平成24年11月18日
[流れ星]
第282回数学的な応募解答
<解答募集期間:10月21日〜11月18日>
[マハーラノービスの問題]
BLUE BACKSの「連分数のふしぎ」にあった問題です。以下引用した文です。
ラマヌジャンがイギリスのケンブリッジいた頃、友人のインド人数学者マハーラノービスが雑誌の難問コーナーからこんな問題を見つけてきた。
「通りの家がずらっと並んでいて、端から順番に1番、2番、・・・、と番地番号がつけられている。さて、ある家の左側に並んでいる番地番号を全て足した数と右側に並んでいる番地番号を全て足した数がちょうど同じになるという。この家の番地番号は何番で、通りには家が何軒あるか。ただし、通りの家の数は50軒以上、1500軒以下とする。」
さて、ラマヌジャンは即座に答えに至ったそうです。では、皆さんも考えてください。
たとえば、通りの家が10軒未満ですと、1+2+3+4+5=15=7+8ですから、通りの家は8軒で、家の番地番号は6番になります。
NO1「uchinyan」 10/21 14時17分受信 更新11/18
条件を満たす家の番地番号を m 番,通りにある家を n 軒,とします。
もちろん,m,n は自然数で,題意より,50 <= n <= 1500 です。
さらに,題意より,
m(m-1)/2 = n(n+1)/2 -
m(m+1)/2
n(n+1) = 2m^2
4n^2 + 4n + 1 = 2 * 4m^2 +
1
(2n+1)^2 - 2(2m)^2 = 1
ここで,x = 2n+1,y
= 2m とおくと,x,y も自然数で,
x^2 - 2y^2 = 1
という方程式の自然数解を求める問題になります。
この方程式は,ペル方程式と呼ばれる有名な方程式で,その解法もよく知られています。
このサイトの過去問にも例えば「第167回数学的な応募問題[ペル方程式]」というのがあり,
その結果,問6:の答え,今回はそのときの私の解法の(問6の別解2)の漸化式
x(k+1) = 3 * x(k) + 4 *
y(k)
y(k+1) = 2 * x(k) + 3 *
y(k)
x(1) = 3, y(1) = 2
が便利,を使うと,
(x,y)
= (3,2), (17,12), (99,70), (577,408), (3363,2378), …
そこで,n の範囲から求めるものは,(x,y) = (2n+1,2m) = (577,408),(m,n) = (204,288),
家の番地番号は 204 番,通りにある家は 288 軒になります。
(考察)
ペル方程式のより詳しい解法に関しては,Webで探せばいろいろと見つかりますが,
高校レベルできちんと書いたものとしては,例えば,
青空学園数学科
http://aozoragakuen.sakura.ne.jp/suuron/node68.html
ペル方程式があります。
また,x^2 - 2y^2 = 1 に特化したより簡単な手法としては,例えば,
☆ ヤドカリの 気ままな数学 ☆
http://blogs.yahoo.co.jp/oka_yadokary/folder/99678.html?m=lc&p=5
「x^2−2y^2=±1」の0以上の整数解があります。
ここでは,この手法に従って解いてみましょう。
x^2 - 2y^2 = 1 において,0 以上の整数解を求めます,
(負の整数は,2乗の式なので自ずと求まりまるので,これで十分です。)
まず,y = 0 のとき x = 1 です。
次に,y >= 1 のとき,
x^2 - 2y^2 = 1,x^2 - y^2
= y^2 + 1,(x + y)(x - y) = y^2 + 1 > 0
より,x - y = q > 0 とおくと,x + y = 2y + q となり,
(2y + q)q = y^2 + 1,y^2 - (2y
+ q)q = -1,(y - q)^2 - 2q^2 = -1
このとき,y(y - 2q) = q^2 - 1 >= 0,y - 2q >= 0,y - q >= q > 0,です。
そこで,y - q = p > 0 とおくと,
p^2 - 2q^2 = -1 になります。このことより,
x^2 - 2y^2 = 1 の解は,(x,y) = (1,0)
又は
x^2 - 2y^2 = -1 の解 p, q を使って,x = p + 2q,y = p + q と書けます。
そこで,今度は,x^2 - 2y^2 = -1 を解いてみましょう。
y = 0 のとき,x の値は存在しないので
y >= 1 です。
そこで,y >= 1 のとき,
x^2 - 2y^2 = -1,x^2 - y^2
= y^2 - 1,(x + y)(x - y) = y^2 - 1 >= 0
より,x - y = q >= 0 とおくと,x + y = 2y + q となり,
(2y + q)q = y^2 - 1,y^2 - (2y
+ q)q = 1,(y - q)^2 - 2q^2 = 1
このとき,y(y - 2q) = q^2 + 1 > 0,y - 2q > 0,y - q > q >= 0,です。
そこで,y - q = p > 0 とおくと,
p^2 - 2q^2 = 1
になります。このことより,
x^2 - 2y^2 = -1 の解は,
x^2 - 2y^2 = 1 の解 p, q を使って,x = p + 2q,y = p + q と書けます。
以上のことから,
(p,q)
に (p+2q,p+q) を対応させることによって。
x^2 - 2y^2 = 1 の解と x^2 -
2y^2 = -1 の解が交互に得られることになります。
そこで,x^2 - 2y^2 = 1 の解である (1,0) から始めて。
(1,0) -> (1,1) ->
(3,2) -> (7,5) -> (17,12) -> (41,29) -> (99,70) ->
(239,169) -> (577,408)
-> (1393,985) -> (3363,2378) -> (8119,5741) -> … となります。
特に,(p,q)
-> (p+2q,p+q) -> (3p+4q,2p+3q) を使って,
(p,q)
に (3p+4q,2p+3q) を直接対応させることによって,
x^2 - 2y^2 = 1 の解が,
(1,0) -> (3,2) ->
(17,12) -> (99,70) -> (577,408) -> (3363,2378) -> … と得られます。
(感想) この問題は,名前は知りませんでしたが,私もどこかで見た覚えがあります。
かなり有名な問題なのかも知れません。ペル方程式と連分数の関係は,(考察)で紹介した青空学園数学科のページに詳しく書かれています。
この問題に関しては √2 の連分数近似
√2 = 1 + 1/(2 + 1/(2 + 1/(2 + 1/(2 +
1/(2 + 1/(2 + 1/(2 + 1/(2 + …))))))))
√2 = 3/2, 7/5, 17/12, 41/29, 99/70,
239/169, 577/408, 1393/985, …
が関係しています。しかし,パッと見には何故だか分からないですよね。
x^2 - 2y^2 = ±1,(x -
y√2)(x + y√2) = ±1,
(√2 - x/y)(√2 + x/y) =
±1/y^2,√2 = x/y ±1/((x/y + √2)y^2)
などと書けば,何となく見えてきますが...
