<水の流れ> (私の一日NO68)

震え上がるような数の神秘を知るためにあなたは青春をかけてみないか!

NO20::2006年3月21日(火)今日は、県内高校生と高校教員さらに、数学に興味・関心のある方まで110人余り参加を得た「数学を楽しむ」講演会が岐阜市内のホテルで行われました。演題は「高木貞治博士とゼータ研究」で、講師は東京工業大学大学院教授 黒川信重先生です。
 司会進行役をしていた私にとって、緊張の連続でした。お話の内容は少し難しいところもありましたが、「素因数分解は可能であり、一意的である」「素数は無限個ある」という定理の証明は証明されました。ここで、次のような素数を無限個作っていく話がありました。2→3→7→43→13→・・・・
ここで、この数列をp,p,・・・,pまで作れたとすると、pn+1はp×p×・・・×p+1の最小素因数とする。では、2→3→7→43→13→?→?・・・を計算してみてください。実はとっても桁数が多くなり素因数分解が大変になります。
次に、最初の素数が、2でなくて、3,7,5,11,13,17,のもチャレンジしてください。素数の発見につながります。
 さらに、次の予想(未解決問題)を言われました。「どの素数から出発してもすべての素数が現れる」
まだまだ 、数学の話題は尽きませんでした。黒川先生には、これからも夢のある話を若い人たちになされ、百万ドルの懸賞金のついた「リーマン予想」の研究に励んでいただき、元気に活躍されることを祈念します。また、出席者の皆様には、誠にありがとうございました。感謝申し上げます。

NO19::2006年3月12日(日)今までに応募された第168回の「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 また、第168回の問題で応募された
解答を載せました。
 さらに、第169回の応募問題は
「糸かけ」の問題です。作成にあたりヒントになったは「糸かけ」です。よろしくお願いします。
先日「Toru」さんからの次のようなご指摘がありました。
  『ところで√2+√3>πの別解についてですが、√2や、√3の連分数展開による近似はよいとして、(でももう一つ先まで連分数展開して不等号の向きをさかさまにした方がよいような気はしますが、)π<22/7は,やっぱり証明がいるのではありますまいか。
この手の問題ではどこまで既知としてよいかで混乱しますが、π<22/7を認めてしまえば、連分数なんぞつかわなくても22/7<√2+√3は両辺を2乗して移項してもう一回2乗するだけでできてしまいますし、やはりここはπの定義にたちもどって、図形的な近似か、無限級数の登場が必要になるのだと思います。』
<水の流れ:その通りでして、どこまでを既知とするか判断に困っています。今のところ、正確にすべて証明をした方が良いと考えています。>

NO18::2006年2月20日(月)帰宅後、第168回の「平方数の和と差」の応募問題の解答が「H7K」「MK」「uchinyan」さんから寄せられていました。感謝しています。
そこで、「uchinyan」さんからのコメントをお知らせします。
『 定理2:自然数 N を連続する自然数の和で表す方法の数は、その自然数の奇数の約数の個数である。これを証明せよ。』
 残念ながら、これは、「その自然数の 3 以上の奇数の約数の個数である」の間違いのようです。そうでないと、実際、定理1と矛盾します。そのように修正して証明します。』
<水の流れ:そのつもりで表現したのですが、ご指摘のように正確さに欠けています。>
『特に、今回、定理1と定理2とが唐突に出てくるのが気になっています。これらを使って、何かできるのでしょうか?』
<水の流れ:すべて自然数をある方法で表してみたいという気持ちでして、実際には関連はないです。出題から削除も考えたのですが、定理とうことで証明をお願いした次第です>

NO17::2006年2月19日(日)今までに応募された第167回の「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 また、第167回の問題で応募された
解答を載せました。
 さらに、第168回の応募問題は
「平方数の和と差」の問題で、すべての自然数は連続な平方数の和と差で表すことができます。よろしくお願いします。

NO16::2006年2月18日(土)以前に「√2+√3>π(円数率)を証明せよ。」がありましたが、「中川幸一」さんから、感動するような証明をいただきました。ご覧下さい。
「証明」です。
 さて、今までに応募された第163回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。

NO15::2006年1月29日(日)今までに応募された第166回の「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 また、第166回の問題で応募された
解答を載せました。
 さらに、第167回の応募問題は
「ペル方程式」の問題です。どこかの大学の入試問題に出ると幸いです。よろしくお願いします。

