平成24年2月26日
[流れ星]
第270回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:2月5日〜2月26日
[放物線上の点]
問題1:
(1)x2の係数が2である放物線上にx座標が1,2,4である点A,B,Cがある。このとき、三角形ABCの面積を求めよ。
(2)x2の係数がaで下に凸の放物線上にx座標がα、β、γ(α<β<γ)である点A,B,Cがある。このとき、三角形ABCの面積をa、α、β、γで表せ。
問題2:傾きがmと―mである2直線がある放物線と異なる4点で交わるとき、この4点が同一円周上にあることを証明せよ。
NO1「uchinyan」 02/05 16時14分受信
「uchinyan」 02/06 17時11分受信
更新2/26
問題1:(1)&(2)
(2)から解いてしまいましょう。
放物線は,y = ax^2 + bx + c,a > 0,と書けます。そこで,
A(α,aα^2 + bα + c),B(β,aβ^2 + bβ + c),C(γ,aγ^2 + bγ + c)
です。ここで,一般に,P(p1,p2),Q(q1,q2),R(r1,r2)
のときに
△PQR = |(q1 - p1)(r2 - p2) - (q2 - p2)(r1 - p1)|/2
はよく知られているので,これを使うと,α < β < γ にも注意して,
△ABC
= |(β - α)((aγ^2 + bγ + c) - (aα^2
+ bα + c)) - ((aβ^2 + bβ + c) - (aα^2 + bα +
c))(γ - α)|/2
= |(β - α)(γ - α)(a(α + γ) + b) - (β - α)(a(β + α) + b)(γ - α)|/2
= (β - α)(γ - α)|(a(α + γ) + b) - (a(β + α) +
b)|/2
= (β - α)(γ - α)|(a(γ - β)|/2
= a(β - α)(γ - α)(γ - β)/2
つまり,(2)は,
△ABC = a(β - α)(γ - α)(γ - β)/2
になります。
(1)は,a = 2,α = 1,β = 2,γ = 4,なので,
△ABC = 2(2 - 1)(4 - 1)(4 - 2)/2 = 6
になります。
問題2:
まず,放物線を対称軸が y 軸に平行な下に凸なもの,としても一般性を失いません。
また,傾きが m と - m である二直線が異なる四点で交わるので,m > 0 としてよく,
したがって,これら二直線自体も交わります。
そこで,二直線の交点を原点とし,
二直線を,y = mx,y = - mx,m
> 0
放物線を,y = ax^2 + bx + c,a > 0
とおきます。
さらに,異なる四つの交点を A,B,C,D,それらの x 座標を α < β < γ < δ,とします。
さて,まず,一般に,α < β < γ < δ
として,放物線上の異なる四点,
A(α,aα^2 + bα + c),B(β,aβ^2 + bβ + c),C(γ,aγ^2 + bγ + c),D(δ,aδ^2 + bδ + c)
が同一円周上にある条件を考えます。
これは,A,B,C を通る円と A,B,D を通る円とが一致する,と考えればいいです。
そこで,まず,A,B,C を通る円を考えます。
まず,AB,ACの垂直二等分線がいずれも y 軸に平行でない場合を考えます。
AB の垂直二等分線は,
y - ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c))/2
= - (β - α)/((aβ^2 + bβ + c) - (aα^2
+ bα + c)) * (x - (α + β)/2)
= - (β - α)/(β - α)(a(β + α) + b) * (x - (α + β)/2)
= - 1/(a(β + α) + b) *
(x - (α + β)/2)
AC の垂直二等分線は,
y - ((aα^2 + bα + c)
+ (aγ^2 + bγ + c))/2
= - (γ - α)/((aγ^2 + bγ + c) - (aα^2
+ bα + c)) * (x - (α + γ)/2)
= - (γ - α)/(γ - α)(a(γ + α) + b) * (x - (α + γ)/2)
= - 1/(a(γ + α) + b) *
(x - (α + γ)/2)
そこで,
((aγ^2 + bγ + c)
- (aβ^2 + bβ + c))/2
= 1/(a(γ + α) + b) *
(x - (α + γ)/2) - 1/(a(β + α) + b) * (x - (α
+ β)/2)
(γ - β)(a(γ + β) + b)/2 = - (γ
- β)(2ax + b)/2(a(β + α) + b)(a(γ + α) + b)
(a(γ + β) + b)(a(β + α) + b)(a(γ + α) + b) = - 2ax - b
x = - ((a(α + β) + b)(a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b) + b)/2a
y - ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c))/2
