平成22年12月19日
[流れ星]
第251回数学的な応募問題解答
<解答募集期間:11月28日〜12月19日
[変曲点を通る直線]
題意通りに解いていくと計算が複雑になりますが、綺麗な解法もあります。
NO1「uchinyan」 11/28 14時04分受信
「uchinyan」 11/29 11時42分受信 更新12/19
一般に,曲線 y = f(x) に対して,次のことがいえます。
変曲点の x 座標は,f''(x) = 0 の実数解αとして与えられます。
つまり,αを実数として,f''(α) = 0 で,変曲点は (α,f(α)) です。
そこで,変曲点を通る曲線を y = g(x)
とすると,g(α) = f(α) です。
これより,
f(x) = q(x) * f''(x) + g(x),ただし q(x) は f''(x) = 0 となる実数 x で有限
と変形できれば,この g(x) が求めるものになります。
特に,二つの異なる変曲点 (α,f(α)),(β,f(β)) を通る曲線は直線なので,
g(x) を x の一次式として,
f(x) = q(x) * f''(x) + g(x),ただし q(x) は f''(x) = 0 となる実数 x で有限
と変形できれば,
g(α) = f(α),g(β) = f(β)
となって,しかも g(x) は x の一次式なので完全に決定し,
y = g(x) が求める直線の式になります。
以上のことを踏まえて,解いていきます。
問題1:
y = f(x) = x^4 - 4x^3 - 2x^2
+ 12x + 3
f'(x) = 4x^3 - 12x^2 - 4x +
12
f''(x) = 12x^2 - 24x - 4 =
4(3x^2 - 6x - 1)
ここで,f''(x) = 0,3x^2 - 6x - 1 = 0,は,
x = (3 - 2 * sqrt(3))/3,(3 + 2 * sqrt(3))/3
の二つの異なる実数解をもつので,最初の議論が使えて,
x^4 - 4x^3 - 2x^2 + 12x + 3
= (x^2/12 - x/6 - 17/36)(12x^2 - 24x - 4) + 10/9
(一応,検算。
(x^2/12 - x/6 - 17/36)(12x^2
- 24x - 4) + 10/9
= x^4 - 2x^3 - 17/3 * x^2 -
2x^3 + 4x^2 + 34/3 * x - 1/3 * x^2 + 2/3 * x + 17/9 + 10/9
= x^4 - 4x^3 - 2x^2 + 12x +
3
OK みたい (^^; )
f(x) = q(x) * f''(x) + 10/9,q(x) = (x^2/12 - x/6
- 17/36)
ここで明らかに,q(x) は,f''(x) = 0 となる実数 x で有限,です。
そこで,求める直線の式は,y = 10/9 になります。
問題2:
y = f(x) = (x - 1)/(x^2 - 2x
+ 2)
f'(x) = (1 * (x^2 - 2x + 2)
- (x - 1)(2x - 2))/(x^2 - 2x + 2)^2
= (- x^2 + 2x)/(x^2 - 2x +
2)^2
f''(x) = ((- 2x + 2)(x^2 -
2x + 2)^2 - (- x^2 + 2x) * 2(x^2 - 2x + 2)(2x - 2))/(x^2 - 2x + 2)^4
= 2(x - 1)(- (x^2 - 2x + 2)
- 2(- x^2 + 2x))/(x^2 - 2x + 2)^3
= 2(x - 1)(x^2 - 2x -
2)/(x^2 - 2x + 2)^3
ここで,f''(x) = 0,(x - 1)(x^2 - 2x - 2) = 0,は,
x = 1,1 - sqrt(3),1 + sqrt(3)
で,x^2 - 2x + 2 = (x^2
- 2x - 2) + 4 = 4 より,
分母を 0 にしない三つの異なる実数解をもつので,最初の議論が使えます。
そこで,q(x) を f''(x) = 0 となる実数 x で有限,と仮定して,
f(x) = q(x) * f''(x) + (ax +
b)
(x - 1)/(x^2 - 2x + 2) =
q(x) * 2(x - 1)(x^2 - 2x - 2)/(x^2 - 2x + 2)^3 + (ax + b)
となるような一次式 ax + b を探します。
x = 1 で,a + b = 0
x = 1 - sqrt(3) で,a(1 - sqrt(3)) + b =
- sqrt(3)/4
x = 1 + sqrt(3) で,a(1 + sqrt(3)) + b =
+ sqrt(3)/4
これらより,
a = 1/4,b = - 1/4,q(x) = - 1/8 * (x^2 - 2x + 2)^2
