平成25年12月22日
[流れ星]
第300回数学的な応募解答
<解答募集期間:11月24日〜12月22日>
[立体の埋め込み]
「大学への数学」1対1対応の演習(数学A)に立体の埋め込み問題がありましたので、紹介します。
問題1:一辺の長さが2の立方体がある。この立方体の6つの面の中心(対角線の交点)を頂点とする正八面体の表面積と内接球の半径を求めよ。
問題2:3辺の長さがBC=2a,CA=2b,AB=2cである鋭角三角形△ABCの3辺BC,CA,ABの中点をそれぞれL,M,Nとする。線分LM,MN,NLに沿って三角形を折り曲げ、四面体を作る。その際、線分BLとCL,CMとAM、ANとBNはそれぞれ同一視されて、長さがa、b、cの辺になるものとする。この四面体A-LMNの体積を求めよ。
NO1「uchinyan」 11/24 15時08分受信
更新12/22
問題1:
正八面体の面は一辺 √2 の正三角形になるので,
表面積 = (√3/4 * (√2)^2) * 8 = 4√3
内接球の半径を r とすると,
表面積 * r * 1/3 = 正八面体の体積
4√3 * r * 1/3 = (2 * 2 * 1/2) * 2 * 1/3
r = 1/√3 = √3/3
問題2:
四面体A-LMN において,ベクトルAL = va,ベクトルAM = vb,ベクトルAN = vc とします。
MN = BL = CL = a,NL = CM = AM = b,LM = AN = BN = c なので,
|vc - vb| = a = |va|,|va - vc| = b = |vb|,|vb - va| = c = |vc|
vc・vc - 2(vc・vb) + vb・vb = va・va
va・va - 2(va・vc) + vc・vc = vb・vb
vb・vb - 2(vb・va) + va・va = vc・vc
上式を二つずつ足すと,
(va + vb - vc)・vc = 0,(vb + vc - va)・va = 0,(vc + va - vb)・vb = 0
ここで,ベクトルAD = vd = (va + vb + vc)/4 となる点 D を考え,
D に対して A,L,M,N の対称な点 A',L',M',N' を取ると,
ベクトルAA' = (va + vb + vc)/4 * 2 = (va + vb
+ vc)/2
ベクトルAL' = ((va + vb + vc)/4 - va) * 2 +
va = (vb + vc - va)/2
ベクトルAM' = ((va + vb + vc)/4 - vb) * 2 +
vb = (vc + va - vb)/2
ベクトルAN' = ((va + vb + vc)/4 - va) * 2 +
vc = (va + vb - vc)/2
そこで,AL⊥AL',AM⊥AM',AN⊥AN' がいえます。
さらに,
ベクトルM'N = ベクトルAN - ベクトルAM'
= vc - (vc + va - vb)/2 = (vb + vc - va)/2 = ベクトルAL'ベクトルAL'・ベクトルAM' = (vb + vc - va)/2・(vc + va - vb)/2 = (|vc|^2 - |vb - va|^2)/4 = 0
なので,□AL'NM' は長方形です。
同様にして,□AN'LM',□AN'ML'
も長方形になるので,結局,
立体AL'NM'-N'MA'L は直方体になり,
AL,AM,AN は □AN'LM',□AN'ML',□AL'NM'
の対角線,
LM,MN,NL は □N'MA'L,□ML'NA',□LM'NA'
の対角線,
になります。
そこで,AL' = x,AM' =
y,AN' = z とすると,
y^2 + z^2 = a^2,z^2 + x^2 = b^2,x^2 + y^2 = c^2
x^2 + y^2 + z^2 = (a^2 + b^2 + c^2)/2
x = √((b^2 + c^2 - a^2)/2),y = √((c^2 + a^2 - b^2)/2),x = √((a^2 + b^2 - c^2)/2)
四面体A-LMN
= 直方体AL'NM'-N'MA'L - 四面体A-LMN'
- 四面体A-LN'M - 四面体A-ML'N - 四面体A'-LMN
= xyz - xyz/6 * 4
= xyz/3
= √(2(b^2 + c^2 - a^2)(c^2 + a^2 - b^2)(a^2 + b^2 -
c^2))/12
になります。
(感想)
問題1:は簡単でしたが,問題2:は少し苦労しました。
ただ,[立体の埋め込み]とあったので,
そういえば大分前に似たような問題を考えたことがあったな,と思い出し,何とか。
全くの初見だとかなり苦労しそうな感じですね。
NO2「浜田明巳」 11/27 13時14分受信
更新12/22
問題1
正六面体ABCDEFGHにおいて,面ABCD,ABFE,BCGF,CDHG,DAEH,EFGHの対角線の交点をそれぞれP,Q,R,S,T,Uとする.
