平成27年11月22日
[流れ星]
第327回数学的な応募解答
<解答募集期間:10月25日〜11月22日>
[答は正三角形]
皆さん。答えは分かっているが解き方が大変な問題があります。その中で今回の問題があります。
半径rの円に内接する三角形の面積の最大値を求めよ。
参考:どこに変数を導入し、それが1変数か2変数かで解法の味が生まれてきます。
NO1「uchinyan」
10/25 16時51分 受信
「uchinyan」 10/28
11時28分 受信 更新 11/22
以下では,半径 r の円の中心を O,三角形を △ABC,とします。
(解法1)
O は △ABC の,外部,辺上,内部のいずれかにあります。
O が △ABC の外部にある場合
△ABC は鈍角三角形で,∠BAC > 90°,として十分です。
このとき,A から BC に垂線を下ろしその足を H,BC の中点を M,M から BC に直交する線を引き,
円との交点を,BC に関し A のある方を D,反対側を E,とすれば,
AH <= DM < EM,DE⊥BC,△ABC = BC * AH * 1/2 <= BC * DM * 1/2 < BC * EM * 1/2 = △EBC,で,
O は EM 上にあるので △EBC の内部にあり,O が三角形の内部にある △EBC を考えれば十分です。
O が △ABC の辺上にある場合
△ABC は直角三角形で,O は BC 上,∠BAC = 90°,として十分です。
このとき,AB の中点を M,M から AB に直交する線を引き,
AB に関し C のある方の円との交点を E とすれば,
CA < EM,△ABC = AB * CA * 1/2 < AB * EM * 1/2 = △EAB,で,
O は EM 上にあるので △EAB の内部にあり,O が三角形の内部にある △EAB を考えれば十分です。
O が △ABC の内部にある場合
△ABC は鋭角三角形で,∠AOB = α,∠BOC = β,∠COA = γ,とすると,
α,β,γはともに 0°より大きく 180°より小さく,α + β + γ = 360°,です。そして,
△ABC = △OAB + △OBC + △OCA = r^2/2 * (sinα + sinβ + sinγ),
ここで,α,β,γはともに 0°より大きく 180°より小さい,ので,
y = sin(x) のグラフを 0°〜 180°の範囲で考えると,上に凸なので,
(sinα + sinβ)/2 <= sin((α + β)/2),
等号は,α = β,です。さらに,0°< (α + β)/2 <
180°,なので,
(2 * sin((α + β)/2) + sinγ)/3
<= sin((2 * (α + β)/2 + γ)/3) = sin((α + β + γ)/3),
等号は,(α + β)/2 = γ,です。この二つより,
(sinα + sinβ + sinγ)/3 =
(2 * (sinα + sinβ)/2 + sinγ)/3
<= (2 * sin((α + β)/2) + sinγ)/3 <= sin((α + β
+ γ)/3),等号は,α = β かつ (α + β)/2 = γ,
(sinα + sinβ + sinγ)/3
<= sin((α + β + γ)/3),等号は,α = β = γ,
この不等式自体は y = sin(x) のグラフの性質から,α,β,γがともに 0°〜 180°の範囲なら一般的に成立します。
今は特に,α + β + γ = 360°,なので,
(sinα + sinβ + sinγ)/3
<= sin((α + β + γ)/3) = sin(360°/3) = sin(120°) = √3/2,
等号は,α = β = γ = 120°,これは △ABC が正三角形,です。そこで,
△ABC = r^2/2 * (sinα + sinβ + sinγ) <= r^2/2 * (√3/2 * 3) = (3√3/4)r^2,
となって,面積の最大は,△ABC は正三角形,のときで,(3√3/4)r^2,になります。
(解法2)
円O は △ABC の外接円になっているので,
正弦定理より,BC = (2r)sinA,CA =
(2r)sinB,AB = (2r)sinC,で,
△ABC = AB * AC * sinA * 1/2 = (2r^2)sinAsinBsinC,
ここで,sinA,sinB,sinC は正の数なので,相加相乗平均より,
