平成26年8月31日
[流れ星]
第310回数学的な応募解答
<解答募集期間:8月10日〜8月31日>
[極方程式]
学習指導要領が改訂になって3年になります。「数学V」の範囲が広くなって微積分の他に曲線と複素数があります。そこで、楕円の極方程式を表す問題を出題します。ここで、極座標とは,極Oに関して,直線OAを始線という.また,この始線に対して偏角のθの方向へrの距離にある点を(r,θ)で表す.
NO1「uchinyan」
08/10 14時41分 受信
更新 08/31
(1)
E:3(x + 1)^2 + 4y^2 = 12
x = rcosθ,y = rsinθ を代入すると,
3(rcosθ + 1)^2 + 4(rsinθ)^2 = 12
(3(cosθ)^2 + 4(sinθ)^2)r^2 + 6(cosθ)r + 3 = 12
((sinθ)^2 + 3)r^2 + 6(cosθ)r - 9 = 0
(sinθ)^2 + 3 > 0 なので,
r = (- 3cosθ ± √((3cosθ)^2 -
((sinθ)^2 + 3)(- 9)))/((sinθ)^2
+ 3)
= (- 3cosθ ± √(9(cosθ)^2 +
9(sinθ)^2 + 27))/((sinθ)^2 + 3)
= (- 3cosθ ± √(9 + 27))/((sinθ)^2
+ 3)
= (- 3cosθ ± √36)/((sinθ)^2 +
3)
= (- 3cosθ ± 6)/((sinθ)^2 + 3)
ここで,r >= 0 に注意すると,± は + だけが可能なので,
r = (- 3cosθ + 6)/((sinθ)^2 + 3)
さらに,
r = (- 3cosθ + 6)/((sinθ)^2 + 3)
= 3(2 - cosθ)/(4 - (cosθ)^2) =
3(2 - cosθ)/(2 - cosθ)(2 + cosθ))
r = 3/(2 + cosθ)
となります。つまり,E の極方程式は,r
= 3/(2 + cosθ),です。
(2)
直線 l は,x 軸とのなす角が一定です。そこで,これを
α とすると,
l の極方程式は,r = 0 以上の任意の実数 かつ θ = α,と書けます。
直線 m は,直線 l と直交するので,x 軸とのなす角が α + π/2,としてよく,
m の極方程式は,r = 0 以上の任意の実数 かつ θ = α + π/2,と書けます。
これより,E:r = 3/(2 + cosθ) との交点である A,B,C,D を 極座標で書くと,
A(r(α),α) = A(3/(2 + cosα),α)
B(r(α + π),α + π) = B(3/(2 + cos(α + π)),α + π) = B(3/(2 -
cosα),α + π)
C(r(α + π/2),α + π/2) = C(3/(2 + cos(α + π/2)),α + π/23) =
C(3/(2 - sinα),α + π/2)
D(r(α + 3π/2),α + 3π/2) = D(3/(2 + cos(α + 3π/2)),α + π/2) =
D(3/(2 + sinα),α + 3π/2)
そこで,
OA = r(α) = 3/(2 + cosα),1/OA = (2 + cosα)/3
OB = r(α + π) = 3/(2 - cosα),1/OB = (2 - cosα)/3
OC = r(α + π/2) = 3/(2 - sinα),1/OC = (2 - sinα)/3
OD = r(α + 3π/2) = 3/(2 +
sinα),1/OD = (2 + sinα)/3
より,
1/(OA * OB) + 1/(OC * OD) = 1/OA * 1/OB +
1/OC * 1/OD
= (2 + cosα)/3 * (2 - cosα)/3 +
(2 - sinα)/3 * (2 + sinα)/3
= (4 - (cosα)^2 + 4 - (sinα)^2)/9
= (8 - 1)/9
= 7/9
になります。
(ちょっとだけ考察)
E:3(x + 1)^2 + 4y^2 = 12,(x + 1)^2/4 + y^2/3 =
1
これは,楕円 x^2/4 + y^2/3 = 1 を x 軸方向に -1 だけ平行移動したものです。
そして,x^2/4 + y^2/3 = 1 は焦点 (1,0) と (-1,0) をもちます。
そこで,E は焦点 (0,0) と (-2,0) をもちます。
つまり,原点 O(0,0) = 極 は,焦点の一つになっています。
一般に,楕円,x^2/a^2 + y^2/b^2 = 1,a > b > 0,は,焦点 (f,0) と (-f,0),f = √(a^2 -
b^2),をもちます。
そこで,(x + f)^2/a^2 + y^2/b^2 = 1 を考えれば同様のことがいえて,
r = b^2/(a + fcosθ)
となります。変形して,
r = (b^2/a)/(1 + (f/a)cosθ) = l/(1 + ecosθ)
ここで,l = b^2/a = a(1 - e^2),e = f/a とおいています。
実は,この式は,一般に円錐曲線の焦点(の一つ)を極としたときの極方程式で,かなり有名なものです。
e は離心率といい,楕円は 0 < e < 1,放物線は e = 1,双曲線は e > 1,となっています。
個人的には,大学時代に力学の問題で惑星の軌道を求める際によくお世話になりました。
なお,この式から,
1/(OA * OB) + 1/(OC * OD) = (a^2 + b^2)/b^4
1/OA + 1/OB = 2a/b^2
などがいえますね。
(感想)
私が高校時代のときには極座標と複素数は当たり前のように教科書に載っていましたが,
その後,行列,1次変換が入ったせいか,これらが消えてなくなり寂しく思っていました。
最近になって復活したようでうれしく思います。一方で,行列,1次変換はどうなったのかな?
