平成16年6月6日
[流れ星]
第139回数学的な応募問題
<解答募集期間:6月6日〜6月27日>
[素因数の積]
太郎さんは平成15年2月25日には大阪大学の吹田キャンパスで前期の入試問題にチャレンジしていました。
今回は文系の問題を出題します。良く考えると裏にはオイラーが1734年に発見した事実が隠されていました。
NO1「H7K」 6/06: 09時41分受信 更新6/27更新
(1)
f(m)は,mの素因数をかけ合わせたもの,f(n)は,nの素因数をかけ合わせたもの.
よって,f(m)f(n)は,m,nどちらか一方にしかない素因数の積と,(m,n両方にある素因数の積の平方)
を掛け合わせたものであり,これは(m,nの少なくとも一方にある素因数の積)と(m,n両方にある素因数の積)との積である.
これは,それぞれ,明らかにf(n)f(m)とf(d)に等しい. よって,f(d)f(mn)=f(m)f(n).
(2)
p_1: d=1ならば良い.
Aから1を取り出す:Bから1--10を出せば良い.10通り
Aから2:Bから1,3,5,7,9.5通り
Aから3:Bから1,2,4,5,7,8,10. 7通り
Aから4:Bから1,3,5,7,9 5通り.
Aから5:1,2,3,4,6,7,8,9. 8通り.
Aから6:1,5,7. 3通り.
Aから7:1,2,3,4,5,6,8,9,10 9通り.
Aから8:5通り.
Aから9:7通り.
Aから10:1,3,7,9. 4通り.
よって,p_1=(10+5+7+5+8+3+9+5+7+4)/100=0.63.
<1--100までなら,0.6087,
1--500までなら,0.608924ですから.Eulerから思い浮かぶのは,やはりζ関数…….>
p_2: d=2ならば良い.
Aから2を取り出す:2,4,6,8,10. 5通り
Aから4を取り出す;2,6,10. 3通り.
Aから6:4通り.
Aから8:3通り.
Aから10:4通り.
よって,p_2=0.19.
以下は余談
p_3:
Aから3:3,6,9
Aから6:3,9
Aから9:3,6
p_3=0.07
p_4:
Aから4:4,8
Aから8:4
p_4=0.03
p_5:
(5,5)(5,10)(10,5) 0.03
p_6:0.01
p_7:0.01
p_8:0.01
p_9:0.01
p_10:0.01
NO2「toru」 6/08: 13時57分受信 更新6/27更新
(1)m、nを素因数分解して、共通の素因数の積をC、mのみに含まれる素因数の積をM、
nのみに含まれる素因数の積をNとすれば f(m)=MC,f(n)=NC,f(mn)=MNC,f(d)=Cとなって、f(d)f(mn)=f(m)f(n)が成立する。
(2) f(mn)=f(m)f(n)よりf(d)=1 すなわちd=1,
m,nの最大公約数1となる組み合わせを数え出す。
m=1 の時n=1,2,----,10 の10通り
m=2 の時n=1,3,5,7,9の5通り
m=3の時n=1,2,4,5,7,8,10の7通り
m=4の時n=1,3,5,7,9,の5通り
m=5の時n=1,2,3,4,6,7,8,9,の8通り
m=6の時n=1,5,7の3通り
m=7の時n=1,2,3,4,5,6,8,9,10の9通り
m=8の時n=1,3,5,7,9の5通り
m=9の時n=1,2,4,5,7,8,10の7通り
m=10の時n=1,3,7,9の4通り で計63通り よって p1=63/100
同様にf(d)=2とするとd=2^k (k=1,2,3---)
m=2の時n=2,4,6,8,10の5通り
m=4の時n=2,4,6,,8,10の5通り
m=6の時n=2,4,8,10の4通り
m=8の時n=2,4,6,8,10の5通り
m=10の時n=2,4,6,8の4通り で計23通り よってp2=23/100
<オイラーが1734年に発見した事実って、ゼーター関数のことですね。p1について、
1から10のかわりに、任意の自然数から2つとって互いに素である確率とすれば、1/ζ(2)となるというわけです。
Weekend Mathematicsのゼーター関数物語、楽しく読ませていただきました。
最初に読んだ時には、sinX/Xを無限積表示したり、それを展開したりというところが本当にこんなことしていいの?!、
という感想をもった覚えがありますが、ここらのところはあとから「解析概論」を読んで少し納得?、
この機会にまた読みなおしてみたいと思います。 ペンネーム Toru>
N03「kashiwagi」6/09: 07時57分受信 更新6/26更新
139回
解答
(1)