(sinAsinBsinC)^(1/3) <= (sinA + sinB +
sinC)/3,等号は A = B = C,
さらに,A,B,C はともに 0°より大きく 180°より小さく,A + B + C = 180°,なので,
(解法1)と同様に y = sin(x) のグラフを 0°〜 180°の範囲で考えて,
(sinA + sinB + sinC)/3 <= sin((A + B +
C)/3) = sin(180°/3) = sin(60°) = √3/2,
等号は,A = B = C = 60°,です。そこで,
(sinAsinBsinC)^(1/3) <= (sinA + sinB +
sinC)/3 <= √3/2,
ただし,等号はどちらの不等号も,A = B = C,のとき,です。これより,
△ABC = (2r^2)sinAsinBsinC <= (2r^2)(√3/2)^3 <= (3√3/4)r^2,二つの不等号の等号は A = B = C = 60°,
となって,面積の最大は,△ABC は正三角形,のときで,(3√3/4)r^2,になります。
(注意)
(解法2)は,一見すると,
(sinAsinBsinC)^(1/3) <= (sinA + sinB +
sinC)/3,等号は A = B = C,
のところで,A + B + C = 180°,と合わせて,A
= B = C = 60°,正三角形が最大,としてよさそうですが,
この時点では,sinA + sinB + sinC,が確定しておらず,A = B = C 以外で最大を取る可能性もあるので,
これは論理的に正しくなく,それ以降の議論は必須です。注意が必要です。
(解法3)
A から BC に垂線を下ろしその足を H とします。
BC を固定し A を動かすと,△ABC = BC * AH * 1/2,なので,AH が最大のとき △ABC は最大です。
AH が最大のときは,円の対称性より,△ABC が AB = AC の二等辺三角形のときです。
そこで,この場合に限定して考えてよく,∠BOH = θ,0
< θ < π,とおくと,
BC = BH * 2 = (2r)sinθ,AH = AO + OH = r(1 + cosθ),より,
△ABC = (2r)sinθ * r(1 + cosθ) * 1/2 = r^2 * (sinθ + sinθcosθ),
f(θ) = sinθ + sinθcosθ
とおくと,
f'(θ) = cosθ + (cosθ)^2
- (sinθ)^2 = 2(cosθ)^2 + cosθ - 1 = (2cosθ - 1)(cosθ + 1),
0 < θ < π,cosθ + 1
>= 0,より,
cosθ = 1/2,θ = π/3,で極大かつ最大で,f(θ) の最大値は 3√3/4,です。
そこで,△ABC の最大は,∠BOC = ∠BOH * 2 = 2π/3,正三角形のときで,(3√3/4)r^2,になります。
(解法4)
(解法3)と同様に,△ABC において,
BC を固定し A を動かすと,△ABC が最大は
AB = AC の二等辺三角形のとき,
CA を固定し B を動かすと,△ABC が最大は
BC = BA の二等辺三角形のとき,
AB を固定し C を動かすと,△ABC が最大は
CA = CB の二等辺三角形のとき,
です。この条件が成立する唯一の場合は,△ABC が正三角形のとき,しかありえません。
そこで,△ABC の最大は,正三角形のときで,(√3/4)((√3)r)^2 = (3√3/4)r^2,になります。
(考察)
(解法4)はあいまいな印象を受けると思います。
しかしこれは(解法3)を言い換えたもので,より偏微分に近い考え方を図形的に述べたものです。
大学レベルになりますが,偏微分で考えてみましょう。
∠AOB = x,∠BOC = y,とします。0 < x, y < 2π,∠COA = 2π - x - y,です。そして,
△ABC = △OAB + △OBC + △OCA
= r^2/2 * (sin(x) + sin(y) + sin(2π - x - y)) = r^2/2 * (sin(x) + sin(y) - sin(x + y)),
f(x,y) = sin(x) + sin(y) - sin(x + y),とおくと,
y を固定して x で偏微分,fx(x,y) = cos(x) - cos(x + y),
x を固定して y で偏微分,fy(x,y) = cos(y) - cos(x + y),
極値は,fx(x,y) = 0 かつ fy(x,y) = 0,で与えられるので,
