平成25年1124

[流れ星]

     第299回数学的な応募解答

      <解答募集期間:1027日〜1124日>

[作図の問題]

三角形ABCと点Pがあります。
点Pを通って、AB,ACとそれぞれD,Eで交わり,BD=CEとなるような直線を引いてください。

ヒント:同一平面上の等線分BD,CEの回転の中心は定点です。

問題の出典 <佼成出版社  「学問の発見」 広中 平祐 著>

NO1uchinyan  11/03 1211分受信 更新11/24

次のようにすればよさそうです。なお,ある点を通り与えられた線分に平行な線を引く,与えられた線分に垂直二等分線を引く,与えられた線分を直径とする円を描く,などの基本的な作図の仕方は省略します。

(作図)

AB = AC の場合

P を通って BC に平行な線を引けばいいです。

 

AB < AC の場合

AB > AC の場合と同様にできます。

AB > AC の場合

(1) AB 上に BF = AC となる点 F を取ります。

(2) BC の垂直二等分線を引きます。このときの BC の中点を M とします。

(3) AF の垂直二等分線を引きます。このときの AF の中点を N とします。

(4) 二つの垂直二等分線の交点を O とします。

(5) OPを直径とする円を描き,MN との交点を求めます。この交点を Q とします。

(6) P Q を通る直線を引き,ABAC との交点を DE とします。

(7) この DE が求めるもので,BD = CE になっています。

(理由)

(作図)の自明ではないAB > AC の場合の背景にあるポイントは,

BD = CE のとき常に成立する次の二つ,

(a) DE の中点は常に MN 上にある。

(b) 定点 O はヒントにある BDCE の回転中心である。

です。

(a)より,Q DE の中点になっています。

(b)より,OD = OE O DE の垂直二等分線上にあります。

(2)(4)でポイントになる MN O を求め,(5)で円を描き MN との交点 Q を求めることで,OQ⊥DEDQ = EQ となる Q を求めていることになり,題意を満たす作図が完成するわけです。そこで,後は,(a)(b)を証明すればいいです。

(a)の証明

点の位置関係から,MNCA の延長は交わるのでその交点を G とします。

AN = FN = (AB - AC)/2BN = BF + FN = AC + (AB - AC)/2 = (AB + AC)/2

に注意して,メネラウスの定理より,

BN/NA * AG/GC * CM/MB = 1

((AB + AC)/2)/((AB - AC)/2) * AG/(AG + AC) * 1/1 = 1

(AB + AC)/(AB - AC) * AG/(AG + AC) = 1

AG = (AB - AC)/2 = AN = FN

DE MN の交点を R とすると,メネラウスの定理より,

DN/NA * AG/GE * ER/RD = 1

(BN - BD)/NA * AG/(AG + AC - CE) * ER/DR = 1

((AB + AC)/2 - BD)/AN * AN/((AB - AC)/2 + AC - CE) * ER/DR = 1

((AB + AC)/2 - BD)/AN * AN/((AB + AC)/2 - CE) * ER/DR = 1

BD = CE なので,

((AB + AC)/2 - BD)/AN * AN/((AB + AC)/2 - BD) * ER/DR = 1

1 * ER/DR = 1

DRER = 11

つまり,R DE の中点です。

DE の中点は唯一つしか存在しないので,DE の中点は MN 上に存在することになります。

(b)の証明

O BC FA の垂直二等分線の交点なので,OB = OCOF = OA

また,BF = CA,なので,△OBF ≡ △OCA∠OBF = ∠OCA,です。

これより,

BD = CEOB = OC∠OBD = ∠OCE△OBD ≡ △OCE

となって,O BDCE の回転中心です。

また,OD = OE,なので,(a) DE の中点 R に対して OR⊥DE になっています。

以上で,(作図)が正しいことが分かりました。

(感想)

最初,ヒントの,回転中心が定点,がうまく理解できずに苦労しました。

試行錯誤の結果,何とか上記の O の存在に気付き,その後は比較的スンナリとできました。

NO2「にいばりZ1211/7 0156分受信 更新11/24

作図法

  ABAC上にそれぞれBT1CT2となるようT1T2をとり、BCの中点をFT1T2の中点をGとします。 Fを通りBCに直交する直線と、Gを通りT1T2に直交する直線との交点をOとしま
す。
OP
を直径とする円と直線FGの交点をHとします
直線P Hと、AB及びACの交点がD及びE(DB=EC)となります。・・・・回答

作図法の根拠

@    

  「同一平面上の等線分DBECの回転の中心は定点」

  線分DBが回転し線分ECに重なるためには、点Bの回転中心と、点Dの回転中心が同
一でなければならない

  点Oを中心にBが回転してCに重なるとするとOB=OCOBCの中点Fと直交する直線
上になければならない。

  点O’を中心にDが回転してEに重なるとするとO’ D=O’ EO’DEの中点Gと直
交する直線上になければならない。

  つぎに、D及びEを伸長しD’E’、及びその中点G’を取り(BD’=CE’)その回
転中心をO”とする

  △ABCおよび△ADEにおいて上記と同様の議論が成り立つので

  O=O”O’=O”

