平成23年12月25日
[流れ星]
第267回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:12月4日〜12月25日
[マルファティの円]
日本実業出版社の「数検の完全対策1〜3級」にあった面白い問題を見つけました。
一辺の長さが2の正三角形の内部に互いに重ならない3個の円を作ります。
(1) 3円が互いに外接し、それぞれ2辺ずつに接するとき、これらの円の面積の和を求めなさい。
(2) 正三角形の内接円および2辺に接し、内接円に外接する2個の円の面積の和を求め なさい。
(3)(1)と(2)の和はどちらが大きいですか。
付記:(1)がイタリアの学者であるマルファティの円と言われ、 マルファティ自身は3個の円の面積の和が最大になると1803年に提唱したが,しかし,安島直円がこの問題を与えその解答を述べたのはマルファティの論文よりも約30年前のことである.今日ではどのような三角形についてもマルファティの円は最大面積を与えるものではないことが証明されている.それが(2)のようなときです。
NO1「uchinyan」 12/04 14時12分受信
更新12/25
(1)
三つの円は合同で半径は等しいので r とすると,正三角形の性質と三平方の定理より,
√3 * r + 2r + √3 * r = AB = 2
r =
1/(√3 +
1) = (√3 - 1)/2
そこで,三つの円の面積の和を S1 とすると,
S1
= πr^2 *
3 = 3((√3 - 1)/2)^2 * π = 3(2 -
√3)/2 * π
(2)
正三角形の内接円の中心は正三角形の重心なので,一辺 2 の正三角形の内接円の半径は √3/3 です。
また,左下の円と右下の円は合同で半径は等しく,G における左下の円と内接円との共通接線を引くと,
左下の円は高さが 2√3/3 - √3/3 = √3/3 の正三角形の内接円なので,√3/9 です。
そこで,三つの円の面積の和を S2 とすると,
S2
= π(√3/3)^2 + π(√3/9)^2 *
2 = 11/27 * π
(3)
S2
- S1 = (11/27 - 3(2 - √3)/2) * π
=
(81√3 -
140)/54 * π
=
(81^2 * 3 - 140^2)/54(81√3 + 140) * π
=
(19683 - 19600)/54(81√3 + 140) * π
= 83/54(81√3 + 140) * π > 0
S2
> S1
つまり,(2)の和の方が(1)の和よりも大きいです。
(ちょっとだけ考察)
AB,AC に接する円Pの半径を x,BA,BC に接する円Qの半径を y,CB,CA に接する円Rの半径を z,
とし,円Pと円Q,円Pと円R,がそれぞれ接し,円Qと円Rは接してもいいが交わらない場合を考えると,
√3 * x + 2√(xy) + √3
* y = 2,z = y,(√3 - 1)/2 <= x <= √3/3,√3/9 <= y <= (√3 - 1)/2
最初の式より y は x の関数なので,x で微分して,
√3 + √y/√x + √x/√y * y' + √3 * y'
= 0
y'
= - (√3 +
√y/√x)/(√3 + √x/√y) = - (√(3xy) + y)/(√(3xy) + x)
面積の和 S も x の関数で,
f(x)
= S(x)/π
= x^2 + y^2 + z^2 = x^2 + 2y^2
f'(x)
= 2x + 2yy' = 2x - 2y(√(3xy) + y)/(√(3xy) + x)
= 2(x(√(3xy) + x) - y(√(3xy) + y))/(√(3xy) + x)
=
2(x√(3xy)
+ x^2 - y√(3xy) - y^2)/(√(3xy)
+ x)
=
2(x - y)(x + y + √(3xy))/(√(3xy) + x)
ここで,x - y 以外は明らかに正なので,x = y = (√3 - 1)/2 で f'(x) = 0 ですが,
今の設定では一般に x >= y なので,f'(x) >= 0 となって,
x =
y の場合,つまり(1)の場合,は,むしろ最小です。
そして,(2)の場合が最大になります。
このことは,論理としては正しく「ない」ですが,すごく直感的には,一般に,
S(x)/π = x^2 + y^2 + z^2
なので,(1)の場合,つまり x = y = z の場合,は,
相加相乗平均やコーシー・シュワルツなどの不等式からの連想からしても,
個人的には,最大ではなく最小を予想するのが自然なような気がします。
(感想)
前回に続き「マルファティの円」というのも知りませんでした。
ただ,マルファティさんは,多分対称性から,最大かなぁ,と思われたのかも知れませんが,
(ちょっとだけ考察)にも書いたように,様々な知識がある現代の人間から見れば,
全く的外れな予想のような気もします。
なお,「どのような三角形についてもマルファティの円は最大面積を与えるものではない」
の証明は,面倒そう難しそう,ですね。ごめんなさい,あまり考える気がしないです (^^;
NO2「スモークマン」 12/06 13時16分受信 更新12/25
今年もあっとまに流れて行きましたが...たくさん楽しませていただきました♪
前回は簡単そうに思えたものの...全く歯が立たなかったです...^^;
今回は...初等幾何でできますね ^^v
(1)
2=(2+2√3)*r
r=1/(√3+1)=(√3-1)/2
r^2=(2-√3)/2
3*r^2=3(2-√3)/2
(2)
(√3/3)^2*(1+2*(1/3)^2)=(1/3)*(11/9)=11/27
3(2-√3)/2 と 11/27 の比較をすればいいので...
