しないことが分かります。
確かに,(1)の 7,15,23,31,39,47,55,63 はこれに合致します。
しかし,28,60 はこれには合致しません。
そこで,もう一度 n を見直してみると,前者は n が奇数,後者は n が 4 の倍数,です。
そして,n が 4 の倍数になるのは x,y,z がすべて偶数の場合です。
そこで,x = 2x',y = 2y',z =
2z',n = 4n' とおくと,
(2x')^2
+ (2y')^2 + (2z')^2 = 4n'
4x'^2
+ 4y'^2 + 4z'^2 = 4n'
x'^2
+ y'^2 + z'^2 = n'
この式を見ると,最初の式と同じで,
n' を 8 で割った余りが 7 の場合は,x',y',z' が存在しない,と分かります。
つまり,n' = 8k + 7 と書ける場合は解が存在しません。
そして,同じ議論を繰り返して,n' = 4n'',n'' = 8k + 7 の場合も解が存在しません。
以下これが繰り返されるので,結局,
n =
4^m * (8k + 7),m,k は 0 以上の整数,の場合は解が存在しないと分かります。
(感想)
(3)は,多分,誘導があったのでしょうね。
最初に問題を見たときには,n = 8k + 7 だけかな,と思って(1)をやってみたら,
合致しない 28,60 が残って,あれれ?,と思いました。
考え直して,なぁ〜るほど,という感じでした (^^; なかなか気の利いた問題ですね。
<水の流れ:(3)の原典は「正の整数nを8で割ったときの余りが7ならば、
x2+y2+z2=nを満たす整数の組(x,y,z)が存在しない」というのは、常に正しいか。理由を述べて答えよ。>これは、二乗を8で割った余りは0、1、4のいずれかです。
したがって、これら3つの数字から重複を許して3個とる組み合わせ3H3=10通りを調べれば分かります。
NO2「スモークマン」 03/19 00時45分受信 更新4/3
今回もチャレンジ!!
まず、(2)から...
(2)整数の2乗を8で割ったとき、余りとなる数をすべて求めよ。
8の余りは0,±1,±2,±3,4 なので...
n^2≡0,1,4 mod 8
(1)x^2+y^2+z^2=nを満たす整数の組(x,y,z) が存在しないような
正の整数nを小さいものから順に6個求めよ。
(2) から...
3個の平方数の和で表せる数を mod 8で考えると...
M≡x^2+y^2+z^2≡0,1,2,3,4,5,6
は、すべて可能...
けっきょく...
M≡7 mod 8 だけ無理とわかるので...
7,15(=7+8),23,31,39,47,...
<水の流れ:ところが23と31の間に表せない数字があります。>
(3)ここで、x^2+y^2+z^2=nを満たす整数の組(x,y,z) が存在しな
いような正の整数nについて、何か気がついたことがあれば考察せよ。
(2) で考えたことくらいしか思いつかないのですが...^^;
なぜに、mod 8 を考えついたのかってところが知りたいです...
0,±1,±2,±3,±4,...,
n^2≡0,1,4,9,16,...
M≡0,1,2,3,4,5,6,(7),8,9,10,11,12,13,14,(15),16,17,18,...
だから...n^2≡0,1,4 までになる数で表されるものが一番小さいものか見つかるって
ことなのかなぁ...?
n^2 の剰余が3個になるものは...
最小で0,±1,±2なら...4だが...n^2≡0,1 (mod 4) にしかならない...
0,±1,±2,±3なら...6 or 7だが...n^2≡0,1,4,3 (mod
6)...M≡0,1,2,3,4,5
でだめ...
n^2≡0,1,4,2 (mod 7)...M≡0,1,2,3,4,5,6
で駄目
0,±1,±2,±3,±4なら...8 or 9...n^2≡0,1,4 (mod 8) はOKだった!!
n^2≡0,1,4,7 (mod
9)...M≡0,1,2,3,4,5,6,7,8
で駄目 だから...mod 8 で考えればいいのかな...?
<水の流れ:そうです>
「スモークマン」 03/20 17時00分受信
「スモークマン」 03/21 17時51分受信 更新4/3
(2) から...
