令和4年4月3日
[流れ星]
第411回数学的な連続応募解答
<解答募集期間:3月06日〜4月03日>
[大垣八幡宮奉納算額4]
岐阜県大垣市にある八幡神社
江戸時代末期、谷松茂(幽斎)は大垣藩士で致道館講官であった水野民興に学び、自ら塾を開いて和算を教えていました。彼の門人達が大垣市の八幡神社に天保年間に算額(絵馬)を奉納しています。この算額は残念ながら先の戦争で神社ごと焼失したことを知り、幽斎算約四編である奉納された算額の解法を後世に残すために、これから32問順に出題していきます。
今回は第4問題から第6問題までです。
第4問題
萌黄の正方形内に(図の如く)黒の正方形を作り、それの辺に1つの頂点を持つ4個の相等しい赤の正方形を描く。萌黄と黒の正方形の1辺の長さを知って赤の正方形の1辺の長さをも求めよ。(図4)
出題者 山田六兵衛以眞 謹考
第5問題
円の1つの弦の両側に(図の如く)赤、青、黒円を容れる。青円と黒円の直径を知って赤円の直径を求めよ。(図5)
術文(答)
赤径=(黒径×青径)÷(黒径+青径)
出題者 安藤勘次郎敬重 謹考
第6問題
直角三角形内に(図の如く)黄、赤、黒の半円を容れる。黄、赤円の直径を知って黒円の直径を求めよ。(図6)
出題者 藤田利八照房 謹考
上の術文(答)にミスを指摘されましたので下記に訂正します。3月22日記
追加問題(ジョーカーさん提供)
「ジョーカー」 03/06 20時28分 受信 更新 4/3
寄せられた大垣八幡宮奉納算額の第4問から第6問、の解答です
また、追加問題の解答です
「よふかしのつらいおじさん」03/21 22時06分 受信 更新 4/3
第4問題
●図のように萌黄、黒、赤の正方形の1辺の長さをそれぞれm、k、aとします。
●対角線ADの長さを二通りで考えます。
・
・
ゆえに、
よって、
第5問題
●図のように円の中心をOとします。
赤、青、黒の円の(中心)、(半径)をそれぞれ(A、B、K)、(a、b、k)とします。
また、Aから直径への垂線の足をHとします。
円Oの半径は、k+bとなります。
●△OABの三辺の長さは、OA=k+b−a、AB=a+b、OB=b+k−b=kです。
また、BH=b−a
△OABの余弦定理をもちいると、
よって、
第6問題
●図のように黄円、赤円、黒円の直径をそれぞれy、a、kとします。
△ABC∽△PHAなので、
●(△ABCと黒色の半円)と(△PQRと黄色の半円)が相似の関係にあるので、
黒円の直径:AB=黄円の直径:PQです。
よって、
<水の流れ:問題6の術文(答)が最初間違っていると指摘をうけ、その後、訂正しました。3月22日記>
追加問題
(1)
●コサインの3倍角の公式は、
です。
●方程式を余弦の式を用いた式で表します。
3倍角の公式と見比べて、 とします。
よって、nを整数として、
として、
よって、
ゆえに、
(2)
●
よって、増減表は、
グラフは、
●以上から曲線とx軸に囲まれた部分の面積の和Sは、
●(*)を計算するのに、使うことを確認します。
・(1)の解をαとすると、 です。
例えば、
・余弦の2倍角の公式は、
・余弦の和や差を積に直す公式は、
●(*)の下線部は、
なので、他の部分も同様に変形して(*)は、
(#)の下線部に2倍角の公式を用いると、
「三角定規」 03/24 20時17分 受信 更新 4/3
寄せられた第4問から第6問までの解答です。
さらに、追加問題の解答
<「三角定規」のコメント:追加問題も面白いですね。
この方程式はカルダノの公式で解くことが出来,
cos(2π/9), cos(4π/9), cos(8π/9) を使って表すことが出来ることは,
だいぶ以前に確認しておりましたが,こんな簡単な解法があることは今回計算して初めて知りました。
これまただいぶ以前(若い頃),天体力学の教科書の中に
3次方程式の実数一般解は三角関数で求まる
との記載があることは見ていたのですが,自身では未確認でした。
40年余年ぶりの再会でした。
皆さん、問題や質問に答えてください。一部でも構いませんから、解答とペンネームを添えて、メールで送ってください。待っています。