座標系を導入し,E(0,0,0),P(1,1,2),U(1,1,0),Q(1,0,1),T(0,1,1)とする.
UQ=(02+12+12)1/2=√2
から,正八面体PQRSTUの1面は,1辺の長さが√2の正三角形である.
故に表面積は,
√3/4・(√2)2・8=4√3
次に面UQTの方程式を求める.
原点Eを通らないので,その方程式をax+by+cz=1として,U,Q,Tの座標を代入する.
a+b=1………(1)
a+c=1………(2)
b+c=1………(3)
{(1)+(2)+(3)}÷2から,
a+b+c=3/2………(4)
(4)−(3),(4)−(2),(4)−(1)から,
a=1/2,b=1/2,c=1/2
故に面UQTの方程式は,
1/2・x+1/2・y+1/2・z=1
∴x+y+z−2=0
この平面と,正八面体の中心であるPUの中点O(1,1,1)の距離が,内接球の半径なので,半径は,
|1+1+1−2|/(12+12+12)1/2=1/√3
問題2
NL=b,LM=c,MN=aとなる.
s=(a+b+c)/2とすると,ヘロンの公式から,
△LMN={s(s−a)(s−b)(s−c)}1/2
={(a+b+c)/2・(−a+b+c)/2・(a−b+c)/2・(a+b−c)/2}1/2
=1/4・{(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)}1/2
∠LNM=θ,N(0,0,0),M(a,0,0),L(bcosθ,bsinθ,0),A(x,y,z)(z>0)とすると,
AN2=x2+y2+z2=c2………(1)
AM2=(x−a)2+y2+z2=b2………(2)
AL2=(x−bcosθ)2+(y−bsinθ)2+z2=a2………(3)
(1)−(2)から,
2ax−a2=c2−b2
∴x=(a2−b2+c2)/(2a)
(1)−(3)から,
2bcosθ・x+2bsinθ・y−b2=c2−a2
∴2bsinθ・y=−a2+b2+c2−2bcosθ・x
=−a2+b2+c2−2b・(a2+b2−c2)/(2ab)・(a2−b2+c2)/(2a)
=−a2+b2+c2−(a2+b2−c2)(a2−b2+c2)/(2a2)
={(−a2+b2+c2)・2a2−(a2+b2−c2)(a2−b2+c2)}/(2a2)
=[{(−2a4+2a2b2+2a2c2)−{(a2)2−(b2−c2)2}]/(2a2)
={−2a4+2a2b2+2a2c2−a4+(b4−2b2c2+c4)}/(2a2)
=(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2a2c2)/(2a2)
∴y=(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)/(4a2bsinθ)
(1)から,
z2=c2−x2−y2
=c2−{(a2−b2+c2)/(2a)}2
−{(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)/(4a2bsinθ)}2
∴4a2z2=4a2c2−(a2−b2+c2)2
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/{4a2b2(1−cos2θ)}
={2ac+(a2−b2+c2)}{2ac−(a2−b2+c2)}
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/[4a2b2{1−(a2+b2−c2)2/(2ab)2}]
={(a+c)2−b2}{b2−(a−c)2)}
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/{4a2b2−(a2+b2−c2)2}
=(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/[{2ab+(a2+b2−c2)}{2ab−(a2+b2−c2)}]
=(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/[{(a+b)2−c2)}{c2−(a−b)2}]
=(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2/{(a+b+c)(a+b−c)(a−b+c)(−a+b+c)}