cos(x) = cos(y) = cos(x + y),
x,y の範囲より,
x = y = 2π - x - y,x = y = 2π/3,∠AOB = ∠BOC = ∠COA =
2π/3,
つまり,△ABC は正三角形で,このとき,(3√3/4)r^2,です。
本当は,2階偏微分も調べて極大かどうか,境界で最大や発散がないか,を調べるのですが,
今回は図形的にほぼ明らかなのでいいでしょう。
ここで,(解法4)との対応を見ると,
y を固定して x で偏微分 ーーーーー> BC を固定し A を動かす,に対応,
x を固定して y で偏微分 ーーーーー> AB を固定し C を動かす,に対応,
fx(x,y) = 0,cos(x) = cos(x + y) ーーーーー> AB = AC の二等辺三角形
fy(x,y) = 0,cos(y) = cos(x + y) ーーーーー> CA = CB の二等辺三角形
となっていて,(解法4)がより偏微分に近い解法になっていることが分かります。
なお,省略しますが,条件式も微分の式に取り込んだラグランジュの未定乗数法を使うと,
より式が対称的に美しくなり,ますます(解法4)に近くなります。
(感想)
この問題は本質的に2つの自由度をもつ問題だと思います。
そこで,2つの変数が現れるのが自然です。
こういう問題は,もちろん,自由度が1つの問題より難しくなります。
そこでいくつかの工夫が必要になります。
よく行われるのは,何らかの既存の不等式に持ち込む,1つ(以上)の自由度を固定して考える,などだと思います。
(解法1)と(解法2)は前者,(解法3)と(解法4)は後者,でしょうか。
後者の究極の姿が大学レベルの偏微分と言えそうですね。
NO2「浜田明巳」
10/26 15時26分 受信 更新 11/22
座標系を導入する.
半径rの円に内接する△ABCにおいて,
A(0,r),B(rcosx,rsinx),C(rcost,rsint)(−π/2≦t<π/2)
とする.
面積Sは,
S=1/2・|(rcosx−0)(rsint−r)−(rcost−0)(rsinx−r)|
=r2/2・|cosxsint−cosx−sinxcost+cost|
=r2/2・|−(sinxcost−cosxsint)−(cosx−cost)|
=r2/2・|sin(x−t)+(cosx−cost)|
f(x)=sin(x−t)+(cosx−cost)(xの関数,tは定数)とする.
f'(x)=cos(x−t)−sinx
=cos(x−t)−cos(π/2−x)
=−2sin[{(x−t)+(π/2−x)}/2]sin[{(x−t)−(π/2−x)}/2]
=−2sin{(π/2−t)/2}sin{x−(t+π/2)/2}
ここで,−π/2≦t<π/2から,0<(π/2−t)/2≦π/2
∴sin{(π/2−t)/2}>0
i). f'(x)>0のとき,sin{x−(t+π/2)/2}<0
α=(t+π/2)/2とすると,sin(x−α)<0
∴2nπ+π<x−α<2nπ+2π(nは整数)
∴2nπ+π+α<x<2nπ+2π+α
ii). f'(x)<0のとき,同様に,
2nπ+α<x<2nπ+π+α
まとめると,
α<x<π+αのとき,f'(x)<0
π+α<x<2π+αのとき,f'(x)>0
f(x)は,周期が2πなので,
x=αのとき,最大
x=π+αのとき,最小
故に|f(x)|は,x=αまたはx=π+αのとき,最大
f(α)=sin(α−t)+(cosα−cost)
=sin{(t+π/2)/2−t}+cos{t+π/2)/2}−cost
=sin(π/4−t/2)+cos(t/2+π/4)−cost
=sin(π/4)cos(t/2)−cos(π/4)sin(t/2)
+cos(t/2)cos(π/4)−sin(t/2)sin(π/4)−cost
=√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}−cost
f(π+α)=sin(π+α−t)+cos(π+α)−cost
=−√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}−cost
=−[√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}+cost]
であるので,√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}±costの最大,最小を求めればよい.