NO14::2006年1月26日(木)今夜、「上様」から第166回の応募問題「平面幾何」について、訂正がありました。締め切り間近ということもあり、誠に申し訳ありません。
 問題1において、「内心→重心でおねがいします。」ということです。したがって、訂正前の答えも投稿されていますから、これも有効ですし、訂正後の問題でも構いません。いずれにしてもよろしくお願いします。
問題について知り得たことをお知らせします。問題3はこれは有名な定理でして、平面図形のオイラーの定理と言われています。2002年のセンター試験にありました。
問題2は鹿児島大学の入試問題(何年かは分かっていないけど)
 

NO13::2006年1月9日(月)第165回の問題で応募された解答を載せました。
 今までに応募された第165回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 さらに、1月21日22日に実施されるセンター試験を考慮して、第166回の応募問題は
「平面幾何」の問題です。なお、これは投稿問題です。今の高校生は平面幾何をあまり得意にしていませんし、いわゆる「何々定理」をよく知りません。よろしくお願いします。

NO12::2006年1月8日(日)先日、ゼータ関数の研究をなされている東京工業大黒川信重先生にお会いしてきました。3月21日(祝日)の「数学を楽しむ」講演会の講師をお願いしに行ってきました。ゼータ関数やリーマン予想を研究されている方には有意義な講演となりますよ。

NO11::2006年1月4日(水)多くの皆さんに旧年中はご愛顧を賜り誠にありがとうございます。深く感謝申し上げます。!新年あけましておめでとうございます。(ご挨拶が遅れたことをお詫び申し上げます)
 昨年同様変わらないご愛顧を賜りますようにお願いします。平成10年10月5日の第1回応募問題から、皆様に励まされながら8年目に入りました。本当にありがたいことです。改めて多くの応募者の方に感謝しています。ありがとう!今後一層、連続して応募問題を運営していきたいと考えています。
それには、病気をしないように体を大切に労りながら、元気に更新していきたいです。よろしくお願いします。

NO10::2005年12月27日(火)第164回の応募問題の修正が「kasama」さん来ましたから解答を改めて更新しました。
 今も、雪が降っています。雪をどかす場所に困っています。以前の雪が融けていないのに。で、165回の応募が寄せられています。「uchinyan」さんと「Kashiwagi」さんです。いつもありがとうございます。心から深く感謝しています。では、来年もよろしくお願いします。
今、小川洋子著「博士の愛した式」を読破した後、「素数の音楽」という本を読書中です。これは半分の258ページまです。読書時間を作らねば。リーマン予想に青春を捧げた数学家(リーマン、ガウス、メルセンヌ、オイラー、ヒルベルト、ハーデイー、リトルウッド、ラマンジャン、エルデシュ等)の話です。2400円

NO9::2005年12月24日(土)第164回の問題で応募された解答を載せました。
 今までに応募された第164回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 さらに、第165回の応募問題は
「西暦2006年」の問題です。よろしくお願いします。

NO8::2005年12月23日(金)今週は雪に悩まされています。19日(月)30cmから40cmの降雪があり、学校は休校になりました。で、昨日は午前10時頃から吹雪になり、この悪天候が続くと、生徒が帰宅できそうにないと判断し、2時限の授業で打ち切り、後休校です。こんな年はかってないことです。
 さらに、今朝はなんと深いところで、50cmから70cm(一度雪をどけていまして、0からの数値)になっていました。初めてのことです。今までにどかした雪が解けていないから、場所がありません。結局上に積み重ねていきまして、1m50cm程度にも達しています。庭木の枝にある雪をはらい落としましたが、これ以上降ってくれると、家屋に支障をきたしてくる。

NO7::2005年12月18日(日)再度「やぎ」さんからのレポートを第13話 NO11「100・・・001」の因数分解 更新しました。ご覧下さい。
 今朝は、大変寒くて、降雪があり、積雪数センチでした。次に、午後から、岐阜薬科大学コーラス部第40回定期記念演奏会に、岐阜県民文化ホール 未来会館へ出かけます。

NO6::2005年12月11日(日)先月送られてきた「やぎ」さんからのレポートを第13話 NO10「100・・・001」の因数分解 更新しました。ご覧下さい。
 午前中に、シュタイナー研究会に出かけてきます。
第8回 シュタイナー実践研究会