∴4a2(a+b+c)(a+b−c)(a−b+c)(−a+b+c)z2
=(a+b+c)2(a−b+c)2(a+b−c)2(−a+b+c)2
−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)2
={(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)+(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)}
{(a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)(−a+b+c)−(−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2)}
=[{(a+c)2−b2}{b2−(a−c)2}−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2]
[{(a+c)2−b2}{b2−(a−c)2}+3a4−b4−c4−2a2b2+2b2c2−2c2a2}
={(a2−b2+c2+2ac)(−a2+b2−c2+2ac)−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2}
{(a2−b2+c2+2ac)(−a2+b2−c2+2ac)+3a4−b4−c4−2a2b2+2b2c2−2c2a2}
={(−a4+a2b2−a2c2+2a3c+a2b2−b4+b2c2−2ab2c−a2c2+b2c2−c4+2ac3−2a3c+2ab2c−2ac3+4a2c2)−3a4+b4+c4+2a2b2−2b2c2+2c2a2}
{(−a4+a2b2−a2c2+2a3c+a2b2−b4+b2c2−2ab2c−a2c2+b2c2−c4+2ac3−2a3c+2ab2c−2ac3+4a2c2)+3a4−b4−c4−2a2b2+2b2c2−2c2a2}
=(−4a4+4a2b2+4a2c2)(2a4−2b4−2c4+4b2c2)
=8a2(−a2+b2+c2)(a4−b4−c4+2b2c2)
=8a2(−a2+b2+c2){a4−(b2−c2)2}
=8a2(−a2+b2+c2)(a2+b2−c2)(a2−b2+c2)
∴z2=2(−a2+b2+c2)(a2−b2+c2)(a2+b2−c2)
/{(a+b+c)(a+b−c)(a−b+c)(−a+b+c)}
故に体積は,
1/3・△LMN・z=1/3・1/4・{(a+b+c)(−a+b+c)(a−b+c)(a+b−c)}1/2
・[2(−a2+b2+c2)(a2−b2+c2)(a2+b2−c2)/{(a+b+c)(a+b−c)(a−b+c)(−a+b+c)}]1/2
={(−a2+b2+c2)(a2−b2+c2)(a2+b2−c2)}1/2/(6√2)
NO3「スモークマン」 12/08 22時20分受信 更新12/22
問題1:
図を描けば…
正八面体の体積=(2^2/2)*1*(1/3)*2=4/3
1面が√2の正三角形の面積=(√2)^2*√3/4=√3/2 したがって、8面があるから8倍して 4/√3
内接球の半径=r
8*(√3/2)*r/3=4/3 から r=√3/3
問題2:
これは、等面四面体が直方体に埋め込まれることを知っていれば求められますね ^^
対角線がa,b,cなる直方体の中にできるんですねぇ☆
直方体の辺をx,y,zとすると…
x^2+y^2=a^2
y^2+z^2=b^2
z^2+x^2=c^2
x^2+y^2+z^2=(a^2+b^2+c^2)/2
x^2=(b^2+c^2-a^2)/2
y^2=(a^2+c^2-b^2)/2
z^2=(a^2+b^2-c^2)/2
けっきょく…
四面体A-LMN=xyz-((xyz/2)/3)*4=xyz/3
=(√2/12)*√{(b^2+c^2-a^2)*(a^2+c^2-b^2)*(a^2+b^2-c^2)}
なんだか...ヘロンの公式にも似た奇麗な式ね…☆
じっさいに…
1辺1の立方体のときの中では…(√2/12)*(√2)^3=1/3 ^^
NO4「にいばりZ12」12/10 22時35分受信
「にいばりZ12」12/11 22時07分受信 更新12/2
寄せられた解答です。
「にいばりZ12」12/22 02時20分受信 更新12/22
問題2の別解です。
等面四面体の頂点が平面図では折り曲げる前の三角形の垂心になることから解きます。
図1<寄せられた解答を参照>