何を高校で学ぶべきかは難しいところですが,極座標も複素数も大学では理系ならば重要なので,
可能ならば高校時代から慣れ親しんでおくといいと思います。
また,(2)のような問題では,もちろん通常の座標の計算でも何とかなると思いますが,
極座標,極方程式が使えれば便利ですね。
NO2「浜田明巳」
08/13 19時49分 受信 更新 08/31
(1)3(x+1)2+4y2=12
x=rcosθ,y=rsinθを代入すると,
3(rcosθ+1)2+4(rsinθ)2=12
3r2cos2θ+6rcosθ+3+4r2sin2θ=12
3r2+6rcosθ+r2sin2θ=9
(3+sin2θ)r2+6rcosθ−9=0
3+sin2θ≠0なので,
r=[−3cosθ±{9cos2θ+9(3+sin2θ)}1/2]/(3+sin2θ)
=(−3cosθ±6)/(3+sin2θ)
=−3(cosθ±2)/(4−cos2θ)
=−3/(2−cosθ),3/(2+cosθ)
ここで,r=−3/(2−cosθ)において,
−r=3/{2+cos(θ+π)}
2点(r,θ),(−r,θ+π)は同じ点なので,これは,r=3/(2+cosθ)と同じものである.
故に楕円Eの極方程式は,r=3/(2+cosθ)である.
(2)
直線L,Mは垂直なので,
L:θ=α
M:θ=α+π/2
とすると,
A(3/(2+cosα),α)
B(3/(2−cosα),α+π)
C(3/(2−sinα),α+π/2)
D(3/(2+sinα),α−π/2)
∴1/(OA・OB)+1/(OC・OD)
=1/[{3/(2+cosα)}・{3/(2−cosα)}]+1/[{3/(2−sinα)}・{3/(2+sinα)}]
=(4−cos2α)/9+(4−sin2α)/9
=7/9
「浜田明巳」
08/18 07時52分 受信 更新 08/31
VBSCRIPTで解を求めてみた.
直線L,Mの位置がどのようでも,原点を通り,垂直でありさえすれば,与式の値は同じであろうと予測し,プログラムを組んだ.
直線Lの偏角をkakuとして,0<kaku<π/2とし,直線Mの偏角をkaku+π/2とする.
シラミつぶしにそれぞれのkakuの大きさに対して,楕円Eと直線L,Mの交点A,B,C,Dの座標を求め,与式の値を計算する.
その平均と標準偏差を求める.
結果は,0.777777777777776(≒7/9),標準偏差5.47503622498329×10−8となった.
標準偏差がほぼ0に近い値となったので,解は7/9と断定してよいだろう.
kizami=.01 : Pi=4*atn(1)
kaisuu=0 : wa=0 : wa2=0
for kaku=kizami to Pi*.5-kizami step kizami
'A,B:3*(x+1)^2+4*y^2=12,y=tan(kaku)*x
a=3+4*tan(kaku)*tan(kaku) : bd=3 : c=3-12 : Dd=bd*bd-a*c
Ax=(-bd+sqr(Dd))/a : Ay=tan(kaku)*Ax
Bx=(-bd-sqr(Dd))/a : By=tan(kaku)*Bx
'C,D:3*(x+1)^2+4*y^2=12,y=tan(kaku+Pi/2)*x
a=3+4*tan(kaku+Pi*.5)*tan(kaku+Pi*.5) : Dd=bd*bd-a*c
Cx=(-bd-sqr(Dd))/a : Cy=tan(kaku+Pi*.5)*Cx
Dx=(-bd+sqr(Dd))/a : Dy=tan(kaku+Pi*.5)*Dx
OA=sqr(Ax*Ax+Ay*Ay) : OB=sqr(Bx*Bx+By*By)
OC=sqr(Cx*Cx+Cy*Cy) : OD=sqr(Dx*Dx+Dy*Dy)
k=1/(OA*OB)+1/(OC*OD)
kaisuu=kaisuu+1 : wa=wa+k : wa2=wa2+k*k
next
heikin=wa/kaisuu
hyoujunhensa=sqr(abs(wa2/kaisuu-heikin*heikin))
msgbox heikin&"("&hyoujunhensa&")"
NO3「早起きのおじさん」
08/12 21時16分 受信 更新 08/31
●はじめは一般的に考えます。
計算しやすいように、楕円を長軸とx軸とを重ね、右側の焦点が原点と一致するように置きます。
これを極方程式に直します。
これをrの2次方程式として解きます。
この結果から、 として、