f(x) = - 1/8 * (x^2 - 2x +
2)^2 * f''(x) + (1/4 * x - 1/4)
つまり,a,b についての三つの方程式が矛盾なく一つの解をもち,
また明らかに,q(x) は,f''(x) = 0 となる実数 x で有限,で,
f(x) = q(x) * f''(x) + (1/4
* x - 1/4),q(x) = - 1/8 * (x^2 - 2x + 2)^2
と変形できることになります。
そこで,三つの変曲点は,一つの直線 y =
1/4 * x - 1/4 上にあることが分かります。
(若干の計算簡便法)
水の流れさんからのコメントを考慮した計算法です。
y = f(x) = (x - 1)/(x^2 - 2x
+ 2)
y(x^2 - 2x + 2) = x - 1
y' * (x^2 - 2x + 2) + y *
2(x - 1) = 1
y'' * (x^2 - 2x + 2) + y' *
4(x - 1) + 2y = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 + y'
* (x^2 - 2x + 2) * 4(x - 1) + 2y * (x^2 - 2x + 2) = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 + (1
- y * 2(x - 1)) * 4(x - 1) + 2y * (x^2 - 2x + 2) = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 + 4(x
- 1) - y * (6x^2 - 12x + 4) = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 + 4(x
- 1) - 6 * y(x^2 - 2x + 2) + 8y = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 + 4(x
- 1) - 6(x - 1) + 8y = 0
y'' * (x^2 - 2x + 2)^2 - 2(x
- 1) + 8y = 0
y = - 1/8 * (x^2 - 2x + 2)^2
* y'' + 1/4 * (x - 1)
つまり,
f(x) = - 1/8 * (x^2 - 2x +
2)^2 * f''(x) + (1/4 * x - 1/4)
と変形できます。
後は同じです。
(感想)
真面目に変曲点の y 座標も求めそれらを通る直線を一つずつ求めてもできますが,
少し計算が大変かも。
ただ,計算を楽にしようと工夫すると,似たような解法になりそうですね。
NO2「スモークマン」 12/01 23時14分受信
「スモークマン」 12/03 23時35分受信 更新12/19
(1)
変曲点a,b を通る直線は…(a+b)/2 も通る…
傾きは…g(a,b)={f(a)-f(b)}/(a-b)
f’(x)=4x^3-12x^2-4x+12
f”(x)=12x^2-24x-4=3x^2-6x-1=0 の解がa,b なので…
求める直線は...((a+b)/2, (f(a)+f(b))/2) を通る。
a>b とすれば…
f(a)=a^4-4a^3-2a^2+12a+3
f(b)=b^4-4b^3-2b^2+12b+3
f(a)-f(b)=(a^4-b^4)-4(a^3-b^3)-2(a^2-b^2)+12(a-b)
g(a,b)=(a^2+b^2)(a+b)-4(a^2+ab+b^2)-2(a+b)+12
={(a+b)^2-2ab}(a+b)-4{(a+b)^2-ab}-2(a+b)+12
=(2^2+2/3)*2-4(2^2+1/3)-2*2+12
=8+4/3-16-4/3-4+12
=0
f(a)+f(b)=(a^4+b^4)-4(a^3+b^3)-2(a^2+b^2)+12(a+b)+6
={(a+b)^2-2ab}^2-2a^2b^2-4(a+b){(a+b)^2-3ab}-2{(a+b)^2-2ab}+12(a+b)+6
=(2^2+2/3)^2-2/9-4*2*(2^2+3/3)-2(2^2+2/3)+12*2+6
=(14/3)^2-2/9-32-24/3-8-4/3+30
=196/9-2/9-72/9-12/9-10
=110/9-10
つまり...(1, 10/9) を通る傾き0の直線:y=10/9
NO3 「MVH」
12/19 00時10分受信 更新12/19
<水の流れ:この解法は第222回の「多項式の余り」と同じ考え方でも解けます。>
皆さん、答えがわかったら、一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、
メールで送ってください。待っています。