題意より m=dM1αM2β・・Mnω と書け、同様にして
n=dN1αN2β・・Nnω
d=D1αD2β・・Dnω
但し、D、M、Nは異なる素数である。
これらよりf(d)=D1D2・・Dn
f(m)=D1D2・・DnM1M2・・Mn
f(n)=D1D2・・DnN1N2・・Nn
f(mn)=D1D2・・DnM1M2・・MnN1N2・・Nn
この関係より明らかに
f(d) f(mn)=D1D2・・DnD1D2・・DnM1M2・・MnN1N2・・Nn
=(D1D2・・Dn)2M1M2・・MnN1N2・・Nn
又、f(m) f(n)=D1D2・・DnM1M2・・MnD1D2・・DnN1N2・・Nn
因って、f(d) f(mn)=f(m) f(n)である。
(2)
(1)
よりf(mn)=f(m) f(n)となるのはf(d)=1が成立する場合である。
即ち、取り出し方100通りのうち、最大公約数が1となる場合を考えればよく、
数え上げると63通りある。因って、求める確率 P1=63/100である。
全く同様にして、
2f(mn)=f(m)
f(n)となるのはf(d)=2が成立する場合である。
即ち、最大公約数が2,4,8となる場合を考えればよく、
数え上げると23通りある。因って、求める確率P2=23/100である。
N04「kasama」 6/23: 18時14分受信 更新6/26更新
【問題(1)】
自然数m、nは適当な素数a1,a2,・・・,ap、b1,b2,・・・,bq、c1,c2,・・・,crと自然数i1,i2,・・・,ip、j1,j2,・・・,jq、k1,k2,・・・,kp、l1,l2,・・・,lrに対して、
m=a1i1a2i2・・・apipb1j1b2j2・・・bqjq
n=a1k1a2k2・・・apkpc1l1c2l2・・・cqlr
と表すことができます。すると、
f(m)=a1a2・・・apb1b2・・・bq
f(n)=a1a2・・・apc1c2・・・cr
f(d)=a1a2・・・ap
f(mn)=a1a2・・・apb1b2・・・bqc1c2・・・cr
よって、
f(d)f(mn)=f(m)f(n)
です。
【問題(2)】
確率p1、p2は
p1・・・f(mn)=f(m)f(n)⇒f(d)=1になるのはm、nが互いに素の場合の確率
p2・・・2f(mn)=f(m)f(n)⇒f(d)=2になるのは、m、nの最大公約数が2のべき乗となる場合の確率
です。コツコツ調べていけば良いのですが、面倒なので簡単なプログラム(PARI/GP)にやらせました。
(16:30) gp > read("dai139.gp")
(16:31) gp > dai139
確率p1=63/100
確率p2=23/100
<【オイラーの発見】
オイラーが発見したこととは、m、nを限りなく大きくしていったとき、m、nが互いに素である確率p1の極限がゼーター関数ζ(2)に関係するということでしょうか?ゼータ関数物語(3)(http://www.junko-k.com/cthema/15zeta3.htm)によると、
2つの自然数を任意にとるとき、それらが互いに素である確率は
p1=Π{1-(1/p)2}
p∈素数
ですが、この値はゼーター関数ζ(2)の逆数で、
p1=1/ζ(2)=6/π2=0.60792710185・・・
となるようです。ゼーター関数がこのようなところに関係しているとはビックリです。>
[参考]
参考までに、プログラムを添付します。
dai139()=
{
local(m, n, d, count);
count = 0;
for (m = 1, 10,
for (n = 1, 10,
if (gcd(m, n) == 1, count++);
);
);
print("確率p1=", count/100);
count = 0;
for (m = 1, 10,
for (n = 1, 10,
if (gcd(m, n) == 2 || gcd(m, n) == 4
|| gcd(m, n) == 8, count++);
);
);
print("確率p2=", count/100);
}
N05「中川幸一」 6/25: 05時32分受信 更新6/26更新
<以前も紹介した事があると思いますが, この
http://www.junko-k.com/collo/collo157.htm#1329
の問題についての考察がオイラーが1734年に発見した事実ですよね?
一応私が投稿した解答は http://www.junko-k.com/collo/collo157.htm#1332
にあります。
の N07:2002年11月25日(月) にも付いていましたね…。>