= - 1/(a(β + α) + b) *
(- (a(α + β) + b)(a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b) + b)/2a - (α + β)/2)
= (a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b)/2a + (a(α
+ β) + b)/2(a(β + α) + b)
= (a^2(γ^2 + (α + β)γ + αβ) + ab(γ + (α + β + γ)) + b^2)/2a + 1/2
y = ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c) + (aγ^2 + bγ + c))/2
+ (a(αβ + βγ + γα) + b(α + β + γ))/2 + (b^2 - ac + a)/2
そこで,次の (x1,y1) が A,B,C を通る円の中心になります。
x1 = - ((a(α + β) + b)(a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b) + b)/2a
y1 = ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c) + (aγ^2 + bγ + c))/2
+ (a(αβ + βγ + γα) + b(α + β + γ))/2 + (b^2 - ac + a)/2
次に,垂直二等分線が y 軸に平行になる場合です。
明らかに,二本とも平行になることはありえません。
そこで,まず,AC の垂直二等分線が y 軸に平行になる場合を考えます。
このとき,a(γ + α) + b = 0 で,AC の垂直二等分線は x = (α +
γ)/2 = - b/2a です。
これは x1 で a(γ + α) + b = 0 とした場合と一致しています。
また,AB の垂直二等分線は y 軸と平行でないので先ほどと同じで,y1 も一致します。
AB の垂直二等分線が y 軸に平行になる場合も同様で,先ほどのに特殊な場合として含まれています。
結局,すべての場合で,円の中心は (x1,y1) になります。
同様にして,A,B,D を通る円の中心は次の (x2,y2) です。
x2 = - (a(α + β) + b)(a(β + δ) + b)(a(δ + α) + b) + b)/2a
y2 = ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c) + (aδ^2 + bδ + c))/2
+ (a(αβ + βδ + δα) + b(α + β + δ))/2 + (b^2 - ac + a)/2
二つの円が一致するには,これら中心が一致することが必要です。
逆に中心が一致すれば A,B が共通なので半径も一致し,二つの円は完全に一致します。
つまり,A,B,C,D が同一円周上にある条件は,これら中心が一致することです。
これは,
x1 = x2
- (a(α + β) + b)(a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b) + b)/2a
= - (a(α + β) + b)(a(β + δ) + b)(a(δ + α) + b) + b)/2a
(a(α + β) + b)(a(β + γ) + b)(a(γ + α) + b)
= (a(α + β) + b)(a(β + δ) + b)(a(δ + α) + b)
a(α + β) + b = 0 又は a(α + β + γ + δ) + 2b = 0
かつ
y1 = y2
((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c) + (aγ^2 + bγ + c))/2
+ (a(αβ + βγ + γα) + b(α + β + γ))/2 + (b^2 - ac + a)/2
= ((aα^2 + bα + c)
+ (aβ^2 + bβ + c) + (aδ^2 + bδ + c))/2
+ (a(αβ + βδ + δα) + b(α + β + δ))/2 + (b^2 - ac + a)/2
aγ^2 + bγ + a(βγ + γα) + bγ = aδ^2 + bδ + a(βδ + δα) + bδ
a(α + β + γ + δ) + 2b = 0
つまり,
(a(α + β) + b = 0 又は a(α + β + γ + δ) + 2b = 0) かつ a(α + β + γ + δ) + 2b = 0
となって,結局,A,B,C,D が同一円周上にある条件は,
a(α + β + γ + δ) + 2b = 0
になります。
さて, y = mx,y = - mx の場合に戻ります。
このとき,グラフの状況によって詳細には幾つかの場合がありえますが,少なくとも常に,
α,β,γ,δは,
いずれか二つずつが,ax^2 + (b + m)x + c = 0 又は ax^2 + (b - m)x +
c = 0 の解,
になっているので,
a(α + β + γ + δ) + 2b = a(- (b + m)/a - (b - m)/a) + 2b
