平成16年3月13日
[流れ星]
第134回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:2月21日〜3月13日>
[正n面体]
太郎さんは今まで考えていなかったことがあります。それは3次元空間では正n面体といわれているものは
n=4,6,8,12、20の5個があります。それでは、このほかにあるのでしょうか、それとも5個の限るのでしょうか、考えてみます。最初に、オイラーの多面体定理を示します。
「1つの多面体の頂点の個数をV、辺(稜または線)の個数をE 、面の個数をFとすると、
V−E+F=2 が成り立つ。
各正多面体の頂点・辺・面の個数を書き上げてみると、次の表のようになる。
|
V |
E |
F |
V−E+F |
正4面体 |
4 |
6 |
4 |
2 |
正6面体 |
8 |
12 |
6 |
2 |
正8面体 |
6 |
12 |
8 |
2 |
正12面体 |
20 |
30 |
12 |
2 |
正20面体 |
12 |
30 |
20 |
2 |
次に、必要な事実があります。
「事実1」:1つの頂点に集まる面の数は3以上である。
「事実2」:1つの頂点に集まる角の大きさは、360゜未満である。
ここで、問題です。3次元空間では正n面体は何個あるでしょうか。
「3次元空間では正n面体は何種類あるでしょうか。」に修正します。(22日記入)
NO1「H7K」 2/21: 16時10分受信
本当はEulerの多面体定理も示さないといけないが,ここではこれの成立を認めておく.
正n面体とは,「合同な正m角形(m>=3)がn面集まってできる立体」のことであるが,
事実1,2より,各面の1内角は120度未満.⇔m<=5である.
各頂点には同じx個の面が集まるはずであるので,頂点の個数はmn/x.
各面の1内角は(m-2)180/mなので,,事実1,2より,3<=x<360/((m-2)180/m)=2m/(m-2).
また,各辺にはどれも2面が集まるので,辺の個数はmn/2.
よって,mn/x-mn/2+n=2.
■m=3のとき:2m/(m-2)=6より,x=3,4,5.
x=3のとき,3n/3-3n/2+n=n/2=2.⇔n=4.
x=4のとき,3n/4-3n/2+n=n/4=2.⇔n=8.
x=5のとき,3n/5-3n/2+n=n/10=2.⇔n=20.
■m=4のとき:2m/(m-2)=4より,x=3.
∴4n/3-4n/2+n=2.⇔n=6.
■m=5のとき:2m/(m-2)=3.333...より,x=3.
∴5n/3-5n/2+n=2.⇔n=12.
以上より,3次元空間の正n面体はn=4,6,8,12,20の5種類に限る.
さて,Eulerの多面体定理の話に移る.
n面体(の表面)から面を1つ取り除いたものを,「頂点と辺のつながり方を変えずに」平面に移せる.
以下,説明の為にそれが図のa)のような形であったとしよう.当然,この図形にはn-1面入っている.
この図形のV-E+Fの値をk_aとおく.
これから,b)の青線で示された頂点・辺を取り去る.頂点がx個取り去られるならば,当然辺はx+1個取り去られ,
また残った図形の面の数は当然1減少する.よって,この図形でのV-E+F=k_bの値はk_aと等しい.
同様に,b)の黒線部の図形からc)の青線部の頂点・辺を取り去ると,これでのV-E+F=k_cはk_bに等しい.
以下同様に,この操作をn-2回続けることで,j)のような一つの多角形のみの図形を得るが,
このときのV-E+F=k_j=1はk_iと等しい.よって,k_a=1.
元の立体についてのV-E+Fの値は,これに「最初に取り除いた1面」の分を加え,1+1=2である.//
%%↑このことは実は中1の1学期に授業で行われたものです.
%% >3次元空間では正n面体は何個あるでしょうか。
%% ここは「何種類」の方が適切のような気もします.「何個」だと「そんなの無限個じゃない.」とかいう
%% 解答も(ないとは思うが)想定されてしまいます…….
