平成24年2月5日
[流れ星]
第269回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:1月15日〜2月5日
[面積の最小]
問題1:直線y=m(x−2)+6と放物線y=x2で囲まれた部分の面積Sを最小にするmの値を次の方法で求めよ。
(1)y=x2を点(2,6)に関して対称に移したときの方程式を求めよ。
(2)上の2放物線の交点を通る直線とy=x2で囲まれた部分の面積をTとするとき、SとTの大小を調べよ。
(3)mの値を求めよ。
問題2:直線y=mx+2(m>0)と曲線y=exで囲まれた部分の面積Sを最小にするmの値を求めよ。
NO1「uchinyan」 01/15 15時06分受信
「uchinyan」 01/26 17時18分受信 更新2/5
問題1:(1)
(2,6) に関して (x,y) と (X,Y) が対称とすると,
(x +
X)/2 = 2, (y + Y)/2 = 6, X = 4 - x, Y = 12 - y
そこで,Y = X^2 の対称なものは,
12 - y
= (4 - x)^2
y = -
(x - 4)^2 + 12
y = -
x^2 + 8x - 4
(2)
(1)の二つの放物線の交点を通る直線は,両式から x^2 の項を消去したものなので,
2y = 8x
- 4
y = 4x
- 2 = 4(x - 2) + 6
これは,(2,6) を通り傾き 4 の直線,です。
また,図の対称性より,
この直線と y = x^2 とで囲まれた部分は,(1)の二つの放物線で囲まれる部分の半分の領域になり,
その面積 T は(1)の二つの放物線で囲まれる部分の面積の半分になります。
一方で,やはり,図の対称性より,
y = m(x
- 2) + 6 は(1)の二つの放物線で囲まれる部分を半分にし,
さらに y = x^2 とで囲まれた部分はそれをはみ出すので,
明らかに,S >= T,等号は m = 4,になります。
(3)
(2)より,m = 4,です。
問題2:
問題1:と同様に,(0,2) に関して y = e^x
に対称な曲線を考えると,
(x +
X)/2 = 0, (y + Y)/2 = 2, X = - x, Y = 4 - y
Y = e^X,4 - y = e^(-x),y = 4 - e^(-x)
この曲線と y = e^x との交点は,
y = 4 -
1/y,y^2 - 4y + 1 = 0,y = 2 ±
√3,x = log(2 ± √3)
なので,交点を通る直線は,
y - (2
- √3) = ((2 + √3) - (2 - √3))/(log(2 + √3) - log(2 - √3)) * (x - log(2 - √3))
y =
(2√3)/(2log(2 + √3)) * (x - log(2 - √3)) + (2 - √3)
=
√3/log(2 + √3) * x - √3/log(2 + √3) * log(2 - √3) + (2 - √3)
= √3/log(2
+ √3) * x - √3/log(2 + √3) * log(1/(2 + √3)) + (2 - √3)
=
√3/log(2 + √3) * x + √3/log(2 + √3) * log(2 + √3) + (2 - √3)
=
√3/log(2 + √3) * x + √3 + (2 - √3) = √3/log(2 + √3) * x + 2
つまり,
y =
√3/log(2 + √3) * x + 2
これは,(0,2) を通り傾き √3/log(2 + √3) の直線,です。
問題1:の(2)と同様に,図の対称性よりこの場合が囲まれる部分の面積が最小になるので,
m =
√3/log(2 + √3) になります。
(検算) = (別解)
問題1:
y = m(x
- 2) + 6 と y = x^2 との交点の x 座標を α < β とすると,これらは,
x^2 =
m(x - 2) + 6,x^2 - mx + (2m - 6) =
0
の実数解なので,解と係数の関係より,
α + β = m,αβ = 2m - 6
そこで,
S = ∫[α,β]{(m(x - 2) + 6) - x^2}dx = ∫[α,β]{(x - α)(β - x)}dx
= [(x -
α)^2/2 * (β - x)][α,β] - ∫[α,β]{(x
- α)^2/2 * (-1)}dx
= [(x -
α)^3/6][α,β] = (β - α)^3/6
= (√((β
- α)^2))^3/6 = (√((α + β)^2 - 4αβ))^3/6
=
(√(m^2 - 8m + 24))^3/6 = (√((m - 4)^2 + 8))^3/6
から,m = 4 で最小値 8√2/3 を取ります。
問題2:
y = mx + 2 と y = e^x との交点の x 座標を α < β とすると,これらは,
e^x = mx +
2
の実数解で,α,βは m の関数です。
そこで,
S(m) =
∫[α,β]{(mx + 2) - e^x}dx = m * ∫[α,β]{x}dx + ∫[α,β]{2
- e^x}dx
これより,
dS/dm = ∫[α,β]{x}dx + m * d(∫[α,β]{x}dx)dm + d(∫[α,β]{2 - e^x}dx)/dm
= (β^2
- α^2)/2 + (mβ + 2 - e^β) *
dβ/dm - (mα + 2 - e^α) * dα/dm
= (β -
α)(β + α)/2
ここで,α < β なので,グラフより m と交点の様子を調べると,
α = - β <= 0 <= β,を与える m のときに,S は極小かつ最小になることが分かります。
そして,このとき,
e^β = mβ +
2 = - (- mβ + 2) + 4 = - (mα
+ 2) + 4 = - e^α + 4 = - e^(-β) + 4
(e^β)^2 - 4(e^β) + 1 = 0
1 <=
e^β より,e^β = 2 + √3,β
= log(2 + √3),になって,
m = (e^β - 2)/β = √3/log(2 + √3)
になります。
(感想)
なかなか興味深い問題でした。
問題1:は,直接に計算しても,一応標準的にできますが,
問題2:は,e^x = mx + 2 はうまく解けないので,一工夫しないとうまくいかないようです。
出題されている手法ならば,いづれも簡単に求まりますね。大変勉強になりました。