= - 2b + 2b = 0
で成立します。
以上より,傾きが m と - m である二直線が放物線と異なる四点で交わるとき,
この四点が同一円周上にあることが証明できました。
(別解)
水の流れさんから頂いたヒントに基づいた別解です。すごく簡単になってしまいました (^^;
問題1:(1)&(2)
(2)から解いてしまいましょう。
放物線は,
y = ax^2 + bx + c,a > 0,と書けます。
また,A,B,C から x 軸に下ろした垂線の足を H,I,J とし,BI の延長と AC の交点を D とします。
さらに,AC の式を y = mx + n とします。すると,
BD = (mβ + n) - (aβ^2
+ bβ + c) = - a(β - α)(β - γ) = a(β - α)(γ - β)
△ABC = BD * HJ * 1/2 = a(β - α)(γ - β) * (γ - α) * 1/2 = a(β - α)(γ - α)(γ - β)/2
つまり,(2)は,
△ABC = a(β - α)(γ - α)(γ - β)/2
になります。
(1)は,a = 2,α = 1,β = 2,γ = 4,なので,
△ABC = 2(2 - 1)(4 - 1)(4 - 2)/2 = 6
になります。
問題2:
まず,放物線を対称軸が y 軸に平行な下に凸なもの,としても一般性を失いません。
また,傾きが m と - m である二直線が異なる四点で交わるので,m > 0 としてよく,
したがって,これら二直線自体も交わります。
そこで,二直線の交点を原点とし,
二直線を,y = mx,y = - mx,m
> 0
放物線を,y = ax^2 + bx + c,a > 0
とおきます。
さらに,異なる四つの交点を A,B,C,D,それらの x 座標を α < β < γ < δ,とします。
すると,点の位置関係によって,次の場合が考えられます。
(1) O,A,B が同一直線上にあり,O,C,D が同一直線上にある。
(2) O,A,C が同一直線上にあり,O,B,D が同一直線上にある。
(3) O,A,D が同一直線上にあり,O,B,C が同一直線上にある。
これらに対して,方べきの定理の逆により,
(1)では OA * OB = OC * OD
(2)では OA * OC = OB * OD
(3)では OA * OD = OB * OC
がそれぞれいえていれば,この四点が同一円周上にあることになります。
ところが,
OA = |α|√(1 + m^2),OB = |β|√(1 + m^2),OC = |γ|√(1 + m^2),OD = |δ|√(1 + m^2)
α,β,γ,δは,ax^2 + (b + m)x + c = 0 又は ax^2 + (b - m)x +
c = 0 の解
であることから,
(1)の場合
O,A,B が同一直線上にあり,O,C,D が同一直線上にあるので,
αとβが一つの同じ方程式の解,γとδがもう一つの同じ方程式の解,となって,
OA * OB = (1 + m^2)|αβ| = (1 +
m^2)|c/a| = (1 + m^2)|γδ| = OC * OD で成立。
(2)の場合
O,A,C が同一直線上にあり,O,B,D が同一直線上にあるので,
αとγが一つの同じ方程式の解,βとδがもう一つの同じ方程式の解,となって,
OA * OC = (1 + m^2)|αγ| = (1 +
m^2)|c/a| = (1 + m^2)|βδ| = OB * OD で成立。
(3)の場合
O,A,D が同一直線上にあり,O,B,C が同一直線上にあるので,
αとδが一つの同じ方程式の解,βとγがもう一つの同じ方程式の解,となって,
OA * OD = (1 + m^2)|αδ| = (1 +
m^2)|c/a| = (1 + m^2)|βγ| = OB * OC で成立。
となって,いずれの場合も成立します。
以上より,傾きが m と - m である二直線が放物線と異なる四点で交わるとき,
この四点が同一円周上にあることが証明できました。
(感想)
最初,問題1:は,三角形の面積の公式のおかげであっさりでしたが,
問題2:は,そのようなものが思い付かなかったので,難しくはないものの,計算が面倒になりました。
しかし,結果はきれいなので,もう少し簡単にできるのかな,と思ったのですが,
解答送付後の水の流れさんからのメールにあったヒントから,(別解)のような簡単な解法にたどり着きました。
ちょっとした発想の転換で大分変わってしまうのは,数学の醍醐味の一つですね。
NO2「浜田明巳」 02/08 13時55分受信
更新2/26
問題1:
(2)
放物線の方程式を
y=ax2+bx+c(a>0)
とすると,
A(α,aα2+bα+c),B(β,aβ2+bβ+c),C(γ,aγ2+bγ+c)
直線ACの方程式は,α<γから,
y={(aγ2+bγ+c)−(aα2+bα+c)}/(γ−α)・(x−α)+(aα2+bα+c)
∴y={a(γ+α)+b}(x−α)+aα2+bα+c
∴y={a(α+γ)+b}x−aαγ+c
点Dを,x座標がβで,この直線上の点とすると
D(β,{a(α+γ)+b}β−a αγ+c)
この放物線は下に凸の放物線であるから,Dの方がBより上にある.