g1(t)=√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}−cost(tの関数)とすると,
g1'(t)=√2・{−1/2・sin(t/2)−1/2・cos(t/2)}+sint
=sint−1/√2・{sin(t/2)+cos(t/2)}
s=sin(t/2)+cos(t/2)とすると,
s2=sin2(t/2)+2sin(t/2)cos(t/2)+cos2(t/2)
=1+sint
∴g1'(t)=(s2−1)−1/√2・s
={s−1/(2√2)}2−9/8
ここで,
s=sin(t/2)+cos(t/2)=√2・sin(t/2+π/4)
−π/2≦t<π/2から,0≦t/2+π/4<π/2
∴0≦sin(t/2+π/4)<1
∴0≦s<√2
グラフより,g1'(t)<0
故にg1(t)は単調減少である.
g1(−π/2)=√2・{cos(π/4)+sin(π/4)}−0=2
g1(π/2)=√2・{cos(π/4)−sin(π/4)}−0=0
であり,−π/2≦t<π/2であるから,
0<g1(t)≦2
g2(t)=√2・{cos(t/2)−sin(t/2)}+cost(tの関数)とすると,
g2'(t)=√2・{−1/2・sin(t/2)−1/2・cos(t/2)}−sint
=−sint−1/√2・{sin(t/2)+cos(t/2)}
=−(s2−1)−1/√2・s
=−{s+1/(2√2)}2+9/8
g2'(t)=0とすると,
s+1/(2√)=±3/(2√2)
∴s=1/√2,−√2
0≦s<√2から,s=1/√2
∴s=√2sin(t/2+π/4)=1/√2
∴sin(t/2+π/4)=1/2
0≦t/2+π/4<π/2から,t/2+π/4=π/6
∴t=−π/6
0≦t/2+π/4<π/2の範囲で,s=√2sin(t/2+π/4)は単調増加.
グラフから,
−π/2≦t<−π/6で,0≦s<1/√2となり,g2'(t)>0
−π/6<t<π/2で,1/√2<s<√2となり,g2'(t)<0
g2(−π/2)=2
g2(π/2)=0
g2(−π/6)=√2{cos(π/12)+sin(π/12)}+cos(π/6)
=2sin(π/12+π/4)+cos(π/6)
=2sin(π/3)+cos(π・6)
=√3+√3/2=3/2・√3
なので,0<g2(t)≦3/2・√3
故に|f(x)|の最大値,
すなわち|f(α)|,|f(π+α)|の最大値,
すなわち|g1(t)|,|g2(t)|の最大値は,
t=−π/6のとき,3/2・√3
このとき,
x=π+α=π+(t+π/2)/2=π+(−π/6+π/2)/2=7/6・π
故にSの最大値は,
r2/2・3/2・√3=(3√3)/4・r2
このとき,
A(0,r),B(rcos(7/6・π),rsin(7/6・π)),C(rcos(−π/6),rsin(−π/6))
これは△ABCが1辺の長さが√3・rの正三角形であることを表す
「浜田明巳」
10/27 16時04分 受信 更新 11/22
(別解)(前回は二等辺三角形であることを使わずに解きましたが,今回は使って解きます.しかしこれは教科書の演習問題レベルで,私も実際に授業で解説しました)
△ABCが,半径rの円に内接するとして,
B(−x,−(r2−x2)1/2),C(x,−(r2−x2)1/2)(0<x≦r)
とする.
BCを底辺としたときの高さが最大のときに,面積Sが最大となる.
故にA(0,r)とすればよい.
このとき,
S=1/2・2x・{r+(r2−x2)1/2}
=x{r+(r2−x2)1/2}
∴S'={r+(r2−x2)1/2}+x・(−2x)/{2(r2−x2)1/2}
={r(r2−x2)1/2+(r2−x2)−x2}/(r2−x2)1/2
={r(r2−x2)1/2−(2x2−r2)}/(r2−x2)1/2
ここで,y=r(r2−x2)1/2とy=2x2−r2(0<x≦r)のグラフを考える.