  よって回転中心は定点。

 A

  「D,Eを動点としたとき、Gの軌跡は直線」

  △OBD≡△OCEから△OBF∽△ODG

  ∴△OBD∽△OFG∠OFG=∠OBD

  よってGの軌跡は直線

 B

  DEの延長上(E側)に点Pを採ると

  △OGPOPを斜辺とした直角三角形となる。

  したがって、Pを任意(注1)点としOPを直径とした円と直線FGの交点Hを通る直線と

  ABACとの交点をDEとするとDB=ECが成り立つ

 

 注1∠ABC∠ACBで直線BAと直線BCに挟まれる範囲。

   ∠ABC=∠ACBの場合、求める直線はBCに並行でBCを底辺とした△ABCの高さ(A
点)を超えない点であることは自明

<水の流れ:こんな労力のいる問題になっているのに解答を載せずに本が出ているのは読者への挑戦問題となっています。 実は他のサイトへの投稿には同じ解答が寄せられています。
http://math.a.la9.jp/sakuzu2.htm

 

NO3「二度漬け白菜」11/19 1851分受信 更新11/24

この問題の解答が「数学の部屋」というサイトにありました。
http://math.a.la9.jp/sakuzu2.htm

 

解答:
http://math.a.la9.jp/asakuzu2.htm

 

 

念のため、上記サイトの解答を書いておきます。

AB=ACの時は、点Pから辺BCに平行な線を引けばいいので、ABACとします。
線分AB上に、BF=ACとなる点Fをとり、線分BCの中点Gと線分AFの中点Hを結びます。
線分BCの垂直二等分線と線分AFの垂直二等分線の交点を I とします。
線分IPを直径とする円と、線分HGの交点を J とすると、直線 PJ が求める直線になります。」


この作図では次の2つの事実を前提としています。

ABAC上に、BD=CEとなる点DEをとったとき、
1.
「線分DEの中点は、線分GH上を動く」
2.
「線分DEの垂直二等分線は必ず点Iを通る」


以下に、上記の2つの事実を証明しておきます。


AC=1
とし、三角形ABC xy 平面上に、次のように置いて考えます。
「点Cが原点Oに一致し、かつ点Aが点(1,0)に一致し、かつ点By座標が正になる。」
Bの座標をB(a,b) (b0)とします。
線分BAOA上に、BD=OEとなる点DEをとり、BD=OE=t (0≦t≦1)とします。
また、線分BDの中点をMとします。
さらに、AB=Lとおきます。( L=√((1-a)^2+b^2) です)

↑OG=(1/2)*(↑OA)=(1/2)*(a,b).
↑OF=↑OB+↑BF=↑OB+(1/L)*(↑BA) =(a+(1-a)/L,b-b/L).
↑OH=(1/2)*(↑OA+↑OF)=(1/2)*(1+a+(1-a)/L,b-b/L).
↑GH=↑OH-↑OG=(1/2)*(1+(1-a)/L,-b/L)
↑OD=↑OB+↑BD=↑OB+(t/L)*(↑BA)=(a+(t/L)*(1-a),b+(t/L)*(-b)).
↑OE=t*(↑OA)=(t,0).
↑OM=(1/2)*(↑OD+↑OE)=(1/2)*(a+(t/L)*(1-a)+t,b+(t/L)*(-b))
=(1/2)*(a,b)+t*(1/2)*((1/L)*(1-a)+1,-b/L)
=↑OG+t*(↑GH).
よって、点Mは常に線分GH上にあることがわかります。

 

↑DE=(t-a-(t/L)*(1-a),-b+(t/L)*b)に直交するベクトルのひとつを
↑n=(-b+(t/L)*b,-t+a+(t/L)*(1-a))
とします。
線分DEの垂直二等分線上の任意の点をQとすると、
↑OQ=↑OM+k*(↑n) (k:
任意の実数)
=(1/2)*(a+(t/L)*(1-a)+t,b+(t/L)*(-b))+k*(b-(t/L)*b,t-a-(t/L)*(1-a))
=(((1-a)+L+2*k*b)/(2*L)+a/2-k*b,(-b-2*k*L+2*k*(1-a))/(2*L)+b/2+k*a).
k=(-L-1+a)/(2*b)
のとき、
↑OQ=((L+1)/2,(a*(a-1-L)+b^2)/(2*b))
となります。
これはtに依らないベクトルです。
よって線分DEの垂直二等分線は常に定点 I((L+1)/2,(a*(a-1-L)+b^2)/(2*b)) を通ります。(証明終)


座標やベクトルを使わないような、図形的な証明があるのかもしれませんが、
私にはこのような証明の方法しか思いつきませんでした。

皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。