NO2「中川幸一」 2/21: 21時44分受信
NO3「kashiwagi」2/23: 08時20分受信
「kashiwagi」3/02: 08時04分受信 再考のを掲載
134回解答
各面が正n角形で1頂点に集まる面の数がmなる正多面体に於いて
面の数をF、頂点の数をV、辺の数をEとすると
F/2m=V/2n=E/mn=2/〔2(m+n)−mn〕が成立する。
即ち、1/E=1/m + 1/n −1/2 ・・・・@
又、題意の事実より
(1)
一つの頂点に集まる辺の数は等しい
(2)
一つの頂点に集まる角の大きさは360°未満である
(3)
一つの頂点に集まる面の数は3以上である
この(3)より m≧3・・・・A
この@とAより
1/E=1/m + 1/n −1/2>0
即ち、1/m >1/2−1/n=(n−2)/2n
m<2n/(n−2)となる。
ところでAよりm≧3であるから
2n/(n−2) >3である。
因って、n<6となる。
即ち、正多面体を形成する正多角形は5角形までで、6角形以上では正多面体を形成できないことが証明された。
そこでn=3,4,5の場合を検討すると、それぞれに応じてmの数が3種類、1種類
及び1種類に決まる。
因って、3次元空間に於ける正多面体の種類は5に限られる。
NO4「toru」 2/24: 11時04分受信
正n面体の各面が
1)正3角形の時 1つの頂点に集まる面の数は3,4,5の可能性がある。(6以上は事実2に反す)
3の時 これで正n面体ができたとすると、1つの頂点に集まる面が3で、面1つに頂点が3つ対応することから、
F=3V/3=V, 1つの頂点に集まる線が3で線1本に頂点が2つ対応することから、
E=3V/2 これとV-E+F=2からF=4
4の時、同様にF=4V/3,E=4V/2=2V,V-E+F=2よりF=8
5の時、F=5V/3,E=5V/2,V-E+F=2よりF=20
2)正方形(正4角形)の時、1つの頂点に集まる面の数の可能性は3のみで、この時F=3V/4, E=3V/2,V-E+F=2よりF=6
3)正5角形の時、1つの頂点に集まる面の数の可能性は3のみで、この時、F=3V/5,E=3V/2,V-E+F=2より、F=12
4)正6角形以上では1つの角が120度以上となり、1つの頂点に3つ以上集められず、不適。
以上のことから、正n面体の可能性としてはn=4,6,8,12,20の5種類のみであることが示された。これが実際にできるかどうかは、
作ってみればよいわけですが、正12面体や正20面体を頭の中で組み立てるのは、私にはなかなか難しいですが、これがあることは問題文にもありますし、よく知られていることで、私にもできたということにしておきます。
正多面体はギリシャ時代から知られていたそうですが、やはり美しいですね。いつのことだったかは忘れましたが、各面が正5角形でできている正12面体の存在をはじめて知った時、なにか不思議な感動を覚えたことは、今でも記憶に残っています
NO5「kasama」 2/24: 21時08分受信 「kasama」
3/01: 18時39分受信 2回目のを掲載
正多面体の正確な定義はよくわかりませんが、問題文より、
○どの面も正m(m≧3)角形で、どの頂点にもn(n≧3)個の面が集まっている
と直感的に解釈して良いのではないかと思います。これが正しいとして、正多面体が何種類あるかを考えてみました。
@条件 正多面体であるための必要条件を考えてみると、以下の3つの条件を満足するものと考えられます。
1.面と辺の数の関係
F個の面はすべて正m角形であり(つまり、m個の辺があり)、ある正多角形の辺は他の正多角形の辺と共有されていますから、
mF = 2E ・・・(1) です。
2.面と頂点の数の関係
どの頂点にもn個の面が集まっていますので、 mF = nV ・・・(2) です。
3.多面体定理
問題文にあるオイラーの多面体定理より、 V - E + F = 2 ・・・(3) です。
A整数組の範囲
条件式(1)、(2)、(3)を満たすような正整数組(V,E,F,m,n)が正多面体ですから、その組を調べれば良いと考えられます。
m≧3、n≧3を意識しながら、正整数組を調べるのに都合が良い形になるように、(1)、(2)、(3)式を変形・統合します。