共有点のx座標を求める.
r(r2−x2)1/2=2x2−r2とすると,
r2(r2−x2)=(2x2−r2)2
∴r4−r2x2=4x4−4r2x2+r4
∴4x4−3r2x2=0
∴4x2(x2−3/4・r2)=0
∴x=0,±√3/2・r
グラフより,x=√3/2・r
0<x<√3/2・rのとき,r(r2−x2)1/2>2x2−r2となり,S'>0
√3/2・r<x<rのとき,r(r2−x2)1/2<2x2−r2となり,S'<0
故にSはx=√3/2・rのとき,最大となり,最大値は,
√3/2・r・{r+(r2−3/4・r2)1/2}=√3/2・r・(r+r/2)=(3√3)/4・r2
このとき,B(−√3/2・r,−r/2),C(√3/2・r,−r/2)
つまり△ABCは1辺の長さが√3・rの正三角形となる.
(別解その2)
A(0,r),B(rcosθ,rsinθ),C(−rcosθ,rsinθ)(π≦θ<3/2・π)とすると,
S=1/2・(−2rcosθ)・(r−rsinθ)
=r2cosθ(sinθ−1)
∴S'=r2・{−sinθ(sinθ−1)+cosθ・cosθ}
=−r2{sinθ(sinθ−1)−(1−sin2θ)}
=−r2(sinθ−1){sinθ+(1+sinθ)}
=−r2(sinθ−1)(2sinθ+1)
π≦θ<3/2・πなので,
π≦θ<7/6・πのとき,S'>0
7/6・π<θ<3/2・πのとき,S'<0
故にSはθ=7/6・πのとき,最大となる. ・・・
「浜田明巳」
10/29 10時26分 受信 更新 11/22
(別解その3)
A(0,r),B(−a,−b),C(a,−b)(0<a≦r,0≦b<r,a2+b2=r2),S=△ABCとすると,
S=1/2・2a・(r+b)=a(r+b)
∴S2=a2(r+b)2=(r2−b2)(r2+2rb+b2)=r4+2r3b−2rb3−b4
この式をf(b)とすると,
f'(b)=2r3−6rb2−4b3=−2(2b3+3rb2−r3)
=−2r3(2X3+3X2−1)
ただし,X=b/r,0≦X<1
∴f'(b)=−2r3(X+1)(2X2+X−1)=−2r3(X+1)2(2X−1)
0≦X<1/2,すなわち0≦b<r/2のとき,f'(b)>0
1/2<X<1,すなわちr/2<b<rのとき,f'(b)<0
故にf(b)=S2は,b=r/2のとき,最大となり,Sも最大となる.
このときSの最大値は,a={r2−(r/2)2}1/2=√3/2・rから,
√3/2・r・(r+r/2)=(3√3)/4・r2
また,B(−√3/2・r,−r/2),C(√3/2・r,−r/2)となるので,△ABCは正三角形である.
NO3「にいばりZ12」 10/27 02時18分 受信
更新 11/22
任意に半径rの円に内接する三角形S(S:三角形の名称と三角形の面積に同記号を用います)の頂点に次の符号を振ります
三角形のいずれかの頂点をAとし反時計回りにABC
辺BCと底辺とし(見やすくするため)BCを(Bを左Cを右)水平となるよう△ABCを円内で回転します(回転による面積の変動はありません)
AからBCに垂線の足をおろしその長さをhとします
△ABCの面積はBC×h÷2・・・@
この時BCを変えずAを半径rの円に沿って動く動点と考えると
hの最大値は円の中心を通ります
この時のhをh’とします。この時の三角形をS’とします。
またこの時
h <h’
AB=AC
が言えるので
@から
S≦S’
が言えます。
このことは、
円に内接する3角形一辺を固定し、残る頂点を動点としたときに面積が最大となるとき当該三角形は固定した辺を底辺とする2等辺三角形となる。
と同値です
次に、h’とBCを変化させます(変化させたh’とBCをh’’とBC’、変化させた三角形をS’’とします)
半径rの円の中心をOとします
OB、OCが水平線(解析的にはx軸)となす角をθとすると
BC=2rcosθ
h’=r+rsinθ
h’の値域は、0≦ h’’ ≦2r
従って
S’ =(2rcosθ)(r+rsinθ)/2
