令和2年4月12日
[流れ星]
第384回数学的な応募解答
<解答募集期間:3月15日〜4月12日>
[南宮大社奉納算額1]
江戸時代後期の和算家谷松茂(1800〜1841)がいました。諱は松茂、通称は次郎八、字は士好、号は幽斎。代々美濃国大垣城下で印刷彫刻を業とし、屋号は版木屋、父は良八。
彼は和算を大垣藩の儒者水野民興らに学び、当時全国的に著名な和算家で名古屋の北川猛虎に弟子入りをしている。また、自らも大垣で和算塾を開き算法・算術を多く人に教えている。さらに、和算家谷幽斎は数学の問題を算額として神社等に掲げている。著作に「綴術新意」「幽斎算約初編」などがある。彼が1841年に亡くなったとき門弟が美濃国南宮大社に1842年奉献算額12題を残しました。でも、残念ながら算額は現存していません。そこで、皆さんの力を借りで、解法を現代に伝えたく、出題しました。
第384回から3回続きます。
第1問題 楕円内に赤円二個と最も多くの青等円を入れる。赤円2個と青円一個との直径の和は短径に等しい。青円三個から初めて逐次偶数個を増すとする。赤円径と青円径をそれぞれ知って青等円の個数を求めよ。
第2問題 多角形(辺数は無関係、ここで仮に五角形とする)の内へ赤円を入れる。互いに外接する3個の青円は甲辺に接し、乙辺に接するように青等円数個を互いに外接させる。甲辺、乙辺の長さをそれぞれ知って青等円の個数を求めよ。
参考図
第3問題 扇面内に直線を引き黄円一個、青円二個(黄円の直径の4÷3を青円の直径とする)と赤円(等円)数個(仮に七個)を入れる。青円、赤円の直径を知って赤等円の個数を求めよ。
参考図
第4問題 直角三角形の内へ、異なる五個の正三角形を入れる。赤、黒の一辺の長さをそれぞれ知って白の一辺の長さを求めよ
参考図
出典 岐阜県の算額の解説 木重之 著 自費出版
追加問題 出題者「ジョーカー」
<水の流れ:綺麗な算額風の問題です>
NO1「ジョーカー」
03/26 09時16分 受信 更新 4/12
第4問題は中学生レベルです。
<水の流れ:出題者は当時12歳の少年です。>
(証明)参考図で,△ABC∽△EADより,
b:(x-a)=(x-b):a
(x-a)(x-b)=ab
x>0より,x=a+b (終)
NO2「早起きのおじさん」 03/30 17時43分 受信 更新 4/12
問題1
この問題は、楕円の左右の端で青円が楕円に接するとします。
接していないとすると、青円は長径を長くすればいくらでも入れることができます。
●楕円の方程式を調べます。
青円をN個とすると、y軸の右には、(N−1)/2+0.5個分あります。
青円の直径を2Rとすると、x切片は、NRとなります。
y切片は、R+2rです。
よって楕円の方程式は、
一番右の青円の方程式を求めます。
(1)、(2)を連立させます。
より、
この2次方程式が、x=NRを重解にもてばよいので、判別式が0として解きます。
∴
●上のようにできますが、計算が面倒です。
方程式(3)は、次のように因数分解できます。
右の中カッコのところからもx=NRの解となるはずです。
これを代入して、Nについて解くと、
∴
問題2
図はAOCが一直線になっていますが、その必要はありません。
●赤円の半径をR、青円の半径をrとします。
図で△OBC∽△OO2O3です。
底辺と高さの比を調べると、
●ABにそって青円がN個並ぶとします。
すると、O1O2=2(N−1)rです。
△OAB∽△O O1O2です。
底辺と高さの比を調べると、
●上の結果と比較して、
問題3
この問題の答えの「・・・の整数部分」というのがとてもヒントになります。
弦ABが黄色の円に接するとして考えます。
●∠AOD=αとします。
円O1の半径rは、円O2の半径r2で表すと、
△OADより、
△OO2Fより、
一方、
よって、
整理して、 となりますが、R>r2 より、
つまり、扇形の半径は、黄色円の直径の2倍なので、CD=DOです。
よって、 です。
●赤の円を配置し、半径(R−r1)で、中心Oの扇形を描きます。