と考えます。(r>0として)
よって、
なので、
直線mはlを90°回転したものなので、
だから、
これは、楕円の焦点で直交する2つの割線が交点で分かれ、その長さの積の逆数の和は角αによらないことを示します。
分かりやすいところで確認すると、(A)式を使って、
●解答
(1) 、 を(B)に代入して、
よって、r は負でないので
答
(D)式はθが0のとき、デカルト座標の(1,0)から始まります。
θがπのとき(−3,0)からはじまります。
(2) 、 を(C)に代入して、
NO4「三角定規」
08/17 13時00分 受信 更新 08/31
NO5「二度漬け白菜」 08/25 22時04分 受信
更新 08/31
(1) r=3/(2+cosθ) (答)
楕円E上の点をP(x,y)とすると,3*(x+1)^2+4*y^2=12 --- (イ)
点(1,0)をGとする.このとき,
2*|OP↑|
=√(4*x^2+4*y^2)
=√(4*x^2+12-3*(x+1)^2)
=√(x^2-6*x+9)
=|x-3|
=3-x (∵(イ)より, -3≦x≦1)....
また, (OP↑, OG↑)=((x,y),(1,0))=x*1+y*0=x.
よって,2*|OP↑|+(OP↑, OG↑)=3.
ここで,|OP↑|=r,(OP↑, OG↑)=|OP↑|*|OG↑|*cosθ=r*cosθ
であることを考えて,
2*r+r*cosθ=3.
つまり,r=3/(2+cosθ).
(2) 1/(OA*OB)+1/(OC*OD)=7/9 (答)
OAの偏角をφとすると(1)の結果より,
OA=3/(2+cosφ).
OBの偏角は(φ+π)だから,OB=3/(2+cos(φ+π))=3/(2-cosφ).
よって,1/(OA*OB)=(4-(cosφ)^2)/9
--- (ロ)
1/(OC*OD)は,(ロ)のφをφ+π/2 で置き換えたものになるから,
1/(OC*OD)=(4-(sinφ)^2)/9.
よって,1/(OA*OB)+1/(OC*OD)=(8-((cosφ)^2+(sinφ)^2))/9=7/9.
1/AB
+ 1/CD の値も一定になりますね。
NO5「にいばりZ12」
08/26 02時42分 受信 更新 08/31
いろいろ深読みしているうちに時間がたってしまいました
座標の返還は、現在私の仕事で一番のテーマであり
それ故に時間がかってしまった次第です
回答はとりあえずしてみましたが
全く凡夫なものとなってしまったことをお詫びいたします
極形式には極めて有用な関数が多くあります
例を挙げれば螺旋(これは道路工学でクロソイド曲線として必須の曲線)など
振動関数では主値が重要となりますが、螺旋では主値はあまり意味を持たずf(θ)≠f(θ+2π)
でかつθとrが全単射の写像になります
そんなことを考えながらこの種の問題は考えるだけでも楽しいと思いました・・・。
(1)Eを極形式で表せ。 |
機械的に、x=rcosθ,y=rsinθをEに代入整理すると |
r=3/(cosθ±2)を得ます |
ここで、1つの偏角θに対しrは2価を持つことになります |
これは、x軸に対し偏角θを定めた時に方向を定めて(定義して)いないことから生じる結果です。 |
これを回避するため偏角θを、極とX軸の正方向を0とし0から2π(主値)までを反時計回りに動くとき |
(つまり分度器と同じように)と定めると |
r=3/(cosθ+2)・・・回答 |
「にいばりZ12」
08/28 02時46分 受信 更新 08/31
lを極形式で表すと |
θ=C(C:任意定数) |
mを極形式で表すと |
θ=C+π/2 |
OA=3/(cosθ+2) |
OB=3/(cos(θ+π)+2)=3/(-cosθ+2) |
OC=3/(cos(θ+π/2)+2)=3/(-sinθ+2) |
OD=3/(cos(θ+3π/2)+2)=3/(sinθ+2) |
OA・OB=9/((cosθ+2)・(-cosθ+2))=9/(4-cos2θ)=9/(3+sin2θ) |
OC・OD=9/((sinθ+2)・(-sinθ+2))=9/(4-sinθ2θ)=9/(3+cos2θ) |
1/OA・OB=(3+sin2θ)/9 |
1/OC・OD=(3+cos2θ)/9 |
1/(OA・OB)+1/(OC・OD)=(3+sin2θ+3+cos2θ)/9=7/9・・・・回答 |
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。