元の問題からこうしたことを連想できるでしょうか。
ラマヌジャンはいろいろと逸話の多い人ですが,
彼の場合,数学者というよりも「数とお友達」という感じだったようで,
真の天才というものはそういうものなのかも知れませんね。
凡人の私には想像すらできない世界のような気がします。
NO2「浜田明巳」 10/22 08時22分受信
更新11/18
NO3「Iga」
10/28 22時46分受信 更新11/18
Igaです。エクセルを使いましたが,一応答えが出たので送ります。
「通りの家がずらっと並んでいて、端から順番に1番、2番、・・・、と番地番号がつけられている。さて、ある家の左側に並んでいる番地番号を全て足した数と右側に並んでいる番地番号を全て足した数がちょうど同じになるという。この家の番地番号は何番で、通りには家が何軒あるか。ただし、通りの家の数は50軒以上、1500軒以下とする。」
家の番地番号をn番、通りの家の数をm軒とすると、
左側に並んでいる家の番地番号は1番〜(n−1)番なので、その和は
n(n−1)/2
右側に並んでいる家の番地番号は(n+1)番〜m番なので、その和は
m(m+1)/2−n(n+1)/2
それらが等しいので
n(n−1)/2=m(m+1)/2−n(n+1)/2
n(n−1)=m(m+1)−n(n+1)
n(n−1)+n(n+1)=m(m+1)
n{(n−1)+(n+1)}=m(m+1)
n×2n=m(m+1)
n^2=m(m+1)/2 ……【A】
これは、1〜mの和が平方数になるmとその和の正の平方根nを求めればいいわけですが、
横着をしてエクセルを使って求めました。
その結果、n=204,m=288が求められました。
ということで、家の番地番号は204番で、通りの家の数は288軒となりました。
エクセルを使ったついでに他の解を求めてみました。
50軒以下では、(6番、8軒)のほかに(35番、49軒)がありました。
1500軒以上では、10万軒まで求めてみたら
(1189番、1681軒)(6930番、9800軒)(40391番、57121軒)
がありました。これらを眺めていたら、次のようなことに気がつきました。
m m+1 n
8=2^2×2
9=3^2 6=2×3
49=7^2 50=5^2×2 35=7×5
288=12^2×2 289=17^2 204=12×17
1681=41^2 1682=29^2×2 1189=41×29
9800=70^2×2 9801=99^2 6930=70×99
57121=239^2 57122=169^2×2 40391=239×169
mと(m+1)は平方数(a^2)と平方数の2倍(b^2×2)の組で、nは式【A】からも当然のように、n=abとなっていました。
後から式【A】をよくよく考えてみると、mと(m+1)は1以外の共通の因数を持つわけがないので、積が平方数の2倍になるためには、mと(m+1)が平方数(a^2)と平方数の2倍(b^2×2)の組み合わせになることは明らかでしたね。気がつくのが遅かったですね。
では、またよろしくお願いします。
No4「スモークマン」 11/02 22時46分受信 更新11/18
今回の問題はどっかで観た記憶ありますが...チャレンジしてみましたぁ ^^v
m(m+1)=n(n+1)-m(m1)
2m^2=n(n+1)
m=2a のとき…n=8a でも、n+1=8a でも無理…
m=2a-1
2(2a-1)^2=n(n+1)
・ n=2p^2, n+1=q^2 のとき…
q^2-2p^2=1
50/2=25<=p^2<=750 なので…
5<=p<=5√30=27.3
q^2=2p^2+1…mod 4では0 or 1 なので…
p=4t…8,12,16,20,24
を解くと…
p=12, q=17…のときのみとわかる…
2m^2=2*12^2*17^2…m=12*17=204, n=2*12^2=288
・ n=q^2, n+1=2p^2 のとき…
2p^2-q^2=1
50<=q^2<=1500
√50=7.0<=q<=√1500=38.7
同じく…q=4t+1…9,13,17,21,25,29,33,37
を解くと…解なし
けっきょく…
288軒で、204番目でいいのかな…^^
確認...
204*205/2=20910
(288*289-203*204)/2=20910 ♪
ラマヌジャンの頭は常軌を逸してますよねぇ...^^;
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。