3個の平方数の和で表せる数を mod 8で考えると...
M≡x^2+y^2+z^2≡0,1,2,3,4,5,6
は、すべて可能...
けっきょく...
M≡7 mod 8 だけ無理とわかる...but...
一般に、1個の剰余は…上から3個しかないが
2個の組み合わせだと…0,1,2,4,5 の5個になり、
3個なら上から7個と増えていけわけだから…
n=m^2+(0,1,2,4,5) で表すのが一番多く表現できる…
m=0,1,2のとき…7 だけ無理
m=3…(3^2+3=12(でした
^^;)=2^2+2^2+2^2), 3^2+6=15, (3^2+7=16=4^2)
m=4…(4^2+3=19=3^2+3^2+1), (4^2+6=22=3^2+3^2+2^2),
4^2+7=23
m=5…5^2+3=28, 5^2+6=31, (5^2+7=32=4^2+4^2+0)
m=6…6^2+3=39, 6^2+6=42, 6^2+7=42
けっきょく…
7, 15, 23, 28, 31, 39,…
0=0+0+0
1=1+0+0
2=1+1+0
3=1+1+1
4
5=4+1+0
6=4+1+1
7...x
8=4+4+0
9
10=9+1+0
11=9+1+1
12=4+4+4
13=9+4+0
14=9+4+1
15...x
16
17=16+1+0
18=16+1+1
19=1+9+9
20=16+4+0
21=16+4+1
22=4+9+9
23...x
24=16+4+4
25
26=25+1+0
27=25+1+1=9+9+9
28...x
29=25+4+0
30=25+4+1
31...x
32=16+16+0
33=16+16+1
34=9+25+0
35=25+9+1
36
37=36+1+0
38=36+1+1
39...x
どうしたものか...
n=m^2, 2*m^2, 3*m^2
n-1=m^2, 2*m^2,m^2+1,m^2+2^2,m^2+3^2,...
n-2^2=m^2,2*m^2,m^2+2^2,m^2+3^2,...
n-3^2=m^2, 2*m^2,m^2+3^2,m^2+4^2,...
...
として見つけるしかないのかなぁ...?すっきりしたいです...^^;...
<水の流れ:最初は地道に調べるしかないかも、>
NO3「浜田明巳」 03/24 17時18分受信
更新4/3
(1)エクセルのマクロを使って求めた.
それぞれの自然数nに対して,非負整数x,y,z(0≦x≦y≦z)が存在しない場合を求める.
0≦x≦y≦zから,
x2+x2+x2≦x2+y2+z2≦n
∴0≦x≦[√(n/3)]
次に,
y2+y2≦y2+z2≦n−x2
∴x≦y≦[√{(n−x2)/2}]
また,
z=[√(n−x2−y2)]
この計算により,x,yを絞り込み,それぞれの場合のzを求め,条件に合うかどうかチェックする訳である.
このマクロにより,nの最初の6個は,
7,15,23,28,31,39
Option Explicit
Const max As Long = 1000
Sub Macro1()
Sheets("Sheet1").Select
Cells(1, 1).Value = 0
Dim n As Long
Dim x As Long
Dim y As Long
Dim z As Long
Dim deta As Integer
n = 1
While Cells(1, 1).Value < max
deta = 0
x = 0
While deta = 0 And x <= Int(Sqr(n / 3))
y = 0
While deta = 0 And y <= Int(Sqr((n - x * x) / 2))
z = Int(Sqr(n - x * x - y *
y))
If x * x + y * y + z * z = n Then
deta = 1
End If
y = y + 1
Wend
x = x + 1
Wend
If deta = 0 Then
Cells(1, 1).Value = Cells(1, 1).Value + 1
Cells(Cells(1, 1).Value, 2).Value = n
End If
n = n + 1
Wend
End Sub
(2)自然数mを4で割った余りで分類する.kを整数とするとき,
m=4kのとき,m2=16k2=8(2k2)
m=4k±1のとき,m2=16k2±8k+1=8(2k2±k)+1
m=4k+2のとき,m2=16k2+16k+4=8(2k2+2k)+4
かっこ内はすべて整数なので,m2を8で割った余りは,0,1,4の3通り.