NO5::2005年12月4日(日)先日の「√2+√3>π(円数率)を証明せよ。」が寄せられましたから、第51話に載せました。ご覧下さい。

NO4::2005年12月3日(土)第163回の問題で応募された解答を載せました。
 今までに応募された第163回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 さらに、第164回の応募問題は
「遺言書」の問題で、昔からある話です。よろしくお願いします。

NO3::2005年11月26日(土)先週の18日(金)に伊勢神宮がある三重県伊勢市で行われた数学研究会に参加してきました。岐阜県からは約20名受付名簿にありました。発表者でもある友人に次のような問題を授かりましたから、お知らせします。
 √2+√3>π(円数率)を証明せよ。図形的に解けるかなと思っていますが、まだ、解決していません。教えてください。
 さて、今までに応募された第163回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。

NO2::2005年11月12日(土)第162回の問題で応募された「解答NO1」を載せました。
 今までに応募された第162回の
「解答者を一覧」に整理しました。ご覧ください。
 さらに、第163回の応募問題は
「規則性の発見(2)」の問題です。よろしくお願いします。

NO1::2005年11月5日(土)今回の応募問題で「uchinyan」さんから興味ある考察が届きましたから、お知らせします。
第162回数学的な応募問題への解答の追加
[考察1]
水の流れさんからのチャレンジもあったし、いい機会なので、同様にして、
S(n,k) = 1^k + 2^k + .. + n^kとしたときの、k = 5, 6, 7, 8, 9, 10 を求めてみます。なお、詳しい計算は同様なので省略します。
* S(n,5) の場合
∫[x=k,k+1]{x^5 - 5/2 * x^4 + 5/3 * x^3 - 1/6 * x}dx = k^5
S(n,5) = 1^5 + 2^5 + ... + n^5
= ∫[x=1,n+1]{x^5 - 5/2 * x^4 + 5/3 * x^3 - 1/6 * x}dx
= ...
= 1/12 * n^2 * (n+1)^2 * (2n^2 + 2n - 1)
* S(n,6) の場合
∫[x=k,k+1]{x^6 - 3 * x^5 + 5/2 * x^4 - 1/2 * x^2 + 1/42}dx = k^6
S(n,6) = 1^6 + 2^6 + ... + n^6
= ∫[x=1,n+1]{x^6 - 3 * x^5 + 5/2 * x^4 - 1/2 * x^2 + 1/42}dx
= ...
= 1/42 * n(n+1)(2n+1)(3n^4 + 6n^3 - 3n + 1)
* S(n,7) の場合
∫[x=k,k+1]{x^7 - 7/2 * x^6 + 7/2 * x^5 - 7/6 * x^3 + 1/6 * x}dx = k^7
S(n,7) = 1^7 + 2^7 + ... + n^7
= ∫[x=1,n+1]{x^7 - 7/2 * x^6 + 7/2 * x^5 - 7/6 * x^3 + 1/6 * x}dx
= ...
= 1/24 * n^2 * (n+1)^2 * (3n^4 + 6n^3 - n^2 - 4n + 2)
* S(n,8) の場合
∫[x=k,k+1]{x^8 - 4 * x^7 + 14/3 * x^6 - 7/3 * x^4 + 2/3 * x^2 - 1/30}dx = k^8
S(n,8) = 1^8 + 2^8 + ... + n^8
= ∫[x=1,n+1]{x^8 - 4 * x^7 + 14/3 * x^6 - 7/3 * x^4 + 2/3 * x^2 - 1/30}dx
= ...
= 1/90 * n(n+1)(2n+1)(5n^6 + 15n^5 + 5n^4 - 15n^3 - n^2 + 9n - 3)
* S(n,9) の場合
∫[x=k,k+1]{x^9 - 9/2 * x^8 + 6 * x^7 - 21/5 * x^5 + 2 * x^3 - 3/10 * x}dx = k^9
S(n,9) = 1^9 + 2^9 + ... + n^9
= ∫[x=1,n+1]{x^9 - 9/2 * x^8 + 6 * x^7 - 21/5 * x^5 + 2 * x^3 - 3/10 * x}dx
= ...
= 1/20 * n^2 * (n+1)^2 * (2n^6 + 6n^5 + n^4 - 8n^3 + n^2 + 6n - 3)
* S(n,10) の場合