∴BD=[{a(α+γ)+b}β−aαγ+c]−(aβ2+bβ+c)
=aαβ+aβγ+bβ−aαγ+c−aβ2−bβ−c=a(αβ+βγ−αγ−β2)
=a{α(β−γ)+β(γ−β)}=a(β−α)(γ−β)
∴△ABC=△ABD+△CBD=1/2・BD・(Cのx座標−Aのx座標)=a(β−α)(γ−β)(γ−α)/2
(1)
(2)の答において,a=2,α=1,β=2,γ=4とすればよいので,面積は,
2(2−1)(4−2)(4−1)/2=6
-問題2:
放物線,直線の方程式をy=ax2,y=mx+p,y=−mx+q(a>0,m>0)としてよい.
y=ax2とy=mx+pの交点をA(α,aα2),B(β,aβ2)(α>β),y=ax2とy=−mx+qの交点をC(γ,aγ2),D(δ,aδ2)(γ>δ,α≠γ)とする.
A,Bのx座標を求める.
ax2=mx+p から,
ax2−mx−p=0
解と係数の関係から,
α+β=m/a,αβ=−p/a
また,α>β,a>0から,
α={m+(m2+4ap)1/2}/(2a)(ただしm2+4ap>0)
ABの中点のx座標は,
(α+β)/2=(m/a)/2=m/(2a)
y座標は,
(aα2+aβ2)/2=a/2・(α2+β2)=a/2・{(α+β)2−2αβ}=a/2・(m2/a2+2p/a)=m2/(2a)+p
故にABの垂直二等分線の方程式は,
y=−1/m・{x−m/(2a)}+m2/(2a)+p=−1/m・x+(1+m2)/(2a)+p
同様にCDの垂直二等分線の方程式は,
y=1/m・x+(1+m2)/(2a)+q
2つの垂直二等分線の交点Oの座標を求める.
−1/m・x+(1+m2)/(2a)+p=1/m・x+(1+m2)/(2a)+q
から,
2/m・x=p−q
∴x=m(p−q)/2
∴y=−1/m・m(p−q)/2+(1+m2)/(2a)+p=(q−p)/2+(1+m2)/(2a)+p={a(p+q)+1+m2}/(2a)
∴O(m(p−q)/2,{a(p+q)+1+m2}/(2a))
∴OA2={m(p−q)/2−α}2+[{a(p+q)+1+m2}/(2a)−aα2]2,
OC2={m(p−q)/2−γ}2+[{a(p+q)+1+m2}/(2a)−aγ2]2
∴OA2−OC2=m(p−q)(γ−α)+(α2−γ2)+{a(p+q)+1+m2}/a・(aγ2−aα2)+a2(α4−γ4)
α≠γから,
(OA2−OC2)/(γ−α)=m(p−q)−(α+γ)+{a(p+q)+1+m2}(α+γ)−a2(α2+γ2)(α+γ)
∴(OA2−OC2)/(γ−α)−m(p−q)={a(p+q)+m2−a2(α2+γ2)}(α+γ)
ここで,
α={m+(m2+4ap)1/2}/(2a),
γ={−m+(m2+4aq)1/2}/(2a)(m2+4ap>0,m2+4aq>0)
であるから,
α+γ={(m2+4ap)1/2+(m2+4aq)1/2}/(2a)
また,
α2={m2+2m(m2+4ap)1/2+(m2+4ap)}/(4a2)={m2+2ap+m(m2+4ap)1/2}/(2a2)
γ2={m2+2aq−m(m2+4aq)1/2}/(2a2)
∴α2+γ2=[2m2+2a(p+q)+m{(m2+4ap)1/2−(m2+4aq)1/2}]/(2a2)
∴(OA2−OC2)/(γ−α)−m(p−q)
=(a(p+q)+m2−a2[2m2+2a(p+q)+m{(m2+4ap)1/2−(m2+4aq)1/2}]/(2a2))・{(m2+4ap)1/2+(m2+4aq)1/2}/(2a)
=[a(p+q)+m2−m2−a(p+q)−m/2・{(m2+4ap)1/2−(m2+4aq)1/2}]・{(m2+4ap)1/2+(m2+4aq)1/2}/(2a)
=−m/2・{(m2+4ap)1/2−(m2+4aq)1/2}・{(m2+4ap)1/2+(m2+4aq)1/2}/(2a)
=−m/(4a)・{(m2+4ap)−(m2+4aq)}
=−m/(4a)・(4ap−4aq)
=−m(p−q)
∴(OA2−OC2)/(γ−α)=0
∴OA=OC
OはAB,CDの垂直二等分線上の点なので,
OA=OB,OC=OD
∴OA=OB=OC=OD
故に4点A,B,C,Dは,Oを中心とする同一円周上にある.
(腕力の勝負でした)
NO3「su-chang」 02/21 15時11分受信 更新2/26
寄せられた解答です。
<みずの流れ:「su-chang」さんは大垣南高校の教え子です>
NO4「ice」 03/14 21時37分受信 更新3/18
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。