=(2-√3) と 22/81 との比較
=2-22/81 と √3 との比較
=140/81 と √3 との比較
=(140/81)^2 と 3 との比較
=140^2 と 81^2*3 との比較
140^2=19600 < 3*81^2=19683
つまり...(1) < (2)
とわかった ^^
内接する3個の円の最大値ってのはこれなんですかね...?
円を3個の内接円を描いて考えると...最大値は1個が最初の円を極限まで覆い尽くすときだからって...アナロジーからですけど...^^;...Orz...
NO3「浜田明巳」 12/19 12時10分受信
更新12/25
(1) 正三角形の対称性から,3円の半径は等しい.
その半径をrとする.
図の2点Q,RからBCに垂線QD,REを下ろす.
DE=QR=2rである.
△QBDにおいて,∠QBD=∠ABC/2=30°,∠QDB=90°であるから,
BD=QD√3=r√3
∴BC=2BD+DE=(2√3+2)r=2
∴r=1/(√3+1)=(√3−1)/2
故に求める面積の和は,
3πr2=3π{(√3−1)/2}2=3(2−√3)π/2
(2) この正三角形の内接円の半径をrとする.
三角形の面積は,
2×√3/2=(2+2+2)/2×r
∴r=1/√3
AからBCに垂線AHを下ろす.内接円の中心OからABに垂線OKを下ろす.
AOと円の交点をGとし,Gを通る直線とAB,ACとの交点をそれぞれI,Jとする.
△AKOにおいて,
∠KAO=30°,∠OKA=90°
∴AO=2OK=2r
∴AH=AO+OH=2r+r=3r
∴AG=AH−GH=3r−2r=r
∴AG:AH=r:3r=1:3
故に△AIJと△ABCの相似比は1:3.
図の小円Mと円Oの相似比も同じ1:3である.
故に円Mの半径はr/3.
故に求める面積の和は,
πr2+2π(r/3)2=11πr2/9=11π/(3・9)=11π/27
(3) 3(2−√3)/2−11/27={81(2−√3)−22}/54
=(140−81√3)/54=(√19600−√19683)/54<0
∴3(2−√3)π/2<11π/27
故に(2)の和の方が大きい.
NO4「Тамаков Октуда」 12/23
13時00分受信 更新12/25
(1)の3つの円の半径は互いに等しくなければならないから,
それをRとおくと、
√3 R + R + R + √3 R = 2より、R = (√3 - 1 )/2
したがって,(1)の3つの円の面積の和は,
3×π×{(√3 - 1 )/2}^2 = { 3 ( 2 - √3 ) /2 }π …【1】
(2)の内接円の半径 r は,
(1/2) r ( 2 + 2 + 2 ) = √3 より,r = (√3)/3
2つの小円の半径r'は,
BO = 3 r' + r = 2r より, r' = (√3)/9
したがって,(2)の3つの円の面積の和は,
π×{(√3)/3}^2 + 2×π×{(√3)/9}^2 = (11/27)π …【2】
ここで,
11/27 - 3 ( 2 - √3) / 2 = {22
- 81 ( 2 - √3) }/54
= (81 √3 -
140)/54
={√(81^2×3) - √(140^2)}/54
=(√19683 - √19600)/54 > 0
よって,【2】>【1】であるので,(2)の和のほうが大きい。
はじめて応募します。
Тамаков Октуда
NO5「うめぞー」 12/23 21時03分受信 更新12/25
(1) 円の半径をrとする。
△ABCの面積は2*√3/2=√3 …@
△PQRの面積は2r*√3*r/2=√3*r^2 …A
台形BCRQの面積は(2r+2)*r/2=r(r+1) …B
面積について△ABC=△PQR+3*台形より@=A+3*B
rについて解くとr>0よりr=(√3-1)/2
よって求める面積の和をS_1とすると
S_1=3*πr^2=3(2-√3)π/2
(2)大円の半径をR,小円の半径をrとし,BCの中点をP,
直線MNと直線OPの交点をQ,点Mから直線BCに下ろした垂線の足をRとする。
面積について△ABC=3*△OBCより
√3=3*2*R/2 ∴R=1/√3
線分PRの長さをxとすると△OMQに三平方の定理を適用して
(R+r)^2=(R-r)^2+x^2 ∴x=2√(Rr)
△OBP∽△MBRよりOP:MR=BP:BR ∴R:r=1:(1-x)
R(1-x)=r にx,Rを代入してrについて解くとr=√3,1/(3√3)
r<Rだからr=1/(3√3)
よって求める面積の和をS_2とすると
S_2=πR^2+2*πr^2=(11/27)π
(3)S_1≒0.402π,S_2≒0.407πだから(2)のほうが大きい。
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ペンネーム:うめぞー
はじめまして。モローの不等式を調べていたらたどり着きました。
面白そうなので参加させてください。