∫[x=k,k+1]{x^10 - 5 * x^9 + 15/2 * x^8 - 7 * x^6 + 5 * x^4 - 3/2 * x^2 + 5/66}dx = k^10
S(n,10) = 1^10 + 2^10 + ... + n^10
= ∫[x=1,n+1]{x^10 - 5 * x^9 + 15/2 * x^8 - 7 * x^6 + 5 * x^4 - 3/2 * x^2 + 5/66}dx
= ...
= 1/66 * n(n+1)(2n+1)(3n^8 + 12n^7 + 8n^6 - 18n^5 - 10n^4 + 24n^3 + 2n^2 - 15n + 5)
計算は決して楽ではありませんが、ある程度の規則性があるので、それをチェックしながらやれば、計算違いは思ったよりなしで済みました。原理的には、より高次の場合も可能ですね。
[考察2]
今回の問題とは離れますが、S(n,k) = 1^k + 2^k + .. + n^k は漸化式を作ることができます。
二項定理より、二項係数を C(p,q) などと書くと
n^(k+1) - (n-1)^(k+1) = 納i=0,k]{C(k+1,i) * n^i * (-1)^(k-i)}
そこで、n を 1, 2, ..., n として両辺をそれぞれ加えると、
n^(k+1) = 納i=0,k]{C(k+1,i) * S(n,i) * (-1)^(k-i)}
S(n,k) = 1/(k+1) * {n^(k+1) + 納i=0,k-1]{C(k+1,i) * S(n,i) * (-1)^(k-i+1)}
ただし、S(n,0) = n とします。
これを用いて実際に計算してみると...
S(n,1) = 1/2 * {n^2 + C(2,0) * S(n,0) * (-1)^2}
= 1/2 * n(n+1)
S(n,2) = 1/3 * {n^3 + C(3,0) * S(n,0) * (-1)^3 + C(3,1) * S(n,1) * (-1)^2 }
= 1/3 * {n^3 - 1 * n + 3 * 1/2 * n(n+1)}
= 1/6 * n(n+1)(2n+1)
S(n,3) = 1/4 * {n^4 + C(4,0) * S(n,0) * (-1)^4 + C(4,1) * S(n,1) * (-1)^3
+ C(4,2) * S(n,2) * (-1)^2 }
= 1/4 * {n^4 + 1 * n - 4 * 1/2 * n(n+1) + 6 * 1/6 * n(n+1)(2n+1)}
= 1/4 * n * {n^3 + 1 - 2 * (n+1) + (n+1)(2n+1)}
= 1/4 * n^2 * (n+1)^2
S(n,4) = 1/5 * {n^5 + C(5,0) * S(n,0) * (-1)^5 + C(5,1) * S(n,1) * (-1)^4
+ C(5,2) * S(n,2) * (-1)^3 + C(5,3) * S(n,3) * (-1)^2}
= 1/5 * {n^5 - 1 * n + 5 * 1/2 * n(n+1) - 10 * 1/6 * n(n+1)(2n+1) + 10 * 1/4 * n^2 * (n+1)^2}
= ...
= 1/30 * n(n+1)(2n+1)(3n^2 + 3n - 1)
いくらでも計算可能ですが、計算自体は必ずしも容易ではないようです。
[考察3]
ちょっと見方を変えて、階差数列を考えてみます。以下では、S(n,2) でやってみます。
0 - 1 - 5 - 14 - 30 - 55 - ... - S(n,2) - S(n+1,2) - ...
1 - 4 - 9 - 16 - 25 - ... - n^2 - (n+1)^2 - ...
3 - 5 - 7 - 9 - ... - 2n-1 - 2n+1 - ...
2 - 2 - 2 - ... - 2 - 2 - ...
0 - 0 - ... - 0 - 0 - ...
0 - ... - 0 - 0 - ...
これを次のように式で書いてみます。
1^2 + 2~2 + 3^3 + 4^2 + 5^2
= 55
= 30 + 25
= (14 + 16) + (16 + 9)
= (5 + 9) + 2 * (9 + 7) + (7 + 2)
= (1 + 4) + 3 * (4 + 5) + 3 * (5 + 2) + (2 + 0)
= (0 + 1) + 4 * (1 + 3) + 6 * (3 + 2) + 4 * (2 + 0) + (0 + 0)
= 1 * 0 + 5 * 1 + 10 * 3 + 10 * 2 + 5 * 0 + 1 * 0