ここで、h’とBCを変化させるとθも変化するのでそれをθ’とすると
S’’ =(2rcosθ’)(r+rsinθ’)/2・・・A
となります
また
h’=r+rsinθ’
h’の値域は、0≦ h’’ ≦2r
θ’の定義域は0≦θ’≦π/2
これを整理すると
S’’ =r2(cosθ’)(1+sinθ’)=r2(cosθ’+(1/2)sin(2θ’))
この極値は(端折りますが)
右辺をθ’で微分して0と置けば求まります。
結果は
-2sin2θ’-sinθ’+1=0
sinθ’=1/2,-1
0≦θ’≦π/2より
θ’=π/6
次の増減表からθ’=π/6がS’’の最大値を与える事が解ります
θ’ |
0 |
π/6 |
π/2 |
-2sin2θ’-sinθ’+1 |
+1 |
0 |
-2 |
よって、
S’≦S’’
が言えます。
ところで、θ’=π/6
なる二等辺三角形は
∠ABC=∠ACB=∠BAC=π/3
となるので
S’’は正三角形となります
このことは
底辺を何処に取ったとしても(AB,BC,ACの対称性から)同様な議論が成り立ちます。
よって
S≦S’≦S’’
は常に言え、半径rの円に内接する正三角形S’’はすべて合同です
従って半径rの円に内接する三角形の面積の最大値は正三角形S’’で
θ’=π/6
S’’ =r2(cosθ’)(1+sinθ’)=r23√3/4・・・回答
「にいばりZ12」 11/09 02時17分 受信
更新 11/22
問題は次のように書き換えます
・三角形の外心から各頂点(ABC)までの距離がrである三角形S(Sは特に断らない限り三角形と三角形の面積の両方の表記に使用します)が取る面積の最大値を求め、その三角形が正三角形であることを示しなさい。
準備
Sの外心をOとします。また
∠AOB=θ1
∠AOC=θ2
∠BOC=θ3=2π-θ1-θ2
S=r・r sin(θ1)+ r・r sin(θ2)
+ r・r sin(θ3)
=r2
(sin(θ1)+ sin(θ2) + sin(2π-θ1-θ2))
=r2 (sin(θ1)+
sin(θ2) - sin(θ1+θ2))
S/ r2=sin(θ1)+
sin(θ2) - sin(θ1+θ2)
=sin(θ1)+
sin(θ2) - sin(θ1) cos(θ2) - cos (θ1) sin (θ2)
・・・加法定理
=sin(θ1)(1-
cos(θ2) )+ sin(θ2) (1- cos(θ1) )
S/ r2=sin(θ1)(1-
(1- sin (θ2))^0.5)+ sin(θ2) (1- (1- sin (θ1))^0.5)
・・・・・・・@
r2は常数なのでSが最大値を取るのは右辺が最大値を取るときです
先ず面積が最大となる三角形zの一辺が外心を通らないことを証明します。(外心が三角形の内部にあること及びθ123がπより小さいこと)
一辺が外心を通る三角形の面積は
外心を通る辺(2r)×高さ(h)/2ですが、hの最大値はrとなることは自明です。したがってその面積はr2はとなります
外心を通る辺以外の辺を底辺とし対応する頂点を移動すると明らかに三角形の面積はr2より大きくなる。
(底辺一定に対し高さは高くなる)
よってzは外心を通らない。
同様にして、外心を内部に含まない外心長rの三角形は外心長rの三角形の最大面積の三角形ではない。
・・・・(A)
準備@において次のように置き書き換えます
z= S/ r2
x= sin(θ1) 定義域(0<x<1)
y= sin(θ2) 定義域(0<y<1)
z= x(1-(1-y2)^0.5)+y(1-(1-x2)^0.5・・・・・・・A
右辺はxとyの対称式となっています
これは、xyz座標において、曲面zと垂面x=cとの交線のyz平面への写像と垂面y=cとの交線のxz平面への写像が同一となることを意味します。(0<c<1:任意常数)・・・(ア)
さらに、曲面zと垂面x=cとの交線のyz平面への写像
z= c(1-(1-y2)^0.5)+y(1-(1-c2)^0.5
