平成24年1月15日
[流れ星]
第268回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:12月25日〜1月15日
[四面体の内接球]
問題1: 一辺の長さがaの正四面体OABCにおいて
(1)正四面体の体積 V をaを用いて表せ。
(2)正四面体に内接する球の半径 r をaを用いて表せ。
(3)正四面体に外接する球の半径 R をaを用いて表せ。
(4)△OABに内接する円の平面ABCへの正射影の面積を求めよ。
問題2:OA=a , OB=b , OC=c で∠AOB=∠BOC==COA=90°
さらに、b=a+cとなる四面体OABCにおいて
(1)四面体に内接する球の半径
r をa、c を用いて表せ。
(2)四面体に外接する球の半径 R をa、c を用いて表せ。
NO1「uchinyan」 12/25 15時12分受信
「uchinyan」 12/26 12時57分受信 更新1/15
問題1:(1)
一辺 a の正四面体は,一辺 a/√2 の立方体の対角線を一辺とする四面体になっています。
そこで,V は,立方体の体積から四つの頂点の回りの三角すいを引けばいいので,
V = (a/√2)^3 - (a/√2)^3 *
1/6 * 4 = √2/12 * a^3
(2)
内接球の中心を I とすると,I から各面に下ろした垂線の長さが r です。
そこで,△ABC = √3/4 * a^2 に注意して,
正四面体OABC = 三角すいI-OAB + 三角すいI-OBC + 三角すいI-OCA + 三角すいI-ABC
V = 三角すいI-ABC * 4 = △ABC *
r * 1/3 * 4
√2/12 * a^3 = √3/4 *
a^2 * r * 4/3
r = √6/12 * a
(3)
正四面体は,(1)の立方体に内接しているので,
正四面体の外接球と立方体の外接球は一致します。そこで,
R = √((a/√2)^2 + (a/√2)^2 +
(a/√2)^2)/2 = √6/4 * a
(4)
まず,△OAB の内接円の半径は √3/2 * a * 1/3 = √3/6 * a で,面積は π/12 * a^2 です。
これを △ABC に正射影すると,AB 方向の長さは変わりませんが,
AB に垂直な方向は (√3/6 *
a)/(√3/2 * a) = 1/3 倍になります。
そこで,面積は π/12 * a^2 * 1
* 1/3 = π/36 * a^2 になります。
正射影は,要するに楕円ですね。
(別解)
次のように解いてもいいでしょう。
(1)
O から △ABC に垂線を下ろしその足を G とします。
対称性より,G は △ABC の重心になります。そこで,AG の延長と BC の交点を H とすれば,
AH = √3/2 * a,AG = √3/3 * a,OG = √(OA^2 - AG^2) = √6/3 * a
また,△ABC = √3/4 * a^2 なので,
V = △ABC * OG * 1/3 = √3/4 *
a^2 * √6/3 * a * 1/3 = √2/12 * a^3
(2)及び(3)
(1)における △OAH は △ABC だけでなく △OBC とも垂直です。
そこで,A から △OBC に垂線を下ろしその足を G' とすれば,
対称性より,G' は △OBC の重心で,G' は OH 上にあります。
OG と AG' との交点を I とします。すると,メネラウスの定理より,
OI/IG * GA/AH * HG'/G'O = 1,OI/IG * 2/3 * 1/2 = 1,OI/IG = 3/1
つまり,I は OG を 3:1 に内分する点です。同様にして,AI:IG' = 3:1 もいえます。
同様に B,C からも対面に垂線を下ろして同様の議論をすると,
これらの垂線は,すべて,OG を 3:1 に内分する点,つまり I,で交わることが分かります。
そこで,I は,内接球,外接球の中心になり,
r = IG = OG * 1/4 = √6/3 * a
* 1/4 = √6/12 * a
R = IO = OG * 3/4 = √6/3 * a
* 3/4 = √6/4 * a
(4)
これは,先ほどと同じです。
ただ,この解法の方が 1/3 倍をイメージしやすいかも知れません。
問題2:
(1)
まず,正四面体OABC の体積 V は,
正四面体OABC = V = abc/6 =
ac(a + c)/6
そして,内接球の中心を I とすると,I から各面に下ろした垂線の長さが r で,
正四面体OABC = 三角すいI-OAB + 三角すいI-OBC + 三角すいI-OCA + 三角すいI-ABC
V = △OAB * r * 1/3 + △OBC *
r * 1/3 + △OCA * r * 1/3 + △ABC * r * 1/3
r = 3V/(△OAB + △OBC + △OCA +
△ABC)
ここで,b = a + c なので,△ABC は一辺 b = a + c の正方形に埋め込むことができ,
そのときの余分な部分が,△OAB,△OBC,△OCA とそれぞれ合同になるので,
△OAB + △OBC + △OCA +
△ABC = b^2 = (a + c)^2
これより,
r = 3V/(△OAB + △OBC + △OCA +