= C(5,0) * 0 + C(5,1) * 1 + C(5,2) * 3 + C(5,3) * 2 + C(5,4) * 0 + C(5,5) * 0
ここで、0, 1, 3, 2, 0, 0 は、上記の多段の階差数列の初項になっています。
一方、その係数は、それぞれの初項から 55 までを最短で結ぶ経路の数になっています。
これは当然で、その経路の数だけ、初項が足し合わされることから明らかです。
これは一般 n でもいえるので、
S(n,2) = C(n,0) * 0 + C(n,1) * 1 + C(n,2) * 3 + C(n,3) * 2 + C(n,4) * 0 + C(n,5) * 0 + 0 + ...
= n * 1 + n(n-1)/2! * 3 + n(n-1)(n-2)/3! * 2
= 1/6 * n * (6 + 9(n-1) + 2(n-1)(n-2))
= 1/6 * n * (2n^2 + 3n + 1)
= 1/6 * n(n+1)(2n+1)
ほとんど明らかなので詳しい証明は省略しますが、この議論は一般の S(n,k) に対しても成立し、
多段の階差数列の初項を a(0), a(1), a(2), ... とすると、
a(0) = 0 で a(k+2) 以降もすべて 0 となり、
S(n,k) = 納i=1,k+1] {C(n,i) * a(i)}
と書けます。
k を与えれば、多段の階差数列は計算できるので、a(i) も計算可能で、
この式で S(n,k) を求めることができます。
ただ、a(i) の一般項を求めるのは大変そうな気がします。
[考察4] 今回の問題の背景かな?
残念ながら、考察4は私のオリジナルではなく、Webで調べたことをまとめたものです。
ただ、ちょっと不思議な?、でもよく知られているらしい、数を使って、
一応、S(n,k) の一般式が書き下せるらしいので、ご紹介します。
もっとも、皆さん、水の流れさんは、既によくご存知なのだろうと思いますが。
次の式で B(i) という数を定義します。この B(i) をベルヌーイ数というそうです。
B(0) = 1
納i=0,m]{C(m+1,i) * B(i)} = 0
具体的には、
B(0) = 1, B(1) = -1/2, B(2i+1) = 0 for i = 1, 2, ...
B(2) = 1/6, B(4) = -1/30, B(6) = 1/42, B(8) = -1/30, B(10) = 5/66, ...
などとなります。
さらに、このベルヌーイ数と二項係数の積を係数にもつベルヌーイ多項式というものを
B(x,m) = 納i=0,m]{C(m,i) * B(i) * x^(m-i)}
と定義します。これを m = 0, 1, 2, 3, 4 で計算してみると
B(x,0) = 1
B(x,1) = x - 1/2
B(x,2) = x^2 - x + 1/6
B(x,3) = x^3 - 3/2 * x^2 + 1/2 * x
B(x,4) = x^4 - 2 * x^3 + x^2 - 1/30
なんと、今回の問題の積分に出てきた多項式に一致します!
さて、ベルヌーイ多項式の性質を調べてみます。まず、
dB(x,m)/dx
= 納i=0,m-1]{C(m,i) * B(i) * (m-i) * x^(m-i-1)}
= 納i=0,m-1]{m!/(m-i)!i! * B(i) * (m-i) * x^(m-i-1)}
= m * 納i=0,m-1]{(m-1)!/(m-1-i)!i! * B(i) * x^(m-1-i)}
= m * 納i=0,m-1]{C(m-1,i) * B(i) * x^(m-1-i)}
= m * B(x,m-1)
次に、m not= 1 のとき、
B(1,m) = 納i=0,m]{C(m,i) * B(i)}
= 納i=0,m-1]{C(m,i) * B(i)} + B(m)
= B(m)
= B(0,m) さらに、m >
= 1 で、
B(x+1,m) - B(x,m) = m * x^(m-1)
が成立します。これは、
d(B(x+1,m) - B(x,m))/dx = m * (B(x+1,m-1) - B(x,m-1))
を用いて、数学的帰納法で証明できます。
したがって、
∫[k,k+1]{B(x,m)}dx
= ∫[k,k+1]{1/(m+1) * dB(x,m+1/dx)}dx
= 1/(m+1) * {B(k+1,m+1) - B(k,m+1)}
= 1/(m+1) * (m+1) * k^m
= k^m
となり、B(x,m) は、確かに今回の問題の題意を満たします。
そこで、m >= 1 で、
S(n,m) = ∫[x=1,n+1]{B(x,m)}dx
= ∫[x=1,n+1]{1/(m+1) * dB(x,m+1)/dx}dx
