令和2年11月29日
[流れ星]
第393回数学的な連続応募解答
<解答募集期間:11月1日〜11月29日>
[朝倉真禅院奉納算額1]
岐阜県垂井町にある真禅院 三重の塔(国重要文化財)
江戸時代末期、谷松茂(幽斎)は大垣藩士で致道館講官であった水野民興に学び、自ら塾を開いて和算を教えていました。
彼の門人達が天保12年(1841)に亡くなれた谷幽斎先生を偲んで垂井町宮代の南宮大社に弘化2年(1845)に奉納算額二編を奉納しています。
この算額は残念ながらと紛失したことを知り、奉納された算額は復元をし、後世に残しておきたいと熱望した次第です。
以下の奉納された問題の解法をお願いします。応募解答は後日、奉納算額の解答冊子に利用させていただきます。
第2問題
楕円の内に平行な弦を作り図のように、楕円と平行な弦に接する4個の乾円と4個の坤円を入れる。このとき、楕円の長径と短径を知って、乾円が最小となるときの坤円の直径を求めよ。 11月10日 一部補足・訂正
術文(答)について
図において,扇面ACB−A1DB1の面積をSとすると,
↓
楕円の長径を2a,上円の直径を2r,扇面の面積をSとすると,
赤字は補足11月9日
したがって、今まであった図4は削除します。
「ジョーカー」
11/14 14時01分 受信 更新 11/29
「よふかしのつらいおじさん」 11/22 16時56分 受信
更新 11/29
第1問題
●図のように符号を付けます。
正方形の1辺を大:d、中:t、小:sとします。
なので、楕円の方程式は、
です。
でないと中が正方形になりません。
よって、
整理すると、
t>0なので、
これを楕円の方程式に代入します。
●QSの長さを調べます。
なので、
より、
よって、小の正方形の1辺の長さsは、
第2問題
●楕円の方程式を、
右の乾の方程式を、
上の乾の方程式を、
接線pを、
接線qを、
とします。
●右の乾の中心はa−r、上の乾の中心はb−rです。
右の乾の中心からqまでの距離、上の乾からpまでの距離はともにrなので、
連立させると、
よって、接線qは、
●接線pとqの距離を調べます。
この値が坤の直径になります。
pのy切片(0,n) からq()までの距離dは、
●ここで、右の乾が楕円の中に入ることを調べます。
上の乾は楕円が横長なので問題ありません。
楕円の方程式は、
右の乾の方程式は、
(**)を楕円の式に入れて整理すると、
判別式は、
判別式が正だと上の図の赤の状態です。
この判別式は負にはならないので0のときが乾の最大です。
このとき、
●この値を直線p、qの間隔dの式(*)に代入すると、
第3問題
●左の図のように補助線を引くと、1つの楕円は120°の範囲に入ります。
右の図で赤の接線の傾きは です。(青の方は)
楕円の方程式を、接点Pの座標を、円の半径をrとします。
●楕円の点Pでの接線は、です。
x軸との交点は、y軸との交点は
楕円の方程式をxで微分し、y' を求めます。
接点の座標を求めます。
連立させて、
S、Tをa、bで表すと、
●SVは∠OSTの2等分線なので、中線定理から
△SRQ ∽ △SVO です。
よって、
SQ=SPです。
ゆえに、