平成24年6月10日
[流れ星]
第275回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:5月20日〜6月10日
[ボールを箱に]
2010年の京都大学の入試問題です。
<「uchinyan」さんからの指摘で、20日午後に2012年から2010年に訂正しました。>
NO1「uchinyan」 05/20 12時15分受信 更新6/10
それぞれのボールが一つの箱に入る確率は 1/2n なので,n 個のボールでは
(1/2n)^n ですが,これにそれぞれのボールがどの箱に入るかの入り方が掛かります。これは,どのボールも必ず箱に入り,しかも箱に入るボールは多くとも
1 個なので,ボールの入る箱は n 個で,どの箱に入るかで 2nCn 通り,それらの箱へのボールの入り方が n! 通りなので,2nCn * n! 通りになります。そこで,確率 pn は,
pn = 2nCn * n! * (1/2n)^n =
(2n)!/n!n! * n! * 1/(2n)^n
= 2n/2n * (2n-1)/2n * (2n-2)/2n * … * (2n-(n-1))/2n
これより,
lim[n->∞]{log(pn)/n}
= lim[n->∞]{log(2n/2n * (2n-1)/2n * (2n-2)/2n * … *
(2n-(n-1))/2n)/n}
= lim[n->∞]{(log(2n/2n) + log((2n-1)/2n) + log((2n-2)/2n) + … + log((2n-(n-1))/2n)) * 1/n}
= lim[n->∞]{Σ[k=0,n-1]{log((2n - k)/2n)} * 1/n}
= 2 * lim[n->∞]{Σ[k=0,n-1]{log(1 - k/2n)} * 1/2n}
区分求積法より,
= 2 * ∫[0,1/2]{log(1 - x)}dx
= 2 * ∫[0,1/2]{(x - 1)' * log(1 - x)}dx
= 2 * ([(x - 1) * log(1 -
x)][0,1/2] - ∫[0,1/2]{(x - 1) * (-1)/(1 - x)}dx)
= 2 * (((- 1/2) * log(1/2) - (- 1)
* log(1)) - ∫[0,1/2]{1}dx)
= 2 * ((1/2) * log2 - [x][0,1/2])
= 2 * ((1/2) * log2 - 1/2)
= log2 - 1
になります。
(感想)
まぁ,趣味,というと何か変な感じもしますが,毎年,幾つかの大学入試問題は解いてみているので,これも以前に解いたことがあります。ただ,2012年,今年,ではなく,2010年だったように思います。それほど難しくはないと思いますが,基本がしっかり分かっているかを試すにはいい問題で,pn が求まるかどうか,その後,積分に持ち込んで計算できるかどうかですね。なお,ちなみに,2012年の京大の理系の6番の確率の問題は,ちょっと変わった感じの問題で,これよりも難易度が高いだろうな,と思います。
NO2「浜田明巳」 05/22 15時05分受信
更新6/10
n個のボールを区別する.
n個のボールを2n個の箱への投げ入れ方は2n通りずつあるので,ボールの投げ入れ方は(2n)n通り.
どの箱にも1個以下のボールしか入れないのは,n個の箱に1個ずつボールを入れるとき.n個の箱の選び方は2nCn通り.それらの箱へのボールの入れ方はn!通り.
∴pn=2nCn・n!/(2n)n
=(2n)!・n!/{n!・n!・(2n)n}
=(n+1)(n+2)(n+3)・・・(n+n)/(2n・nn)
=(1+1/n)(1+2/n)(1+3/n)・・・(1+n/n)・2−n
∴logpn=Σ(1≦k≦n)log(1+k/n)−nlog2
∴logpn/n=1/n・Σ(1≦k≦n)log(1+k/n)−log2
∴lim(n→∞)pn/n=lim(n→∞)1/n・Σ(1≦k≦n)log(1+k/n)−log2
=∫(0<x<1)log(1+x)dx−log2
t=1+xと置換すると,
lim(n→∞)pn/nw)溂A・・・・齦皃苳雑1<t<2)logtdt−log2
=[tlogt−t](1<t<2)−log2
=(2log2−1)−log2
=log2−1
「浜田明巳」 05/24 10時32分受信
更新6/10
確率試行はパソコンでやるべきである.エクセルのマクロで実験してみた.
しかし,nの値が大きくなると,確率の値が小さいものとなり,試行回数をよほど大きくしないと,計算ができない.つまり箱の中のボールの数が1個以下となるのはほとんどあり得ないので,pn≒0であり,logpnが計算できない.現実では起こりえないものの確率を計算をすることに意味があるのか.日常生活の問題解決の為の数学ではなく,入試問題解答の為の数学を京大は出題しているのではないのか,と思った次第である.少しでもそう思ったことを反省している.
とりあえずは,logpn/nは0.3(≒log2−1)近くの値に近づくことが分かる.
Option Explicit
Const n_max As Long = 100
Const shikoukaisuu As Long = 100000
Sub Macro1()
Randomize Timer
Sheets("Sheet1").Select
Dim a(2 * n_max) As Integer
Dim b As Long
Dim n As Long
Dim box As Long
Dim kaisuu As Long
Dim dame As Integer
Dim j As Long
For n = 1 To n_max
Cells(n + 1, 1).Value = n
Cells(n + 1, 2).Value = ""
Range("A" & (n + 1)).Select
b = 0
For kaisuu = 1 To shikoukaisuu
For j = 1 To 2 * n
a(j) = 0
Next j
For j = 1 To n
box = Int(Rnd() * (2 * n)) + 1
a(box) = a(box) + 1
Next j
dame = 0
j = 1
While dame = 0 And j <= 2 * n
If a(j) > 1 Then
dame = 1
Else
j = j + 1
End If
Wend
If dame = 0 Then
b = b + 1
End If
Next kaisuu
If b > 0 Then
Cells(n + 1, 2).Value = (Log(b / shikoukaisuu) / Log(Exp(1))) / n
End If
Next n
Range("A1").Select
End Sub
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NO3「kasama」 05/31 19時28分受信 更新6/10
箱とボールは区別できるものとして考えます。 |
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まず、ボールの入り方の総数を求めます。1番目ボールの入り方は2n通り、2番目も2n通り。以下、n番目まで続けると、 |
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2n・2n・・・2n=(2n)n |
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です。次はどの箱にも1個以下のボールしか入っていないケースです。箱のボールは高々1個ですから、1番目のボールの入り方は2n通りあります。2番目は1つ少ない2n-1通りです。以下、n番目まで続けると、 |
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2n(2n-1)(2n-2)・・・n=2nPn |
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となりますから、1個以下のボールしか入っていない確率は、 |
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となり、後は計算です。次のように式を順次変形して、極限値を求めます。 |
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皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。