●弧HGの中に弧O3Gがいくつ入るかを数えればよいわけです。
しかし、弧O3Gの長さをきちんと出すのは、難しいので、弧O3Gを半径O1の長さで、代用します。
弧HGの長さは、半径×中心角より求まるので、
●この結果は、赤円と青円が同じ大きさのとき(r2=r1)、正しい結果となります。
弧の長さを垂線の長さで代用するので、中心角が小さいほど誤差が小さくなります。
本当の値より小さな値で割るので余りが出ますが、それを捨てれば良いわけです。
例えば、赤円と青円の大きさが同じとすると(α=60°)、
このときは、22より大きい値を割ると、商が違います。
しかし、赤円が小さくなるに連れどんどん誤差が小さくなるので現実的には問題ありません。
問題4
図のように、各点を表します。
●直角三角形の中に、青、白、黄色の正三角形は簡単に配置できます。
●次に、赤の正三角形を配置します。
透明な正三角形の定規を用意し、直角三角形の斜辺OG上に頂点を置きながら
すでに配置されている、正三角形と辺を平行に保ちながら動かします。
定規とAK、GKとの交点を結ぶ線が底辺に平行となるときの頂点をEとします。
このとき、定規とAKとの交点をDとします。
これで赤の正三角形が決まります。
●そして、EDと底辺との交点をHとします。
HからAKと平行に線を引き、OGとの交点をBとします。
●四角形EDKJは平行四辺形です。
上の△EDJと下の△KJDはともに正三角形です。
DJが共通なので、ED=DKとなります。
△DHKも正三角形です。
よって、DH=DK=EDです。
△EAD∽△EBHです。
ED=DHなので、AD:BH=1:2です。
△BLA∽△BHEです。
LA:HE=1:2なので、BL:LH=1:1です。
△LFHは正三角形です。
これを踏まえると、四角形BMFLは平行四辺形ですが、隣り合う2辺が等しいので菱形です。
すると、△BMLは正三角形になります。
●すると、DJ=HK、ML=FHです。
x=FK=FH+HK=ML+DJ=b+aとなります。
早起きのおじさん 追加問題の解答です。
●2つの半円の交点をH、左の円の中心をG、右の半円の中心をJ、BGの延長とACの交点をK、
GからBCへの垂線の足をF、ACへの垂線の足をLとします。
HとCを結ぶと、直径にたつ円周角が90度なので、Hは直角三角形の斜辺上にあります。
ここでは、∠BCHがCEで2等分されることをいいます。
∠ACHもCDで2等分されることが同様にいえるので、あわせて直角になる2つの角の半分ずつなので∠DCEが45°ということです。
図の長さを次のようにします。
AB=c、BC=a、CA=b、BF=p
もちろん です。
●∠ABCは、BKで二等分されるので、CK:CA=a:c です。
よって、
●△ABC∽△ACH∽△CBHなので、
AB:BC:CA=c:a:b
AC:CH:HA=b:CH:HA
CB:BH:HC=a:BH:HC
よって、
●△BFG∽△BCKなので、BF:BC=FG:CK
よって、
●△JGLは直角三角形です。
JGは、左の円の半径と右の半円の半径の和です。
GLは、BC−BFです。
LJはJC−GFです。
よって、
pについて解くと、pはcより小さいので、
●次に、BE、HE、CEを求めます。
BE=BFなので、BE=BF=p=c−b
HE=BH−BEなので、
△CEHは、直角三角形なので、
●ここで、∠HCE=∠ECBをいいます。
よって、∠HCE=∠ECBです。
●同様に、∠ACHもCDで2等分されることがいえるので、∠DCEは45度です。
<水の流れ:出典から参考にした解答です> 04/12 14時00分 更新 4/12
NO3「三角定規」 04/12 14時06分 受信 更新 4/12
ジョーカーさんの追加問題の解答を寄せられました。
<水の流れ:綺麗な解法です>
NO1「ジョーカー」 04/12 20時06分 受信 更新 4/13
出題者からの解答です。
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。