まず、(1)より
E = mF/2
と変形して、(3)式に代入して整理すると、
2F + 2V - mF = 4 ・・・(4)
です。(2)式を(4)式に代入すると、
2F + 2V - nV = 4 ・・・(5)
です。
ここで、(4)+(5)から、
4F + 4V - mF - nV = 8 ⇒ (4-m)F + (4-n)V = 8
とやって、上式を満足するような正整数組について考えます。
明らかに、m>4かつn>4では不都合ですが、m≧3、n≧3なので、
m=3 または n=3 のいずれか一方が成立 ・・・(6)
です。
また、(4)×2+(5)から、
6F + 6V - 2mF - nV = 12 ⇒ 2(3-m)F + (6-n)V = 12
とやって、同様に正整数組を考えます。3-m≦0なので、6-n>0でなければ不都合です。つまり、
n=3,4,5 ・・・(7)
さらに、(4)+(5)×2から、
6F + 6V - mF - 2nV = 12 ⇒ (6-m)F + 2(3-n)V = 12
とやって、同様に正整数組を考えます。3-n≦0なので、6-m>0でなければ不都合です。つまり、
m=3,4,5 ・・・(8)
以上、(6)、(7)、(8)式から、候補となる正整数組(m,n)は
(3,3)、(3,4)、(3,5)、(4,3)、(5,3) ・・・(9)
ということになります。
B正多面体の個数
(1)、(2)、(3)をV、E、Fについて解くと
V = 4m/(2m + 2n - mn)
E = 2mn/(2m + 2n - mn)
F = 4n/(2m + 2n - mn)
となります。正整数組(m,n)の候補である(9)式の値を代入して、V、E、Fが正整数かどうかを調べれば、条件式(1)、(2)、(3)を満たすような正整数組(V,E,F,m,n)がわかります。計算過程は省略しますが、この正整数組の組み合せは問題に記載された表そのものです。
よって、3次元空間で正多面体といわれているものは4、6、8、12、20の5個に限ります。
NO6「浜田明巳」
3/02: 11時40分受信
ここをクリック下さい。「実践報告」です。
最後に式で示します.点Oに正n角形がm個集まるとします.ただしm≧3,n≧3です.
正n角形の1個の内角の大きさは
180°×(n−2)÷n
であり,それがm個集まると,360°未満になるはずなので,
180°×(n−2)÷n×m<360°
n>0なので,
m(n−2)<2n
n=3のとき,
m<6 ∴m=3,4,5
n=4のとき,
2m<8 ∴m=3
n=5のとき,
3m<10 ∴m=3
n≧6のとき,
m<2n/(n−2)=2{(n−2)+2}/(n−2)=2+4/(n−2)
n−2≧4から,1/(n−2)≦1/4
∴m<2+4/(n−2)≦2+1=3
これはm≧3に矛盾します.
故に存在し得るm,nは
(m,n)=(3,3),(4,3),(5,3),(3,4),(3,5)
の5種類のみです.
NO7「ペンネーム:(・o・)」 3/07:
00時00分受信
解答
正多面体になる条件は、
@全て合同な面である。
A1つの頂点に3つ以上の面が同じ数だけ集まる。
B1つの頂点に集まる角の合計は360゜未満である。
正m角形が1つの頂点にn個集まるとすると、
条件A B より、3≦m<6,3≦n<6でなければならない。
正m角形の1つの内角は180°(m-2)/mであり、条件Bより、これらがn個集まって360゜未満でなければならないので、
これを満たす(m、n)の組は(m、n)=(3,3)、(3,4)、(3,5)、(4,3)、(5,3)の5つのみである。
(3,3)のとき、正四面体になり、
(3,4)のとき、正八面体になり、
(3,5)のとき、正二十面体になり、
(4,3)のとき、正六面体になり、
(5,3)のとき、正十二面体になるので5種類存在する。
以上です。
<コメント:この正多面体の問題は私が中学生の時に担任の先生が教えてくれた
問題で、解き方が頭の中に残っていたので挑戦してみました。
もう10年以上前のことなので間違っているかも知れませんが・・・。>
NO8「「Jun」:」 3/29:
00時03分受信