(3)(2)より,平方数を8で割った余りは0,1,4の3通り.
次に0,1,4の3個の数から,重複を許して3個を選んで和を求め,それを8で割った余りを求める.
それらの余りは0〜6の場合があるが,7となる事はない.
つまり,x2+y2+z2=nのnを8で割った余りが7となる事はない.
しかし,これ意外にも(1)のマクロ計算から,
x2+y2+z2=28=3・8+4
のように,余りが7以外でもx,y,zが存在しない場合がある.
(1)の計算から,x,y,zが存在しないnの階差をとった場合,
8,8,5,3,8
がこの順で現れるのが基本であるが,この8のうちどれかが1,7に分かれる場合もある.1,7の出方は規則的ではない
NO4「MVH」
03/29 23時44分受信 更新4/3
NO5「ぐーてん」 04/01 15時50分受信
更新4/3
(1)
としてを満たす整数の組を1例ずつ書き出すと,下表のようになる.
x |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
- |
0 |
1 |
0 |
1 |
4 |
0 |
1 |
- |
0 |
0 |
1 |
1 |
y |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
1 |
1 |
- |
2 |
2 |
1 |
1 |
4 |
2 |
2 |
- |
0 |
1 |
1 |
3 |
z |
0 |
1 |
1 |
1 |
2 |
2 |
2 |
- |
2 |
2 |
3 |
3 |
4 |
3 |
3 |
- |
4 |
4 |
4 |
3 |
n |
0 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
x |
0 |
1 |
2 |
- |
2 |
0 |
0 |
1 |
- |
0 |
1 |
- |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
- |
y |
2 |
2 |
3 |
- |
2 |
0 |
1 |
1 |
- |
2 |
2 |
- |
4 |
4 |
3 |
3 |
0 |
1 |
1 |
- |
z |
4 |
4 |
3 |
- |
4 |
5 |
5 |
5 |
- |
5 |
5 |
- |
4 |
4 |
5 |
5 |
6 |
6 |
6 |
- |
n |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
32 |
33 |
34 |
35 |
36 |
37 |
38 |
39 |
以上より,求めるnは,.
(2)
aを任意の整数として,
のとき,より,8で割った余りは0.
のとき,より,8で割った余りは1.
のとき,より,8で割った余りは4.
のとき,より,8で割った余りは1.
よって,整数の2乗を8で割った時の余りは,0または1または4である.
(3)
エクセルでの範囲で網羅的な計算を行ったところ,題意を満たすnとして,
が得られた.
この結果から,これらのnは, (k,mは自然数)と表せるのではないかと予想される.
i )
まず,のとき,すなわちのときについて考える.
(2)の結果より,,を8で割った余りはそれぞれ0または1または4であるので,を8で割った余りは0,1,2,3,4,5,6をとり得るが,7はありえない.
従って,を満たす自然数kは存在しない.
ii
)
次に,満たす整数の組が存在しないとき,を満たす整数の組も存在しないことを示す.
仮に満たす整数の組が存在せず,を満たす整数の組が存在する場合があると仮定する.
の左辺が偶数であるためには,x,y,zのうち全てが偶数であるかまたは,1つが偶数で2つが奇数でなければならない.いずれにせよ少なくとも1つが偶数なので,(aは整数)とおくと,
となり,は4の倍数でなくてはならない.そのためには,y,zも偶数である必要がある.
そこでさらに,,(b,cは整数)とおくと,
となり,を満たす整数の組存在しないとした仮定に反する.
よって背理法により,満たす整数の組存在しないとき,を満たす整数の組も存在しないことが示された.
さらに,i ),ii
)から,数学的帰納法によりを満たす自然数m,kが存在しないことが示される.
以上より,は題意を満たすことが証明されたが,これ以外に題意を満たす自然数が存在しないことは証明できておらず,さらに大きな自然数を見ていったときにどうなるかは予想もつかなかった.
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。