令和6年10月13日
<美しい数学の話>
第57話 「クロソイド曲線」
クロソイド曲線は、曲線の曲がり具合を表す曲率の変化率が一定である場合に描かれる曲線です。
クロソイド曲線は、鉄道の線路や遊園地にある垂直に1回転するジェットコースターなどにも使われています。
クロソイド曲線 一定の速度で走りながら、ハンドルを一定の速度で回したときに描く自動車の軌跡が、クロソイド曲線です。車がカーブを安全に走れるようにするとともに、道路が流れるような美しい線形を見せます。
西ドイツが戦後に建設したアウトバーン(高速道路)で初めて採用されました。
道路づくりに欠かせない曲線
道路を安全に運転するために、道路づくりにも数学が使われています。
自動車を一定の速度で走行しながら、ハンドルを一定の割合でゆっくり回し続けて運転したときにできる自動車の走行線は「クロソイド曲線」という曲線を描きます。
そのため、クロソイド曲線を用いて作られた道路は、自動車が自然に無理なくカーブすることができます。
安全な道路の設計
高速道路の設計では、道路の直線部分と円弧区間を繋ぐ緩和曲線としてクロソイド曲線の一部を利用しています。
安全な道路の設計:イラスト
道路のカーブが、図1のように直線から急に円弧区間に入ると、円弧区間に入った途端にカーブに合わせてハンドルを急いで回し、カーブを出た途端にハンドルを急いでまっすぐに戻さなければなりません。
ところが、図2のようにクロソイド曲線の区間をはさんだカーブでは、直線区間からクロソイド曲線の区間に入るときに一定の速度でハンドルを回し続け、円弧に沿って走るときにはハンドルを回したまま固定しておき、またクロソイド曲線の区間に入るときにハンドルを同じ速度で戻すという操作をすればよいわけです。
そのため、ハンドル操作が簡単になり、走りやすい道路になります。また、体への負担も少なくなり、事故が起きにくい安全な道路設計になります。
さらに、クロソイド曲線を用いて設計することで、道路が流れるような美しい形になります。
参考 高校数学の美しい物語 のクロソイド曲線