= 1/(m+1) * {B(n+1,m+1) - B(1.m+1)}
= 1/(m+1) * {納i=0,m+1]{C(m+1,i) * B(i) * (n+1)^(m+1-i)} - B(0,m+1)}
= 1/(m+1) * {納i=0,m]{C(m+1,i) * B(i) * (n+1)^(m+1-i)}
つまり、
S(n,k) = 1/(k+1) * {納i=0,k]{C(k+1,i) * B(i) * (n+1)^(k+1-i)}
となります。これによって、ベルヌーイ数を使って S(n,k) が求められます。
例えば、
S(n,1) = 1/2 * {C(2,1) * B(1) * (n+1) + C(2,2) * B(0) * (n+1)^2}
= 1/2 * (2 * (-1/2) * (n+1) + 1 * 1 * (n+1)^2)
= 1/2 * n(n+1)
になり、よく知られた公式と一致します。
もっとも、ベルヌーイ数を知らないと話しにならないので、これが実用上便利かどうかは、
ちょっと疑問ですが...
ただ、一般形が書き下せるのは「スゴイ!」と思いました。
少なくとも今回の問題の背景と思われます。
なお、さらに少し変形すると、
S(n,m) = ∫[x=1,n+1]{B(x,m)}dx
= ∫[x=0,n]{B(x+1,m)}dx
= ∫[x=0,n]{m * S(x,m-1) + B(1,m)}dx
= m * ∫[x=0,n]{S(x,m-1)}dx + B(1,m) * n
これから、
S(n,k) = k * ∫[x=0,n]{S(x,m-1)}dx + c * n
ただし、c は S(1,k) = 1 となるように決める、とできます。
この形式ならば、ベルヌーイ数は表に表れず、単に積分形式の S(n,k) の漸化式になっています。
考察2の積分版といったところでしょうか。
実用上は、これが一番便利なような気がします。
[考察5]
これも前半はWebからの受け売りで恐縮ですが、考察4とはちょっと違った方法です。
考察2の次の式から出発します。
n^(k+1) = 納i=0,k]{C(k+1,i) * S(n,i) * (-1)^(k-i)}
後の議論のために k -> m, i -> k と置き換えて、少し変形すると
1/(m+1)! * n^(m+1) = 納k=0,m]{1/(m-k+1)! * (-1)^(m-k) * 1/k! * S(n,k)} ... (1)
この両辺に x^(m+1) をかけて m で 0 から∞まで足し上げてみます。
ただし、右辺の 1/k! * S(n,k) に注目して、次の式を考えます。
P(x,n) = 納k=0,∞]{1/k! * S(n,k) * x^k}
これは、S(n,k) の一種の母関数と呼ばれるもので、級数の計算などに利用される手法です。
すると、
(1)の左辺 = 納m=0,∞]{1/(m+1)! * n^(m+1) * x^(m+1)} = exp(nx) - 1
(1)の右辺 = 納m=0,∞]{納k=0,m]{1/(m-k+1)! * (-1)^(m-k) * 1/k! * S(n,k) * x^(m+1)}
狽フ二重和は、まず m について m=k,∞ としてから k=0,∞ としても同じなので
、 = 納k=0,∞]{納m=k,∞]{1/(m-k+1)! * (-1)^(m-k) * 1/k! * S(n,k) * x^(m+1)}
m-k -> i と置き換えて、
= 納k=0,∞]{納i=0,∞]{1/(i+1)! * (-1)^i * x^(i+1)} * (1/k! * S(n,k) * x^k)}
= 納k=0,∞]{(1 - exp(-x)) * (1/k! * S(n,k) * x^k)}
= (1 - exp(-x)) * P(x,n)
そこで、
P(x,n) = (exp(nx) - 1) * exp(x)/(exp(x) - 1)
右辺の最初のところを再度マクローリン展開すると
P(x,n) = 納m=1,∞]{1/m! * (nx)^m * exp(x)/(exp(x) - 1)}
= 納m=1,∞]{1/m! * (nx)^(m-1) * n * (x * exp(x))/(exp(x) - 1)}
ここで、
(x * exp(x))/(exp(x) - 1) = 納i=0,∞]{b(i) * 1/i! * x^i}
とマクローリン展開し、そのときの係数を b(i) と定義します。
この b(i) と考察4のベルヌーイ数 B(i) との関係を、後で検討します。
これを用いると、
P(x,n) = 納m=1,∞]{1/m! * (nx)^(m-1) * n * 納i=0,∞]{b(i) * 1/i! * x^i}}