はただ1つの極値(最大値)を持ちます。(yで微分し0と置くと定義域上に1つの解しかない)・・・・・(イ)
従ってzの極値は垂面x=yと曲面zの交線上にあります・・・・・(B)
《(イ)を言っておかないとBが成立しません。反例として、曲面が2こぶラクダの場合があります》
BからAにy=xを代入し極値を求めます。
z= 2x(1-(1- x2)^0.5)
dz/dx= d(2x(1-(1- x2)^0.5))/dx=0
1-(1- x2)^0.5+ x2/(1- x2)^0.5=0
x=±3^0.5/2
xの定義域から
x=3^0.5/2
よってzが極値(最大値)を取るときのx、yはx=y=√3/2となります。
定義域からθ1θ2はπ/3と2π/3をとりますが
Aより
θ1θ2の組み合わせは
π/3+π/3・・・三角形の内部に外心を含まない×
π/3+2π/3・・・三角形の1辺が外心を通る×
2π/3+π/3・・・三角形の1辺が外心を通る×
2π/3+2π/3・・・三角形の内部に外心を含む○
から
θ1=θ2=2π/3
となり
θ3=2π-(θ1+θ2)=2π/3=θ1=θ2
なので
求める三角形は
正三角形で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・回答1
その面積は
3(r×r・sin(2π/3))=3×r2√3/2=3√3/2r2・・・・・・回答2
となります。
NO4「早起きのおじさん」 10/27 17時07分 受信 更新 11/22
●答えは正三角形のときなので、 です。
●円に内接する三角形で、一辺を固定したとき、面積の最大は、その辺を底辺とする二等辺三角形です。
このことをもとにして、考えてみます。
鋭角三角形を7はじめに考えます。
円に内接する三角形で、鈍角三角形よりも大きな鋭角三角形があるのは明らかだからです。
左の図で、△PQR<△PQ’R’です。
右の図は、△ABCの辺ABを固定し、頂点CをABの垂直二等分線上に移動したものです。
このとき、△ABC<△ABC’です。
なぜなら、三角形の面積が高さに比例するからです。
右の図で、AB=c 、BC=a 、CA=b とし、b>c>aとします。
つまり、固定する辺をまん中の長さのものとします。
BC’=a’ 、C’A=b’ とすれば、
・∠C<60°のときは、b>(b’=a’)>c >a
・∠C>60°のときは、b> c>(b’=a’)>a
となります。
今まで一番長かった辺は短くなり、一番短かった辺は長くなり、しかもその二つが同じ長さになります。
この結果、今までより3辺の幅が小さくなりました。
三角形の場合、辺の長さの大小、対角の大小は一致します。
b>c>aなら、B>C>Aです。
たとえば、右の図で∠C>60°とすると、C>A’=B’となります。
だから、c>b’=a’となります。
次の段階にうつります。
二等辺三角形の等しい二辺のうちのBC’を固定して同様のことを繰り返します。
すると、また3辺の幅が小さくなるので、ますます正三角形に近づいていきます。
角でこの様子を見てみます。
はじめの∠Cの大きさを とします。
すると、1回目の二等辺三角形の底角A’は、A’ となります。
つまり、正三角形の に対して半端な角が符号違いで半分になります。
この操作をn回行うと二等辺三角形の底角はとなります。
角がどんどん小さくなり、正三角形に近づいていくことがわかります。
●●2つの中心角を変数として、一辺を固定すると、二等辺三角形のとき最大であることをいいます。
左の図のように、円に内接する三角形で∠AOB=α、∠BOC=βとおきます。
三角形の面積をSとおくと、次のように変形できます。
αを固定し、βで三角関数を合成していきます。
θはまん中の図のような三角形の内角です。
右の図で、 、 なので、θは∠OABに等しくなります。
は、αを固定すると、 のとき、最大値をとります。
つまり、 です。
さて、 (*)より、β=∠BATです。
△OABは二等辺三角形なので、∠Oの外角の二等分線OUはABと平行です。