△ABC) = 3(ac(a + c)/6)/((a + c)^2)
r = 1/2 * ac/(a + c)
(2)
この四面体の外接球は,辺の長さが a,b,c の直方体の外接球と一致するので,
R = √(a^2 + b^2 + c^2)/2
b = a + c なので,
R = √(a^2 + (a + c)^2 +
c^2)/2 = √((a^2 + ac + c^2)/2)
(別解)
次のように解いてもいいでしょう。
(1)
O(0,0,0),A(a,0,0),B(0,b,0),C(0,0,c),と座標を入れます。
すると,内接球の中心は,半径を r として,(r,r,r) で,
しかも,△ABC,x/a + y/b + z/c = 1,との距離も r です。
|r/a + r/b + r/c -
1|/√((1/a)^2 + (1/b)^2 + (1/c)^2) = r
(r,r,r)
は
O(0,0,0) の側にあることに注意して絶対値をはずして,
(1 - (r/a + r/b +
r/c))/√((1/a)^2 + (1/b)^2 + (1/c)^2) = r
r = 1/((1/a + 1/b + 1/c) +
√((1/a)^2 + (1/b)^2 + (1/c)^2))
r = abc/((ab + bc + ca) + √((ab)^2 + (bc)^2 + (ca)^2))
b = a + c なので,
r = ac(a + c)/((a^2 + 3ac +
c^2) + √(a^4 + 2a^3c + 3a^2c^2 + 2ac^3 + c^4))
= ac(a + c)/((a^2 + 3ac +
c^2) + √((a^2 + c^2)^2 + 2ac(a^2 + c^2) + (ac)^2))
= ac(a + c)/((a^2 + 3ac +
c^2) + √((a^2 + ac + c^2)^2))
= ac(a + c)/((a^2 + 3ac +
c^2) + (a^2 + ac + c^2))
= ac(a + c)/(2(a^2 + 2ac +
c^2))
= ac(a + c)/(2(a + c)^2)
r = 1/2 * ac/(a + c)
(2)
外接球の中心を P(x,y,z) とすると,
PA = PO,(x - a)^2 + y^2 + z^2
= x^2 + y^2 + z^2,x = a/2
PB = PO,x^2 + (y - b)^2 + z^2
= x^2 + y^2 + z^2,y = b/2
PC = PO,x^2 + y^2 + (z - c)^2
= x^2 + y^2 + z^2,z = c/2
つまり,P(a/2,b/2,c/2) です。そこで,
R = √((a/2)^2 + (b/2)^2 +
(c/2)^2) = √(a^2 + b^2 + c^2)/2
b = a + c なので,
R = √(a^2 + (a + c)^2 +
c^2)/2 = √((a^2 + ac + c^2)/2)
(考察)及び(感想)
問題2:の(1)は b = a + c が効いていますね。その(別解)はその関係に頼らない解法です。
一般の四面体の場合は,四面体をどう与えるかにもよりますが,面倒になりそうです。
ベクトルで与えた場合は,大学レベルの知識になりますが,ベクトル積=外積も使えば,そこそこの計算で表現はできそうです。
ただ,それを,辺の長さや座標で書こうと思うと,大変なことになりそうです。
したがって?,ここでは省略します。
NO2「浜田明巳」 01/05 10時24分受信
更新1/15
問題1
座標系を導入し,
A(a/2,√3a/2,0),B(0,0,0),C(a,0,0),Oのz座標は正,
内接球の中心をO',Oから平面ABCに下ろした垂線の足をH,
BCの中点をI
とする.
(1)△HBIにおいて,
∠HBI=∠ABC/2=30°,∠HIB=90°
∴HI=BI/√3=a/(2√3),HB=2HI=a/√3
△OBHにおいて,
OH2=OB2−HB2=a2−a2/3=2a2/3
∴OH=√2a/√3
∴O(a/2,a/(2√3),√2a/√3),O'(a/2,a/(2√3),r)
∴V=1/3・△ABC・OH=1/3・√3a2/4・√2a/√3=√2a3/12
(2)平面OBCの方程式を,点B(0,0,0)を通ることから,
bx+cy+dz=0………(1)
とする.
点C(a,0,0)を通るので,ab=0
a>0なので,b=0
点O(a/2,a/(2√3),√2a/√3)を通るので,
ac/(2√3)+√2ad/√3=0
a>0なので,c+2√2d=0
∴c=−2√2d
(1)に代入すると,−2√2dy+dz=0
b=0,c=−2√2dから,d≠0
∴2√2y−z=0
点O'(a/2,a/(2√3),r)から,この平面までの距離は球の半径rなので,
r=|2√2・a/(2√3)−r|/√{02+(2√2)2+(−1)2}
∴3r=|√2a/√3−r|
∴9r2=(√2a/√3)2−2(√2a/√3)r+r2
∴(√2a/√3)2−2(√2a/√3)r−8r2=0
∴(√2a/√3+2r)(√2a/√3−4r)=0
a>0,r>0から,r=a/(2√6)=√6a/12
(参考)他の解r=−a/√6は,その絶対値が,中心がxy平面と点Aの反対側にあり,平面OAB,OBC,OCAに接する球の半径を表している.