= 納m=1,∞]{納i=0,∞]{1/m! * 1/i! * n^m * b(i) * x^(m+i-1)}}
m+i-1 -> k とおいて、和を m, k で表すと
= 納m=1,∞]{納k=m-1,∞]{1/m! * 1/(k-m+1)! * n^m * b(k-m+1) * x^k}}
狽フ二重和は、まず m について m=1,k+1 としてから k=0,∞ としても同じなので、
= 納k=0,∞]{納m=1,k+1]{1/m! * 1/(k-m+1)! * n^m * b(k-m+1) * x^k}}
= 納k=0,∞]{納m=1,k+1]{C(k+1,m) * 1/(k+1)! * n^m * b(k-m+1) * x^k}}
= 納k=0,∞]{1/k! * 納m=1,k+1]{C(k+1,m)/(k+1) * b(k-m+1) * n^m} * x^k}
これを P(x,n) の定義と比較すると、
S(n,k) = 1/(k+1) * 納m=1,k+1]{C(k+1,m) * b(k-m+1) * n^m}
= 1/(k+1) * 納i=0,k]{C(k+1,i) * b(i) * n^(k+1-i)}
となります。
さてここで、b(i) を求めてみましょう。ここからは、私の付け足しです。
まず、
f(x) = x/(exp(x) - 1)
f(x) * (exp(x) - 1) = x
を考えます。
f(x), exp(x) - 1 をマクローリン展開して両辺の x のべきの係数を比べると、
f(x) の係数が考察4のベルヌーイ数の定義式を満たすことが分かります。
つまり、
x/(exp(x) - 1) = 納i=0,∞]{B(i) * 1/i! * x^i}
がいえます。なお、こちらをベルヌーイ数の定義とする方が主流のようです。
次に、
x/(exp(x) - 1) = (-x) * exp(-x)/(exp(-x) - 1)
となるので、実は、b(i) と B(i) とは、B(i) = (-1)^i * b(i) で、
i が偶数のときは同じ、i が奇数のときは符号だけが異なる
ことが分かります。そこで、b(1) の符号だけが B(i) と異なり、
b(0) = 1, b(1) = 1/2, b(2i+1) = 0 for i = 1, 2, ...
b(2) = 1/6, b(4) = -1/30, b(6) = 1/42, b(8) = -1/30, b(10) = 5/66, ...
となります。もちろん、これを使っても S(n,k) が求められます。例えば、
S(n,1) = 1/2 * {C(2,1) * b(1) * n + C(2,2) * b(0) * n^2}
= 1/2 * (2 * 1/2 * n + 1 * 1 * n^2)
= 1/2 * n(n+1)
になり、やはり、よく知られた公式と一致します。
これは当然で、
S(n,k) = 1/(k+1) * 納i=0,k]{C(k+1,i) * b(i) * n^(k+1-i)}
= 1/(k+1) * {C(k+1,1) * b(1) * n^k + 納i=even]{C(k+1,i) * b(i) * n^(k+1-i)}}
= 1/(k+1) * {2 * C(k+1,1) * b(1) * n^k
- C(k+1,1) * b(1) * n^k + 納i=even]{C(k+1,i) * b(i) * n^(k+1-i)}}
= 1/(k+1) * {2 * (k+1) * 1/2 * n^k
+ C(k+1,1) * B(1) * n^k + 納i=even]{C(k+1,i) * B(i) * n^(k+1-i)}}
= n^k + 1/(k+1) * 納i=0,k]{C(k+1,i) * B(i) * n^(k+1-i)}
S(n,k) - n^k = 1/(k+1) * 納i=0,k]{C(k+1,i) * B(i) * n^(k+1-i)}
S(n-1,k) = 1/(k+1) * 納i=0,k]{C(k+1,i) * B(i) * n^(k+1-i)}
がいえますが、右辺は、考察4の場合の S(n-1,k) になっており、
結局、b(i) を用いた式と B(i) を用いた式とは等価です。
なお、細かいことですが、考察4の積分による漸化式は、b(i) を使うと、
S(n,m) = m * ∫[x=0,n]{S(x,m-1)}dx + b(m) * n
と書くこともできます。
それと、Webを見る限り少数派のようですが、b(i) をベルヌーイ数と定義する流儀もあるようです。

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