(2b)^2−ha^2=a1^2
(2c)^2−ha^2=(2a−a1)^2=a2^2
a1=(a^2+b^2−c^2)/a
a2=(a^2−b^2+c^2)/a
同様にして
b1=(−a^2+b^2+c^2)/b
b2=(a^2+b^2−c^2)/b
c1=(a^2−b^2−c^2)/c
c2=(−a^2+b^2+c^2)/c
△BB’C∽△BA’Oから
hb:b2=a2:ha1
ha1=a2b2/hb
△ABCの面積をSとすると
S=2aha/2
ha=S/a
hb=S/b
ha1=b2a2/(S/b)=bb2a2/S
四面体の高さをHとすると
図から
H=((ha/2)^2−(ha1−ha/)^2)^(1/2)=(ha1(ha−ha1))^(1/2)
=(bb2a2/S(S/a−bb2a2/S))^(1/2)
=(bb2a2(S^2−abb2a2)/a)^(1/2)/S
ここで
abb2a2=ab((a^2−b^2+c^2)/a)((a^2+b^2−c^2)/b)
=(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)
=a^4−b^4−c^4+2(bc)^2
bb2a2=(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)/a
S^2はヘロンの公式から
S^2=2((ab)^2+(bc)^2+(ac)^2)−(a^4+b^4+c^
4)
S^2−abb2a2=2a^2(−a^2+b^2+c^2)
よって
H=(((a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)/a)(2a^2
(−a^2+b^2+c^2)/a))^(1/2)/S
=(2(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)(−a^2+b^2+c^2))^(1/2)/S
四面体の体積をVとすると
V=(S/4)H/3
=(S/12)(2(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)(−a^2+b^2+c^2))^(1/2)/S
=(1/6)((a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)(−a^2+b^2+c^2)/2)^(1/2)
・・・・回答(本解に一致)
=(1/12)(2(a^2−b^2+c^2)(a^2+b^2−c^2)(−a^2+b^2+c^2))^(1/2)
と、一応、答にたどり着きましたが、やはり立体の埋め込みという題意に沿った本解
のほうがはるかにすっきりしているようです。
NO5「二度漬け白菜」12/11 11時12分受信
更新12/22
問題 1:
題意の正八面体の1辺の長さは √2
その表面積は、8*(1/2)*√2*√2*sin(π/3)=4√3 (答).
正四面体の各辺の中点を結ぶと、正八面体ができる。
そのさいの正四面体の1辺の長さは正八面体のそれの2倍。
よって、1辺の長さが 2√2 の正四面体 T の各辺の中点を結ぶと、
題意の正八面体ができる。
題意の正八面体の内接球の直径は、Tの高さの1/2.
Tの高さ h は h^2 = (2√2)^2-(2√2/√3)^2
=16/3 より、h=4/√3.
求める内接球の半径は、T/2*(1/2)=1/√3 (答).
問題 2 :
この四面体は4つの面が合同だから、ある直方体に埋め込むことができる。
その直方体の3辺の長さ x,y,z を
x^2+y^2=c^2,
y^2+z^2=a^2,
z^2+x^2=b^2
となるようにとる。
この3式より、
x=√((b^2+c^2-a^2)/2),
y=√((c^2+a^2-b^2)/2),
z=√((a^2+b^2-c^2)/2).
この直方体の4隅を切り落とす。
そのさい、切り口が埋め込まれた四面体の各面になるように
切り落とす。このような方法で四面体の体積を計算する。
求める体積は、
x*y*z-4*((1/6)*x*y*z)
=(1/3)*x*y*z
=√((a^2+b^2-c^2)*(b^2+c^2-a^2)*(c^2+a^2-b^2))/(6√2) (答).
「各面が合同な鋭角三角形であるような四面体を、
直方体に埋め込むことができる」というのは私にとって新鮮でした。
勉強になりました。
添付されていた参考本「みえる数学の世界2」(大竹出版)山崎昇鑑訳