(3)対称性から,外接球の中心は,内接球の中心O'(a/2,a/(2√3),a/(2√6))と一致する.
∴R=O'B=a/2・√{12+(1/√3)2+(1/√6)2}=a/2・√(1+1/3+1/6)=a/2・3/√6=√3a/(2√2)=√6a/4
(4)対称性から,△OBCの内接円の平面ABCへの正射影の面積を求めればよい.
△OBCの内接円の半径をr'とすると,この正三角形の面積は,
√3a2/4=(a+a+a)/2・r'
a>0から,r'=a/(2√3)
求める面積Sは,図の△HBCに内接する楕円の面積となる.
長径の長さは,
2・r'=2・a/(2√3)
短径の長さは,
2・r'・(Hのy座標)/(Aのy座標)=2・a/(2√3)・a/(2√3)/(√3a/2)=2・a/(2・3√3)=2・a/(6√3)
∴S=π・a/(2√3)・a/(6√3)=πa2/36
問題2
(1)O(0,0,0),A(0,−a,0),B(a+c,0,0),C(0,0,c),
内接球の中心をO'(r,−r,r)
とする.
平面ABCの方程式を,点Aを通ることより,
kx+m(y+a)+nz=0………(1)
とする.
点B,Cを通るので,
k(a+c)+am=0,am+cn=0
a+c>0,c>0であるから,k=−am/(a+c),n=−am/c
(1)に代入すると,
−am/(a+c)・x+m(y+a)−am/c・z=0
m≠0から,
−acx+c(a+c)y−a(a+c)z+ac(a+c)=0
球の中心O'(r、−r、r)からこの平面までの距離は,球の半径rに等しいので,
r=|−acr−c(a+c)r−a(a+c)r+ac(a+c)|/√{a2c2+c2(a+c)2+a2(a+c)2}
∴{a2c2+(a2+c2)(a+c)2}r2=[ac(a+c)−{(a+c)2+ac}r]2
∴{(a2+c2)2+a2c2+2ac(a2+c2)}r2=a2c2(a+c)2−2ac(a+c)(a2+3ac+c2)r+(a2+3ac+c2)2r2
∴(4a3c+8a2c2+4ac3)r2−2ac(a+c)(a2+3ac+c2)r+a2c2(a+c)2=0
ac>0から,
(a+c)2(2r)2−(a+c)(a2+3ac+c2)・2r+ac(a+c)2=0
a+c>0から,
(a+c)(2r)2−(a2+3ac+c2)・2r+ac(a+c)=0
∴{2r−(a+c)}{(a+c)・2r−ac}=0
a+c>0から,
r=(a+c)/2,ac/{2(a+c)}
図のxy平面において,点O'をxy平面に投影した点は,直線ABの上側にあるので,
0<r<a,0<r<a+c,−r>{0−(−a)}/{(a+c)−0}・(r−0)−a=ar/(a+c)−a
∴0<r<a,0<r<a(a+c)/(2a+c)
任意のa,cについて成立するので,r=ac/{2(a+c)}
(参考)r=(a+c)/2は,平面ABCに外側で接している球の半径である.
(2)外接球の中心をO''(x,y,z)とする.
この球とxy平面との交線の円の中心をO'''(x,y,0)とすると,この円の半径は,
O'''O=O'''A=O'''B
∴x2+y2=x2+(y+a)2={x−(a+c)}2+y2
∴0=2ay+a2=−2(a+c)x+(a+c)2
a>0,a+c>0から,
x=(a+c)/2,y=−a/2
∴O''((a+c)/2,−a/2,z)
また,R=O''A=O''C
∴{(a+c)/2}2+{−a/2−(−a)}2+z2={(a+c)/2}2+(−a/2)2+(z−c)2
∴0=−2cz+c2
c>0から,z=c/2
∴O''((a+c)/2,−a/2,c/2)
∴R=O''C=√[{(a+c)/2}2+(−a/2)2+(c/2−c)2]=√{2(a2+ac+c2)}/2
<水の流れコメント:問題1の(4)は△OABに内接する円の面積Sと平面ABCへの正射影の面積Tの間にはT=Scosθ(θは平面OABと平面ABCのなす角)があります。
問題2は求める内接球の半径をrとしたとき、四面体OABCの表面積Sと体積Vとの間にV=(1/3)rSの関係があります。さらに、四面体OABCの表面積Sは1辺がbの正方形の中に覆われることができます。実は、この妙技を分かってもらうためにb=a+cとしたのです。また、外接球の直径は3辺の長さがa,b,cでできる直方体の対角線の長さになります。四面体の体積を求めるのに外積を利用して教えたこともあります。>
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。