∠BAT=∠UOYなので、C’の位置は、Yの位置からθもどったところです。
すると、 となり、△C’ABは二等辺三角形になります。
は、αを固定すると、 のとき、最大値をとります。
つまり、 です。
さて、 (*)より、β=∠BATです。
△OABは二等辺三角形なので、∠Oの外角の二等分線OUはABと平行です。
∠BAT=∠UOYなので、C’の位置は、Yの位置からθもどったところです。
すると、 となり、△C’ABは二等辺三角形になります。
以上から、△ABCでαを固定すると、面積の最大は、頂点Cが二等辺三角形の位置です。
●●●上で二等辺三角形のとき面積最大がいえたので、1変数で考えます。
二等辺三角形△ABCの頂点Aの中心角αをとします。
ここで、のとき、なので、 のとき、 です。
を代入して、
●●今度は2つの頂点のx座標を変数として考えます。
図のように原点中心、半径rの円周上に
3点A、B、Cをとります。
後のためにyは正、wは負としておきます。
、 なので、△ABCの面積Sは、
です。
なので、
です。
ここで、辺ABを固定して面積の増減を調べます。
です。
S’=0より、
この両辺を2乗して、
より、を正として、 ・・・・・・(**)
、 なので、△ABCの面積Sは、
です。
なので、
です。
ここで、辺ABを固定して面積の増減を調べます。
です。
S’=0より、
この両辺を2乗して、
より、を正として、 ・・・・・・(**)
ここで、ABの垂直二等分線と円との交点について調べます。
ABの傾きは、なので、垂直な傾きは、です。
垂直二等分線が原点を通るのは明らかなので、円と連立させて、
より、を正として、
この結果は、(**)と同じです。
つまり、面積の極値を与えると二等辺三角形になるとが一致するということです。
●●●上で、二等辺三角形のとき面積最大がわかったので、1変数で考えます。
左の図のように二等辺三角形をおきます。
すると、面積Sは、
として、
式の成り立ちからで極大値をとるのは明らかなので、Sの式に代入すると、
NO5「二度漬け白菜」 11/16 20時44分 受信
更新 11/22
(答)半径rの円に内接する三角形の面積の最大値は ((3√3)/4)*r^2 である.
(証明)
以下では,△ABCの面積を |△ABC| というふうに書くものとする.
半径rの円に内接する正三角形の面積は ((3√3)/4)*r^2 であり,
この値を S とする.
△ABCを,半径rの円に内接し,なおかつ,正三角形ではない
ような任意の三角形とする.
いまから |△ABC|<S であることを示す.
△ABCは正三角形ではないのであるから,△ABCは60°よりも
小さい内角と,60°よりも大きい内角とを持っている.
∠ABC<60°,∠ACB>60°としても一般性を失わない.
線分BCの垂直二等分線に関して,Aと対称な点をDとする.
∠DBC=∠ACB>60°.
弧AD(B,C がその上に乗っていない方の弧)上に点Eをとって,
∠EBC=60°
となるようにできる.
Eは弧AD上にあって,E≠A,E≠Dであるから,
|△EBC|>|△ABC| ------ (★) が成り立っている.
弧CE(Bがその上に乗っている方の弧)の中点をMとする.
|△EMC|≧|△EBC| ------ (☆) が成り立っている.
∠EMC=∠EBC=60°,ME=MC であるから,
△EMCは正三角形である.
よって,|△EMC|=S.
(☆)より,S≧|△EBC|.
(★)とから,|△ABC|<S.
以上より,半径rの円に内接する三角形の面積の最大値はSである
と結論できる.(証明終)
NO6「ジョーカー」 令和3年(2021) 03/30 11時05分 受信
更新 令和3年3/31
「ジョーカー」 令和3年(2021) 03/31 23時58分 受信 更新 令和3年4/1
令和3年(2021年)に寄せられたジョーカーさんの解答です。
<水の流れ:偏微分の利用で素早く解けています。>
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。