平成13年3月28日
<美しい数学の話>
第34話 「分数 苦手な小学生」
今日の朝日新聞に、昨日東京理科大学生涯教育センターで行われた、第40回理数系教員のための講習会で、東京理科大の澤田教授が発表された「学力調査の報告」に記事が載っていました。ここから引用します。
小学生の算数の学力が「ゆとり教育」の本格化以降、大きく下がっていることが27日、明らかになった。とくに分数・小数の計算力の低下が著しい。東京理科大学の澤田利夫教授(数学教育)が同大での講習会で発表した。学力低下を示す初の大規模データで、「学力低下はない」という文部科学省の主張と真っ向から対立する結果だ。
「ゆとり教育」は1980年(中学は81年)実施の学習指導要録から始まり、92年(同93年)の改訂で本格化した。来春実施される新要領では、内容が約3割削減されることなどから議論が起きている。
澤田教授らは昨年末、学力水準が平均的な、11都道府県の小中学校各二十数校から小学六年生と中学二年生を千数百人ずつ選び、82年(同83年)と94年(同95年)に文部省(当時)が行った全国規模の学力調査と同じ問題を解かせて比較した。
(下の表を参照)
小学生の17問全体の平均正答率では、82年の68.9%、94年の64.5%から57.5%に低下した。94年より下がったのは七問、上がったのは二問だった。中でも分数・小数の八問では、正答率が82年の79.8%、94年の77.1%から60.1%へ大きく下がった。中学校では、83年が66.0%、95年が71.3%、今回が69.5%sで、統計的に意味のある差はなかった。
澤田さんは「小学生の低下は指導要領の改訂が主な原因だと思う。影響は低学年から表れるので、中学生も二、三年後には下がるだろう。計算力低下を防ぐため、反復練習の時間を増やす必要がある」と話す。
表:問題例と調査年、正答率(%)
小学6年生の計算力 |
1982年 |
1994年 |
2000年 |
5/6+3/8 |
80.8 |
77.6 |
61.7 |
5/6×4/9 |
94.0 |
91.3 |
65.8 |
4/9÷2(1/3) |
90.7 |
86.9 |
66.5 |
9.3×0.82 |
77.2 |
73.4 |
70.2 |
7−0.14÷0.7 |
38.3 |
36.1 |
32.8 |
<水の流れ:コメント> 本校の高校生もご多分に漏れず、計算能力は低下していると思っている。とにかく、計算のスピードはない。また、計算結果を覚えておけば良いのに、同じような計算を繰り返している。さらに、工夫して計算をしようともしない。
与えられた順に、丁寧に行っている。随分、歯がゆい思いもしている。
数の素因数分解を基本に、合成数において、どんな素数から成り立っているか覚えておいて欲しい。参考まで。